感想メモ:考える力がつくフォトリーディング

考える力がつくフォトリーディング
考える力がつくフォトリーディング
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2008/12/18

★★★★☆

 子供もフォトリーディングを覚えるといいですよ!という本。

 フォトリーディングのやり方の説明自体は「あなたもいままでの10倍速く本が読める」と同じ。ただ子供が使うことを考えているので、読書感想文や教科書や新聞などが例に挙げて説明されている。

 私個人として、フォトリーディングはとても意味があると考えている。それは
「本は全部精読しなくてもいいのだ」という思い込みの解除にあったということを以前書いた。
フォトリーディング – 精読からの解放

 そういう意味では、子供のうちに「本は、全部始めから1行ずつ読まなくてもいいんだよ」ということを教えてもらえるのは良いことだと思う。私も、学生の頃にフォトリーディングやマインドマップを知っていたら、勉強の効率は大分違ったろうと思うので。ただ、お仕着せにならないように気をつけないと。

 著者の山口佐貴子さんは、実際に子供向けのフォトリーディングセミナーも開講されている。興味のある方は試してみると良いのでは。フォトリーディングの内容としては目新しい点はなかったが、理念は賛同できるので★4つ。

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感想メモ:第8の習慣 「効果」から「偉大」へ

第8の習慣  「効果」から「偉大」へ
第8の習慣 「効果」から「偉大」へ
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,494 (5% OFF)
  • 発売日: 2005/04/23

★★★★☆

 フランクリン・コヴィー博士による、名著「7つの習慣」の続編。

「7つの習慣」が「行動を行う際の指針」であるのに対し、
この「第8の習慣」は行動以前に「ボイス(内面の声)」に耳を傾け、
「自分が情熱を持って行い、才能を発揮できることを見つける」
という所から議論が始まる。

つまり、「第8の習慣」で何をするのかを定め、
「7つの習慣」に基づいて実行するという構造になる。

 詳しい内容は他に譲り、印象に残った点を書いていく。
本書には繰り返し現れるフレームワークとして、
「1.肉体(PQ)、2.知性(IQ)、3.情緒 (EQ)、4.精神(SQ)」
というものがある。

IQとEQの違いはわかるが、EQとSQの違いがピンと来なかった。
しかし、EQは感情、SQは信頼や夢(ビジョン)などが属するものと捉えると、
なんとなく違いが理解できる。

 内容の理解を深めるものとして、短編映像が入っているDVDが付属されている。
ページ数も500ページを超え、ボリュームたっぷり。
腰を据えて取り組むべき本。関連する本として「パワーの原則」を挙げる。
(→感想メモ:パワーの原則

第1部に関しては「大好きなことをしてお金持ちになる」も近い印象を持った。
内容はすばらしいと思うのだが、ちょっとヘビー過ぎたので★4つ。

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感想メモ:日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社
日本でいちばん大切にしたい会社
  • 発売元: あさ出版
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/03/21

★★★★★

 「この会社を大切にしたい」確かにそう思わせる会社が紹介されている本

 社員の7割が障害者の日本理化学工業、48年増収増益を続けた寒天メーカーの伊那食品工業、義肢メーカーの日本ブレイス、地域に生きるお菓子メーカー柳月、全国からお客様がやってくる家族経営の杉山フルーツ。どの会社にも共通することは、お客様だけを見ているのではないということ。そのことを、著者は「五人に対する使命と責任」という言葉で表現している。

 五人とは1.社員とその家族、2.外注先・下請け企業の社員、3.顧客、4.地域社会、5.株主である。中でも、上に挙げた会社に共通しているのは、顧客だけでなくまず社員を大事にしていること、だからこと社員がその会社で働いていることに感謝と誇りを持っていることである。このことこそが、これらの会社を業績面でも光らせていることなのだろう。

 しかしそれが、難しい。周りを見回してみて、社員が感謝と誇りを持ってイキイキと働いている会社がいくつ思い浮かぶだろうか。残念ながらそのような会社は多くないというのが現状だろう。

 どの会社の紹介も感動的な話が多いのだが、それだけでなく働くということについても考えさせられる本。万人にオススメできる良著。★5つ。

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感想メモ:「食糧危機」をあおってはいけない

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,150
  • 発売日: 2009/03/26

★★★★★

 データに基づいた説得力のある議論

 人口増加。資源の枯渇。低い食糧自給率。食糧危機を煽る風説は、世間に一定の理解を得ている。しかしその内容は正しいのか?と聞かれれば、「知らない」というのが普通の人の答えだろう。一方、その問いに「否」と答えるのが本書である。

