感想メモ:人間この信じやすきもの

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
  • 発売元: 新曜社
  • 価格: ¥ 3,045
  • 発売日: 1993/06

★★★☆☆

人間の「誤信」の例とメカニズム

 勝間和代女史推薦。

 誤診とは?
例えばランダムなデータに規則性を見出してしまったり、
統計的に予想できることに別の法則を見出してしまったり、
自分が考えていることはみんなも考えていると思ったり、
自分の信念を補強する情報を過大評価したりしてしまったり。

 つまり、人間の頭は確率を正しく計算できなかったり、
信じたいものを信じたりしてしまう傾向にある。

 ただ、これらのまちがい方には傾向がある。
例えば、不快の方が快よりも印象が強い(マーフィーの法則)。
このいった間違いの傾向を知っていると、罠にはまりにくくなれるのでうれしい。
脳はそういう風にできているのだろう。

 ただ、本書はちょっと読みにくかった。
「考えることの科学」などの認知心理学の本や、
「セイラー教授の行動経済学入門」などの行動経済学の本の方が、
同じような内容で読みやすかった印象がある。
読むなら、これらの方を勧める。★3つ。

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感想メモ:考えることの科学

考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)
考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1997/02

★★★☆☆

 人間はどのように考えて判断するか、その考え方にはどのようなクセがあって、どのように間違うことが多いかを、認知心理学の観点から紹介している。

 人間が確率を正確に把握できないのは有名な話だ。自動車が恐くなくても飛行機が恐いし、宝くじは当たると思って買ってしまう。40人のクラスで誕生日が同じ生徒が一組でもいる確率は実は9割を超えるし、サイコロで1が続けて出たら、次は違う目が出やすいと思ってしまう。そしてこういう考え方のクセは、万国共通である。きっと脳の仕組みなのだろう。行動経済学の本でも出てくる。

 他にもベイズ理論というものが紹介されているが、これは相当直感的に理解しづらい。例えばこんなものだ。
「1000人に1人の割合で感染する病気の検査薬は、感染している場合98%の確率で陽性となる。しかし感染していない場合も1%の確率で陽性となる。この薬で陽性反応が出た場合、感染している確率はどれだけか」
思わず98%と言ってしまいそうだが、答えは約9%。このベイズの理論を直感的に理解する方法も載っている。

 という感じの内容なので、マメ知識として読んでおくと役に立つかも。★3つ。

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感想メモ:地上最強の商人

地上最強の商人
地上最強の商人
  • 発売元: 日本経営合理化協会出版局
  • 価格: ¥ 10,290
  • 発売日: 1996/09

★★★★★

商人として成功するための心構えを説く「成功の手引書」。
しかしその内容は、商人のみならずすべての人に当てはまる幅広いものである。
だからこそ、全世界で何百万部と読まれているベストセラーとなったのだろう。

大まかな内容は以下の通り。

  • 成功とは各人の気持ちのあり方の問題
  • 失敗とは、その目的の地に到達できないこと
  • 成功と失敗のただ一つの違いは「習慣の違い」
    →良い習慣をつくり、自らその奴隷となる
    ある習慣を変えるものは、新しい他の習慣だけ
  • 笑顔を忘れない
  • 今、すぐやる
  • 愛を持って接する
  • 明日はないと考える

この本の特徴は、優れた内容もさることがら、後半が実習形式になっている点。
上記の内容それぞれを、50週間かけて習慣として身につけるというもの。

人はそれまでの人生の積み重ねで形作られた習慣の束の中に生きているので、
そう簡単にいくつも新しい習慣を身に付けられるものではない。

それを1つの習慣につき5週間、毎日レビューしながら
じっくり脳にしみこませていくことで、
1年後には大きく変わった自分を発見できることだろう。

人を形作るのは習慣であり、習慣を身につけるには繰り返し実行し続けるしかない。
この方式は、他に新しい習慣を身につけたいときにも有効だろう。

非常にいい本。★5つ。でも高い!(1万円)

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感想メモ:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2001/12/01

