感想メモ:ビジネス脳を磨く

ビジネス脳を磨く (日経プレミアシリーズ 6)
ビジネス脳を磨く (日経プレミアシリーズ 6)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 893
  • 発売日: 2008/05/09

★★★★☆

モノを売るときに、安くする以外の可能性の一つとして、
「感性価値の創造」というものがある。
著者の小阪氏が提唱するものだ。

例えば、落として一部欠けてしまった人形。
通常のマーケティング理論では、損としかならないだろう。
しかしこれに「怪我をしてしまった人形」としてストーリー付けすることで
正価で売れてしまった事例が紹介されている。
何もなければ、ただの破損品である人形だが、
ストーリーによって、お客さんにとって「価値があるもの」になったのだ。

こういった方向性を、著者の小阪氏は
「感性価値の創造」「感性情報デザイン」と呼んでいる。
個人的に注目していて、関連の本を読んでみている。

感性情報とは、なんだろうか?

自分にとって「意味あるもの」として受け取れたもの、それが情報である。
そして、その情報が自分にとってぐっとくるかこないか、
それが情報の価値を左右する。
すると、ほとんどのビジネスにとっての課題は、
お客さんの感性に訴えて「意味あるもの」と
思ってもらえるかどうかにかかっている。

感性社会の特徴は三つあるそうだ。

  • 決まりきった解答がなく単一の解もない
  • 今日の解は明日の解ではない
  • A社の解はB社の解ではない

他の例の猿マネをしてもダメということだ。
自分たちの軸を変えてはいけないのだという。

それでは、どうすれは既存の延長線上にない発想が
できるようになるのだろうか。

それは、発想するためのリソース(資源)を増やすことである。
感性情報デザインの匠になる第一歩は、
まずフレームを知ることだ。
「知る」ということは尊いことで、そこからすべてが始まるのである。

あとは実践なのだろう。

情報化が進み、少しでも安く買えるところがあれば、
お客さんは離れて行ってしまう、というような関係ではなく、
この店から買いたい、この人のオススメなら買ってみよう、
と思ってもらえるような関係になること。
それが、皆が幸せになるビジネスにつながるのだろう。

おもしろかった。オススメ度は★4つです。

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感想メモ:最新スポーツビジネスの動向とカラクリがよーくわかる本

★★★☆☆

スポーツは自分でやって楽しんだり、健康を維持したり、
観て楽しんだりと色々だ。
ではその裏側は一体どうなってるんだろう?

と思ってざっと読んでみたが、あまりカラクリはわからなかった。
相撲と野球は年配の人が好きだが、
若い人になると人気が下がりサッカーは逆の傾向だとか、
プロ選手は一部の人以外引退後が厳しいとか、
マネジメント側の人が足りないとか、
スポーツ関連にも資格が色々あるとか。
結構残ってるか。

また、以下のような雑学的な知識が身についた。

・最もプロ選手が多いスポーツはゴルフ。約4600人。
 次が競輪で約3600人。次がボクシングで約3100人。
 野球は約700人、サッカーは約1000人。
 →結構意外

・運動の実施率は年々上がっている
 →健康が気になる人が増えているのかな

・アメリカのフィットネスクラブ参加率が15%を超えて世界一
 オランダが同じくらいの二位。日本は3%
 →15%って相当多いのでは。

スポーツが好きな人は、ざっと目を通してみると、
へぇ〜という発見があるのではないだろうか。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:梅干と日本刀

完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)
完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)
  • 発売元: 祥伝社
  • 価格: ¥ 900
  • 発売日: 2000/02

★★★☆☆

日本古来から伝わってきた知恵には、
もっと評価されるべきものが数多くある。
欧米カッコいい、だけではなくて日本の良いところも
きちんと見直しましょう、という本。

生活が西洋化して、廃れてきてしまっているものも多いが、
その中には良さがあるものも多い。
日本建築や土木工事の技術や、調理や保存食など、
教養として知っておくとよいと感じたことが多かった。

Amazonでなか見検索ができるので、
目次だけでもパラパラと見てみるとよいと思う。
Amazon.co.jp: 本: 完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)

コロッケはスペインから伝わったもので、
がんもどきはコロッケをアレンジして作られたもの
というのは印象に残った小ネタだった。

オススメ度は★3つです。
時間があれば読んでおくとよいと思います。

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感想メモ:カップヌードルをぶっつぶせ!

