感想メモ:心晴日和

心晴日和
心晴日和
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2010/02/25

★★★★☆

「手紙屋」「君と会えたから…」の喜多川泰氏。
得意の、小説での自己啓発書という形式。
分量は多くないが、小説としてもしっかり読める。

ビジネス書や自己啓発書は、読み終わると
なんとなく良いことを知った気分になる。
しかし、実際の生活に活かされなければ意味はない。

本書は、主人公の女の子が人生の知恵を学び、
その人生が少しずつ変わっていく様子を描いている。
いわば、知識を実践するシミュレーションだ。
しかも、ストーリー形式なので、記憶にも残りやすい。

こういった自己啓発書を読んでいると、湧いてくる疑問がある。
それは、個々人の「適性」というものに対してどう考えるか、だ。

自己啓発書等でよく書かれるのは、目の前のことには
一生懸命取り組むことで、道が開けるということ。
しかし一方で、自分の強み・才能を活かすことが、
自分を最も輝かせる方法だという考え方もある。

例えば、イチローが卓球に野球と同じ努力を注ぎ込んでも、
野球ほど秀でることはできなかったかもしれない。
そんなイチローが、卓球部に入ってしまったとき、
一体どうするべきなのだろう?
目の前の卓球というものに真摯に取り組むべきなのだろうか。
それとも、野球という強みを活かせるフィールドに素早く移るべきなのだろうか。

本書の中でも、一つの答えは出ている。
それがどういうものかは自分で確認して欲しい。

以下、メモした部分。

お前さんに自信をなくさせたのは、他の誰でもない。
お前さん自身なんじゃよ。
だからまずは、『言葉』を変えなきゃならない。
それは、誰かから認められること、
そして、誰かから感謝されること。
この二つじゃ。

本書を読んで連想したのは、チギレグモノ、ソラノシタだった。
同じような爽やかな読了感。
問題は、自分の人生にどう活かすか、だ。

オススメ度は★5つ寄りの4つです。
さすが喜多川さん、良い本でした。

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感想メモ:どの子ものびる運動神経 小学生編

どの子ものびる運動神経 小学生編
どの子ものびる運動神経 小学生編
  • 発売元: かもがわ出版
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2003/08

★★★☆☆

運動神経は遺伝ではなく、運動習得のやり方でかなり左右される。
それには12歳までに色々な運動をすることが大事。
では、どのような教え方でどんな運動をすればいいのか?

「走る、跳ぶ、投げる」などの基本動作と、
「すばしっこさ」「たくみさ」を伸ばす運動をすると良い。
前半が理論、後半が運動の紹介という構成。

最近の子供はボールを投げられても捕ることができず、
ぶつかるのを見ていたり、逃げてしまったりする子も多いらしい。
放っておけば勝手に覚えてくる環境は少なくなったのであれば、
教えてあげないとできないのは当たり前だろう。

CDで映像も付いているので、指導者編と合わせて観るとよいだろう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:どの子ものびる運動神経 指導者編

どの子ものびる運動神経 指導者編
どの子ものびる運動神経 指導者編
  • 発売元: かもがわ出版
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2004/07

★★★☆☆

前半が指導者としての心構え、精神面の教え方、立ち方、歩き方。
後半は身体ほぐしの理論と実際。
二人の著者がそれぞれ受け持ったようで、内容は別個な感じ。

前半は参考になる部分が多い。
特にインナーゲームは、精神集中の方法としておもしろい。

逆に、細かいことはあれこれ意識せずに、
ただボールがバウンドするのを「バウンス」、
ラケットに当たる瞬間を「ヒット」と声を出して数えるだけで、
驚くほど簡単にボールは相手コートに飛んでいくというのが彼の主張だ。
ところがグリップ、バックスイング、インパクトのタイミングなどを
細かく教えているのに、どういうわけだかあまり上手にならないのである。

これはつまり、複雑な複数の動きを瞬時にこなす運動をするときは、
なるべく気にすることは少なくすることが必要ということ。
ただ、ここまでやってもいいとは知らなかった。

本の後半は、様々な体操の紹介が主。
全部をこなすのはムリそうで、
どう適用するかは指導者に委ねられている状態。

おもしろそうなトピックはいくつか見られるのだが、
全般的に説明が不足している感がするのが残念。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
  • 発売元: 日本放送出版協会
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2009/11/21

★★★★★

無料。タダ。
この強力な魔法を、どう利益につなげればいいのか?
タダにして本当に儲かるの?
どんなやり方があるの?
うまく行っている例は?
無料の商品、サービスと戦うにはどうすればいい?
といった疑問に答えてくれる本。

