感想メモ:アイデアのつくり方

アイデアのつくり方
アイデアのつくり方
  • 発売元: ティビーエス・ブリタニカ
  • 価格: ¥ 816
  • 発売日: 1988/03

★★★★★

 アイデアを作り出すための方法について書かれた、非常に薄い本。全部で100ページくらいで、しかも解説が1/4くらいあるので本編はもっと薄い。実質 60ページくらい。ビックリ。しかし内容的に薄いわけでは全くなく、むしろ無駄がそぎ落とされまくりエッセンスが凝縮された感じだ。「アイデアのヒント」と合わせてオススメ。

 この本のエッセンスの一つは「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という原理。人は、自ら勝手に「これはこれにしか使わない」と制約をつけてしまっている。この制約を外し、いかに異なるものの関連性を見つけ出せるか、ということだろう。

 もう一つのエッセンスは、アイデアを生み出す5つのステップについて。それは

  1. 資料収集
  2. 情報の咀嚼
  3. 寝かせる
  4. アイデアを思いつく
  5. アイデアを鍛える

 の5つ。アイデアの部品となるパーツ(情報)をできる限り集め、考え抜き、あとは一旦忘れて無意識に任せるというもの。

 「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」とは頭の片隅に留めておいてよいことだと思うし、5つのステップも知っておいて損はない。無意識に新しい組み合わせを思いつく過程には、睡眠中の脳の活動も関わっているのではないかと思った。オススメの★5つ。

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感想メモ:グーグル革命の衝撃

グーグル革命の衝撃 (NHKスペシャル)
グーグル革命の衝撃 (NHKスペシャル)
  • 発売元: 日本放送出版協会
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2007/05

★★★★☆

 皆さんご存知Googleという会社についての本。Stanfordの学生2人がページランクという手法を使った検索エンジンを開発して、コンテンツ連動のオンライン広告によってメキメキ成長して来て、福利厚生が異常に充実してて倍率が異常に高く天才が集まってますよ、というところはよく知られたところなのでいいだろう。

 本なのだからその先がないとしょうがないわけだが、インチキSEOへの対策、グーグル爆弾と呼ばれるイタズラ、個人情報の取り扱いについての係争など、ネタは色々あって楽しめる。

 しかしストリートビューの件でもわかる通り、この企業の懸案事項はプライバシー保護とのバランスである。広告ビジネスの成長もさすがに鈍化しているが、もはやインフラとなっている感もあるGoogle、今後どういった方向に進もうとしているのか注目したい。

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感想メモ:イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
  • 発売元: 翔泳社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2001/07

★★★★★

 社会人なら読むべき 技術屋なら絶対読むべき

 企業に勤める人なら読んでおいて損はない有名本。顧客ニーズに応えるためにがんばって性能向上を目指して突っ走っていると、いつの間にか性能が顧客のニーズを追い越してしまい、性能では劣るが別の価値がある安価な技術に対抗できず、足下をすくわれてしまう、という感じの話。PS3とWii、というとわかりやすいか。

 レビューはネット上にたくさんあるので、ここにはこれ以上書かない。この辺りを読むといいと思う。

Life is beautiful: 図解、イノベーションのジレンマ
イノベーションのジレンマ (クレイトン・クリステンセン) : tokuriki.com


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感想メモ:プロフェッショナルの条件

プロフェッショナルの条件—いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
プロフェッショナルの条件—いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2000/07

★★★★★

 ドラッカーの本は、読むときの自分のレベルによって印象が変わる。
昔はあまり心に響かなかったが、最近読むと「今ドラッカーが良いこと言った!」と思うようになってきた。

 本書はドラッカーの著作の総集編「はじめて読むドラッカー」シリーズ3部作の1冊目である(自己実現編]プロフェッショナルの条件、[マネジメント編]チェンジ・リ−ダーの条件、[社会編]イノベーターの条件)。

 本書は、個人が仕事をしていく上で、職業によらず「どう成果を上げるか」について書いているのだが、「自分の強みを知る」「時間を管理する」「重要なことに集中する」など、昨今のライフハック本に書かれていることは大概書かれていることに驚いた。

