感想メモ:反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力

反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/06/19

★★★★☆

 弁護士として数多く法廷で証言をする証人を見てきた著者による、嘘をつく人への対処法を説明する本。法廷という特別なシチュエーションで培われた考察だが、普通の状況でつく嘘にも当てはまるだろう。

 おもしろいと思ったのは以下の点。

  • 嘘には、記憶違いや思い込みによるものと、意図的に作られているものがあるが、記憶違いは結構多いこと。人の記憶は影響を受けやすく、かなりあやふや
  • 記憶違いの場合は「嘘つき」呼ばわりは危険。共同作業で一緒に思い出してもらう
  • 意図的に嘘をついている人は、聞かれてもいないことを話しがち
  • ストーリーは理路整然としていても、実体験ではないのでディテールを聞かれると詰まる
  • ・女性は男性よりも嘘がうまく、嘘をつくときでも目が泳がず目を見据えることができる

 実際に明日から書かれていたことを使うかと言われると難しいが、知っていておもしろい内容だった。サラッと読むとよいと思う。★4つ。

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感想メモ:禁煙セラピー—読むだけで絶対やめられる

禁煙セラピー—読むだけで絶対やめられる (ムックセレクト)
禁煙セラピー—読むだけで絶対やめられる (ムックセレクト)
  • 発売元: ロングセラーズ
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 1996/05

★★★★☆

 読むだけで禁煙できてしまう人を量産する不思議な本、らしい。

 書いてある内容は、タバコを吸わない人間からすると「当たり前じゃないか」と思うことなのだが、喫煙者はそう思わないらしい。以下まとめ。

  • 喫煙は百害あって一利なし、と「心から」納得すればやめられる
  • 逆に、納得しない状態で根性でやめるのは難しい
  • 禁煙による肉体的な禁断症状は、実はとても軽い
     →依存は精神的なもの
  • 吸わないとイライラする、落ち着かない、つらくなる、という思い込みこそが、禁煙つらいものにしている

 肉体的な禁断症状は実は軽い、というのは新鮮。しかし、自分が吸わないので全く実感がなかったりする。じゃあなんで読んだんだと言われると、なんとなく、としか言いようがない。 タバコをやめたい人には★5つ、吸わない人には★3つ。平均で4つ。

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感想メモ:決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
  • 発売元: 朝日新聞社
  • 価格: ¥ 756
  • 発売日: 2007/05/11

★★★★★

 なんとなく会計を勉強したい、という人にとてもオススメできる本。私が読んだ「わかりやすい会計の本」の中では最も良い。その理由は、B/S、P/L、CSを「つながり」を持って説明していることにある。

 事業の流れとしては、「お金を集め」「何かに投資し」「利益を上げる」という3つがある。これがそれぞれ「B/Sの右側」「B/Sの左側」「P/L」との「つながり」がある。「B/Sの右でお金の集め」「B/Sの左で投資し」「P/Lで利益を出す」と考えれば、とてもスッキリする。

 またこの3つが、CSの「財務CF」「投資CF」「営業CF」との「つながり」もある。そしてP/Lの「当期純利益」がB/S右下の「繰越利益余剰金」に現れるという「つながり」もある。お金を集めるには「借りる」「資本を入れてもらう」他に「自分で稼ぐ」という手があるからだ。そしてこの「繰越利益剰余金」は新しい資産としてB/S左側に現れる。

 これらの基本を説明した後に、それを踏まえて架空の事業で財務3表がどう動くかをシミュレートする。この実践例を全てこなしたら、かなり身になるだろう。知識は、意味と関連性を考えることで定着しやすくなるという良い例。

 全ての社会人にオススメ。★5つ。


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感想メモ:財務を制するものは企業を制す

財務を制するものは企業を制す (PHP文庫 イ 6-1)
財務を制するものは企業を制す (PHP文庫 イ 6-1)
  • 発売元: PHP研究所
  • 発売日: 1986/06

★★★☆☆

 元銀行マンの著者が、数々の起業の財務改善に携わった経験と、財務改善に必要とされる心構えを説いている。

 財務改善では、支出を抑えることが必要不可欠である。支出を抑えるというと、どうも「守り」のイメージが強いが、ここで語られる支出の抑制は、知恵を出し尽くすことによる「攻め」のコストの削減であり、それは「意欲型」の財務管理者であると著者は説く。

 1986年の本ではあるが、サブプライム以降の金融危機で破綻する企業が多い今であるからこそ、目を通して損はないと思われる。ただし最も本書を必要とするのは、経営や財務に直接携わる人間だろう。そういう人には★4つ、普通の人には★3つ。


