感想メモ:凍

凍
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2005/09/29

★★★★☆

山登りも、8000m級ともなるとまさに死と隣り合わせで、
いくらでも命を落とす危険がある。
しかしそんなことに挑戦を続ける人たちがいる。

本書は、山野井泰史、妙子夫妻がギャチュンカン北壁への登攀を描いた
ノンフィクション長編。

山登りのことなど全くわからないのだが、
とても臨場感を持って表現されていて、
一気に読んでしまった。

一体、なぜこんな危険に挑むのだろうか。
どうやら、二人とも山が好きで好きで仕方がないみたいだ。
二人の生い立ちや生活を読んでいると、
まさに山に登ることにすべてを捧げているようだ。
そしてそれを、当たり前のように自然にやっている。

世の中いろんな人がいるものだ。
いやー、すごい。

おもしろく読めた。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:人はなぜ治るのか

人はなぜ治るのか―現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム
人はなぜ治るのか―現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム
  • 発売元: 日本教文社
  • 価格: ¥ 2,450
  • 発売日: 1993/11

★★★★☆

いわゆる西洋医学を「アロパシー」とし、
明確に弱点と限界があるものとして、
他の医療も敬遠せずに併用するべし、
としている。

アロパシーでは体の器官の異常を
心と結びつけるのは得意ではない。
従って、治療法としては症状が出た
その器官に対するアプローチとなる。
これは「心はなぜ腰痛を選ぶのか」でも触れられている。

一方、患者の生まれてからの背景を重視し、
体全体のバランスの崩れや
エネルギーの滞りを解消することを
主眼に置いた治療法もある。
それが、ホメオパシー、オステオパシーなどである。
整体もこちらに属する気がする。

しかしこれらはアロパシー全盛の現在は主流ではない。
そういう意味で「三大異端医学」として
「ホメオパシー」「オステオパシー」
「カイロプラクティック」
を取り上げ、他にも
「ナチュロパシー」「東洋医学」
「シャーマニズム」「マインドキュアー」
「信仰療法」「心霊治療」
「ホリスティック医学」「ニセ医療」
など、様々な治療法について説明されている。
東洋医学がシャーマニズムと並んでいるのは
東洋人としては違和感があるが、
そういうものなのだろうか。
もちろん扱いは異なるが。

また、紹介されている
「健康と病気の十大原理」は
ぜひ知っておくべき。

  1. 完璧な健康は達成できない
  2. 病気になってもだいじょうぶ
  3. からだには自然治癒力がある
  4. 病気の作因は病気の原因ではない
  5. あらゆる病気は心身相関病である
  6. 病気には必ず軽微な初期症状がある
  7. からだは人によって異なる
  8. どんな人にも弱点がある
  9. 血液は治癒エネルギーの主要媒体である
  10. 正しい呼吸は健康への鍵である

効果という点だけで考えれば、
宗教的な治療法であっても
多くの患者が治ったという実例がある。
それでは、人が治るというのは
どういうことなのだろう?
それらすべて治療法に共通するものとして、
以下のように述べている。

統一変数は治療に対する信仰心である

なるほどなぁ。
これを日本的に言うと、
「病は気から」
となるのだろう。

いろいろと興味深かった。
健康は誰しも関係のあるところ。一読すると良いでしょう。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:ひかりの剣

ひかりの剣
ひかりの剣
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/08/07

★★★☆☆

「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」などの海堂尊氏。
今回は医療ではなく、剣道を題材にした小説。
彼の作品のルールを踏襲し、同じ世界の登場人物が活躍するため、
他の作品を読んだことがある人はとっつきやすいだろう。

さすが、医療から題材が変わっても読ませる力がある。
元々作者自身が剣道に身を捧げていたというだけあって、
その描写はリアリティに溢れている。
とはいえ、格闘技なら夢枕獏だろうし、
彼を彼たらしめるホームグラウンドは医療なのだなと再確認もした。