 著者は農水省で世界の食料生産見通しなどの研究を行い、現在東大農学部の助教授をしている識者。タイトルは軽いが、しっかりとデータに基づいた議論がなされていて説得力がある。

  • 中国、インドなどの経済成長での食糧消費増加で食糧危機?→NO
    →肉を食べる量が増えるという仮定に基づいている。中国の飼育用食糧はブラジル産大豆のしぼりかすで賄われた。インドは肉を食べない。
  • 人口爆発で食糧危機?→NO
    →アジア主要国の出生率は既に2以下。
  • 食糧生産量は限界?→NO
    →世界に休耕地は多い。生産効率化も進んでいる地域の方が少ない。食糧生産量は需要に合わせられているだけ。
  • バイオ燃料で今後食糧不足に?
    →NO。アメリカのバイオ燃料施策は農業保護。トウモロコシはブラジルのサトウキビに価格競争力で勝ち目がない。
  • 食糧自給率はカロリーベース。肉の消費量が増えると、飼料が輸入に頼っているため計算上自給率が下がるという寸法。

 まとめると、食糧は余っている。買ってくれるところがないから作らないだけ。生産余力は十分ある。食糧の入手先は多様。全ての国が同時に輸出を禁じることは考えられない。よって食糧危機は来ない。

 あらまぁ。食糧危機説って農水省のプロパガンダなの?

 ということでおもしろかった。良著。オススメの★5つ。


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感想メモ:生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却

生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
生きるための経済学—“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
  • 発売元: 日本放送出版協会
  • 価格: ¥ 1,019
  • 発売日: 2008/03

★★★★☆

 トピックはおもしろいのだが、残念ながら議論が拡散しすぎている印象。

 経済学の前提である「最適化原理」(人は皆あらゆる選択肢の中から最適なものを選ぶ)と「均衡原理」(価格は需要と供給の均衡する点になり、そこに至るまでの時間は考えない)が非現実的というのは理解できる。そして、可能なあらゆる選択肢を考慮することは非現実的なので、「選択の自由」が現実的でないという点も同意する。そしてその後「選択」に代わる「創発」という概念、それに基づく議論が続くのだが、議論がどこに向かっているのかわからずついていけなくなった。

 そんな中で私が興味を持った点は、ワーカホリックとアルコール依存の話題だった。著者はワーカホリックであるようだが、その背後にあるプライベートな問題についても赤裸々に語っていて興味深かった。アルコール依存とワーカホリックは、かたや病気方や社会的にはOKと扱われ方が異なるが、対象が異なるだけで基本的には同じ構造だというのはその通りだと気付いた。

 というようにおもしろい点もあったのだが、今一つ自分の中で整合が取れなかったので★3つ。時間が取りにくい場合は、経済学のおかしさについて、第一章だけ読むのもよいと思う。

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感想メモ:記憶力をのばしたい!

記憶力をのばしたい!
記憶力をのばしたい!
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/07/08

★★★★☆

 昔は覚えてられたことが覚えられなくなってきた・・・
よく知っている人の名前をど忘れする・・・
何をしにきたのか忘れてしまう・・・

 そんな悩みを感じ始めたジャーナリストである著者が、
薬品、サプリメント、トレーニングなどなど、
記憶力を取り戻せる可能性の数々に体当たりチャレンジした様子を描いた本。

 記憶が落ちてくるといっても、正常な範囲からアルツハイマー、
脳の外傷まで様々なパターンがある。
著者は、自身がアルツハイマーかも、とおびえながらも、MRIなど数々の検査を受けたり、
複数の医者による脳の機能テストを受けたりしている。

 幸いアルツハイマーではなかったものの、別の問題が生じていることが発見した。
そして、数々の体当たりチャレンジの結果、ある程度の効果を得ることはできたようだ。

 著者は脳科学の専門家ではなくジャーナリストであるため、一般の人にも楽しめる内容になっている。
この点は「脳は眠らない」と共通している。
また、「物忘れが増えてきて心配」という普遍性のあるトピックであるため、
多くの人が興味深く読めるだろう。
おもしろいだけでなく、実用的でもある。★4つ。

