感想メモ:大きなケーキは人にゆずろう

大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
  • 発売元: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2003/10

★★★★☆

 タイトルと目次からは、チーズがなくなったりバターが溶けたり
するような話かと思ったが、良い意味で裏切られた。

 著者はニューヨークNO.1の不動産仲介会社コーコラングループの創設者、
バーバラ・コーコラン。
特別なコネや有力なバックがあるわけでもない著者が、
ここまで事業を大きく成功させた秘訣は何なのだろうか。

 本としては、それは子供十人の家庭を切り盛りする
母からの教えの数々、ということになる。
しかし素直ではない私は、逆にビジネスのノウハウを
家庭のエピソードにつなげて紹介したものと読んだ。
まあどっちでもよいのだが。

 仕事を始めて、家事との共通点に気付く人は少なくないだろう。
つまるところ、複数の人が協力して、
物事を回していくという根本は同じだからだ。

 家庭環境がその人に与える影響は大きいよね。
という安っぽいまとめでいいでしょうか。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 人はたいてい、心で決めて頭で正当化するものだ。だからこそ、わたしたちが提案して”まずはサインして、あとで考えて”という作戦を容易に受け入れられたのだ。
  • マーケティングにかんするかぎり、いちばんのチャンスはいつも人けのない場所に転がっていた。
  • なぜならいいアイデアがないからではなく、失敗を恐れているからだ。

一人の女性がゼロから頂点を極めるまでを綴る
サクセスストーリーとしても読めるし、
彼女の経営やマネージメント、人事や採用、営業などの
考え方について学ぶ本としても読める。

タイトルから受ける印象とはちょいと異なり、
実用的なノウハウ本という印象だった。
仕事をする女性に特にオススメかもしれない。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:調理場という戦場

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 630
  • 発売日: 2006/04

★★★★☆

「フランスのレストランで修行をし、帰国後自分の店を構えた」
言葉にすればそれほど珍しい話ではない。
しかしその中身は、激しく濃厚な経験の日々である。

 著者はコート・ドールのシェフ斉須政雄氏。
23歳のときに、言葉もろくにわからない状態で
フランスに渡りお店に入る。
言葉も文化も作法も異なる異国での奮闘の日々。
読んでいるだけでも短期間で非常に多くの
血肉となる経験をしているのがわかる。

  • 大切なのは、簡潔であり、清潔であり、人間性があるということです。
  • 「整理整頓がなされていることは、仕事がきちんとなかれるための基本なのだ」ということが、このお店に来てよくわかった。乱雑な厨房からは、乱雑な料理しか生まれない。大声でわめきたてる厨房からは、端正な料理は生まれない。
  • そしてその「好きだから」という考え方で行動すれば、当たり前の日常で、みんなが楽しくやれるんだなぁということも、ほんとうによくわかりました。
  • だからこそ、毎日試していないといけないなぁと思っています。
  • 生き方は才能が発芽するためのバリアのようなものでしょう。

 後半は、斉須氏の料理人としての仕事観のようなものにも触れられる。
読むと、他の仕事との共通点、違いがわかる。
一生料理人としては働かない気がするので、
その職業の人の考え方を学ぶことができるのはおもしろい。

 料理人という職業も、クリエイティブさが求められる仕事だという意味では
他の仕事と同じだし、掃除や整理整頓が基本であること、
一人ですべてができるわけはないので、チームワークが必要とされることも同じだ。
そんなひとつひとつの事柄に対し、斉須氏の考え方が述べられている。

 人の人生を追体験できるのが、本の醍醐味だと思う。
おもしろかった。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:プロ野球の一流たち

プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2008/05/20

★★★☆☆

 野村克也、中西太、大野豊、古田敦也、東尾修、渡辺俊介、山崎武司、工藤公康。
そうそうたる顔ぶれに対するインタビューが可能なのは、
著者の野球界での知名度の為せる技なのだろう。

 各人が語る内容は深く、また互いに異なる部分が多いことも興味深い。
しかし私が最も強く感じたことは、やはり野村の野球に対する洞察の深さなのだった。

 野球好きなら、おもしろく読める部分が多いのでは。★3つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:ほぼ日刊イトイ新聞の本

ほぼ日刊イトイ新聞の本
ほぼ日刊イトイ新聞の本
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2001/04/26

★★★★☆

 糸井重里が「ほぼ日刊イトイ新聞」について、2001年の時点で書いた本。

 好きなことを始めたい、続けたい、という人にはとても参考になるのではないか。
もちろん糸井重里の人脈なんかマネできないだろうが、
心の持ちようはマネできるし、するべき。
特に、過去の自分の考えを、ためらわずに捨てる勇気と柔軟性はぜひ見習いたい。

