感想メモ:コンサルタントの「質問力」

コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)
コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2008/03/19

★★★☆☆

 気の利いた質問をするというのは、なかなか難しい。

 普通に話を聞くと、はぁそうですか、で質問もなしに
終わってしまうことが多いのは、誰しも心当たりがあるだろう。

 コンサルタントというのは質問をするのが商売なわけで、
良い質問をするにはどういうことが重要なのかを説明している。

 その答えが

  • 「仮説力」
  • 「本質力」
  • 「シナリオ力」

という言葉でまとめられている。

それぞれ、

  • 仮説を持って話を聞いて質問する
  • 本質を捉えた質問をする
  • 質問をすることでどう話をまとめようか、とシナリオを考え、
    そのように話が進むように質問する

ということだそうだ。

 確かに内容はその通りだと思う。
それらの力がつけば、良い質問ができるだろう。
それでは、どうすればその力が付くのか。

 コンサルタントの人が使っている考え方のツールは紹介されている。
「頷く、聞く姿勢を持つ」というような姿勢や心構えは紹介されている。
しかし、使えるようになるかは一段別の話だ。

 ということで私の読んだ感触では、既に考え方ができている人向け。
つまり、私は読んでもあまり身に付かないと思った。☆3つ。

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感想メモ:編集者という病い

編集者という病い (集英社文庫)
編集者という病い (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 650
  • 発売日: 2009/03/19

★★★★☆

 見城徹という鬼才

 鬼才なんて言葉めったに使うことはないのだが、この言葉がふさわしいと感じた。
編集者という職業は、作家に比べて表に出て来ることが少ない分、
どういうことをしているのか、わかりにくい。
しかし、これが編集者というものか!と認識を新たにした。

 尾崎豊、坂本龍一、宮本輝、村上龍、石原慎太郎、五木寛之。
様々な分野で活躍する人々と濃密に、それもハンパなく濃密な付き合いをしている著者。
表現者という、ある種心に歪みを抱えた人々の心に深く切り込み、
この人になら任せられると思わせること。
そういう関係をいかに築くことができるかが、編集者のキモなのだと著者は言う。

 しかし一方で、これは異常だと感じる。
こんな人付き合いを100人単位の人間と持っているなど、普通精神が持たない。
と思ったら、著者は筋金入りの不眠症で、耳鳴りも止まらず、心臓も悪いらしい。
そして当然、全ての編集者が彼のようなやり方ができるはずもない。
まさに「編集者という病い」。いいタイトルだ。

 様々な媒体で書かれた記事の再録も多く、エピソードの解説の重複も多々見られる。
しかしなお、一読の価値がある。★4つ。

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感想メモ:一瞬で心をつかむできる人の文章術

一瞬で心をつかむできる人の文章術―1日たった15分10日間で上達!
一瞬で心をつかむできる人の文章術―1日たった15分10日間で上達!
  • 発売元: コスモトゥーワン
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/11

★★★☆☆

 文章をうまく書きたいけど、どう書けばいいかわからない。
文章を書くのがなんとなく苦手・・・

 そんな人のために、文章スクール主宰の著者が
うまく文章を書くためのコツやアイデアを書いている本。

 ストーリー仕立てで書く、5W1Hで書く、会話や心のつぶやきを入れるなど、
テクニックも色々と書いてある。
また、結論から先に書く、じらす、など構成についてもヒントが書かれている。

 しかし、である。

 結局文章がうまくなるには書くしかないのだ。
書くことを習慣にし、書くことが自然になるまで書くしかない。
1回の授業より100回書くことである。

 従って、一冊本を読んだところで即文章がうまく書けるようになるわけではなく、
文章を書くという習慣をいかに付けるか、というところが肝心である。
本書ではそこにあまりページは割かれてはいないが、長さは気にせず日記を書くことが勧められている。

 読後の感想は、タイトルはキャッチーだったなということだった。
期待しすぎたか。★3つ。

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感想メモ:夜と霧

夜と霧 新版
夜と霧 新版
  • 発売元: みすず書房
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2002/11/06

★★★★☆

 極限での心理状態

 アウシュビッツを生き抜いた心理学者の著者が、
その極限状態の心理分析という視点でその体験を書きつづっている。

 右へ行けば死、左へ行けば生。
掛け値なしにそういった判断が何十も積み重なっている。
そんな中で人間は、人間らしさを残したまま生きていけるものなのか?
そこに自らのあり方について選択の余地があるものなのか?
自分ならどうなるだろうか?

