感想メモ:自分の答えのつくりかた

渡辺 健介
ダイヤモンド社 2009-05-22
¥ 1,680

★★★★☆

学生から社会に出て大事だと感じるのは、
「正しい答えなんてないのだから、
行動して試してみること」

だということ。そして
「一人では物事を動かせないから、
他人を動かす力」

この本は、
・情報を元に自分の考えをまとめて
・周囲の人を巻き込んで動かす
ための「知恵」の部分を伝えようとしている。

前作の「世界一やさしい問題解決の授業」と同様に、
子供(生物?)を主人公としたお話仕立てで、
若い人を対象にしているが、大人が読んでも全く問題ない。

以下の部分は、特に共感しながら読んだ。

人の意見に耳を傾け、何かを学び取る姿勢や
謙虚さは極めて重要だ。協調性も重要だ。
しかし、そういった姿勢を保ちつつ、
自立した考えを持つというのは別の話だ。
重要なのは、自分が育った環境の価値観を
無意識に受け入れるのではなく、
幅広い経験、価値観を試す決断を迫られる修羅場、
異なる価値観との衝突などを通じて、
自分の意志で己の価値観の核を一つひとつ形作っていくことだ。
人の意見は、口頭だろうが、書籍を通じてだろうが、
画像や動画を通じてだろうが、鵜呑みにしてはならない、
健全な批判的思考を持つ重要性を叩き込まれた。
社会に出たら、現実は複雑だ。そして、厳しい。
圧倒的な想像力、考え抜く力、心の優しさと強さ、
たたみ込む力、政治力などを身につけて、初めて理想は貫ける。

知識は触れているだけで得られるが、
知恵は体験を通じないと身につかない部分が多い。
この本は疑似体験を試みているのだと感じた。
オススメ度は★4つです。良著です。

渡辺 健介
ダイヤモンド社 2009-05-22
¥ 1,680


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感想メモ:一瞬で幸せになる方法

阿部 敏郎
サンマーク出版 2010-02-22
¥ 1,680

★★★★☆

タイトルに惹かれて手に取ったこの本。
いまここ塾」の塾長阿部氏の
第1回から6回までの講和内容がこの本。

阿部氏が語るのは仏教の話なのだが、
「幸せ」というテーマの話であるからか、
仏教と関係がない他の本と共通する部分も多い。

例えば、「今既に持っていることに気付く」という話は
ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則」は
心理学から同じ話にたどり着いている。

「幸せ」は、自分しか感じることがでいないのだから、
自分の気の持ち方、考え方次第なのだ。
と再確認できた。

他にも、次のような色々なヒントが得られた。

観念の書き換え方、新しい観念のつくり方は簡単です。
「言いつづける」ってことですね。
言葉ってのは、すごく意識に作用するんですね。
だから言いつづけるんです。
禅とは状態のこと。
いまここに気づいて、
落ち着いている状態。
当たり前の日常こそが、修行なんですね。
やれるだけのことはやるんですよ。
ただ、その心構えとして、期待を手放すってことです。

何を手に入れてもいいけど、執着だけはしない、
それが苦しまない秘訣です。
究極的な安心感や満足感、幸福感というのは、
すべてが自分だということを思い出すか、
逆に自分なんていなかったってことに
気づかなければつかめないんですよ。

考えてみれば、仏教というのは、何千年も前から
心を探求してきた人たちの知恵なのだな。
と、今更気付いた。
色々な悩みについて、気付きが得られる本でしょう。
オススメ度は★4つです。

阿部 敏郎
サンマーク出版 2010-02-22
¥ 1,680


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感想メモ:呼吸入門

斎藤 孝
角川書店 2003-12
¥ 1,260

★★★★☆

呼吸は、肉体にも精神にも影響を及ぼすので、
実はかなり奥が深い。

呼吸は、普通は特に意識せず無意識に行っているが、
一方で意識的に行うこともできるという珍しい動作だ。

ちょっと実験してみよう。
息を大きく吸ってから、何秒吐き続けることができるだろうか?
5秒?10秒?15秒続けられれば立派。

息を吐くことは、副交感神経優位
つまりリラックスした状態を作る。
逆に、交感神経優位は興奮した状態。
この両者のバランスを取るのが健康の秘訣、
というのが免疫学者の安保氏の本の主張。