無料を使ったしくみはいくつかある。
1つ目は、売り手内部で収益を補填するパターン。
例えば試供品や無料サンプル。
2つ目は、ある顧客が他の顧客の費用を補うパターン。
例えば利用者ではなくお店からお金を取るクレジットカード。

そして3つ目が、フリーミアムと呼ばれる、
無料でサービスを提供して大量のユーザーを囲い込み、
少数の有料ユーザーから利益をあげるパターン。
これにはサービスの提供コストがゼロに近いことが必要。
自然、IT業界に多い。

考えてみれば、コスト以上の収益を得ることができるのであれば、
ある部分をタダにしてしまうことは可能だ。
それが今までの常識に大きく反するものだとしても。
例えば、航空券がタダだったり、音楽CDがタダだったり、
というモデルも成立しているようでおもしろい。

ポイントはもう一つ。
マーケティングとしての効果。

フリーはもっとも低コストでもっとも多くの人に
作品を届けられる方法であり、試し読みが役目を果たすと、
「上級」版を購入する人が出てくるだろう。

そもそも知っている人が少ない、というのは致命的。
費用をまかなえるのであれば、部分的、期間限定、
などのやり方で無料で提供するのはとても強力な方法だろう。

一方で、利益を考えるのは後、コントロールしない、
というやり方に不安を覚える人も多いだろう。
行き当たりばったり過ぎじゃない?
という気もする。

GOOGLEも検索広告以外の活路は見出せていないし、
twitterもあれだけ巨大なのに収益は付いてきてない。
アイデアが重要、というところは普通の世界だろうが
フリーの世界だろうが同じことみたいだ。

無料の力については、行動経済学でもしばしば語られている。
合わせて読むとよいだろう。
オススメ度は★5つ!おもしろかった!

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感想メモ:仕事頭がよくなるアウトプット勉強法

仕事頭がよくなるアウトプット勉強法
仕事頭がよくなるアウトプット勉強法
  • 発売元: サンマーク出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2009/03/16

★★★☆☆

勉強は、アウトプットを前提とすることで身につき方が違う。
言い換えれば、目的意識をきちんと持った勉強をするべし。

という考え方にはとても賛成できる。
「できた方がいいから」という勉強は身が入らないこと甚だしい。
これは勉強に限らずトレーニングだって同じ話。

人間とは不思議なもので、「やらなくても何とかなる」
という気持ちが心の片隅に少しでもあれば、
どんなにやる気を出したかに見えても、
結局のところ、集中力は続きません。

他にも色々なノウハウが書かれているが、
細かい部分は好き好きなので、
気に入った部分を取捨選択していけばよいのかな、
といういつも通りの結論になってしまった。

オススメ度は★3つです。

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感想メモ:鷲の人、龍の人、桜の人 米中日のビジネス行動原理

鷲の人、龍の人、桜の人 米中日のビジネス行動原理 (集英社新書)
鷲の人、龍の人、桜の人 米中日のビジネス行動原理 (集英社新書)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 714
  • 発売日: 2007/02/16

★★★★☆

日本の中で生きているだけでも、
アメリカ、中国に関するニュースは日々入ってくる。

その中で、彼らの行動原理は何なのか?
ということについてわかっているといないのとでは、
理解も随分と変わってくる。
日本人の感覚としてはありえないことでも、
彼らの感覚からすると当たり前だったりするからだ。

もちろんアメリカ人や中国人にも個体差はあるのだが、
そこにはある程度目をつぶって、理解しやすいように
タイプ化されている。
わかりやすく読めるだろう。

いくつかその例を挙げてみる。

アメリカ人は「わける人」
日本人は「合わせる人」
中国人は「はしょる人」
  • アメリカ人:基準(スタンダード)を自由に決めて守らせる
  • 中国人:一対一の関係で仲間(圏子)をつくる
  • 日本人:働く「場」のいうことをきく

これらを踏まえた上で、和風の良いところを磨きつつ、
中国やアメリカの良いところを取り入れてミックスするのが
今後日本人が世界で活躍していく道だろう、という結論は頷ける。

オススメ度は★4つ。良い本でした。

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感想メモ:ビジネスに日本流、アメリカ流はない

ビジネスに日本流、アメリカ流はない
ビジネスに日本流、アメリカ流はない
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2005/04/27

★★★☆☆

コマツアメリカ元社長の中村健一氏。
25年アメリカに滞在してきた氏が語る、
日本/日本人とアメリカ/アメリカ人の違い。
そして両者がお互いの長所を活かしつつ
ビジネスを進める上での秘訣。