 順調に発展を遂げているように見えるが、お金が回るようにするという部分では、
相当苦労したようだ。こういった経験を追体験できるとは、
本とはとてもありがたいものだ。

 他に心に残った部分は以下の通り。

  • 「できるまでやめなければ、できる」
  • 誰が言っても同じことはできるだけ避ける
  • わからないことはわからないまま書く
  • あまりにもつまらんと思ったら、もうひとつ書く

 この本を読むと、サイトの「イトイ新聞」を見る目も多少変わりそうだ。
続編が出るなら読みたい。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:パワーの原則

パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2003/11

★★★★☆

 人に影響を与えるパワーを持つには、どうすればよいだろうか?
そんな問いに答えてくれる本。

 人に影響を与えるには

  1. 「強制」
  2. 「実用」
  3. 「原則中心」

の3つの方法がある。

 「強制」は文字通り強制して言うことを聞かせる方法。
しかしこれは相手の態度を硬化させるだけで、心を動かすことはできない。

 「実用」はギブアンドテイク、地位による指示、取引などの方法。
相手は妥当なので従うが、妥当性を超えた協力は期待できない。

 最後の「原則中心」の方法がこの本の主題で、
相手の尊敬を勝ちえることができる。
相手は心を動かし、自主的、主体的に活動してくれる、としている。
つまり、「この人のためなら一肌脱ぐ」と思われるようになれ、ということ。

 「原則」という言い方なのは、著者がフランクリン・コヴィーの
人だからだが、内容的には「箱」と共通点を多く感じた。
つまり、自分の心の持ち方によって、相手への影響の仕方が変わるということだ。
個人的には「箱」の方がより心に響いた。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:経済学的思考のセンス

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 2005/12

★★★☆☆

 「美男美女は得か」「賞金とプロゴルファーのやる気」
「年金制度」「成果主義」などを例に、
インセンティブなどの経済学的な考え方を説明している本。
しかし、このような手法で説明している本は、別段珍しくはない。

 思うに、この本のウリは、巻頭の小学生の質問への回答である。
タイトルの「お金がない人を助けるにはどうやって助けるの?」というのは、
小学生の質問なのである。
子供の素朴な疑問に、誠実に、かつ簡潔にわかりやすく回答している。

 他の経済学的な内容については、行動経済学の本や「ヤバい経済学」の方が
おもしろかったのでオススメ。★3つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門

まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門
まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 2,625
  • 発売日: 2003/07/04

★★★☆☆

 電力業界の重鎮として、戦後の業界再編に活躍した
松永安左エ門の生涯を描いた歴史小説。
どれぐらい史実に忠実なのか判断がつかないが、
小説としておもしろく読めた。

 前半は、株や芸者遊びに熱中する破天荒な青年期、
後半は戦後の電力事業再編に関わる晩年期の記述となる。
松永のキャラクターが非常に濃く、読み物として面白く読める。

 ただ、ボリュームがかなりある。
また、他のレビューにもあるが、後半ややダレる。
長時間の移動など、時間が取れるときに読むと良いでしょう。
かさばるし重いけど。★3つ。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~

手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~
手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~
  • 発売元: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/08/15

★★★★★

働くってなんだろう?
会社ってどうやって選べばいいんだろう?
社会人になるには何をしておけばばいいんだろう?

就職活動中の主人公が「手紙屋」との文通を通じて、
このような疑問に対する自分なりの答えを見いだしていく。

メインの読者層は、主人公と同じ就活を控えた学生。
その時期に読めば、喜多川氏の言葉通り「人生を変える一冊」になるだろう。
一方、社会人が読んでも、仕事や人生について考えるきっかけとなるはず。

以下メモ。

  • 本当に必要なことは、理想論のように聞こえるかもしれないですが、やはり、「多くの人から必要とされること」なのです。働くことはその手段に過ぎないのです。
  • 今、目の前にあるものに全力を注いで生きる
  • 人生を通じての自分の目標をしっかり持つことです。それを持ったときから自分の人生が始まります。そして、それさえあれば、その目標のために「今日を生きる」という確固たる生き方ができるようになります。

本のソムリエ氏の言う通り、喜多川氏の本はいつもいい意味での裏切りに出会う。
どういう裏切りか、そしてそもそも手紙屋ってなんだ?
という疑問については、読んでみてのお楽しみ。
学生の時に出会っていたら、何かが変わっていた気がする。★5つ。

続編もあり。
手紙屋 蛍雪篇〜私の受験勉強を変えた十通の手紙〜
「「福」に憑かれた男 」にせよ「上京物語」にせよ、喜多川氏の本はすばらしい。
読んだことがない人は、ぜひ一冊でも読んでみて欲しい。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:夢をかなえる勉強法