背景の話が「ジェネラル・ルージュの伝説」に書かれているので、
興味がある方はそちらも読むとよいだろう。
ということで、オススメ度は★3つです。おもしろかったです。

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感想メモ:赤ちゃんの運動能力をどう優秀にするか

赤ちゃんの運動能力をどう優秀にするか―誕生から6歳まで (More gentle revolution)
赤ちゃんの運動能力をどう優秀にするか―誕生から6歳まで (More gentle revolution)
  • 発売元: ドーマン研究所
  • レーベル: ドーマン研究所
  • 発売日: 2000/03

★★★☆☆

子供が0歳から6歳までの各段階で、どんな能力を獲得していくのか。
その際にどんな運動をするとその助けになるのか、プログラムとしてまとめて紹介している。

日常ではあまりやらない動きが多いが、これらを行うことで、
より早く運動能力を得られるようになるとのこと。

何ヶ月で何ができるようになった、
という数字自体には意味があるわけではないだろう。
しかし、周りの子供たちと比べて、
早く物事ができるようになるということは、
自信がつくという点では意味があるように思う。

例えば、プロスポーツ選手には4月生まれが多い。
これは、成長が早いということもあるだろうが、
それによって与えられる機会が増えるということもまた、
大きな要因であるようなのだ。
(参考:「天才! 成功する人々の法則」)

洋書なので、対象は日本人の子供ではない。
まぁ、外人の子供と日本人の子供がどの程度作りが違うのかは
今ひとつわからないが、結構違う気はする。
おもしろかった。オススメ度は★3つです。

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感想メモ:ジェネラル・ルージュの伝説

ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて
ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて
  • 発売元: 宝島社
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2009/02/20

★★★★☆

「海堂尊ワールドのすべて」というサブタイトル通り、
チーム・バチスタの栄光」などのヒット作を飛ばしている海堂尊氏の作品をまとめた本。
ジェネラル・ルージュの凱旋のエピソードとして、「ジェネラル・ルージュの伝説」も収録されている。

一般的な話として「○○の世界」的な本というのは、ファンの人には
超うれしいが、普通の人にはそうでもない、というギャップが生じがちだが、
この本はそれほどファンではない私にも楽しめた。

理由はいくつかある。

一つは、海堂氏の本は医療問題を取り上げているが、
これがかなり現実とリンクしていること。
例えば、チームバチスタで取り上げられたのA.Iは、
まだ制度として認められていないもので、
海堂氏はこれを現実に用いられるように活動しているその一環として、
「チームバチスタ」書いたそうなのだ。
こういった流れをフォローできるのは、本編を読むのとは違った面白さがある。

もう一つは、作者の考えの裏側がわかること。
例えば、海堂氏の書く小説の世界は実は一つの世界であること。
あるいは、どういった執筆ペースで作品が作られているのかなど、
トリビア的におもしろい。

ということで、ただのまとめ本という以上におもしろかった。
医療問題は身近なだけに、興味をひくなぁ。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:いのちの輝き

いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力
いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力
  • 発売元: 翔泳社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 1997/02

★★★☆☆

西洋医学は科学なので、心や気など、定義のあいまいなものは対象となりにくい。
しかし心と体が影響し合っているという理解は、東洋医学では珍しくない。
そして西洋医学にも、主流ではないものの心の影響を重視する流派もあることは、
心はなぜ腰痛を選ぶのかでも紹介した通り。

からだとこころは確実にひとつのものであり、
どちらかがよくなれば、もうひとつのほうが自然に楽になっている。

科学的アプローチとは異なる西洋医学の例が、
この本で説明されているオステオパシーというもの。
考え方としては、体に流れるエネルギーがブロックされていることが、
からだやこころの異常につながるので、それを取り除く手助けをする、
というもの。