ストレスフルな環境にいて、このバランスが崩れ
交感神経優位で興奮状態が続いてしまっていると感じたら、
次の齋藤式呼吸法を試してみよう。

「三・二・十五」の齋藤式呼吸法
鼻から三秒息を吸って、二秒お腹の中にぐっと溜めて、
十五秒間かけて口から細くゆっくりと吐く

3、2、15
吐くのが一番長いから、
数字だけ覚えておけばOK。

呼吸法というのは精神にも強い影響を与えるので、
齋藤氏が自らさまざまな方法を実験して、
誰にでも勧めることができるのが、上の方法なのだそうだ。

メンタルが大きな要素を占めるスポーツでも、
あるいはストレッチをする際にも呼吸は効果がある。

オススメ度は★4つです。
呼吸は常にしていること。
この呼吸法を確認できただけでも、
読んでよかったです。

斎藤 孝
角川書店 2003-12
¥ 1,260


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感想メモ:「結果を出し続ける人」の35の小さなコツ

★★★★☆

  • 朝型にする
  • 行動を起こす
  • 整理整頓は仕事の効率もアップ
  • 行動をスタートしたなら、50%達成したも同然
  • 続けるためには、目標は一日30秒
  • ライフミッションを持つ

タイトル通り、ライフハック、仕事術的な
「成果を出すコツ」が紹介されている。
私はかなり感性が合うようで、
頷きながら読む内容が多かった。

例えば、以下のような部分。
どれも耳が痛い言葉ばかり。

睡眠を削るのは逃げ。何の工夫もない。
忙しい中でこそ、心に余裕を持つべきで、
そうでないと煮詰まるばかりで、
かえって仕事の効率は悪くなってしまいます。
三分で決断できないことは三年たっても決断できない
一日三時間を一週間続けても、
それっきりやめてしまったら何の意味もありません。
それより一日三〇秒でもいですから、毎日、続けることです。

私は自分のモチベーションを高く保つための
ヒントを得ようと思って読んだところ、
以下の部分からヒントが得られた。

より踏み込んだ「ライフミッション」
(社会的な使命感を伴うような目標。英語ではmission in life)
を持っている学生は、圧倒的に強い。
「自分は何をすることで社会に貢献したいのか」、
ライフミッションのレベルにまで落とし込む。
その魔法の呪文とは、「エポケ」ー。
エポケとは、ギリシャ哲学の言葉で「判断停止」という意味です。
悩んだら広大な宇宙をイメージするー。

悩み過ぎて良いことはない。
いかにそういった思考から抜け出るか。
そのヒントが得られた。試してみよう。

オススメ度は★4つです。
仕事術系の本の中でも、多くヒントが得られる本でした。


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感想メモ:こうすれば病気は治る

★★★☆☆

自律神経は、交感神経と副交感神経からなる。
前者が緊張、後者がリラックス。

ストレスや緊張が強い状態が続き、
交感神経が優位になる

社会人にありがちなシチュエーション。

この交感神経優位の状態こそが、様々な病気の
隠れた原因になっているのだそうだ。
高血糖、胃潰瘍、高血圧、脳梗塞、ガン…

この交感神経と副交感神経のアンバランスがよろしくない。
この両者のバランスこそが、健康を司るのだ。

このことを覚えておくだけでも、
この本を読んだ価値がある。

安保氏の他の本よりも、専門的な知識が
多めに書かれている印象。
ざっくりと概要が知りたいのであれば、
病気知らずになる免疫力の高め方
「やめてみる」だけで 病気は自分で治せる
の方がオススメ。
オススメ度は★3つです。