カップヌードルをぶっつぶせ! - 創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀
カップヌードルをぶっつぶせ! – 創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2009/10/11

★★★★☆

日清食品創業者、安藤百福(あんどうももふく)氏の息子であり、
2代目社長安藤宏基氏。
副題は「創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀」。

日清といえば、カップヌードル。年間15億食というからすさまじい。
チキンラーメンも年間2億食弱というからこれまたすごい。
この世界の胃袋を支えるブランドを2つもこしらえた創業者というのは、
やはり普通の人ではないようだ。

私に言わせれば、創業者とは普通の人間ではない。
異能の人である。
一方、創業者の事業を引き継いだ後継者は、
私も含めて、だいたいが普通の人である。

本田宗一郎にしてもSteeve Jobsにしても、普通ではない。
それだけの偉大な創業者がいると、
後を託された経営者の苦労というのもひとしおだろう。
様々な苦労が伝わってくる本だった。

偉大なブランドを乗り越えるにはどうすればよいのか、
やはりその悩みが一番大きいようだった。

いま、日清食品内の”奇人変人比率”は一割くらいだろう。
私の理想は全社内で二割、研究スタッフに限れば三割は欲しい。
全社内で三割を超えると、逆に経営が成り立たなくなるかもしれない。

身近な商品だけに、裏側の話も面白く読めた。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:なぜ、「頑張っている人」ほど、うまくいかないのか?

なぜ、「頑張っている人」ほど、うまくいかないのか?
なぜ、「頑張っている人」ほど、うまくいかないのか?
  • 発売元: フォレスト出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2004/05/19

★★★☆☆

潜在意識が行動に与えている影響というのは、
思いの外大きいらしい。
自分をふり返ってみても、人は感情で決め、
理屈で自分を納得させる、という話は当たっていると思う。

潜在意識というのは、それまでの人生における選択、経験の
積み重ねの結果作り上げられたもの。
特に、子供の頃に刷り込まれたメッセージは、
意識はできないが自分に大きな影響を与えているものだ。

以下の部分は、読んでいてドキッとした。

子供の頃のプログラムの悲惨な点は、
自分が一番望んでいるものに対してしり込みするように
できているところです。

次の部分も、思い当たる部分はある。
いや、私は違いますよ?(目を泳がせながら)

このタイプの潜在意識のプログラマがあると、
追い込まれないとまともな仕事ができない人間に
なることがあります。ほとんど怠けて過ごし、
いよいよとなった時に猛烈に仕事をします。

それでは、長年の経験の積み重ねで形作られた潜在意識を
書き換えることはできるのだろうか?

手書き作業は直接潜在意識にうったえることができるので、
潜在意識をプログラムし直すのに最適です。
だから、人生を変えるために必要な考えを、
「書く」という作業を通して直接潜在意識に植え付けるのです。
過去にどういうプログラムをされたかは問題ではありません。
大事なことは、前へ進むためにプログラムし直したりする方法を
身につけることです。

その方法として「メンタル・バンク・コンセプト」というものが紹介されている。
変わった方法だが、行動を変える良い方法なのではないかと感じた。
が、それを習慣づけるハードルが高い。詳細は本を読んで欲しい。

潜在意識についての認識を新たにした。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:おとなの進路教室。

おとなの進路教室。
おとなの進路教室。
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2007/03/16

★★★☆☆

著者は「おとなの小論文」の山田ズーニーさん。
ほぼ日連載のコラム+読者とのやりとり、という体裁。
テーマは、タイトルの通り「仕事」や「人生」といった深いもの。

コラムの集合体なので、すぐ読める。
語られている内容も、なるほどねぇと思わせる部分もあった。

しかし。

なぜだろうか。読み終えたときに残ったものが少なかった。
考えた結果、自分と根本的な考え方が違うからだろうという
結論に至った。語り口のベースに悲壮感を感じるのだ。
そのテイストが自分の信念と反するところだったのだと思う。
そしてそれは何が正しいというようなものではなく、好みの問題だろう。

そんな中で、参考になると感じたのは以下の部分。

「やりたいことが見つからない」というとき、問題は、
その答えをこばんだり、いつまでもそこにうずくまったり、
それでも「俺は何がやりたいんだろう?」といたずらに問いを握りしめ、
自分をもてあそんでしまうことではないだろうか?
はっきりと意味や成果が見える目標よりも、
「なんだかあけがわからないけれど面白い」
というものに自分をひらいておけ! いや、飛び込め!というのが
個人として仕事をし始めてから、自分の鉄則のようになっている。

語られているようなテーマに、今まさに直面している人は
参考になるところは多いだろう。
オススメ度は★3つです。
私にはちょっと合わなかったです。

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感想メモ:ブラックペアン1988

ブラックペアン1988
ブラックペアン1988
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/09/21