そのブロックや圧迫が長くつづくか、
または短時間でも深刻なものであれば、
不快や痛み、病気の症状となってあらわれることになる。

体の自然治癒力を助けるというのが基本スタンスなので、
抗生物質に頼るのは、耐性菌も出てきてしまうし
よろしくないというスタンス。

抗生物質はできるかぎり避けるにこしたことはない。
熱が三九・五度以下なら、どんなくすりものまないほうがいい。

子供の頃のケガやトラウマが大人になってからの体の歪みに
影響を及ぼしている、というところまではわかるが、
出産時の影響が強いとまで言われると、
データを見てみないとなんとも、と思ってしまう。

ただ、いわゆる西洋医学では対処できない症状に対しても、
効果を上げているという実績は確か。
例えば中耳炎に対しても、
このあたり、心はなぜ腰痛を選ぶのかで書かれていたTMSと共通点は多い。

悲嘆にくれることがなぜそれほど有害なのか?
なぜなら、そうした心理パターンが神経系のなかに
特定の想念の回路をつくりあげ、
それが全身の複雑な生理作用に影響するからだ。
わたしの経験では、運動のなかで一番いいのはストレッチである。
からだのバランスを左右する三大要因は、
気圧・感情の高ぶり・食生活である。

なんとなく整体に近い印象を持った。
(バキバキやるもののではなく、
体全体のバランスを重視する野口整体的な意味合い)

日本人の私はさほど違和感なく読めたのだが、
西洋の人には異端なのかもしれない。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:地頭を鍛えるフェルミ推定ノート

★★★☆☆

コンサル会社の就職面接などで出てくるという、フェルミ推定。
「地頭力を鍛える」で一躍有名になった。
そのフェルミ推定が三度の飯より好きな(言いすぎ)、
フェルミ推定マニアの東大生が、
解法をパターン化して説明しているのがこの本。

復習がてらまとめておく。
○ストック問題
→所有アプローチ
 →個人・世帯ベース
 →法人ベース
→存在アプローチ
 →面積ベース
 →ユニットベース

○フロー問題
→マクロ売上推定(需要サイドから)≒市場規模推定
→ミクロ売上推定(供給サイドから)≒店舗売上推定

説明はしないが、なんとなくわかるかな。
こういう解法の紹介と、例題と練習問題を解くことで、
パターン認識できるようになりましょう、という本。

さて。
正解なき問題に対しても、論理性を持って推測することで、
その人の知性を問うというのがフェルミ推定問題だ。
しかし果たして、パターン化して解法をマスターすることで、
比例して知性が上がるのだろうか?

まぁ、紹介されている解法はフレームワークのようなもので、
知ってる方が賢くなるだろうからいいか。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:3分間コーチ

ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ
ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ
  • 発売元: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/03/13

★★★☆☆

マネージャーとして成果を出すには、
部下に気持ちよく働いて、成果を出してもらうことが必要。
それには、部下との良好な関係が不可欠。
それには、一体どうしたらいいでしょう?
コーチングを活用したマネージメントで行きましょう。
ということ。

一日3分でもいいから、こまめにコミュニケーションを取る。
「相手のことを気にかけている」というメッセージを伝えることで、
相手との信頼関係を築く。
これは何も相手は部下だけに限った話ではない。
つい忘れがちだ。気をつけたい。

他にも、小さいメッセージに気付きが多かった。

  • アイデアやプランと実行の間には溝がある。
  • 上司の言うとおりに部下が動くなら、上司はいらない。
  • 「何かあったら声をかけてくれ」では、相手は声をかけられない。

部下とのコミュニケーションが充分でないと感じている人は、
読んでみるとよいだろう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:心はなぜ腰痛を選ぶのか

心はなぜ腰痛を選ぶのか―サーノ博士の心身症治療プログラム
心はなぜ腰痛を選ぶのか―サーノ博士の心身症治療プログラム
  • 発売元: 春秋社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2003/10/20

★★★★☆

心と体はつながっている。
これは、ストレス性の頭痛や胃潰瘍などが
存在することからも明らかだ。

しかし、心が体に及ぼす影響は、
私たちが思っている以上に大きいのかもしれない。

本書はTMSという聞き慣れない病気について説明した本。
TMSとは「緊張性筋炎症候群」の略。
特徴は、ケガなどの体の構造的な異常ではなく、
心理的な要因によって、体のさまざまな部位に
激しい痛みが生じるという点にある。