「鷲の人、龍の人、桜の人」が米、中、日の比較だったのに対し、
本書は日米のより詳細な比較となっている。
まず「鷲の人」に目を通してから、アメリカについて
より理解を深めたい人は、本書を読むと良い感じ。

日本人は確かに何事をやるにも用意周到で効率良く仕事を進めていく
スマートさがあり、たとえて言うならスピード感ある小さな歯車である。
しかし、この小さな歯車では効率良く回ることができても大きな力は
伝えることはできない。
一方アメリカ(人)はとてつもなく大きいフライホイールで
なかなかイナーシャがかからずイライラする場面もあるが、
一度回り出すともう止めることができないほどの力で回転する。

中村氏はアメリカ人相手のプレゼン前にはジョークを欠かさない、
というかなり外向的な人で、相手を理解する努力も怠らなかった。
だからこそアメリカでも実力を発揮できたのだろうし、
その働きが評価されコマツアメリカの社長にもなったのだろう。
逆に言えば、中村氏のような人はアメリカ以外の場所に行っても
実力を発揮しただろうし、評価されただろう。

しかし、一般的な日本人は、中村氏のようなタイプではない。
むしろもっと大人しい人が多い。
そういった人がアメリカで実力を発揮するには、どうしたらいいのだろうか。
内向的な性格を根性で改造して、渡り合わないといけないのだろうか。
あるいは、そういった環境に向いている人がその役割を担うべきなのだろうか。
といった点について考えさせられたが、明確な答えは出なかった。

アメリカ人と仕事をする人には参考になるだろう。
また、英語の勉強法についても1章割かれている。内容はとても正統派。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:アイデアのちから

アイデアのちから
アイデアのちから
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/11/06

★★★★★

イイハナシだったな〜、と思いつつも、
一週間後には何の話だったか思い出せない。

くだらない話なのに、妙に印象に残っている。

どうせなら後者になりたい、と思うのは私だけではないだろう。

本書はアイデアを「記憶に焼きつく」ようにさせるための秘訣を、
わかりやすいフレームワークとして説明している。
確かに、このフレームワーク自体が「記憶に焼き付く」ものでなければ、
あまり説得力もないものだ。

その秘訣は「SUCCES」の6文字。

Simple:明快である
Unexpected:意外性がある
Concrete:具体的である
Credible:信頼性がある
Emotional:感情に訴える
Story:物語性

これをチェックリストとして、自分のプレゼンなりアイデアなりを
見直してみると良いだろう。

わかりやすくて実用的。良い本です。
オススメ度は★5つです。

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感想メモ:ジーン・ワルツ

ジーン・ワルツ
ジーン・ワルツ
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/03

★★★★☆

著者は「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊氏。

題材は、不妊治療、代理出産、医療制度。
登場人物の口を借りての霞が関に対するメッセージは強烈。
お前等が無能なせいで医療の現場が崩壊してるんだ
一体どうしてくれるんだ、という感じ。
小説なので、どの程度現実に即しているのかが不明なので判断に困るが、
内容から察するに8割方正しいと読んだ。(本当のところは知らない)

不妊治療に関しても、保険適用にしないことに対する国への批判は
非常にまっとう。
子供を作ろうとしている人たちをサポートする姿勢を示さず、
何の少子化対策なのか。

ネタバレになるので詳細は書かないが、最後の展開はやり過ぎの感。
あんなの許されることではない。(何がかは、読めばわかると思います)

作者の力量は確かで、読ませる力がある。
一方で?という部分もあった。
ということで、オススメ度は★4つです。

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感想メモ:奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/07

★★★★★

農薬を使わないでリンゴを作るということは、特段に難しいことらしい。
野生のリンゴは酸っぱく、身も小さい。
しかし、品種改良を繰り返した結果、
味の良い大粒の実を数多くつけるようになった。
その代償として、農薬なしでは成育できなくなってしまったのだ。
他のものは無農薬でできても、リンゴはムリ。
リンゴ農家の愛だでは、「常識以前」ということらしい。

その不可能に近いことに立ち向かい、
そしてついに成し遂げたのが木村氏。

数年やってみてダメだったら、諦めるのが普通だ。
それを木村氏は、何年も何年もトライし続けた。
当然、実がならないのだから、収入もない。
そんな中、なぜ続けたのか。
どうやって不可能を可能にすることができたのか。
実際に読んで確かめて欲しい。

情熱というもののすさまじさを見た。
オススメ度は、文句なしの★5つです。
すばらしい本でした。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。