 考えさせられる。

 どんな状況にでも人は適応してしまう、できてしまうのだという事実を
自ら身をもって確認する状況。できることなら体験せずにいたい。★4つ。

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感想メモ:借金の底なし沼で知ったお金の味

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
  • 発売元: 大和書房
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/02/05

★★★★★

ネットビジネスやマーケティングの本を多数出している金森重樹氏が、
自身のお金の哲学について語っている。

金森氏の本はかなり厳しい言葉が多いのだが、その理由がわかった気がする。
本人のお金にまつわる経験がハンパではないのだ。

彼は25歳で5000万の借金を抱え、それはふくらみ続け、総額1億を超えることになる。
そしてここからがすごいのだが、彼は10年かけて、自力でこの借金を返済したのだ。

これがどれだけ大変なことかは経験した本人にしかわからないだろうが、
そんな環境で苦労をしてきた人だから、
ぬるい人たちを見るといらだたしいのだろう。

僕は、普通の人だったら首を吊って死んでしまうような事態に何度か遭ってきています。ですが、平気の平ちゃんでやり過ごしてきています。

こんなことが言える強さを、一体どれだけの人が持ち合わせているだろう。
「谷深ければ、山高し」と言われてしまうと、
一度どん底に落ちることが必要条件になってしまう。
他の道もあると信じたいところだ。

他には、彼が借金を返済する過程で身につけた、
不動産やマーケティングなどについての考察の一部が紹介されている。
こういった部分もとてもおもしろい。

担保なしにこれだけの借金を背負う人は少ないだろうが、
そういった世界の一部も垣間見れる。
さまざまな意味で、おもしろい本。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:華僑 大資産家の成功法則

華僑 大資産家の成功法則 お金がなくても夢をかなえられる8つの教え
華僑 大資産家の成功法則 お金がなくても夢をかなえられる8つの教え
  • 発売元: 実業之日本社
  • スタジオ: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2005/05/14

★★★★★

前半は、留学先の中国で、華僑の成功者に出会い、
ビジネスに関するアドバイスを受けるお話。
後半は、帰国後実際にビジネスを立ち上げ、
何度となくトラブルに遭いながらも進んでいくというお話。

こう書くと、よくある形式で特に目新しいものではないのだが、
なぜかとてもおもしろく読み進めることができた。
理由を考えてみたところ、こんなことかと思う。

  • 「華僑の教え」でありながら、内容は他の成功法則と重なる部分が多い
  • つまり、今までに読んできたビジネス本と重なる内容が多く、良いおさらいになった
  • 後半の起業の話では、現実に起きたトラブル事例と、その際に考えたことや対応が描かれている

内容が他の成功法則と重なる部分が多いというのは、
例えば以下のような内容。

「理想とする人だったらどう振る舞うか考える」
「成功したければ目の前の仕事に感謝すること」

これらは福島氏や喜多川氏の話と重なるし、

「信頼」が重要

という内容は、中村天風氏や西田文郎氏の話と重なる。

まぁ、ビジネスの成功に関する本は数多く出ているので、
画期的な新しい理論というのはなかなか出てきにくい。
なので、昔から語られている内容を、表現方法や注目する部分を変えることで
独自性を出しているというのが、私がビジネス本に感じる印象である。