★★★★☆

 自分の才能を考えるきっかけになる

 業績が上がっている企業では、「業務が自分が向いている」と
感じている人の割合が高いそうだ。
このため、従業員がイキイキと働き、持っている力を多く発揮できているのだろう。

 一方、企業での人事育成は「弱みの補強」が多く、「強みの強化」が少ない。
後者の方がコストをかけずに効果が大きいのだから、
こちらにフォーカスすべき、というのが本書の主張である。

 そのためには、自分の才能を知らないといけませんね、
ということで多くの調査結果を基にStrengthFinderというツールを作ったそうだ。
本を買うとシリアルが付いていて、オンラインで試せるという仕組み。

 才能とは、繰り返し強化された無意識の思考・感動・行動のパターンである

という定義もおもしろかった。

自分の才能とはなんだろう?それを活かしているのだろうか?
という、意識せずに暮らしていることを考え直す良いきっかけを
与えてくれる本。★4つ。

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感想メモ:まず、ルールを破れ

まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う
まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2000/10/20

★★★★☆

8万人の調査結果に基づく「すぐれたマネージャー」とは?

 調査会社のギャラップによる、8万人のマネージャーと
100万人の従業員に対して行った調査結果。
そこから導き出されたすぐれたマネージャー像は、
以下の言葉に集約されている。

「人はそんなに変わりようがない
 足りないものを植えつけようとして時間を無駄にするな
 そのなかにあるものを引き出す努力をしろ
 これこそ本当に難しい」

 つまり、「弱点を補う」のではなく「長所を引き出し、
適材適所で働いてもらう」ということだ。
理屈ではわかっても、なかなかできることではないのが難しいところ。
多くの組織で、いまだ「いかに弱点を補強するか」に
焦点を当てた研修が組まれているのではないだろうか。

 長所を引き出すには、その人の才能を知ることが必要となる。
このあたりについては、続編である「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」に
より詳細な説明がある。

 ちなみにこの本では、マネージャーはリーダーの延長線上にあると見ている。
一方で、リーダーシップとマネージメントは異なるというのも一つの見方。

 組織は結局人である。
その人の扱い方について、理論は多くあるが、完璧な答えはない。
何を信じるかはそれぞれだが、知らないものを信じることはできない。
いろいろと学んでいるうちに、共通した部分が見えてくるのではないか。
ということで、知っていてもよいと思う。★4つ。

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感想メモ:イラスト版からだのつかい方・ととのえ方

イラスト版からだのつかい方・ととのえ方―子どもとマスターする42の操体法
イラスト版からだのつかい方・ととのえ方―子どもとマスターする42の操体法
  • 発売元: 合同出版
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/03

★★★★☆

 子供に体の使い方を教える親のための本だが、
大人が読んでも体についての理解が深まる

 前半は、操体法の説明というよりも、
子どもに日常生活での体の使い方を
教えることを目的としている本。
例えば「立つ」「歩く」「座る」
「荷物を持つ」「ボールを投げる」など。

 後半は、操体法に基づき体の歪みを
整える方法についての説明となっている。

これも、お母さんが子どもに行う
というイメージで書かれているので、
非常にあっさりとした説明になっている。
以下にプロの方の書評があり、非常に参考になる。
操体関連新刊:からだのつかいかた・ととえかた イラスト版 – 操体医科学研究所@書庫

 すごく軽く読めるが、結構奥深い。★4つ。

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感想メモ:コークの味は国ごとに違うべきか

コークの味は国ごとに違うべきか
コークの味は国ごとに違うべきか
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 2,000
  • 発売日: 2009/04/23

★★★★☆

The World is not flat

 The world is flat(フラット化した社会)は、
トーマス・フリードマンによる「テクノロジーにより
国境を越えた社会のつながりが広がっていること」を示す言葉。

 一方本書の著者ゲマワットHBS教授は、
世界はまだグローバル化しておらず、
セミ・グローバライゼーションの段階に留まっている。
そして数十年はこのセミ・グローバライゼーションの状態が続くと述べる。
つまり、本書の内容を一言でいうと「The world is not flat」だ。

 実際に社会を見てみると、グローバル化は限定的なものである。
GDPに対する貿易の額は、アメリカでも10%程度というのが
クルーグマン教授の示すことだし、本書でも「ほぼ10%」という見方が
示されている。