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感想メモ:データでわかるモノの原価

データでわかるモノの原価
データでわかるモノの原価
  • 発売元: ソフトバンク クリエイティブ
  • 発売日: 2005/12/22

★★★☆☆

 いわゆる原価本(←そういう言葉があるのかは知らない)。

 ユニクロ、宝石、iPod、お茶、ハンバーガー、中古車、100円ショップ、大人のおもちゃ、カツラ、コンタクトレンズ、棺桶、牛乳、納豆、卵、ラーメン、チョコレート、パン、りんご、うなぎ、ビール、ケーキ、アイス、ふぐ、ワクチン。色々なものの原価が出ている。

 全部読んでもどうせ覚えちゃいられないので、興味があるところを拾い読みしていくとよいだろう。個人的にはユニクロの原価率が意外と低いこと、牛乳、納豆、卵、チョコレート、ハンバーガーの薄利多売ぶり、コンタクトレンズ、お茶、棺桶などの間接費用の高さが印象に残った。他にも、流通が複雑すぎる業界もある。もっとシンプルになるのではないか。逆に、シンプルにしてコストを下げているところこそが生き残っているとも言える。

 似たような本も色々出ているので、どれか読んでおけば良いだろう。教養ですな。★3つ。

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感想メモ:計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM

計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM (ブルーバックス 35)
計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM (ブルーバックス 35)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1965/04

★★★☆☆

 プロジェクトなどの計画を行うための手法である、PERT(Program Evaluation and Review Technique)、CPM(Critical Path Method)などの紹介。1967年の本。

 事業の大規模化が進み、計画の重要性は増しているが、日本人は全体を見渡した計画を作るのが苦手であるところを、オペレーションの勤勉さカバーしている。そこで「PERTなどを使ってきちんと計画を行うといいですよ」というのが主旨。PERT+CPMは、一番時間のかかる工程やボトルネックを把握するのに便利な手法。詳しくはこの辺りを参照されたい。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/pert.html

 現在どの程度PERTが使われているのかは知らないが、実際に工程を動かす実務には役立っているのではないかと思われる。日常的にはガンチャートくらいしか見ないが、製造業とかだときちんとやってるのだろうか。よく知らない。

 読んだのは「計画の科学II」の方なのだが、Amazonにないのでこちらをリンクしておく。IIの方が実際のプロジェクトの計画の説明が多い実務寄り、Iの方はPERT/CPMの紹介に近いようだ。

 やや専門的なので、興味がある人には★4つ。関係ない人には★3つ。


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感想メモ:人生と財産—私の財産告白

人生と財産—私の財産告白
人生と財産—私の財産告白
  • 発売元: 日本経営合理化協会出版局
  • 価格: ¥ 10,290
  • 発売日: 2000/01

★★★★☆

 手に取るとズシリと重い(しかもお値段約1万円)昭和25年発行の「私の財産告白」、26年発行の「私の生活流儀」、53年発行の「人生設計の秘訣」の3冊をまとめた本。正直気後れしたが、読み始めてしまえば実は随分と読みやすい本だった。

 内容については、戦前の話もあるが、仕事への取り組み方などは現代にも通じるところは多い。心に残ったことは以下の部分。

・仕事の道楽化
 これが難しい。

・人生即努力、努力即幸福
 努力が幸福につながると考えれば努力のしがいもある。

・十五〜二十年単位の人生計画

・処世九訓

  1. 常に心を快活に持すること
  2. 専心その業に励むこと
  3. 功は人に譲り、責は自ら負うこと・・・縁の下の力持ちに
  4. 善を称し悪を問わないこと・・・長所と交われば悪友なし
  5. 本業を妨げなき好機はいやしくも逸しないこと
  6. 常に普通収入の1/4と臨時収入の全部を貯えること
  7. 人から受けた恩は必ず返すこと
  8. 人事を尽くして時節を待つこと
  9. 原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと

・全ては実行にある
 早手回し。仕事、支度、移動、、、

 偉人の人生訓を聞けるということで★4つ。

 三冊同時復刊で、合わせて3000円程度で入手できるようになったようだ。
【重要】本多静六博士の三部作、三冊同時復刊!ツイてる!