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感想メモ:自然農法わら一本の革命

福岡 正信
春秋社 1983-05
¥ 1,682

★★★☆☆

不耕起、無肥料、無農薬、無除草の自然農法
それで米や麦、ミカンが作れるという。

結局、田を鋤く必要はなかったんだ、と。
堆肥をやる必要も、化学肥料をやる必要も、
農薬をやる必要もなかったんだ、
という結論になったわけです。

通常の作り方に比べて手間はかからず、
それでいて味はすばらしい。
その秘訣は土。

健全な稲を作る、肥料が要らないような健全な、
しかも肥沃な土を作る、田を鋤かなくても、
自然に土が肥えるような方法さえとっておけば、
そういうものは必要ではなかったんです。

夢のような農法だが、ここにたどり着くまでには
やはり相当の苦労があったようだ。

だが、こんな簡単な方法に絞るまでに、
私は四十年間費やしたのです。

自然と格闘し、人間が良いと思って行ってきたことが、
実はマイナスを積み重ねているだけだった。
そういった事実に直面した著者の言葉は重い。

「人間というものは、何一つ知っているのではない、
物には何一つ価値があるのではない、
どういうことをやったとしても、
それは無益である、無駄である、徒労である。」

食料自給率の低い日本において、
この自然農法はとても大きな可能性を秘めている。
ただ、昭和四十年にはその内容は発表されていたのだそうだ。

大きな可能性を秘めていることと、
世に広まるのこととは、別問題なのだろうか。

「奇跡のリンゴ」を読んでも感じたことだが、
「普通」から外れた茨の道を、切り開いていくことができる、
その理由は何なのだろうか?

農業などのトピックに興味がある人は、
特におもしろくよめるでしょう。
無農薬の農法については
「ニンジンから宇宙へ」奇跡のリンゴもどうぞ。
オススメ度は★3つです。

福岡 正信
春秋社 1983-05
¥ 1,682


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感想メモ:かばんはハンカチの上に置きなさい

★★★☆☆

「この商品を買いたい」というよりも、
「この人から買いたい」と思ってもらう。
それが営業なのだと感じた。

著者はリクルートとプレジデント生命、
それぞれでトップセールスを獲得したという、
すばらしい実績を残している営業マン。

華麗な営業トークを武器に、というよりも、
当たり前のことを当たり前にきちんと
やっている
、というのが第一印象。
和田裕美さんもそうかな。

その上で、小さなプラスを積み重ねることで、
秀でた存在になっているようだ。

「ちょっとだけ違うこと」を徹底することで、
ときには人と差をつけ、その積み重ねで今があると
思っています。

その一つが、ハンカチの上にかばんを置くこと
だったりするのだ。

以下、おもしろいと思った部分。

お客さまは、
「商品と一緒に周りの空気も買っている」
のです。
大切なのは本気で目の前のお客様の役に立てないか?
と重いながら接することです。
私はご契約いただくだめに、
お客様との飲み会や接待を一切しないからです。

その代わり、週5日は、家族と一緒に
夕食の食卓を囲んでいます。

こういう人なら、売るものが変わったとしても、
確実に良い成績を残し続けるのだろう。
営業職の人は、明日からでも活かせる気付きが
色々と得られると思います。
オススメ度は★3つです。


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感想メモ:病気知らずになる免疫力の高め方

★★★☆☆

健康。誰もに関係がある重要なトピック。
だからこそ、様々な情報があふれかえっている。

その中から、聞きかじりの断片的な知識を
組み合わせて生活している、
というのが多くの人の現実ではないだろうか。

この本では、免疫学者の安保(あぼ)氏が、
病気と戦ってくれる免疫の仕組みと、
健康についての知識について書いている。

免疫システムを考えると、
「自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを取る」
ということがポイントであるようだ。

そのために生活の中でできることとして、
以下のものがポイントとして挙げられている。

  • 体を冷やさない(冷やすと免疫力が低下する)
  • 適度な有酸素運動
  • 考えすぎたり心配すぎたりしない
体温が1℃下がると免疫力は約37%、
体内酵素のはたらきは50%も低下します。
体を病気から守るためには、体を温める食事や
体を冷やさない生活が大切です。

