- 編集者という病い (集英社文庫)
-
- 発売元: 集英社
- 価格: ¥ 650
- 発売日: 2009/03/19
★★★★☆
見城徹という鬼才
鬼才なんて言葉めったに使うことはないのだが、この言葉がふさわしいと感じた。
編集者という職業は、作家に比べて表に出て来ることが少ない分、
どういうことをしているのか、わかりにくい。
しかし、これが編集者というものか!と認識を新たにした。
尾崎豊、坂本龍一、宮本輝、村上龍、石原慎太郎、五木寛之。
様々な分野で活躍する人々と濃密に、それもハンパなく濃密な付き合いをしている著者。
表現者という、ある種心に歪みを抱えた人々の心に深く切り込み、
この人になら任せられると思わせること。
そういう関係をいかに築くことができるかが、編集者のキモなのだと著者は言う。
しかし一方で、これは異常だと感じる。
こんな人付き合いを100人単位の人間と持っているなど、普通精神が持たない。
と思ったら、著者は筋金入りの不眠症で、耳鳴りも止まらず、心臓も悪いらしい。
そして当然、全ての編集者が彼のようなやり方ができるはずもない。
まさに「編集者という病い」。いいタイトルだ。
様々な媒体で書かれた記事の再録も多く、エピソードの解説の重複も多々見られる。
しかしなお、一読の価値がある。★4つ。
関連:
- 調理場という戦場 ★★★★☆
- つなげる力 ★★★★★
- ほぼ日刊イトイ新聞の本 ★★★★☆
その他の書評などはこちら。
→Socialtunes – haru