- どうすれば役所は変われるのか―スコラ式風土改革
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- 著者: 元吉 由紀子
- 発売元: 日本経済新聞出版社
- 価格: ¥ 1,890
- 発売日: 2007/06
★★★★☆
役所といえば、「お堅い」「融通効かない」というのが
イメージであり、実際にそういう体験をしている人も
多いのではなかろうか。
この本は、実際に役所での風土改革の手伝いをしたコンサルタントが、
三重県、横浜市などで行われた手法とその意味などを描いている。
こういった内容は外からは見えないので、おもしろい。
著者は、なぜ会社は変われないのかの著者柴田氏と同じ会社。
この会社の手法を簡単にいうと、制度を作るだけではダメで、
制度を作り込んでいくプロセスで、
意見を言い合える風土ができていく、というもの。
それには、トップが口だけではなく、きちんと行動することを
コミットしていることが必要条件だと言う。
自分の経験と照らし合わせても、とても納得できる内容。
描かれている話は、役所だけではなく、
役所的な体質を持った大きな企業であっても十分当てはまる。
役所のような組織の風土改革が可能なのであれば、
他の組織ならもっと変われるはず!
と思うと、希望が見えてくる。
以下、興味深かった部分。
「改革の落とし穴」7つ
- 手段を目的化してしまう
- 一律一斉に展開する
- 「計画できる」という思い込み
- 現場と推進側の両者に「やらされ感」ができる
- 上意下逹で人を動かす
- しくみ・システムに依存する
- 「やらせない」ために「放任」する
それは、どんな小さなことであっても、
いままでに何かを「変えてきた」経験があるかどうかです。
→改革のリーダーの資質について。
改革を一過性のものにするのか、
それとも持続的なものにするのか、
人の内なるエネルギーを伴っているのかどうかにかかっています。
→「内的動機」を伴っているのかということ。「内的動機」については、
「なぜ社員はやる気をなくしているのか」に詳しい。
上司や仲間と気楽に話ができる場をつくり、
相互の信頼関係を築きながら、小さなことでも
「言ってよかった、やってよかった」という成功体験が
作れた職場では、その後もひき続き、仕事の中で
工夫をしたりトライをしたりして、改善を習慣化していくことが
しやすくなります。
↑意見を言い合える風土が、何より大切だということ。
「組織風土改革」というものは、多くの人にとっては
”無意識に始まり無意識に終わる”もので、それを意識してとらえることは
結構むずかしいものだからです。
「改革をした」という感覚よりも、「今までうまくやれなかったことが
うまくできるようになった」とか、「やりやすくなった」という感覚で
変化を感じることはあっても、そのプロセス自体に大きな改革の
意味があるとは思っていないことのほうが多いものです。
ここが最もイメージと違った。
「改革」と言うと、大なたを振るって誰が見てもわかるように
仕組みを変えていくものかと考えていたが、
そうではないというのが驚き。だ。
個人的に取り組んでいる課題と合致していたので、
色々と頷かされる部分が多く、とても興味深かった。
オススメ度は★4つです。参考になりました!
関連:
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- 2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート ★★★☆☆
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