感想メモ:平直行の格闘技のおもちゃ箱

平直行の格闘技のおもちゃ箱
平直行の格闘技のおもちゃ箱
  • 発売元: 福昌堂
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2006/01

★★★★☆

私はあまり詳しくないのだが、
「技のおもちゃ箱」の異名をとった平直之氏。
センスにあふれた人なのは確かだろうが、
いくつか注目すべき点があった。

生活費を稼ぐため、飲食店でバイトをしているときの話が出てくる。
複数のオーダーに対し、手早く、それでいて質の高い料理を提供しなくてはいけない。
一瞬で段取りを決め、複数のことを同時にこなす。

おもしろいことに、著者はここに格闘技との共通点を見い出す。
格闘技も、攻撃に100%集中してしまう人は強くなれない。
攻撃しながらも防御を考え、その次の行動も瞬時に
判断し続けなければならないからだ。

日常全てが上達のヒントになる。
何事でも、一流になる人というのは、こういうものなのかなと感じた。

もう一つ注目した点は、多くの達人に出会い、
そして様々なことを教えてもらっていることだ。
それは、平氏が深興味とい探究心を持っていて、
教える方も教えたくなってしまうのだろう。

そういった達人たちの言葉に触れることができるのも、この本の魅力。
例えば、次はアンディ・フグの言葉。

「いいか、できないって思うならやるな」
「できないことに、チャレンジする心が大切なんだ」
「できないことをあきらめないで、工夫して、
絶対できるようにする」
「もしできる可能性があっても、あきらめたらそこで終わる。
もう少しだけ頑張ればできたのに」
「これが、練習だ」

他にも良い言葉にたくさん触れられる。

そういった探究の末にたどり着いたのが、
「心と身体を合わせて闘う」
ということだそうだ。

考える前に身体が勝手に動くのだ。
やることを考えてから身体が動くのではない。
やってから、やったことに気がつくのだ。

自分にも、ふとひらめいて、後でやろうとしても
できないようなことができたという経験がある。
人間には元来すごい性能が備わっていて、
それを使いこなせる人が達人なのだろう。

と、格闘技とあまり関係がないことばかり書いたが、
ボクシング、空手、バーリトゥード、グレイシー柔術など、
主題の格闘技についても盛りだくさん。
そちらに興味がある人も、もちろん楽しめる。

予想以上に、おもしろい本でした。
オススメ度は★4つです。

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