感想メモ:極北クレイマー、極北ラプソディ

海堂 尊
朝日新聞出版 2009-04-07
¥ 1,680
海堂 尊
朝日新聞出版 2011-12-07
¥ 1,680

★★★★☆

海堂尊氏の「チーム・バチスタ」シリーズの本を、
二冊まとめて紹介。

舞台は極北という北海道の都市の病院。
クレイマー、ラプソディと二作続くが、
一作目最後から、前作(スリジエセンター1991)から
消息が気になっていた世良君が現れ、スッキリした。
小説なので、これ以上の筋は書かないことにする。

これまで、地方の医療の問題については、
文字でしか考えられていなかった。
しかし、感情を持つキャラクターが動く世界によって、
イメージを持って把握できた。啓蒙小説だ。

著者の、メディアと官僚機構に対する不信は深い。
世良君がそのような例として描かれているが、
戦う人は敵も多く作ってしまう。

社会としては必要な人だが、
本人とその周りの人にとっては、
厳しい状況に違いない。

そんな志ある人を支える、
良識のある一般人の存在こそが、
社会を変える後押しになるのだろう。

何の感想だかわからなくなってしまった。

海堂 尊
朝日新聞出版 2009-04-07
¥ 1,680
海堂 尊
朝日新聞出版 2011-12-07
¥ 1,680

感想メモ:負けを生かす技術

為末 大
朝日新聞出版 2013-04-19
¥ 1,575

★★★★☆

日本は、失敗が許容されにくい雰囲気がある。

それは周囲や世間の目だったものが、
いつの間にか自分の中にインストールされ、
その雰囲気を担う立派な日本人の一員となる。

失敗への恐れが大きいと、挑戦ができない。
挑戦ができなければ、成長が制限される。

陸上競技という、勝ち負けがハッキリした
実力勝負の世界で戦ってきた為末氏の意見は、
明快でキレ味鋭い。

むしろ失敗を肯定し、失敗して良かったと思えることを
ひとつでも見つけるようにすることが大事だ。
それができるかどうかが人生を分ける(p22)

「間違えました」と宣言して改められる人は強い。
なぜなら、何度でもチャレンジできるから(p30)

目標設定についての意見も、陸上選手に限らず、
多くの人が頷ける内容だった。
私も、大いに頷いた。

狙っていくのではなく、結果としてそうだった、
という生き方こそ目指すべきだということだ。
狙いははっきり定める必要なんてない。
なんとなくあのあたり、くらいに定めて動いていく(p32)

何のために今まで山頂目指して頑張ってきたのか。
山頂まで来ればすべては解決すると思っていたのに、
終わらないのである(p39)

そういった様々な経験を積んだ為末氏が至った考え方は、
偶然にも私にかなり近いものがある。

実は人生は有限なのだ。
今日を、明日を、今年を大事にしないといけない。
楽しまないといけないのだ、と(p228)

人には役割があると僕は思っている。
それは、本当にさまざまなのだ。
その役割を認識することができれば、
人はもう少しラクに生きられる気がする(p230)

人生の生きづらさや、漠然とした不安感を感じている人。
そんな人にピッタリかもしれない。
そんな人には、同時に森信三氏の本をオススメしたい。

為末 大
朝日新聞出版 2013-04-19
¥ 1,575

感想メモ:30代で年収3000万円を実現した300人に聞いた!稼げる人稼げない人

★★★★☆

何か共通項があるのだろうか?

と考えた著者が、300人の30代3000万プレイヤー、
もしく過去にそうだった人を調査した結果が
まとめられている。

結論は、こうだ。

「30代で年収3000万円を実現した人は、必ずこうである」
というような、特定のタイプがあるわけではない(p52)

じゃなくて、やはりパターンはある。
それは、人生を変えるリスクを取ったということ。

本当は、今、この瞬間にでも、
自分が望む人生を求める決意をすることができ、
また、同時に、いつでも動き始めることができるのです(p90)

人と同じ道を行かない、と決意した人たちで
あるのかもしれない。

5章では、インタビューした3000万プレイヤーたちの
アドバイスがまとめられている。
かなりおもしろい。

1 弟子入りする(適切な会社に入って働く)
2 好き・強みを磨く
3 目標を設定する
4 やってみる

好きなこととは、「何がしたいのか」という質問の答えであり、
「何に没頭できるのか」という質問の答えです(p167)

自分の好きなことを見つけるひとつの方法は、
「面白かったこと・つまらなかったことのリストをつくる」
という方法です(p169)

その人が、どのようなことに大きく時間を費やしてきたのか。
それはその人独自の経験で、その人の貴重な財産なんですよ(p171)

