感想メモ:日本の弓術

オイゲン ヘリゲル
岩波書店 1982-10-16
¥ 518

★★★☆☆

河合隼雄氏の推薦図書シリーズ。

日本にやってきたドイツ人の哲学者が、
日本文化への理解を深めるため、
弓術の師に弟子入り。

「弓を腕の力で引いてはいけない。
心で引くこと」
「手は離そうと思わない」

「あなたは無心になろうと努めている。
つまりあなたは故意に無心なのである。
それではこれ以上進むはずはない」

「矢は中心から出て中心に入るのである。
それゆえあなたは的を狙わずに
自分自身を狙いなさい。」

日本人であれば、なんとなく
ああ、そういうものなのかな、
と受け入れそうなところもあるが、
ドイツ人は、理論こそが考え方のベースにある。
それはそれは、難題だっただろう。

著者は、結局5年以上弓術を学び、
免状を授かるに至っている。

その過程をたかだか60ページほどで辿るのは、
ほんの表面をなでたに過ぎないのだろう。
それでも、興味深い本だった。

オイゲン ヘリゲル
岩波書店 1982-10-16
¥ 518

感想メモ:心の扉を開く

河合 隼雄
岩波書店 2006-03-24
¥ 1,944

★★★☆☆

心の扉を開いてみると、
自分の心の深いところに
自分の知らない世界がある。

こういうものを読めば、
そういう世界の理解が深まります、
という本を河合隼雄氏がピックアップし、
解説をしている本。

紹介されている本は、
村上春樹から、吉本ばななから、
夏目漱石からユングから、
児童図書や絵本までと、幅広い。

河合隼雄氏といえば、ユング派の有名な心理学者。
それでも「そういう世界」があることはわかるし、
それで良くなる人もいるのだが、
わからないものはわからない、
と言い切っている態度が誠実だと感じた。

以下、読もうと思った本

オイゲン ヘリゲル
岩波書店 1982-10-16
¥ 518
モーリス・センダック
冨山房 1975-12-05
¥ 1,512
よしもと ばなな
新潮社 2006-06-28
¥ 464
カール・グスタフ・ユング
みすず書房 1972-06-20
¥ 3,024
白洲 正子
講談社 1992-03-04
¥ 1,015
E.B. ホワイト
あすなろ書房 2001-02-10
¥ 1,620

読もうと思っただけで、
全部読むかはわかりませーん。

 

河合 隼雄
岩波書店 2006-03-24
¥ 1,944

感想メモ:芸能人はなぜ干されるのか?

星野陽平
鹿砦社 2014-05-13
¥ 1,728

★★★☆☆

なぜかというと、結論は以下の通り。

それは、芸能界の中枢で芸能プロダクション間で
タレントの引き抜きを禁止を(ママ)
申し合わせる協定があり、
タレントの独立についても一致団結して潰す
業界の結束力があるからだ。

芸能界というと、ものすごく金回りが良い
世界であるような印象がある。
しかしそれは、事務所側の話であって、
タレントのギャラは相当ピンハネされている模様。

特に、お笑いの吉本の給料は、大御所を除くと
テレビに出ているクラスであっても、とても安いらしい。
半分以上は会社に抜かれるそうだ。

大御所になると、ギャラも上がって来るが、
それでも独立や事務所移転となると、
「○○を使ったらうちのタレントは全部引き上げる」
といった文句で、仕事を回さないように圧力がかかる。

例えば、鈴木あみ、松本恵、セイン・カミュ、
眞鍋かをり、沢尻エリカ、川村ゆきえ、田原俊彦…

芸能界は、労働者の権利が非常に弱く、
独立や事務所移転で干されるなど、
業界としては非常に遅れていることがわかった。
アメリカはタレントの権利がとても強い。
エージェントも資格が必要なのだという。

ちなみに声優業界は、アメリカのモデルを参考にしており、
俳優業界に比べると、労働者側の権利は強いようだ。

テレビで見て知っている芸能界は、
華やかな表の面だけであって、
裏のドロドロした世界はこうなっているんだ、
ということがよくわかった。

星野陽平
鹿砦社 2014-05-13
¥ 1,728

感想メモ:ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく

★★★☆☆

ご存知ホリエモンのベストセラー。
やっと読んでみた。

理屈で正しいと思えることも、
受け入れられるかどうかとは別問題である。

という事実を身をもって味わったホリエモンが、
メディアのバイアスを通してしか、
接することがなかったであろう人々に対して、
直接意見を発信し、理解してもらう。
そういう目的で書かれた本だと感じた。