 なぜか。

 隔たりがあるからである。
その隔たりを、本書では4種類に分類している
CAGE(Caltural,Administrative,Geographical,Economic)。
こういった隔たりを考慮せずにただ「グローバル化」と息巻いても
うまくいきませんよ、というのが本書の主張だ。

 ではどうすればいいか、に関しては詳細に書かれているので読んで欲しい。
タイトルにある通り「コークの味は国ごとに違うべきか」という点については、
「Yes」という答えになるのだろう。
世界はグローバル化しているのだから、同じ商品同じ広告同じ戦略で行けばOK、
なんて話はないということだ。

 
 内容はすばらしいが、マジメに読むとかなり時間がかかる。
私も、世界はまだ大部分がflatではないと思った。★4つ。

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感想メモ:写真 図解 操体法の実際

写真 図解 操体法の実際 (健康双書ワイド版)
写真 図解 操体法の実際 (健康双書ワイド版)
  • 発売元: 農山漁村文化協会
  • 価格: ¥ 1,700
  • 発売日: 2005/04

★★★★☆

 1980年の本で内容的にはやや古く、第1世代の操体法のやり方が説明されている。
(「楽な方」「瞬間脱力」など。参考:操体法について

 今から操体法について本を読むのなら、他の本から入った方が良いかもしれない。

 ただこの古いやり方にも十分使い道があることがわかったので、
いずれ書く予定。体や健康に興味がある人には★4つ。

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感想メモ:ふわ、くにゃ、すとん!操体法

ふわ、くにゃ、すとん!操体法―痛い・つらいを自力で解消
ふわ、くにゃ、すとん!操体法―痛い・つらいを自力で解消
  • 発売元: モダン出版
  • 発売日: 1999/12

★★★☆☆

 操体法の入門書

 橋本敬三氏が創設した操体法の、入門書として書かれた読みやすい本。

 操体法の説明自体は数十ページで、あとはイラストによる説明が多く、
紙面の半分以上を占めるという印象。
パラパラとめくっていくだけでも、こういう感じなのか、
というイメージがつかめる。

  • 痛い方ではなく心地よい方に動く
  • 心地よいところでタメ、脱力する
  • 3〜4秒、3〜5回

などの記述があるが、これはあくまで入り口として捉えるべきで
(特にタメ、脱力の部分)、現在の操体法は変わってきているらしい。
他にも「楽」と「快適」の区別も必要とのこと。
自著を斬る!
操体法について

 お試しには良さそうだが、本式の操体法は難いもの?★3つ。

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感想メモ:3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術

3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
  • 発売元: サンマーク出版
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/06/17

★★★★☆

 交渉の本質は、良い人間関係を作ること

 筆者は1万以上の豊富な経験と知識を元に、
ユダヤ人、アメリカ人、イタリア人、スペイン人、フランス人、
アラブ人など様々な人の交渉スタイルの長所(短所)を説明している。

 この本から学ぶべきは、彼が出会った最高のネゴシエーターとしている、
ユダヤ人の交渉スタイルだろう。

  • 相手のことは事前に徹底的に調べ、それでいてそうは感じさせない
  • 自然に相手の警戒を解く話術と雰囲気作り
  • 相手を思いやっていることを自然と伝え、交渉の土台となる信頼関係を築く
  • お互いに納得できる条件を目指す

 交渉というのはゼロサムゲームになりそうだが、
「相手がして欲しいことをタイミング良くするのが、スムーズな交渉のコツ」
だというのだ。

 などと言いつつ、普通の人は日常的に外国人と交渉する機会などないわけだが、
日本人が相手の交渉であっても基本は同じである。

「この人のためならなんとかしてあげたい」
「この人となら一緒に仕事をしたい」
と思ってもらえるような人こそが、理想のネゴシエーターなのだろう。

 前出のユダヤ人は、このことを
「交渉の本質というのは、良い人間関係を作ること」
と表現している。
もちろん、理想だけに簡単ではなかろうが。

 おもしろく読めた。★4つ。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。