★★★☆☆
「正座」は、昔は「正座」ではなかったのだそうだ。
「正坐は近代以降の新しい坐り方」なのだ。
現代の茶道の常識からは考えられないことだが、
当時の茶の湯での正式な坐り方というのは、
右の足首を尻の下に畳み、左の膝を立てる
「立て膝」だった。(p29)
現在では、「正座」が「正しい坐り方」で、
他の座り方は正しくないかのように感じられる。
しかし、正座は膝への負担が大きく、
膝を壊す人も少なくない。
立て膝の方が、明らかに膝への負担は小さい。
昔は正座ではなかったのであれば、
何を守るための「正座」なのだろうか?
思いもよらなかった疑問だ。
また、以前はかなりのバリエーションがあった坐り方が、
現代の日常からは、大部分が消えてしまっている。
その理由の考察については、本書を読んでもらいたい。
身近なことなのに、「知らなかった!」が多い本でした。