内容としては、ホリエモンの生い立ちや内面が、
エピソードとともに語られている。
自身は「天才ではない普通の人」と評するが、
やっぱり普通ではない。

言葉の端々から、
ビジネスで人並外れた結果を出す理由が、
感じられた。

歯を食いしばって努力したところで
大した成果は得られない。
努力するのではなく、その作業に
「ハマる」こと。なにもかも
忘れるくらいに没頭すること。
それさえできれば、英単語の丸暗記だって
楽しくなってくる。

なにかを待つのではなく、
自らが小さな勇気を振り絞り、
自らの意思で一歩前に踏み出すこと。
経験とは、経過した時間ではなく、
自らが足を踏み出した歩数によって
カウントされていくのである。て

チャンスを見極める目なんて、必要ないのだ。
少しでもおもしろいと思ったら、
躊躇せず飛び込む。
そうしないと、せっかくやってきた
チャンスは流れる桃のように過ぎ去ってしまう。

人生の中で、仕事はもっとも多くの時間を
投じるものの一つだ.
そこを我慢の時間にしてしまうのは、
どう考えても間違っている。

その、仕事に対する姿勢や考え方に、
多くの人が見習うべき点があるように感じた。

感想メモ:仕事は輝く

犬飼ターボ
飛鳥新社 2014-07-24
¥ 1,300

★★★☆☆

「仕事がつまらん」
社会人なら誰しも、一度や二度は
こう感じたことはあるだろう。

そんな人に、物語形式で、
仕事がつまらないと感じたときの、
仕事への取り組み方のヒントを教えてくれる。

著者は、「成功小説」というジャンルで
執筆を残している、犬飼ターボ氏。
個人的に、犬飼氏の本では、
「オレンジレッスン」が記憶に残っている。

心に残ったのは、以下の部分。

仕事でやりがいを感じながら結果を出すために、
絶対に外せない3点セットがあります。
セルフイメージ、カスタマー、ミッションの3つです。
簡単に言うと「どんな私」が「誰」に対して
「何」をするかという定義です。

「自分は専門家だ」と思うとそれだけで
仕事中の集中力が高まり、
通勤時間などでも自主的に
スキルアップすることが
当然だと思うようになります。

ほとんどの人が、
失敗を自分のせいにして、自らを責め、
それが改善を苦しく難しくさせています。
楽に結果を出している人は自分責めをしません。

本のサイズもコンパクトで、
ページ数も少なく、楽に読める。

確かに、仕事つまんねーとか言ってるときに、
500ページとかある本を読む人は
少ないかものかもしれない。

仕事だるー、という人にオススメです。

犬飼ターボ
飛鳥新社 2014-07-24
¥ 1,300

感想メモ:潜在意識が答えを知っている!

マクスウェル・マルツ
きこ書房 2009-03-27
¥ 1,620

★★★★★

イメージトレーニングやセルフイメージについての本。
今でこそよく聞く?言葉だが、この本の出版は1960年で。
つまり、「セルフイメージ」の元祖っぽい本。
「道は開ける」「7つの習慣」にも影響を与えたそうだ。

著者は形成外科医。
整形手術をすると、引っ込み思案だった性格が変わり、
仕事もプライベートも大きく変化した、という患者さんが
何百人もいたそうだ。

一方、手術をして、気にしていた外見が
大きく変わったにもかかわらず、
以前と変わらず見た目を気にし続け、変化がない人もいた。

となると、重要なのは、見た目そのものではなく、
自分が自分をどう思っているか、
つまりセルフイメージの方なのではないか

と気付いたのが研究の始まりなのだそうだ。
そしてその仮説はその通りだった。

自己イメージを変えるようにと教えられただけで、
学生の成績にもセールスパーソンの売上にも
奇跡的な変化が起きたのである(p33)

後には、経営者やオリンピック選手の指導まで
するようになった、ということだ。

自分がどのようなセルフイメージを持っているのかは、
日常生活を送っているだけでは自覚しにくい。
それでいて、自分の人生に大きな影響を与えているようだ。

目標やターゲットの決め方、
それに対する気持ちの持ち方、
習慣の作り方…学べることはとても多い本。

時間を取って考えてみることは、
かけたコストの割にリターンが大きい、
割の良い投資となるだろう。

以下、メモを取ったところなのだが、
すごい量になってしまったので、
興味がある方はどうぞ。

人間というのは、自分を取り巻く環境についての
知識や信念やイメージに対して反応するのである。
物事の実像に対してではなく、
物事について抱くイメージに従って、
感じたり行動したりしているのだ。(p81)

自分を、「他人」の基準で判断するのはやめよう。
あなたは、「他人」ではないし、
「他人」の基準に達する必要もない。
「他人」もまた、あなたの基準には達しないし、
達する必要もないのである。(p105)

人間の行動や感情は、思い込みから生まれる
ということを記憶に止めてほしい。
あなたの行動や感情を生み出した
思い込みを取り払うためには、
自分自身に「なぜ?」と尋ねてみる。(p116)