夢をかなえる勉強法
夢をかなえる勉強法
  • 発売元: サンマーク出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2006/04

★★★★★

何のために勉強するのか。受験勉強に限らない勉強の指南書

 勉強には、明らかにいいやり方と良くないやり方がある。
そしてそれは、自分で編み出すよりも、知っている人に教えてもらった方が早い。
だからこそ塾や家庭教師が職業として成り立つわけだし、
こういう本が役に立つ理由でもある。

  • 塾や学校はそのためにある。勉強ではなく、「勉強法」を教えてもらう場所なのだ。

 勉強法の本は、結局同じような内容が書かれていることが多い。
+αとしてどのような特徴が出ているかが差別化のポイントになる。
本書は、伊藤塾の伊藤真塾長の本。
内容は、細かいテクニックよりも、なぜ勉強をするのか、
どういう姿勢で勉強するのがよいか、など思想的な部分が多い。

 だからといって実用的でないのではない。
セルフレクチャーなどは知っているのと知らないのでは雲泥の差だと思うし、
挫折への対処法なども実用的だ。著者の経験に基づくノウハウも書かれている。

 結局、私が注目したのは、「なぜ勉強するのか」というところから
しっかりと語っている姿勢である。

  • 勉強とはそれぞれ持っている能力を最大限発揮させるために行うものである。
  • 夢を叶える勉強法で一番のポイントとなるのは「ゴールからの発想」だ。
  • 全体像をつかむ勉強法の一つとしておすすめしたいのが、目次をコピーするやり方だ。
  • 「その本がどういう目的で書かれているのか」ということと、「自分はどういう目的で読むのか」ということである。
  • 今でも私は、勉強していて眠くなったとき、立ち上がって、歩きながら早口で音読している。
  • どんな言葉でも100万回繰り返していれば、事実になる。その言葉が脳に焼き付き、脳が錯覚を起こす。
  • 「元気ノート」と「夢ノート」を付ける。
  • やはり勉強以外に好きなものを持っている人のほうが、試験に受かりやすいといえる。ご褒美がほしくて、勉強を頑張るからだ。
  • 勉強して疲れたときは浅くてこまぎれの睡眠をとるだけで疲労回復できるのだ。
  • 本質を一言で言えないのは、わかっていない証拠である。わかっていないから、くどくどと説明してしまう。物事の本質はとてもシンプルなのだ。
  • 自分の人生の目標は何か?それはなぜか?そのために何をしているのか?その答えをさがすために、私たちは勉強をしているのである。
  • 夢や理想は頭の中で考えているだけでは実現しない。紙に書いたり、壁に張ったり、人に話したり、宣言したりして、外に出していかなければならない。
  • 口に出していう言葉はプラス思考のものと、私は決めている。
  • 利己的であれ、利他的であれ、自分が欲する何かに向けてエネルギーを集中することが、「夢をかなえる」ためには決定的に重要である。

 上の引用を見てもらえばわかる通り、本書の内容はただの勉強法に留まらない。
タイトル通り、「夢をかなえる」ための方法としての勉強のやり方なのである。

 読み返してみたら、頷かされる良いことがたくさん書いてあった。★5つ!

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:世界をよくする簡単な100の方法

世界をよくする簡単な100の方法 社会貢献ガイドブック
世界をよくする簡単な100の方法 社会貢献ガイドブック
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,500
  • 発売日: 2008/04/19

★★★☆☆

小さなことから大きなことまで、様々な社会貢献のやり方

 環境問題を始めとする、社会貢献に対する関心が高まっている。
しかし、「何かしたい」と思ったときにどうすればよいか、
案外「何をすればいいか」はわからないものだ。

 例えば、コンセントのプラグを抜くとか、個人的には全くそそられない。
そんなとき、「こんな方法もこんな方法もありますよ」という
ものがあると、選びやすいだろう。

 本書は食品、ファッション、掃除、投資、打ち水などのアクションなど、
気軽な方法から職業の選択まで、社会貢献を行う様々な方法が書かれている。

  • つまり、お金の使い方次第で自分の意志を社会に伝えることができるというわけです。
  • 毎日の行動の一つひとつを見直し、よりよい選択肢を選ぶことで、世界を良い方向に変えていく。
     こうした一人ひとりの意志をも社会貢献と呼べるはずだと、私は思います。

 著者の考えに共感し、こういう行動が世の中に増えるとよいと思った。
また、まえがき、あとがきに書かれた行動力がすごいと思ったので★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

読んできた本の内容をまとめて紹介。