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感想メモ:「なぜか、仕事が速い人」の時間管理術

「なぜか、仕事が速い人」の時間管理術 (アスキー新書 028)
「なぜか、仕事が速い人」の時間管理術 (アスキー新書 028)
  • 発売元: アスキー
  • 価格: ¥ 760
  • 発売日: 2007/09/10

★★☆☆☆

 いわゆる時間管理本。読んだことがあるような内容が多く、個人的にはあまり特筆すべき点がなかった。同じジャンルの本としては、以下の本の方がおもしろく読めた。★2つ。


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感想メモ:できる子はノートがちがう!—親子ではじめるマインドマップ

できる子はノートがちがう!—親子ではじめるマインドマップ
できる子はノートがちがう!—親子ではじめるマインドマップ
  • 発売元: 小学館
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2008/12/06

★★★★☆

 子供がマインドマップを使うことで、勉強にやる気が出て成績も良くなるかも、という本。

 マインドマップを勉強に使うことは効果があると思うし、よいことだと思う。ノートを取るよりもマインドマップを描く方が子供も楽しいと思うので、どんどん広まるといいと思う。

 一方、本の後半で「子供がサッカー選手になりたいと言っています」とか「子供が言うことを聞きません」というようなことに対しても、マインドマップを描けばうまくいきますよ的な雰囲気になっているのはいかがなものかと感じた。

 うまくいくこともあるのかもしれないが、打ち出の小づち的に祭り上げてしまうのは良くない。あくまで発想を広げるためのツールとしての捉え方で良いのではないか。

 「子供の学習にマインドマップを使おう」という主旨自体には共感するので、★4つ。

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感想メモ:野村監督に教わったこと—僕が38歳で二冠王になれた秘密—

野村監督に教わったこと—僕が38歳で二冠王になれた秘密—
野村監督に教わったこと—僕が38歳で二冠王になれた秘密—
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/02/27

★★★★☆

 元中日の山崎武司が、楽天移籍後に野村監督に受けた教えについて書いている本。

 野村監督というと、ID野球で緻密な理論を優先する頭脳派監督という印象だが、楽天での教えは「野球選手以前に人間としてどうあるべきか」というものだったらしい。

 プロ野球選手というのは抜群に運動神経がよく、特に頭を使わずとも勝ってこれたという人も多い。従って、プロになっても頭を使わない人も多いという。しかし野村監督は、だからこそ頭を使えばまだまだチャンスがあると山崎に伝えた。その結果が38歳での2冠王である。

 野村監督には色々な見方があるだろうが、チームの再建の手腕は実績からも明らかだ。そしてこの本によれば、楽天に入ってからはかなり選手に気を使った采配を取っているようだ。個人的には日本の監督の中で最も優秀だと思う。

 野球好きな人には★4つ、普通の人には★2つだが、野球好きな人しか読まないだろうから★4つ。

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感想メモ:ザ・マインドマップ

ザ・マインドマップ
ザ・マインドマップ
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2005/11/03

★★★★★

 マインドマップの元祖トニー・プザン氏による、マインドマップの公式紹介本。マインドマップの情報は溢れているので説明は省くが、非常に使えるので知っておいて損はないと思う。ただプザン氏によると「マインドマップとは呼べない、マインドマップ的なもの」も多いので、まずはこの本で本家の言う「マインドマップ」とはどういうものかを知っておくと良いだろう。

 本家のマインドマップは、色は4色以上、絵を使う、枝を自由な角度に伸ばす、など少々厳密。ただ、その方が脳へ定着しやすいということなのだろう。ただしいつでも丁寧にマインドマップを作る余裕があるとも限らないので、個人的にはわかった上で簡易版のマインドマップ的なものを描くのはありだと思う。

 試してみた感想としては、学生の時に知っていたら、ノートのとり方が全く違っていただろうし、理解の質も上がっていたろうに、と思う。勉強だけなく、様々な「考える」シチュエーションでマインドマップは非常に役に立つ。学生も社会人もとりあえず読むべき。★5つ。

 ちなみにプザン氏が認めるマインドマップ作成ソフトは「iMindmap」だけだそうだ。ただ、残念なことに、Mac版は現状使い物にならない。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。