★★★★☆
学生から社会に出て大事だと感じるのは、
「正しい答えなんてないのだから、
行動して試してみること」
だということ。そして
「一人では物事を動かせないから、
他人を動かす力」
この本は、
・情報を元に自分の考えをまとめて
・周囲の人を巻き込んで動かす
ための「知恵」の部分を伝えようとしている。
前作の「世界一やさしい問題解決の授業」と同様に、
子供(生物?)を主人公としたお話仕立てで、
若い人を対象にしているが、大人が読んでも全く問題ない。
以下の部分は、特に共感しながら読んだ。
人の意見に耳を傾け、何かを学び取る姿勢や
謙虚さは極めて重要だ。協調性も重要だ。
しかし、そういった姿勢を保ちつつ、
自立した考えを持つというのは別の話だ。
重要なのは、自分が育った環境の価値観を
無意識に受け入れるのではなく、
幅広い経験、価値観を試す決断を迫られる修羅場、
異なる価値観との衝突などを通じて、
自分の意志で己の価値観の核を一つひとつ形作っていくことだ。
人の意見は、口頭だろうが、書籍を通じてだろうが、
画像や動画を通じてだろうが、鵜呑みにしてはならない、
健全な批判的思考を持つ重要性を叩き込まれた。
社会に出たら、現実は複雑だ。そして、厳しい。
圧倒的な想像力、考え抜く力、心の優しさと強さ、
たたみ込む力、政治力などを身につけて、初めて理想は貫ける。
知識は触れているだけで得られるが、
知恵は体験を通じないと身につかない部分が多い。
この本は疑似体験を試みているのだと感じた。
オススメ度は★4つです。良著です。
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