一方で、痛みや発熱などの病気に伴う症状は、
体が病気と戦っている反応なので、
薬で抑え込まない方が良いとのこと。

病気は原因を抑えずに症状だけ抑えても、
解決にはならないわけですな。

「体を冷やさない」ということが
思っていた以上に大事
みたい。
また、多少コレステロールが高くても、
ミトコンドリアにとっては良いことでもあるようだ。

血中のコレステロール値を下げるということは、
ミトコンドリアの機能を抑制するということです。
体を温かく保ち、持続力をつくるのはミトコンドリアです。

あまり数値がちょっとおかしいから、と言って悲観せず、
楽しく暮らした方がよいのかもしれない。

自律神経と免疫の仕組みについては、
同じ安保氏の以下の本で詳しく説明されているので、
興味がある人は読んでみるとよいでしょう。
「やめてみる」だけで 病気は自分で治せる

健康第一、体が資本。
体については正しい知識を持っておきたいですね。
オススメ度は★3つです。


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感想メモ:腰痛のナゼとナゾ

菊地 臣一
メディカルトリビューン 2011-08
¥ 1,365

★★★☆☆

ヘルニアが腰痛の原因。
二足歩行だから、腰痛になるのは宿命。
腰痛になったら、安静に。

40年腰痛についての医療に携わってきた著者は、
「これらは思い込み」なのだと言う。
まずショッキングなのが、以下の言葉。

実は腰痛の90%近くが原因不明なのです。

えっ?そうなの?

更に。ヘルニアだからといって
腰痛になるわけではない
そうだ。

もちろんヘルニアが原因で
腰痛を起こしている人は多数いますが、
椎間板ヘルニアがあるからといって
腰痛の原因とは直ちに断定できないのです。
腰痛がない人にもヘルニアは見られる
ヘルニアが縮小・消失する以前に症状がよくなっている

著者の意見は「ヘルニア自体ではなく、
ヘルニアで椎間板から出てくる化学物質が
痛みを引き起こしている」というもの。
ふむ。

また、先日ガッテン系のテレビでもやっていたが、
腰痛は精神的な要因で引き起こされることもあるようだ。

重いストレスを抱えたすべての人が
腰痛になるわけではありませんが、
心に過重な負担がかかると様々な症状が体に出てくる、
腰痛もそのひとつ
私には、腰痛を訴えているのではなく、
「腰痛」を使って感情表現しているようにも思えるのです。

このトピックについては、
心はなぜ腰痛を選ぶのか」も参照されたい。

で、腰痛はどうすれば治るのだろうか?

腰痛の患者さんが自分にとって快適と思われる
運動を継続することは、
心身の健康を維持するうえでも
おおいに意味があるでしょう。

人間の体は動いて暮らすようにできているので、
動かないで筋肉が衰えてしまうより、
可能な範囲で日常生活を行う方が治りが良いようです。

オススメ度は★3つです。
腰痛持ちの人は、ぜひ一読を。

菊地 臣一
メディカルトリビューン 2011-08
¥ 1,365


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感想メモ:マドンナ・ヴェルデ

海堂 尊
新潮社 2010-03
¥ 1,575

★★★☆☆

著者は「チーム・バチスタ」シリーズの海堂尊さん。
ジーン・ワルツのストーリーが、
別の人物の視点から語られている。

ジーン・ワルツは読んでいたので、
何が起きるかはわかっていたのだが、楽しく読めた。
適度に忘れていたから これはひとえに作者の力量だろう。

あるお話の別の面を見ることができるというのは、
普通は同人誌でしか実現しないようなものだ。
しかし海堂氏はこれを作者自身がやっているわけで、
「知られざる面を知ることができる喜び」
といったおもしろさがある。

このあたりにの小説の作りついては、
ジェネラル・ルージュの伝説に詳しい。

トピックはジーン・ワルツと同じく、
不妊治療、体外受精、代理出産など。
特に代理出産に対する国の精度の不満が、
登場人物の口を借りて痛烈に飛び出してくる。

これらのトピックについても、
AIの話と同様に、実社会を変わってくれることを
願わずにいられない。

ジーン・ワルツよりも軽い流れで、スッと読める。
あまり硬い本を読みたくないときに、よいと思います。
オススメ度は★3つ、おもしろかったです。

続編が医学のたまご

海堂 尊
新潮社 2010-03
¥ 1,575


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読んできた本の内容をまとめて紹介。