★★★☆☆

「チーム・バチスタ」の海堂尊さんの作品。

他の作品同様、どんどん先に進みたくなる安定した力量。
同じ世界の時系列や場面をずらして描く手法もいつも通りで、
タイトル通り1988年時の登場人物の姿をかいま見ることができる。

過去が舞台なので、医学問題というよりも、
登場人物の内面にフォーカスが当てられている。
海堂作品を読んだことがある人なら、問題なく楽しめるでしょう。

オススメ度は★3つです。

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感想メモ:運動神経をよくする 親が教える体操ドリル

運動神経をよくする 親が教える体操ドリル
運動神経をよくする 親が教える体操ドリル
  • 発売元: MCプレス
  • 発売日: 2005/12

★★★☆☆

運動神経というのは、小さいうちに様々な動きやスポーツに
触れることで作られていくらしい。
そこで、親子で体を使ってできる、様々なドリルを紹介している。
特に書かれていないが、対象年齢は4,5歳以上という感じだろうか。

著者は、1983年から全国中学校体操競技選抜大会20連覇を成し遂げた、
清風中学の体操指導者の城間氏。ホームページはこちら。
シロマスポーツホームページ
教え子にはオリンピック選手の西川、冨田、米田らがいるそうだ。

スパルタでやってもきっと楽しくないので、
親子で楽しんでやれるものを選んでやると良いのではないか。
また、書かれていることだが、安全の確保を第一に考えよう。

実際に試したわけではないので効果の程はわからないが、
色々やるのはいいことなのだろう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:医薬品クライシス

医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)
医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2010/01

★★★☆☆

製薬業界が大きな市場を持つことはなんとなく知っている。
しかし、どんな問題があるのかなどは、あまり知らないものだ。
そんなあなたに一歩進んだ知識を与えてくれる本。

ペニシリンの例は行きすぎだが、昔の新薬開発に比べて
現在の新薬開発は、精度も効率もかなり上がっている。
その一方、重要な分野での薬はかなりの部分が開発済みであり、
残っているのは重要だけれども開発が難しい分野に
限られてしまっているそうだ。

このことが、一発当たると年に数兆円という規模の売上が
可能となる一方で、一生研究しても一度も新薬を創り出せずに
終わる研究者の方が多いという現状につながっている。

盛んに進められている製薬会社の合併も、
莫大な開発コストを支えるだけの体力を持つため、
という側面が大きいようだ。

行政による対応も、医薬品に対する大きなファクターとなる。
例えば南アフリカでエイズが蔓延してしまったのは、
効果が証明されているエイズ治療薬の使用を認めようとしなかった
過去の大統領によるところも大きいようだ。

彼は「西洋の会社が作った医薬などは、
全てアフリカを害するための策略である」と公言し、
ドイツのメーカーによる抗HIV約の無償供与さえ拒絶した。

他にも、タミフルの副作用に関する一連の報道と規制の話は記憶に新しい。
これも、果たして本当に薬の副作用によるものなのか、怪しいようだ。

仮にすべての異常行動がすべてタミフルのせいで起こっていたとして、
異常行動による死の危険は四千万分の二十、すなわち約二百万分の一
ということになる。これは交通事故による死亡率二万分の一、
航空機事故による死亡率五十万分の一より遥かに低い値だ。

初期にタミフルを投与することで重篤化を防ぐという方針が、
日本における新型インフルエンザの死者が少ないという結果に
つながっている、と著者はいう。

業界の概要が理解できる本でした。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:医学のたまご

医学のたまご (ミステリーYA!)
医学のたまご (ミステリーYA!)
  • 著者: 海堂 尊
  • 発売元: 理論社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/01/17

★★★★☆

中高生向けの医学を題材にした小説。
と言いつつも、日経メディカルに連載されていた作品で、
その道の大人が読んでも楽しめるし、
一般の大人が読んでも楽しめるようになっている。
さすが、「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊氏、腕が良い。

彼の著作と同じで、同一の世界の話として描かれている。
特にこの作品は「ジーン・ワルツ」との関わりが強いので、
「ジーン・ワルツ」を読んだ人はこちらも楽しめるはず。

私は普段小説はあまり読まないのだが、
海堂氏の作品は安定して読める。
この本は、中高生も読めるようになっているので
時間もあまりかからないし、かつ楽しく読めた。
オススメ度は★4つです。

医学のたまご (ミステリーYA!)
医学のたまご (ミステリーYA!)
  • 著者: 海堂 尊
  • 発売元: 理論社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/01/17

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読んできた本の内容をまとめて紹介。