★★★☆☆
不耕起、無肥料、無農薬、無除草の自然農法。
それで米や麦、ミカンが作れるという。
結局、田を鋤く必要はなかったんだ、と。
堆肥をやる必要も、化学肥料をやる必要も、
農薬をやる必要もなかったんだ、
という結論になったわけです。
通常の作り方に比べて手間はかからず、
それでいて味はすばらしい。
その秘訣は土。
健全な稲を作る、肥料が要らないような健全な、
しかも肥沃な土を作る、田を鋤かなくても、
自然に土が肥えるような方法さえとっておけば、
そういうものは必要ではなかったんです。
夢のような農法だが、ここにたどり着くまでには
やはり相当の苦労があったようだ。
だが、こんな簡単な方法に絞るまでに、
私は四十年間費やしたのです。
自然と格闘し、人間が良いと思って行ってきたことが、
実はマイナスを積み重ねているだけだった。
そういった事実に直面した著者の言葉は重い。
「人間というものは、何一つ知っているのではない、
物には何一つ価値があるのではない、
どういうことをやったとしても、
それは無益である、無駄である、徒労である。」
食料自給率の低い日本において、
この自然農法はとても大きな可能性を秘めている。
ただ、昭和四十年にはその内容は発表されていたのだそうだ。
大きな可能性を秘めていることと、
世に広まるのこととは、別問題なのだろうか。
「奇跡のリンゴ」を読んでも感じたことだが、
「普通」から外れた茨の道を、切り開いていくことができる、
その理由は何なのだろうか?
農業などのトピックに興味がある人は、
特におもしろくよめるでしょう。
無農薬の農法については
「ニンジンから宇宙へ」、奇跡のリンゴもどうぞ。
オススメ度は★3つです。
その他の書評などはこちら。
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