 社会人ならば読んでおいて損はないし、これから社会人になる学生も、目を通しておいて損はない。オススメ。★5つ。


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感想メモ:ちょっと本気な千夜千冊虎の巻

ちょっと本気な千夜千冊虎の巻—読書術免許皆伝
ちょっと本気な千夜千冊虎の巻—読書術免許皆伝
  • 発売元: 求龍堂
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/06

★★★☆☆

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 松岡正剛の読書術

 こちらの記事を読んで興味を持ち、試してに読んでみたのだが、私には早かったという印象。もっといっぱい本を読んだことがある/読む時間や能力がある上級者向けかなー、と思ったのだが、こちらの「千夜千冊マップ」が超使えそうなことに気づいた。私これでいいや。

千夜千冊マップ

 ということで、明らかに私よりほかの人のレビューの方が参考になる。上や、こちらなどが良いと思う。
松岡正剛「ちょっと本気な千夜千冊虎の巻」 – まりおんのらんだむと〜く+

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感想メモ:虚妄の成果主義

虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2004/01

★★★★☆

かなり旬は過ぎた感があるが、一応。

著者は高橋伸夫、東大経済学部教授。
バブル前後を含め、数十年経済学界に身を置いてきた著者の主張は簡潔だ。

「人は金で動くのではなく、金銭を仕事の動機付けにするのは間違いである。
『お金は年功主義で保証し、仕事で報いる』という日本型年功主義を見直そう」

というもの。

このことを示す上で非常に興味深かったのは、ある実験例で、
被験者にパズルを4セット解かせるというもの。

2セット終わった所で自由時間を入れるのだが、
休憩時までに解いた数に対して報償を支払う場合(A)

報酬を支払わない場合(B)
で、自由時間の過ごし方に差が見られるというのである。
(ちなみに休憩時間は実験者は部屋から出て行き、周りに人はいない)

差というのは、
「片方が自由時間にパズルを解かず、休憩を取る割合が多い」
というのだが、
それは、休憩が多いのは報酬が支払われた(A)か?
と思うとそうではなく、なんと(B)の方なのである。

(A)の場合は「報酬のためにパズルを解く」事になるのに対し、
(B)の場合は「パズルを解くこと自体が楽しい」状態になるからなのだろう。
これは誰しも経験がある、
「同じことでもやらされるとたのしくなくなる」
というやつだろう。

人が最高のパフォーマンスを発揮するのは、
お金のためにがんばっているという状態ではなく、
「そのこと自体が好きであるため、いくらやっても苦にならない」
という状態なのだろう。

成果主義ではこういう状態になることの助けにならず、
むしろ年功制で生活に対する保障をした上で、
仕事の内容で報いる日本型年功主義の利点を
再確認することが必要なのだという。

金銭が全くモチベーションになることはない、
と言っているわけではないが、
弊害の方が多いですからやめた方がいいですね、という話だ。

人のパフォーマンスを上げる「動機付け」についての理解が深まる上、
日本型経営についても興味深い、良著でした。

日本で導入された成果主義は、成果主義の皮をかぶった
人件費削減であることが多いので、そこを切り分けてから
議論する必要があるような気もするが。

ちなみに2008年6月の著者のインタビューでは

2004年に出版した『虚妄の成果主義』(日経BP)が思いもよらずベストセラーになったことで成果主義に関する取材をいまだに受けますが、少々辟易しています。経営学者である私の専門は経営組織論や意思決定論で、人事労務問題が専門ではありませんから。もう成果主義ではなくて、専門の企業経営について聞いてくださいと言いたくなります。

From: 「成果主義は失敗だった」と企業は明言せよ:NBonline(日経ビジネス オンライン)

と言ってる。こういう本を出したのだから
しょうがないと思うのだが…
オススメ度は★4つです。
知っておいて損はないです。

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感想メモ:宮本武蔵の『五輪書』が面白いほどわかる本

宮本武蔵の『五輪書』が面白いほどわかる本
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2002/10

★★★☆☆

 「五輪書」って言ってみたいという勢いだけで読んでみた本。

 宮本武蔵「五輪書」の中から15編をピックアップし、架空のエピソードを通じてその意味する所の解説を行っている。

 原典は抽象的な部分もあり、様々な解釈が可能だろう。この本では、著者が信じる解釈を、具体的なエピソードを通じて(架空だが)描いているため、イメージを伴って内容を想像することができる。

 元の文章は膨大であり、150ページ程度の本書が語る部分はその極一部である。しかしながら、宮本武蔵の思想に触れてみるという目的には、適した本だと感じた。★3つ。


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感想メモ:反省 私たちはなぜ失敗したのか?