強みは自分じゃ見えないんです。
強みは他の人から見て、見えるものなんです(p172)

人生二度なし。
悔いのない人生を送りたいものです。

感想メモ:変な人の書いた世の中の仕組み

斎藤 一人
サンマーク出版 2012-10-17
¥ 1,680

★★★☆☆

斎藤一人氏が書いた、世の中の仕組みについての本。
その仕組みは、至ってシンプル。

まず自分がしあわせになろう。
楽しく過ごそう。
起きることは、すべて乗り越えられる。
自分も人も、得させよう。

など。

しあわせってモノじゃないの。
感じることだから、常に自分のアンテナを
しっかり張ってないと感度が鈍るんです(p27)

しあわせとはどこからやってくるもんだとか、
手に入れるもんだとか思ってるけど、
そうじゃないんです…
しあわせとは思い込みなんです(p30)

ただ、それをやっていてずっとつらいのはダメだよ。
本当にいい方法というのは、お互いにとってもいい方法。
相手にだけいい方法というのはダメなんです(p133)

私に言わせれば、親が子供にすべきことっていうのは
”心配より信頼”なんだよね(p193)

スピリチュアルな話が含まれているので、
苦手な人は合わないかもしれない。

でも、世の中について、こういう見方をすると、
もっと楽に生きていけるかも。

斎藤 一人
サンマーク出版 2012-10-17
¥ 1,680

感想メモ:二宮翁夜話

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

★★★★★

「修身講義録」「人生二度なし」の森信三氏が
思想上大きな影響を受けた本、という流れで読んだ。
これまた、大きな驚きだった。

そもそも、二宮金次郎というと、
銅像のイメージしかない。
しかしそれは、彼の一面を切り取ったものでしかない。

この巻を背負いつつ読書に励む金次郎の姿は、
全部が全部虚像というわけではないけれど、
これはあくまでその後、七十歳まで逞しく生き抜いた
六尺豊かな大男尊徳の出発点でしかないのだ(p26)

ということは、さっぱり知らなかった。

更に、二宮金次郎のすごさは、
実行を重んじた思想家である、ところにあったそうだ。

天に善悪はない。だから稲と雑草を区別せず、
種あるものをみな生育させ、生気あるものをすべて発生させる。
ところが、人道はその天理にしたがいながらも、
善悪の区別をつける… 人道はあくまで人が立てた道だからだ(p45)

人道は天意とは異なる。
人工的に作り上げる道だというの だ。

人道は勤めることを尊しとし、
自然に任せることを尊ばない。
人道で勤めるべきというのは、
己にうち克つという教えなのである(p52)

己にうち克つということは、
我が心の田畑に生ずる草を取り捨て、
我が心の米麦を繁茂させるよう勤めることをいうのである。
これが人道である(p52)

人道は天意ではない不自然なものだから、
放っておくと廃れてしまう。
だから、保つためには、勤めなければならない。

他にも、人生訓と言うべき言葉が並ぶ。

奪うことに益はなく譲ることに益がある、
譲ることに益があり奪うことに益はない、
これが天理だ(p113)

長く富貴を維持し保つ方法は、
ただ私が説く道、推譲の教えがあるだけだ(p119)

大事をなそうと欲すれば、
小さなことを怠らずに努力するべきだ(p173)

ちなみに、これは昭和53年の本!

まだまだ、読んでいない素晴らしい本が
たくさんあるのだろうなぁ。
出会えるのが楽しみだ。

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

感想メモ:「人生二度なし」森信三の世界

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

★★★★★

修身教授録がすばらしかったので、続いて手に取った。

こちらもすばらしかった。
人生に影響を与える一冊となる気がする。
こういう本と出会えるのは幸せだ。

前半は、森信三氏の人生を時系列で追った伝記。
後半は、氏に影響を受けた人々を紹介し、
間接的に森信三氏の影響の大きさを浮き彫りにしている。

森は、「いかに学問を積んだとしても、
それが現実を変革していく力になり得なければ、何の意味もない」
として、いっそう実学に傾斜していった(p52)

こう言える思想家が、どれだけいるだろうか。

日本を代表する教育界の偉人、
そして思想家にまでなった森信三が、
子どもの教育において何より重視したのが
「立腰」であるというのは、とても興味深い。

心は見えないから、まず見える体の方から
押さえてかからなければならぬ。
それゆえ、心を正そうとしたら、まず体を正し、
物を整えることから始めねばならぬ。
靴を揃えること一つが、いかに重大な意味を持つかわからぬような人間は、
論ずるに足りない(p303)

立腰は一切の事柄に先駆けて必要です。
それは人生において、その子に宝物を与えたことになります(p229)

そして教育においては、何より教師自身が、
いかに人生を真剣に生きているか、
その生き方が問われるとしている。

真実は感動を通してのみ授受せられる。
だがそれには、教師自身の生きた真理に対する
感動こそ、その根源といえよう(p291)

人間の偉さは才能の多少よりも、
自分に授かっている天分を、
生涯かけて出し尽くすかどうかにあるのです(p124)

これは、教師だけに限らず、
誰の心に切り込んでくる言葉ではないか。

「人生二度なし」

人生を良く生きたいという人には、
強くオススメします。

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

感想メモ:左重心で運動能力は劇的に上がる!