だから、数を読んでいると、だいたい共通する部分がわかってくる。
それが大事なのかなと思う。

以下、いいこと言った!と思いメモした部分。

  • 『必要』そのものは、状況に応じて絶えず変化している。しかし、それらがなくなったためしはない。成功者は、この変化に敏感なんだ。(中略)変化に気付いただけではビジネスにはならない。重要なのは、『必要』とされるものが何か、に気づくことだ。
  • もし、君が会社を作るなら絶対的に市場に『必要』とされるもの、それも欲しい人が売りたい人よりも圧倒的に多い市場に参加するように心がけるんだ。
  • 自分で信じたことをやって失敗しても後悔はしない。むしろ、それをやらなかったときに後悔するんだ。成功を信じていないのにやった場合も後悔する。だから、自分の心の声に耳を傾けることがとても大事なんだ。
  • 高い価値観を持った人たちは、君が失敗したそのときにこそ、本当の君を見ようとする。だから失敗したときにこそ、信頼できる人を増やせる重要なタイミングだといえるんだ。
  • 信頼してくれる人の数は、君たちがまじめに努力し続けるかぎり確実に増え続けるものだ。
  • 自分が思い描く、理想の人を自分の中に作り出し、その人だったらこんなときどうするだろうと、自問自答する習慣を作り出すことだ。その理想の人こそ、目ざすべき本当の自分ということになる。
  • 岐路に立たされたら良く考え、よく調べて十分に納得し、自分自身できちんと決定することが重要なんだ。(中略)ひとたび決定したあとは、もうどんなに悩んでもさほど意味はない。悩むべきは決定する直前まで、ということになる。
  • 失敗には一定の法則がある。それは問題を人のせいにする習慣だ。

いっぱいメモしてしまった。
ということは、それだけおもしろかったということ。

一方惜しいのは、個別のエピソードを整理した形式だが、
章のタイトルと合わない内容も多々あること、
時系列が逆だろうとはっきりわかる部分があること。
もう少し整理されるとよりスッキリしたと思う。
良著。★4つ。

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感想メモ:サービスの達人たち

★★☆☆☆

車のセールスからキャバレーやゲイバーのホステス、そして電報の配達員や靴磨き。
さまざまなサービスに携わる人々の話。

ゲイのドンと言われる人の話とオードリー・ヘップバーンをもうならせた
靴磨きの話は、かなり興味深く読めた。
しかし私は文章と相性が悪いのか、他の話は読みにくかった。
素材はおもしろいと思うのだが。残念。★2つ。

職業についての話としては、
「調理場という戦場」がおもしろかったのでオススメ。

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感想メモ:探究する力

探究する力
探究する力
  • 発売元: 知の探究社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/02/15

★★★★☆

TCS(Tokyo Community School:http://tokyocs.org/)のお話。
学校の勉強は、やらされている感があった。
まぁ、実際にやらされている訳なのだが。
しかしやらされていない、自分の興味でする勉強は、実は楽しい。
この感覚に近いほど楽しくなるのだろう。

TCSは、「探求型」の学習を行う全日制の小学校。
では「探求型」とは何ぞやということだが、
知識詰め込み型の受け身の学習ではなく、
フィールドワークを多用し、生徒達がテーマに沿って自発的に
行動を起こしていく、というもの。

みずみずしい体験を伴った学習であるため、座学の知識とは深さが違う。
その分時間もかかるのだろうが、体験した記憶は容易に消えないので、
長い目で見るとずっと良いコストパフォーマンスなのだと思う。

本の前半は探求型学習の実例紹介、後半は現在の探求型学習に至るまでの
道のりと考え方の紹介となっている。
前半で紹介されている、子供たちのイキイキとした姿がとても印象的だ。

TCSでの学習は、「知りたい」「わかりたい」という内的な欲求を
伴う学習であり、学習の理想の形にかなり近いように思う。
おもしろかった。★4つ。

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感想メモ:心の動きが手にとるようにわかるNLP理論

心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
  • 発売元: 明日香出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2003/10/31

★★★☆☆

他人がどう世界を理解しているかわかったら、
余計な摩擦や衝突も減るし、うれしいだろう。
自分がどう世界を理解しているかわかったら、悩みややる気をコントロールできて、
これまたうれしいだろう。

