感想メモ:体制維新

橋下 徹,堺屋 太一
文藝春秋 2011-11-01
¥ 893

★★★★☆

大阪府知事の橋下氏が、現在の政治家の中で
最重要人物の一人であるのは間違いないところ。
その彼の主張をじっくり聞いたり読んだりしたことが
なかったので、良い機会ということで読んでみた。

まず感じたのが、以下の点。
・非常に強力なリーダーシップ
・結果を出しているからこそ、説得力が増している
・ビジョンを示すことができる数少ない政治家

既得権益を切り崩すことを厭わない橋下氏は、
必ず抵抗勢力を作り出さざるを得ないだろう。

行政改革を徹底し、財政再建を進めた結果、
十年連続して赤字だった府の財政を
二年目に黒字に転換させたのです。(p66)

横浜市の田中元市長の例にもあったように、
ネタの捏造をも厭わない、マスコミによる
イメージ操作などが、今後行われていくだろう。

しかし、ぜひ改革を進めて行ってほしい。
応援したいと感じた。

以下、メモした点。

本当の改革とは、人事の交代や政策の変更ではなく、
体制(システム)を変えることなのです。(p22)
今の財務省も同じことをしているんです。
国家事業を効率化して財政赤字を減らそうというのではなく、
シーリング(予算要求の上限)を付けて要らんものも全部温存して
赤字を増やす、という仕掛けをしている。
その挙げ句に、この不況のさなかに増税する。(p57)
僕は、仕組みを変えるときは、
一点突破の全面展開を考えます。
ここがポイントだと思うところに
ドーンとエネルギーを集中して、
現行制度の欠点をあぶり出していく。(p76)

オススメ度は★4つ。
ここ数年が、大阪の政治の転換点となるはず。
注目しましょう。

橋下 徹,堺屋 太一
文藝春秋 2011-11-01
¥ 893


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参考:
体制維新-大阪都: 本読みな暮らし
今年は総選挙がおもしろい!!・書評『体制維新-大阪都』 : バクヨミ!!part2

感想メモ:ゆるく考えよう

★★★★☆

Chikirinの日記のちきりんさんの本。

ちきりんさんがページビューを集める理由というのは、
独自性のある考え方を提示しているからだと思っている。

世の中色々なことを言っている人がいて、
自分の頭で考えたことを発信し続けている人もいれば、
人の言うことの揚げ足を取ることに
全精力を注いでいる人もいる。

ちきりんさんは前者の中でもすごい人。
本の内容は、ブログの内容を元に大幅加筆したものだが、
どれもいわゆる「よくある言説」とは違う切り口になっている。

書かれている意見全てに賛同するわけでもないし、
むしろ私とは異なる意見も多いが、そんなの当然であって、
それも意見が提示されているからこそ感じること。
オススメ度は★4つです。


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感想メモ:「また、必ず会おう」と誰もが言った。

喜多川 泰
サンマーク出版 2010-11-18
¥ 1,470

★★★★☆

高校生活での夏休み。
熊本から東京へ日帰りで出てきたが、
夕方の帰りの飛行機に乗り遅れてしまった。
財布の中には3000円ほど。
訪ねる知り合いも泊まるあてもない・・・

そんな状況になったら、どうするだろうか。
「なんでオレがこんな目に・・・」と
途方に暮れるだろうか。
それとも「きっと一生忘れられない体験になる!」
と前向きに考えられるだろうか。

主人公の秋月くんも、始めはモロに前者だった。
しかし、人々との出会いが彼を変えていく。
そんなストーリー。

「手紙屋」の喜多川さんらしく、物語に乗せて、
若者へのメッセージが伝えられている。
もちろん、大人にこそ響くメッセージも
あるわけで、我が身を振り返ったり。

オススメ度は★5つです。
とても良い本でした。

喜多川 泰
サンマーク出版 2010-11-18
¥ 1,470

参考:
「「また、必ず会おう」と誰もが言った」喜多川 泰 – 【本ナビ】本のソムリエの一日一冊ビジネス書評


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感想メモ:ブレイズメス1990

海堂 尊
講談社 2010-07-16
¥ 1,680

★★★☆☆

著者はチーム・バチスタの海堂尊氏。
ブラックペアン1988の2年後を描いた続編。
田口センセではなく、世良先生が主人公。
ブラックペアン1988が未読の人は、
そちらを読んでからの方が良いでしょう。

