感想メモ:感動をつくれますか?

感動をつくれますか? (角川oneテーマ21)
感動をつくれますか? (角川oneテーマ21)
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 760
  • 発売日: 2006/08

★★★☆☆

宮崎アニメや北野武監督の映画の音楽で有名な久石譲。
一流のクリエイターが、どのようにして作品を生み出しているのか?
何を目指しているのか?何を良いと考えているのか?
こういったことを知ることができるのは、個人的にとても興味深い。

作曲は、唯一の正解があるようなものではない。
そして終わりがあるものでもない。
どうやって、自分が納得し、かつ多くの人を感動させるような作品を
生み出しているのだろう?

人に聴いてもらう音楽として非常に重要なのは、
まず自分が一番目の聴衆として喜べること。
自分が感動できるものを提出していかないと、
周りの人、ひいては観客に響いていかない。

イヤイヤやっている仕事では、人を感動させることはできないのだ。
と言っていてなんだか居心地悪くなるのはなぜなんだぜ?

作曲などクリエイティブな仕事は、産みの苦しみがありそうな気がする。
久石譲はどうしているのだろう?

苦境を打開するために、
過去に気になった音楽をもう一回聴きなおしてみたり、
飲みに行って気分転換を図ったり、いろいろジタバタしてみる。
これが効く、という決定的なものはいまだ見つからない。
最近では、結局はひたすら考えるしかないという心境になっている。
考えて、考えて、自分を極限まで追い詰めていくしかないのではないか、といった感じだ。
何かが降りてくる、その瞬間を自分ではしにくい自身が受け入れやすくすることに時間と力を注ぐ。
つまりは自分の受け入れ態勢を整える状況づくりをすることなのかなあ、といった思いである。

彼ほどの人ですら、やはりこうすればよいといった秘訣はないと。
「ひたすら考えるしかない」というのは、何に対しても言えそうな気がする。

最後は直感なのだ。
こっちの方向に行ったら見事に到達点に行けるという
わかりやすい方法論があれば、みんな、そうやっている。
それがわからないから、人は悪戦苦闘を繰り返す。
感性を磨くとは、こうした直感を鍛えることだと思う。

厳しいが、きっとそうなのだろう。
だからこそ、クリエイティブなことというのは、
身につけるのも伝えるのも難しいのだ。

日本人とクリエイティビティなど、テーマは音楽だけに限らない。
モノを生み出す仕事に就いている人はもちろん、
それ以外の人も参考になる部分は多いはず。
久石譲は、音楽を聴いて、よいなと思っていたが、
考え方も共感できる部分が多かった。
オススメ度は★3つです。おもしろかったです。

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