私の財産告白
私の財産告白
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
私の生活流儀
私の生活流儀
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
人生計画の立て方
人生計画の立て方
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10

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感想メモ:フラット化する世界(上)(下)

フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19

★★★★☆

 有名な本書だが、今ごろ読んでみた。

 内容は伝え聞いて知っていた通り。ネットの発達により世界の距離が縮まり、また距離を超えた仕事のアウトソーシングも進行している。このことを「フラット化」というキーワードで述べているわけだが、その要因を大きく3つにまとめている。

 PC1台あれば、距離を超えて世界中から情報を手に入れ、コミュニケーションを取ることができるような「場」ができたということ、その場を利用する「人」が爆発的に増えたこと、その人たちが場の新しい「使い方」を身につけ始めた、という3つである。本書ではこのこと「三重の収束」と呼んでいる。

 
 確かに、「場」はできた。日本はインフラも十分発達していて、ユーザーもブロガーも非常に多い。しかしこの「フラット化」を活用している人は非常に少ない。それは言語の問題があり、またフラット化の恩恵に預からなくても日々暮らしていけるという環境の要因もあるだろう。

 扉が開かれている。では、その扉はどうすれば開くのだろうか。


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感想メモ:報酬主義をこえて

報酬主義をこえて (叢書・ウニベルシタス)
報酬主義をこえて (叢書・ウニベルシタス)
  • 発売元: 法政大学出版局
  • 価格: ¥ 6,090
  • 発売日: 2001/02

★★★★★

子供が良い成績を取ったらごほうびをあげる。
企業業績と給料を連動させる。
こういった報酬による動機付けは、世の中に広く浸透している。

 報酬は、確かに短期的に人の行動をコントロールすることができる(行動主義)。
しかし、
「報酬が行うのは報酬そのものに対する欲求(外的動機付け)」
であり、
「行動そのものを行う喜び(内的動機付け)を生み出すことはない」
というのが著者の主張である。

そればかりでなく、報酬の弊害は大きい。

  • 報酬を与えられない場合、罰として作用する
  • 人間関係を破壊する:他人の足を引っ張ることが自分の利益に繋がる
  • 冒険に水をさす:求められること以上のことをするのは無駄になる

 そして報酬の最も大きい弊害は、
対象への興味を損なうことである。

私は、全ての報酬が悪だとは思わない。
子供の勉強などを思い返してみれば、
きっかけは報酬だが、やがて内的動機付けが生まれてくる、
というケースもあると思うからだ。

そして、報酬をなくすことはできそうもない。
ならば、報酬の害を最小限にするにはどうしたらいいだろうか?

  • 報酬は小さくこっそりと
  • 相対評価にしない
  • 課題と似たものに
  • もらう方に選択の余地を

つまるところ、子供や従業員が、
勉強や仕事自体を楽しむようにするには、
どうしたらよいのだろうか?

その鍵として3つのCが紹介されている。 

  • 協力(COLLABORATION):チームワーク
  • 内容(CONTENT):意味があると感じられること
  • 選択(CHOICE):やり方を自分で決められること

である。

つまるところ、人間は、
意味がないと思われることをやらされるのは嫌い
で、
意味があると思えることを、
仲間たちと、自由に(と思えるように)やれると一生懸命になる

ようだ。

なんとなくわかってはいたことだが、
理解が深まってとてもおもしろく読めた。
オススメ度は★5つです!
ちょっとお高いので、図書館などで。

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感想メモ:だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法

だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法
だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法
  • 発売元: ライオン社
  • 価格: ¥ 750
  • 発売日: 2001/12

★★★★☆

 池谷裕二氏による、脳科学の知見を利用した勉強法の紹介。

  • 復習は1ヶ月以内でないと忘れてしまう
  • 参考書は1冊を繰り返す
  • 一科目を得意にすると、他の科目の理解も上がる(学習の転移)
  • 知識記憶よりも経験記憶に(関連付け、語呂合わせ、人に説明、耳で覚える)
  • 知識記憶は中学生まで、高校からは経験記憶が優勢になる
  • 方法記憶(理解の仕方)は、知識を他の分野にも活かせる魔法の記憶
  • 学習の転移は累乗の効果があるので、努力の継続により急上昇する
  • 勉強を始めてから効果が現れるまで最低3ヶ月以上かかる
  • 睡眠は記憶を整理するので最低6時間の睡眠が必要
  • 繰り返しの刺激が記憶を定着させるので復習は必須
  • 興味を持つ(θ波)、感情を刺激する(扁桃体)、空腹時/寒い(生体の危機感の利用)により学習効率は高まる

 個人的には「STUDY HACKS!」など他の本で同じような内容を読んだことがあったので、復習になった。「方法記憶」はこの本で最も強調したいところだったと思うので、もう少し掘り下げて欲しかった。

 本全体として、知っていて損はない内容。近年の脳科学の発展はすばらしいと思う。★4つ。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。