今回のテーマは、個々の技術というよりも、
医療のあり方という大きなものなのかもしれない。
この世良先生シリーズも、今後どう収束していくのか
楽しみになってきた。

いつもながらの安定したクオリティで、
他の作品を楽しめた人にはオススメ。
オススメ度は★3つです。

海堂 尊
講談社 2010-07-16
¥ 1,680


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感想メモ:自己コントロール―能力開発の心理学

★★★☆☆

自分の体を自分でコントロールできる。

そういうスキルを身につけることで、
様々な場面に対処できる自信を持つことができる。
スポーツ選手が本番での緊張に対処するという方向もあれば、
日常生活のストレスに対処するという方向もある。

つまり、体のコントロールを通して、
自分の心をコントロールできる

というのが「自己コントロール」ということなのだろう。

こういった自己コントロールのテクニックは、
ひとりでも訓練が可能なのだそうだ。
この本では、その自己コントロールの手法として、
・リラクセイション
・メディテーション
・イメージコントロール
を自己訓練で身につける方法が書かれている。

確かにこの本に書かれた通りきちんとやれば、
ある程度身につけることはできるのだろう。
ただ、やはり「これでいいのかな?」という疑問はぬぐえないし、
一人でやっていると、毎日時間を取って訓練する、
というのはハードルが高かったりする。

つまるところ、
「おもしろそうだからちょっとやってみようかな」
程度の興味だと難しいのかも。

オススメ度は★3つです。
私はたどり着けていませんが、
きちんと実行できれば、とても有用なことが
書いてあるような気がします。


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感想メモ:ダーリンは外国人 with BABY

小栗左多里&トニー・ラズロ
メディアファクトリー 2008-03-12
¥ 1,050

★★★☆☆

子供の誕生前後で、親の生活は一変する。

それはどこの国の人でも同じだろうが、
一変した後の落ち着く姿は、
その国の文化によって異なるだろう。

例えば欧米では生れてすぐの赤ちゃんでも
親とは別の部屋で寝るそうだが、
日本ではごく少数派だろう。

ということで、出産&育児マンガとしてもおもしろいのだが、
ラズロさんのコメントのページもおもしろかったりする。

オススメ度は★3つです。
子供を持つ人であればニヤリとしながら読めるでしょう。

小栗左多里&トニー・ラズロ
メディアファクトリー 2008-03-12
¥ 1,050


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感想メモ:未来記憶

池田貴将
サンマーク出版 2011-09-13
¥ 1,365

★★★★★

テーマは「目標達成」
仕事だけではなく、プライベート、
人生における目標であってもいい。

まじめな人の傾向として、目標に期限を切ると、
できなかったらと不安になったり、
目標のことを思い出すのもイヤになったりする。
こんな状態を、どう解決すればいいのだろう?

目標達成に向かうエネルギー源は、理性ではなく感情。
「未来記憶」とは、感情を伴って、
じっくりと未来をイメージする
こと。
これが本タイトルでもある、この本のキーコンセプト。

普通過去の記憶で生きていて、
明るい未来を思い描いて楽しくなるような時間は
圧倒的に足りない。

過去の記憶がマイナスの感情を生み出すので、
それをプラスの感情を生み出す「未来記憶」で
塗り替えればいい、ということ。
それこそが目標達成のエネルギー源となる。

EPPRサイクル
Emotion(感情)→Potential(可能性)→Performance(行動)→Result(結果)

目標の期限設定や、計画からのズレについても、
おもしろい捉え方をされている。

「期限は守らなくてはいけないものだ」という思い込みこそが、
目標達成の難易度を上げてしまっていたのです。

期限を決める理由は「どのくらいのスピードで成長するのかを
自分で確認するため」だけにある
のです。
計画からズレだということは、
「学び、成長するチャンスがやってきた」
という合図
なのです。
1、目標の価値は「今」をどれだけ変えられるかで決まる
2、目標は「取り組むこと自体に価値がある」ものを選ぶ
3、目標とはどんなに自分が成長したいかを明確にする手段である
4、目標とはつねにバージョンアップするものである
5、目標の期限は、自分の「成長速度」を決めるためのものである

実用的かつ新しい考え方を知ることができた。
自分の考え方に取り入れてみたい。
オススメ度は★5つです。良い本でした!

