★★★★☆
「カネ」
それ自体は、交換可能な通過単位でしかない。
にも関わらず、「カネ」は多くの人にとって
特別な意味合いを持つ。
それは、家庭環境、仕事など、
様々な面で他人と比較してしまうことにより、
色々な思い出が残っているからだろう。
西原理恵子にとっての「カネ」もまた、
かなり強い意味を持っている。
家庭についての話はかなり壮絶。
しかし、家庭環境の再生産や、
仕事とお金との関わりなど、
考えさせられる部分が多かった。
過去の彼女自身、あるいは、
同じような境遇にある人に対して
語りかけているように感じた。
マイナスを味方につけなさい。
今いるところがどうしても嫌だったら、
ここからいつか絶対に抜け出すんだって、心に決めるの。
そうして運良く抜け出すことができたんなら、
あの嫌な、つらい場所にだけは絶対に戻らないって、そう決めなさい。
そうしたら、どんなたいへんなときだって、
きっと乗り越えることができるよ。
だって、わたしも、そうだったから。(p112)
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、
自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」
に対するイメージがぼんやりするようならば、
「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。
自分がした仕事で人に喜んでもらえると、
疲れなんてふっとんじゃうからね。(p198)
自分が稼いだこの「カネ」は、
誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、
それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。(p199)
いざというとき、大切な誰かを安心な場所にいさせてあげたい。
そう思うのなら、働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。
そうして強くなりなさい。
それが、大人になるっていうことなんだと思う。(p228)
誰にも関係する「カネ」の話。
多くの人に気付きを与えてくれる、
重みのある本だと感じた。
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