幸福は、心の習慣であり、心の態度である。
そして現在身につけて実践しなければ、
決して味わえないのである…
完全に幸せになりたければ、
「何々だから」幸せというのでなく、
理由など持ち出さず、ただ幸せでなければならない。(p145)

他人を頑固で意地が悪いと思うより、
たとえ間違っていても誠実だと
信じるほうが、人間関係がずっと円滑になり、
お互いを分かり合えるようになる。
だからこう自問してみよう。
「あの人にはこれがどう見えるのだろう?」(p165)

自分に対して抱く感情は、
他人に対して抱く感情と一致する傾向にある…
人に対して思いやりを強くすると、
自分に対する思いやりも必ず増す。
人をそれほど重要でないと思えば、
自分のこともあまり尊重しなくなる。(p169)

自分を受け入れるとは、現在の自分を、
長所だけでなく短所や過ちもすべて、
ありのままに受け入れることだ。
ネガティブな要素は自分の属性であって、
自分そのものではないとわかれば、
自分を受け入れるのはやさしくなる。(p177)

虚しさを感じるのは、
創造的な生き方をしていない証拠だ。
自分にとって大切な目標がないか、
あるいは大切な目標に向けて
才能や努力を傾けていないかの、
どちらかである。(p199)

気にするべきものは、
他人ではなく自分の反応なのだ。
人間は緊張すると、怒ったり、
不安を覚えたり、傷ついてうらんだりする。
しかしリラックスして反応をやめると、
傷つかずにすむのである。(p210)

他人の発言(あるいは視線)の真意に心を悩ませて、
どれほど多くの時間を費やしてきただろうか?
あなたが気をもんでいる一方で、
当の相手はとっくにその出来事を忘れ、
いろいろな人や場所や物事に
関心を移しているものなのだ。(p231)

創造的な行動を意識的に起こそうと頑張りすぎると、
逆にそれができなくなってしまう。
ただ目標や最終的な結果を決めるだけのほうが、
ずっと簡単で効果的だ。(p274)

ネガティブな感情は、意識的な努力や
意思のパワーでは追い払えない。
だが、別の感情でなら追い払える。
ネガティブな感情を正面攻撃で駆逐できなくても、
ポジティブな感情に置き換えることで
結果的に駆逐できるのだ。(p279)

マクスウェル・マルツ
きこ書房 2009-03-27
¥ 1,620

感想メモ:日本はなぜアジアの国々から愛されるのか

★★★★☆

日本は、自分の国のことをキライな人が多いという、
世界的に見るとおかしな国だ。
これは、自然とそうなったわけではなく、
そういう意図の元に作られた教育の賜物である。

それが、いい影響をもたらしているのであれば、
別にいいかとも思わなくもないが、
そうとも思えない。

特に、日本は世界から好かれている国であり、
嫌っているのは中国と韓国と北朝鮮ぐらいのものだ。
これはBBCにより世界的な調査からもわかる。
日本は常に好かれている国の上位なのだ。

こういうことを知らずに、
日本はアジアから嫌われている、
と誤った理解をしているのはよろしくない。

この本では、アジアの支援の現場で活躍している著者が、
その国の人々と触れ合った体験を通して、
日本という国がどう見られているのかを語っている。

科学的にきちんと証明できるだけでも、
日本の歴史は1500年ぐらいあるんですよ。
それでも世界一なんです。だからもう堂々と胸を張って、
「われわれは世界一歴史を持った国家である、その国民である」
といったほうがいいですよ。(p6)

ベリリュー島の村人に言い伝えられていることがある。
「強風が吹いたら日本人が造った建物へ逃げ込め」

多くの日本人は、パラオをスキューバ・ダイビングのできる
リゾート地としてしか思っていないような気がする…
日本の子供たちにも、パラオの人々が
「日本を愛している々と伝えていきたい。(p74)

セロトニントランスポーター遺伝子は
別名「不安遺伝子」と呼ばれ、
それを最も持っているのが日本民族。
日本人は約80%、アメリカ約44%、南アフリカ約28%…(p139)

日本に対して好意を持ってくれている国があり、
けれども日本では、そのことがほとんど知られていない、
というのはとても残念なことだ。

子供には、「世界的に見れば普通」というレベルの、
健全な愛国心を持って欲しい。

感想メモ:糖質制限食パーフェクトガイド

★★★★☆

糖尿病の食事療法として生まれた
糖質制限食だが、ダイエットの手法としても
とても効果がある。

この本は、「パーフェクトガイド」
というだけあって、論文の内容は豊富。

著者は、糖質制限食の第一人者の江部先生。
「ドクター江部の糖質病徒然日記」のブログにも
情報は豊富にあるが、本書は内容を体系化し、
より理解しやすいかたちにまとめられている。

