感想メモ:挑戦する経営―千本倖生の起業哲学

挑戦する経営―千本倖生の起業哲学
挑戦する経営―千本倖生の起業哲学
  • 発売元: 経済界
  • 価格: ¥ 1,600
  • 発売日: 2008/10

★★★★★

 携帯・通信事業という規制産業に風穴を開けた、
イー・アクセス、イー・モバイルを創業したベンチャー経営者の雄、千本氏。
ストーリーは時系列に沿い、時の情勢と氏の考えや行動を交えて綴られている。
という形式自体は一般的だが、氏の熱い思いと共に語られるストーリーは
躍動感があり、飽きが来ない。

 イー・アクセス、イー・モバイル両事業とも
「千本氏だからこそできた」ことが多いことに驚かされる。
特にゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーからの資金調達など、
同じことができる人間が果たしてどれだけいるのか。

 また、氏のマネジメントについての考え方も、
一般のマネジメントの考え方とは異なり、かなりアグレッシブである。
その考え方は以下の部分に集約されている。

  • マネジメントとは「そのままにしておいたら危機的な事態に際して、隘路を探して成功に導くこと」
  • 九割失敗しても、残る一割で断崖絶壁を縫うようにして次のフェーズを切り開く
  • トップが九割の失敗に絶望した瞬間に企業は坂道を転げ落ちる

(P282)

 ベンチャー企業を立ち上げる経営者というのは、
こういう思いを持たなければならないものなのか。

 松下幸之助、京セラ稲盛会長などの名経営者も登場するが、
彼らの言葉の重なりも興味深い。

  • 「成功とは成功するまで続けること」(松下幸之助)
  • 「始めたらやめるな。筋のいい事業だと信じたら、
    石にかじりついてでもやり抜く。」(京セラ稲盛会長)

 千本氏もそうだが、彼らの考え方の根本にあるのは、
強い「信念」ではないかと感じた。

 通信事業についての知識を得ることもできるし、
純粋に読み物としてもおもしろい。★5つ。

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