感想メモ:生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却

生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
  • 発売元: 日本放送出版協会
  • 価格: ¥ 1,019
  • 発売日: 2008/03

★★★★☆

 トピックはおもしろいのだが、残念ながら議論が拡散しすぎている印象。

 経済学の前提である「最適化原理」(人は皆あらゆる選択肢の中から最適なものを選ぶ)と「均衡原理」(価格は需要と供給の均衡する点になり、そこに至るまでの時間は考えない)が非現実的というのは理解できる。そして、可能なあらゆる選択肢を考慮することは非現実的なので、「選択の自由」が現実的でないという点も同意する。そしてその後「選択」に代わる「創発」という概念、それに基づく議論が続くのだが、議論がどこに向かっているのかわからずついていけなくなった。

 そんな中で私が興味を持った点は、ワーカホリックとアルコール依存の話題だった。著者はワーカホリックであるようだが、その背後にあるプライベートな問題についても赤裸々に語っていて興味深かった。アルコール依存とワーカホリックは、かたや病気方や社会的にはOKと扱われ方が異なるが、対象が異なるだけで基本的には同じ構造だというのはその通りだと気付いた。

 というようにおもしろい点もあったのだが、今一つ自分の中で整合が取れなかったので★3つ。時間が取りにくい場合は、経済学のおかしさについて、第一章だけ読むのもよいと思う。

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