NLP理論とは、簡単にいうと上のようなものだと理解した。
同じ出来事であっても、認識の仕方が違えば全く別の経験となる。
この認識の仕方をパターン化し、自分や他人がどのパターンかに応じて
効果的なやり方を選択しよう、ということのようだ。

なんだか漠然とした感じだが、説明されている対象範囲もかなり広い。

例えば、

  • 目標設定
  • モチベーションアップ
  • 信頼関係をつくる
  • 説得・交渉
  • 苦手の克服
  • 時間管理
  • チームワークを強める

などなど。キーワードは以下の通り。

  • ラポール
  • バックトラッキング
  • リフレーム
  • チャンキング
  • エコロジーチェック
  • フィードバック
  • GEOモデル

いいこと言った!と思ったのは以下の部分。

  • 経験は五感を通してつくれれ、記憶されるのです。
  • これらをNLPでは「代表システム」と呼び、視覚・聴覚・体感覚(味覚・嗅覚・触覚)として扱います。
  • しかし認識が変わると、失敗した当時は消してしまいたいような経験であっても、楽しい経験として蘇らせることができるのです。
  • 「そして」「それでね」「それから」とつなげることで、未来へと話を向けることができます。
  • 尻込みしている自分に、目標を達成したところにいる自分から、サポートするように力づける呼びかけをします。

つまるところ、心理学的なノウハウ集の本と読んだ。
様々な利用法が紹介されているツールなので、汎用性は高い。
人間関係の向上に役立てるもよし、自分の性格を理解して
モチベーション管理に役立てるもよし。

上のキーワードは、下に挙げる他の本でも出てくるので、
どれか興味が湧く本を読めばよいかも。★3つ。

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感想メモ:人生の教科書「人間関係」

人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 609
  • 発売日: 2007/04

★★★★☆

「カネ、モノが豊か」な状態というのは、わかる。
それでは、「人が豊か」というのはどういう状況なのだろうか。

「必要なとこいつでも他人のチカラを調達できること」。
そのための人間関係、すなわち「自分ネットワーク」が
豊かであること、と著者は言う。

こう聞くと、目的のために利用するための人間関係、
というように聞こえるが、そうではないようだ。
お互いにチカラを引き出しあう豊かな人間関係、
とのことである。

その秘訣は、出会いに「!」、つまり小さな感動を盛り込むこと・・・

著者は「つなげる力」の藤原氏。
リクルートから公立中学の校長へ赴任し、
次々と新しい試みを行っている注目の人だ。

内容は、その著者が語る人間関係のノウハウ集。
相手の興味を引くには?聞き上手になるには?
初対面の人と打ち解けるには?などなど。

そのコツは、5つにまとめられている。

  1. 人間に関心を持つ
  2. 強みだけでなく、弱みでもつながること
  3. 組み合わせる力が縁を倍加する
  4. 知恵を借りる姿勢をくずさない
  5. 相手の言葉で語る技術

なんとなくは感じていることだが、
文字としてまとめられていると認識が深まった。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 感動の”!”は、質問の”?”から始まる。
  • 衝突があるから人間関係はおもしろい。
  • まずは、大きくうなずいてください。身を乗り出して聞いてください。
  • 相手と自分共通点を探してリンクを張りましょう。
  • 努力しても距離が縮まらない人と無理につきあう必要はありません。
  • 「たとえ話」がうまくなると、会話が一段と弾みます。
  • 身近な体験を盛り込んでください。テレビや雑誌で見聞きしたことではないあなた自身の体験談を。
  • 子どものころの話を聞いてみてください。
  • 面白い話は圧倒的に体験談。つまらない話をする人は「べき論」「評論」「一般論」ですね。
  • 他者から与えられた信用と共感が大きい人がリスペクトされます。

人間関係は誰しもに関係する大事なこと。
文庫本でサラッと読めるので、持ち歩いて時間が空いたときに
読んでおくとよいでしょう。★4つ。

藤原氏の本では、「つなげる力」がおもしろい。
ちょっと触れた、公立高校での試みの話などが書かれている。
こちらもぜひ読むべき。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。