★★★☆☆
伊藤昇氏の「胴体力」は、シンプルでかつ効果の高い、
とても良いメソッドだと思うわけです。
その3つの動きと共通点が多いものとして、
「三軸修正法」というものがあると知り、
最初に読んでみたのがこの本。
500ページ弱と、かなりのボリューム。
しかし終盤に至るまで、ニュートン物理学についての話が多い。
運動量、慣性モーメント、角運動量、回転モーメント、
エネルギー、仕事、コリオリ力…
といってももちろん物理の本ではないので、
それらが身体にどのような影響を及ぼしているのか、
という視点から語られている。
そして最も知りたかった「三軸修正法」についてだが、
全20章のうち、20章目が「三軸修正法」について。
特に関連があるのは、最後の2章程度。
その2章の中に、参考になる部分が多かった。
このストレッチングという運動の効果は、
ロックされて縮んだままになった筋肉を、
本来の長さに戻す、という効果よりも、
むしろ、その部分に停滞していたリンパや静脈血を
移動させるという効果に期待するというものです。
「違和」を感じている部位は、必ず、
直達あるいは介達の、「力」が及んでいる可能性が高いので、
その部位に作用する「力」の所以を確かめ、
その「力」を減殺してから適切な処置をすべきです。
痛みが出ている部位が、痛みの原因であるとは限らない。
むしろ他の歪みが現れたというケースが多いということ。
カラダをムリに真っ直ぐにすると、
かえってカラダの機能を損ねてしまう。
真っ直ぐなカラダは、理想的な状態であり、
無理にガンバッテ、真っ直ぐにしていると、
かえって「歪み」がカラダに生じてしまう。
私の理解では、「三軸」とは躯幹(胴体)の動きを
・ヨーイング:左右のねじれ
・ローリング:左右の屈曲
・ピッチング:前後の傾斜
のやりやすさを分析するのが基本。
それぞれの動きをどちら側にしたときに呼吸が楽になるかで、
その人にとって楽な姿勢=機能姿勢を分析し、
三軸修正法で調整する、というもの。
この「機能姿勢」を維持したまま、息を吐ききり、
肛門を締めながら、全身に(頭の先から、手足の先まで)
隈無く力を入れ、全身の筋肉を収縮させます。
そのまま二、三秒耐えてから、一挙に脱力します。
このあたりは操体法に通じる所がありますな。
(参考:写真 図解 操体法の実際)
個人的には、17章の「歪み」以降がおもしろかった。
他の本を読んでいないのでなんとも言えないが、
「三軸修正法」に興味がある人が最初に手に取る本として、
適切な選択ではなかったかもしれない。
とは言え、色々参考になりました。
オススメ度は★3つです。
他の本も読んでみたいと思います。
関連:
その他の書評などはこちら。
→Socialtunes – haru