といっても、TMSは一般的にあまり認知されていない。
通常は、検査をすることで体に何らかの構造的な変化がみられると、
それが原因ということで片づけられることが多い。
しかし、

  • 検査をしても原因がわからない
  • 痛みが現れる場面が限定されている
  • 痛みが生じる部位が変わる

などの特徴がある場合、体の構造的な変化が要因とは考えにくい。
この場合、「痛みの原因は心理的なものである」
という前提に立つTMSの治療により、
痛みがなくなっているという事例が数多く存在する。

TMSは、幼児期のトラウマやストレス、憤怒などに対し、
脳が直面を避けるために、体のある部位の神経の酸素濃度を下げることで
激しい痛みを生じさせている、という仕組みらしい。

ギックリ腰や座骨神経痛、テニス肘などもこのTMSであるケースが
多いと書かれている。驚きだ。

痛みは炎症によるものでも、圧迫によって症状が出るような
構造異常によるものでもありえない。なぜなら、炎症や構造異常による痛みなら、
数分や数時間で消えるはずがないからだ。
しかし、軽度の酸素欠乏が起きたと考えれば、まったく矛盾なく説明できる。
自律神経系はその気になれば、数秒で血流量を変化させられるのである。
TMSは無意識下に発生した怒り・憤怒(その場合、当人は怒りの存在に気づいていない)、
あるいは無意識下に抑圧されてしまった怒りに対する反応です。
感じることのできる怒りや、表出された怒りは、TMSとは無関係なのです。

これまでの常識とはかなり異なることが描かれているが、
日本にもTMSの治療を取り入れている医療機関も存在する。
あなたも、場所が移る痛み、ある状況でしか現れない痛みがあったら、
TMSのことを思い出してみよう。

おもしろかった。オススメ度は★4つです。

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感想メモ:心晴日和

心晴日和
心晴日和
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2010/02/25

★★★★☆

「手紙屋」「君と会えたから…」の喜多川泰氏。
得意の、小説での自己啓発書という形式。
分量は多くないが、小説としてもしっかり読める。

ビジネス書や自己啓発書は、読み終わると
なんとなく良いことを知った気分になる。
しかし、実際の生活に活かされなければ意味はない。

本書は、主人公の女の子が人生の知恵を学び、
その人生が少しずつ変わっていく様子を描いている。
いわば、知識を実践するシミュレーションだ。
しかも、ストーリー形式なので、記憶にも残りやすい。

こういった自己啓発書を読んでいると、湧いてくる疑問がある。
それは、個々人の「適性」というものに対してどう考えるか、だ。

自己啓発書等でよく書かれるのは、目の前のことには
一生懸命取り組むことで、道が開けるということ。
しかし一方で、自分の強み・才能を活かすことが、
自分を最も輝かせる方法だという考え方もある。

例えば、イチローが卓球に野球と同じ努力を注ぎ込んでも、
野球ほど秀でることはできなかったかもしれない。
そんなイチローが、卓球部に入ってしまったとき、
一体どうするべきなのだろう?
目の前の卓球というものに真摯に取り組むべきなのだろうか。
それとも、野球という強みを活かせるフィールドに素早く移るべきなのだろうか。

本書の中でも、一つの答えは出ている。
それがどういうものかは自分で確認して欲しい。

以下、メモした部分。

お前さんに自信をなくさせたのは、他の誰でもない。
お前さん自身なんじゃよ。
だからまずは、『言葉』を変えなきゃならない。
それは、誰かから認められること、
そして、誰かから感謝されること。
この二つじゃ。

本書を読んで連想したのは、チギレグモノ、ソラノシタだった。
同じような爽やかな読了感。
問題は、自分の人生にどう活かすか、だ。

オススメ度は★5つ寄りの4つです。
さすが喜多川さん、良い本でした。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。