「食事の内容のうち、
血糖値を上げるのは糖質だけ」。
この生理学的な事実に加えて、
糖質制限食の有効性について
数々のエビデンスの裏付けが
積み重ねられ、アメリカにおいては
糖質制限食が定着しつつあるのです

ケトン体が増加するのは
一日の摂取糖質量が50g以下の場合
とされていますので、
これ以上の糖質を摂取すると
ケトン体増加はないことになり、
体外への排出もありえません。

入門書というよりも、より正確な知識を得たい、
疑問を明らかにしたい、という人にオススメです。

糖質制限って?という人には、
「マンガでわかる糖質制限」もオススメです。

感想メモ:メリットの法則―行動分析学・実践編

★★★★★

どんなに理不尽な行動でも、
習慣化している行動には、
その行動から受ける報酬がある。

その仕組みを理解することで、
自分の行動も、他人の行動も、
変えることができる。

「行動分析学」というものなのだが、
特徴は行動の「原因」だけではなく、
「結果として得られるもの」を分析するところ。

一日何十回も奇声をあげる子供がいる。
この子は、精神的に不安定、興奮する、
だから声を上げる、ということも言える。

しかしここでは、その結果を見る。すると、
「奇声を上げると母親が抱いてくれる」という結果
こそが、この子の行動を習慣づけている、
ということが見えてくるのだ。

従って、対策としては、
「奇声をあげたら母親がいなくなる」
「静かにしていたら母親が抱いてくれる」
というように、行動の結果からの調整を行う。
この方法で、この子は2週間で奇声を上げなくなったそうだ。

この行動の見方を「行動随伴性」と言う。
育児において絶大な力を持つのはもちろん、
大人に対しても、同じ効果を持つ。

この本で語られるのは、
好子(うれしいこと)・嫌子(いやなこと)
×
出現・消失

の4つの場合付けで、人間の行動の動機付けが
かなり自在に操れる、ということだ。

好子(いいこと)の出現、
嫌子(いやなこと)の消失は、
ともにモチベーションアップなのだが、
その中身は異なる。

好子出現→ポジティブな動機
嫌子消失→ネガティブな動機。ドーパミン

好子出現の方が、質の良い動機であると言える。
だからこそ、ムチは危険なのだ。

この本で語られる内容は、いわば
「外部報酬活用の精緻化」
と言える。

報酬主義をこえて」を読むと、
外部報酬は、内部報酬には勝てずイマイチ、
と思っていたのだが、そうとは限らないようだ。

好子出現は、最初は目的と動機がずれていてもいい。
行動しているうちに、随伴する好子が得られ、
行動自体が楽しくなるかもしれない。
そうなれば、それは内部報酬となる。

それでいいのかもしれない。

知っているのといないのとで、
自分に対しても、他人に対しても、
接し方が変わる力を持った本。
特に、育児をしている人には、
とても役立つ知識だと感じた。

最後に、ちょっと長いが、
なるほど、と思った部分を引用する。

DVや虐待やいじめにしても、
習癖や依存症や不安障害にしても、
あらゆる社会上の問題について、
当事者らがどう主張するかに
惑わされる必要はない。
ついつい、通常では理解できないような
行動をしている人がいる場合、
その行動をしている本人が言っていることが
真実であると思いたくなるかもしれないが、
ほとんどの場合、本人すら行動の機能に
気づいていないか、うっすら気づいていても
動機は隠したいものなのである。
したがって、行動の本当の原因を
しるために大切なことは、
その行動がどのような行動随伴性によって
増減してきたのか、
人それぞれの好子や嫌子を見極めることに
他ならない。

感想メモ:自分を愛する力

★★★★☆

「自分を愛する力」すなわち
「自己肯定感」について。

「五体不満足」の乙武氏は、
五体満足な多くの人よりも、
強い自己肯定感を持っている。
そしてそれは、両親からもらったもの。

僕が両親の子育てを振り返ったときに
最も重要だと感じたキーワードは
「自己肯定感」だった(p104)

自分の子供が両手足がなく生まれてきたときに、
果たして「かわいい」と言えるだろうか?

そう言えるような母親の元だからこそ、
彼を授かったとも言えるのかもしれない。

思いの根っこにあるのは「わが子のため」なのかもしれないが、
それを無理強いすることで、
いちばん大切にしなければならない
「わが子の思い」を踏みにじってはいないだろうか(p74)

人間関係の課題とは、
自分としては喜ばせているつもりだけど、
相手は喜んでいない、ということに気付く
ことなのかもしれない。

子どもがいる人、これから子どもを持つ人に
特にオススメです。

読んできた本の内容をまとめて紹介。