反省 私たちはなぜ失敗したのか?
反省 私たちはなぜ失敗したのか?
  • 発売元: アスコム
  • 発売日: 2007/06/15

★★★☆☆

 鈴木宗男と佐藤優が「反省」をキーワードに、いわゆる国策捜査で逮捕された件と、そこに至る状況について振り返っている。

「外務省の官僚があそこまでひどいと予想できなくて反省」というように、反省と言いつつ反省ではない記述も多いのだが、まぁそれは大した問題ではあるまい。

 この本に書かれている外務省官僚の姿というのは、何割か差し引いて考えてみも、相当ひどいものだ。一般ピーポーである私には、外務官僚の裏の姿など検証できないので、「そういうものなのかねー」と思うしかないわけだが、まぁ幾分かは真実も含まれているのだろう。知らんけど。

 どれぐらい本当だかよくわからないので★3つ。別の立場からの記事も読んでみたいものだ。


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感想メモ:「残業ゼロ」の仕事力

「残業ゼロ」の仕事力
「残業ゼロ」の仕事力
  • 発売元: 日本能率協会マネジメント 出版情報事業
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/12/22

★★★★☆

 衝撃的なタイトルだが、トリンプを19期連続の増収増益に導いたという実績に裏打ちされている。以下のような内容だった。

  • 残業を前提条件とするから効率が下がる
  • 欧米に比べ日本のホワイトカラーの仕事の効率は低い
  • 効率を上げる余地は絶対にある!仕事のスピードは努力すれば必ず上がる
  • 自分でデッドラインを切ることでスピードを意識する
  • 「会社にとって正しいこと」を優先
  • まずやってみる、結果に修正をかけていく
  • 小さな失敗は問題としない。最後に成功すればいい
  • 良いことはためらいなくパクる
  • 出来た時間は自分の人生のために投資する
  • 仕事は結果を出すゲーム。のめりこまずに冷静に引いて見る

 単純作業以外の仕事の効率は、工夫次第で数倍以上にできる可能性があると思う。著者は奥さんがフランス人であるということも残業0という考え方に大きな影響を与えているようだが、日本は「長く働く=美徳」とする風潮が根強く、法律で休暇取得が義務づけられているヨーロッパとは背景が異なる。

 社長自らがこのパラダイム転換を果たそうとしても何年もかかるというのに、従業員が勝手にパラダイム転換を起こしても、「なんだアイツは」的な目で見られるリスクは高い。まずは少しでも効率を上げる余地がないか、自分のやり方を見直す機会とするのが良いだろう。


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感想メモ:フリーエージェント社会の到来

フリーエージェント社会の到来—「雇われない生き方」は何を変えるか
フリーエージェント社会の到来—「雇われない生き方」は何を変えるか
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2002/04

★★★☆☆

 フリーエージェント社会が今後の趨勢か?

 組織で働くのではなく、フリーランスのように個人で働くことを「フリーエージェント」と定義し、そのフリーエージェントがアメリカでは3300万人を超えるとしている。そしてフリーエージェント社会が今後の趨勢である、というのが主張。

 著者も語っている通り、その実現可能性というよりよ議論の土台としての主張だと思う。なぜなら、フリーエージェントとしての生き方が組織で働くよりもリスクが高いのは間違いなく、誰もがそのリスクを負って働くことを好むわけでもないからだ。

 フリーエージェントとして生きるには、組織で働くよりも多くの能力と行動力と根性を要する。それらを持つ人にとってはフリーエージェントは時間を有効に使える生き方となるだろうが、万人にはオススメできまい。

 しかしインターネットというツールがある現在では、フリーエージェントになる敷居は下がっているのは確か。セカンドライフとしてのフリーエージェントという意見、正社員と派遣社員(一種のフリーエージェント)の問題についてなど、考えさせられる意見も見られた。余裕があれば、知識として目を通しておくと良い感じ。★3つ。


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読んできた本の内容をまとめて紹介。