★★★★☆
著者の佐々木俊尚氏のことは、
キュレーターという言葉を広めたとか、
twitterでフォロワーが多いというぐらいの
知識しかなかったのだが、
毎日新聞の記者だったのだそうだ。
メディアと当局(警察とか)との関係性など、
業界の人には常識かもしれないが、
部外者には知らされないさまざまな「ジョーシキ」が
語られていて、ふーん、と読んだ。
業界がよくわかっているという視点から、
メディアに必要以上に肩を持つ事もなく、
無能と断じることもなく論じていて、
いい感じのバランス。
この本のタイトルは、
「一般市民の代表」という顔をしながらも、
実はそうではなかったりするメディアに対して、
「当事者たれ」というメッセージ、ではなく
もう一段深かった。
しかしこのような人たちを、
「当事者であれ」と批判することはできない。
なぜならそのようにして他者に当事者であることを求めるという
行為自体が、すでに当事者性を帯びていないからだ。だから私にできることは、私自身が本書で論考してきたことを実践し、
私自身が当事者であることを求めていくということしかない。
あえて注文をつけるとすれば、
さまざまなストーリーを張り巡らせすぎ、
最も読ませたいであろうメッセージにまで、
たどり着かずに脱落する読者も多かろうと感じた所。
私も危なかった。
でもたどり着けてよかった。
おもしろかったです。