池田貴将
サンマーク出版 2011-09-13
¥ 1,365

参考:
「未来記憶」池田貴将 – 【本ナビ】本のソムリエの一日一冊ビジネス書評


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感想メモ:君の笑顔に会いたくて

大沼 えり子
ロングセラーズ 2008-07-01
¥ 1,575

★★★★☆

熱いハートの持ち主

DJロージーこと大沼えり子さんの、
保護司としての活動を通じた
少年たちとの出会いの記録。
活動にかける熱意と夢。
大沼さん自身の生い立ちと半生。
どれもがその密度の濃さに驚かされる。

それらのストーリーを一貫しているのが、
大沼さんの生き様。
とにかくハートが熱い。
文中で「夢」として語られている、Rosy Bellのサイトはこちら。
Rosy-Bell~ロージーベル~ – Rosy-Bell
ぜひ実現して欲しい。

オススメ度は★4つです。
大沼さんはすばらしい。
読めば、あなたも応援したくなるはず。

大沼 えり子
ロングセラーズ 2008-07-01
¥ 1,575

参考:
「君の笑顔に会いたくて」大沼 えり子 – 【本ナビ】本のソムリエの一日一冊ビジネス書評


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感想メモ:動作のこころ

成瀬 悟策
誠信書房 2007-02-09
¥ 2,940

★★★★☆

「動作法」を提唱した成瀬悟策氏による、
「動作法」の集大成というおもむきの本。
かなり盛りだくさんがまとめられている。

この「動作法」では、
肩や腰など、身体の凝りに対して、
特徴的な捉え方をしている。

人は、無意識な習慣として、
ある動作に必要ではない余計な動作
(随伴動作)を行っている。
その積み重ねで、筋肉の緊張が
ずっと居座るようになると、
凝りとなって定着してしまうというのだ。

随伴動作→その人特有、無意識、習慣化、日常化

随伴緊張、居座り緊張→肩まわり、腰まわり、肩関節、股関節

気持ちの不調、不安定

そしてそれらの緊張が、
心の不調という形としても現れるという。

そのからだの持ち主である主体が
肩周りに力を入れ、筋の緊張状態をつくり、
それが習慣化・恒常化して、
しかも動かさないままでいるため、
その部位の感受性が低下し、
自分で操作する感じも
分かりにくくなってしまった
というのが、その本質的な原因である。
だが、そうした動作の偏りは、
当人が自分で造り出したものだけに、
彼自身でそれを変化させる
ということはきわめて難しい。
心理臨床的な問題があれば、
それは<必ず>動作に現れる…
何らかの問題があれば、それを
からだのどこへどんな形で表現するかは、
その人その人によって個別特定的である。

この動作法のおもしろいところは、
「自分で自分をゆるめる」
という意識を持てるようになると、
精神的にも前向きになるという変化が
起きるということだ。

事あるごとに肩の緊張へ逃げ込むことで
事態を処理するような生き方を棄て、
リラックスして自由な動きと気持ちで
生活の場へ真正面から対面して
事を処理しようとするような活動へと、
生活場面および自体に対する主体の対応の仕方を
変化させるのを目的として援助したのである。

身体や健康について興味がある人なら★4つ。
興味深かったです。ありがとうございます!

成瀬 悟策
誠信書房 2007-02-09
¥ 2,940


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感想メモ:ユダヤ5000年の教え

★★★☆☆

「ユダヤ人」と言うと、世界を牛耳っているとか
優秀な人が多いとか、そんな印象。

しかし、ユダヤ人という単一民族がいるわけではなく、
「ユダヤ教を信じる人がユダヤ人」らしい。
実は、あなたも明日からユダヤ人になれるのだ。

ユダヤ人は生まれた瞬間からユダヤ人なのではなく、
環境、教育によってユダヤ人になる。
これがユダヤ人が世界一教育熱心だと
言われる理由でもあるのだろう。

この本は、そのユダヤ人の教育の
エッセンスについて書かれた本。
格言、金言集的な印象。

以下、メモした部分。

「ユダヤ人は、どうしてそんなによく質問するのだ?」
「どうして、質問してはいけないのだ?」
事実、ユダヤ人に質問すると、質問で返ってくる場合が多い。
ユダヤ人の特徴は…楽観的なことである。

神がつくられた世界を楽しまないのは、
神さまに対して失礼だというのである。
<目には目を、歯には歯を>

これは「目にモノ見せる」という意味ではなく、
補償が妥当であるべき、ということを説いた
言葉なのだそうだ。
例えば、目には頭を、歯にはアゴ全体の補償を
求めるべきではないということ。
知らなかった!

最後に。

賢人とは誰か?あらゆる人から学べる人。
強い人とは誰か?感情を抑えられる人。
豊かな人とは誰か?自分の持っているもので満ち足りている人。
人に愛される人とは誰か?あらゆる人をほめる人。

自分はどれにも当てはまらないような気がしてしまうが、
気にしないことにします。
オススメ度は★3つです。

参考:
「ユダヤ5000年の教え」ラビ・マーヴィン・トケイヤー – 【本ナビ】本のソムリエの一日一冊ビジネス書評


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読んできた本の内容をまとめて紹介。