★★★★☆

体は左右対称に見えるが、
中身は決して左右対象ではない。

例えば、右脳と左脳の働きが異なるのは有名。
また、内臓の位置も非対称で、心臓がやや左、
大きな肝臓が右に位置している。

なので、体も左右がそれぞれ
別の働きを持っているのだそうだ!

  • 左股関節は前へ、右股関節は後ろへ力を出しやすい
  • このため、スポーツでは左重心(加重ではない)が大事
  • 顎は引かない。イチローのバット立ての顔の角度
  • 顔は傾けず、水平に保つ

マラソンや陸上のトップ選手も、
左右の腕が別の動きをすることがある。

体の左右は非対称。
左股関節がアクセル、右股関節でブレーキ。

こう知っておくだけでも、
変化があるかもしれない。

運動好きの人にオススメ。

感想メモ:価格の心理学

★★★☆☆

「影響力の武器」のような心理学的な話が、
価格設定においてどのような影響があるか。
また、それにはどのようなパターンがあるか。
といった話を19章にトピックとしてまとめられている。

「チョコレートポット」という架空の商品を考え、
その価格設定の場面を通して考えている。

売り手側は、できるだけ高価な商品と
類似しているように仕向けて、
想定価格を操作できる(p22)

競争相手の選択と、それに合わせたポジショニング次第では、
まったく違う価格設定ができる(p24)

高額予算の顧客の支払額を増やすには、
商品を差別化し、そのような顧客が魅力を感じる
高額品を提供すればよい(p60)

無料サービスを提供すれば顧客が購入を急ぐのは、
何かを無料で手に入れられるチャンスを
逃したくないと思うからである(p199)

「行動経済学」の本で読んだことがある話もあるが、
より現実の場面を意識した、実践的な話である印象。

価格設定というのは、とても繊細で難しい作業。
価格設定に携わる人は、こういったノウハウは
知っていて損はないはずだし、
消費者としても裏側が見えておもしろく読める。

感想メモ:生きている意味

★★★☆☆

タイトルからは、「生きている意味」を問う、
哲学的な本なのかという印象を受ける。

しかしどちらかというと、サブタイトルの
「老年期の空白はこう埋める」
の方が、内容をよく表しているように思える。

人生を10年単位というスパンで考えたときに、
いつ頃に、何を準備する必要があるのか。
そういった内容について、邱永漢氏が書いたコラムを
まとめたもの。

豊かな社会になればなるほど、
人はお金に執着するが、その半面、
生きがいのほうがお金よりもさらに重視
されるようになる(p41)

別途収入として考えられるのは、
(一)不動産賃貸による家賃収入、
(ニ)株式からの配当金、(三)預金、債券の金利、
(四)株式の売買益、(五)アルバイトによる副収入、
(六)講演料、その他雑収入、といったところ(p44)

仕事が面白いか、面白くないかは、
それにかけた時間を短く感じたか、それとも長く感じたか、
によって測定することができる(p53)

退職後の人生設計など、
読んでみてなるほどなぁと思った。
読み終わって驚いたのだが、出版が1992年。
10年どころじゃなくて20年前!

株価や地価、為替レートといった数字は違うものの、
大まかな部分は違和感なし。
さすが、邱永漢氏…

感想メモ:眠れないほど面白い『古事記』

★★★☆☆

「古事記」って言ってみたいお年ごろなので、読んでみた。

天照大神って女だったんだー。
月読って男だったんだー。
逆かと思ってたー。

スサノオってこの二人の弟だったんだー。
大国主ってスサノオの子孫だったんだー。

と、全然知らない人には発見がいっぱいだろう。
(当たり前)

「眠れないほどおもしろい」かと言われると、
健やかに眠れてしまうわけだが、
この本の特徴はそこにはない。
むしろ、初心者が理解しやすいように、
かみくだいてくれているところだろう。

ということで、眠れないほどのおもしろさよりも、
「初めてでも安心」というところを期待して
読まれると良いです。気軽に教養が付く感じ。

読んできた本の内容をまとめて紹介。