感想メモ:「心の時代」にモノを売る方法

★★★★☆

「所有権の移転」から、「心の充足」への消費の形の変化。
若者の車離れなども、その現れとして理解することができる。

こういったビジネスの潮流の変化を以前から提唱、
実践し、成果を出してきたのが、著者の小阪裕司氏。
以前から小阪氏の本はよく紹介している。

内容は、これまでと今後のビジネスの変化の流れ、その対処について。
活動20年となる小坂氏の主張は一貫していて、
「心の豊かさ」を提供するビジネスこそが、
消費者に求められていくものだ、というもの。

以下、興味深かった、メモした部分。

今、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」への希求に
押し出されるように、もうひとつの経済が
主流をなそうとしているのである。(p56)

・そもそも伝えるべき相手に、伝えるべき価値を伝えていない
・自社の商品・サービスの価値を、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」の面から
 とらえ直し、お客さんに対して発信していない
・「モノ」を「コト」として見られていない(p106)

新書で読みやすいサイズでありながら、小阪氏の兼ねてからの主張と共に、
最近の活動の成果なども盛り込まれている。興味深く読めました。


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感想メモ:ハーバード白熱日本史教室

★★★★★

タイトルから「ハーバード白熱教室」の二番煎じ?と
想像される方がいるのも自然なことだろう。
しかしその予想は、いい意味で裏切られた。

著者は、1980年生まれの若さでありながら、
ハーバード大学で日本史を教えている、北川智子さん。
その講義は、学生からの絶大な支持を受けているそうだ。

しかし北川さんの大学での専攻は、数学と生命科学。
なんで?どうしてそうなった???

内容は、ハーバードで教鞭を取るに至ったストーリー、
ハーバードで教えている講義の内容、
ハーバードの講義のシステムなど。
北川さんが教える日本史も興味深いし、
本の構成もわかりやすい。

講義の内容については、本書を読んでもらうとして、
私の印象に残ったのは、北川さんの、講義に取り組む姿勢。
そして、人生に対するスタンスのようなもの。

必死すぎて、何をどう教えたかよく覚えていない。
とにかく知っていることをしゃべり、
学生の質問と興味の向く方向へ授業をもっていった。
楽しむことに徹した。(p41)
楽しむことを忘れたくなかった。
笑う余裕も忘れたくなかった。
このクラスのオリジナリティーは、
私という人間の面白さにあると信じて教室の演壇に立った。
その自信だけは絶対に失ってはいけないと、いつも誓った。(p50)

ハーバードで、世界一賢い学生たちに対して講義をするということは、
相当プレッシャーがかかることと予想される。
しかしそこに、悲壮感はない。
教えることの意義、使命感を、常に第一に置いているからなのだろう。

私は、日本という国が、世界に誇る文化や慣習を持つ、
素晴らしい国だと信じている。
しかし、経済の状況や中国の台頭などから、
世界の日本への注目度は下がってきている。

しかしそれは日本の価値が下がっているというよりも
プレゼンテーションの問題であり、
世界に貢献できる日本の価値はいっぱいある。

そんな中、ハーバードという世界の頭脳が集まる場所で
これだけの評価を受けつつ日本について教えるということは、
ものすごく価値がある。
これはもう、国としてバックアップすべきじゃないかしら?

予想以上にすばらしい本でした。オススメです。


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感想メモ:奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890

★★★★☆

衝撃的な本だった。

管理は人のモチベーションを下げる。
自主性、主体性こそが最大のパフォーマンスを発揮する鍵である、
という理屈はわかっていた。

しかしそれは理屈上の話であって、
小さい組織では実現できても、
数千人規模の組織では難しいだろうと思っていた。

しかし、グループ社員数千人、
年商数億ドルという単位で、
そういった経営が既に実現していたとは!

しかも、その会社はブラジルにある。
ラテン系で、日本人よりもはるかに
自分の欲求に忠実な民族というイメージ。

ならば、異常な真面目さと勤勉さを誇る日本でも、
できるはずじゃないか!

大切な週末を、仕事に侵食されるのとはまったく逆で、
貴重な遊びの時間やプライベートな時間、家族との時間を、
平日の仕事の時間に持ち込むのです。
それをわたしは「一週間毎日が週末発想」と呼んでいます。(p13)
仕事に対して抱いている従来のイメージ
「単純な繰り返し作業、退屈、激務」を、
「仕事=心から楽しく、幸せと自由なもの」に
代えるだけのこと。(p16)
  • 組織階層がなく、公式の組織図が存在しません
  • ビジネスプランもなければ企業戦略、短期計画、長期計画といったものもありません。
  • 会社のゴールやミッションステートメント(企業理念)、長期予算がありません
    (中略)
  • 人事部がありません
  • キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がありません
  • 誰もレポートや経費の承認をする人はいません
  • 作業員を監視・監督していません
自分が「やりたい」という意欲が持てない仕事は、
はじめからするものではない!(p92)
「コントロール」は、学習する人の興味を奪ってしまう。(p150)
「直観」、「幸運」、「失敗」、「セレンディピティー」
これらの四つは、ビジネス上最も大切なコンセプトです。
しかしながら、ほとんどの会社では、
「コントロール」という壁が障害となり、
これら四つとかけ離れた経営をしています。(p339)

コントロールしない。
責任をもった大人として扱う。

それが、自発的な組織作りの鍵であると読んだ。

とてもおもしろかった!

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890


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感想メモ:強者弱者はふくらはぎで決まる

★★★☆☆

心臓から出ていって足まで降りていった血液は、
フクラハギの筋肉をポンプ代わりとして心臓に戻される。
だから「ふくらはぎは第二の心臓」と言われたりする。

足裏のツボの図を見たことがある人も多いかと思うが、
足裏には反射区があり、そこを揉んで柔らかくしておくと、
全身の体調を整えることもできる。

また、フクラハギも揉むと、当然気持ち良いので、
リラックス効果といった精神面の効果も期待できる。

それだけに、足やふくらはぎのメンテナンスは、
体の健康全体に関わってくる大事なこと
なのだ。

フクラハギを揉む効果としては、
以下のようなものがあげられている。

  • 体力の回復が早い
  • グッスリ眠れる
  • 気力が湧く
  • 体脂肪が燃えやすい
  • 体温が上昇する
  • 臓器の働きも良くなる

揉みすぎると痛くなることぐらいしか、
デメリットはなさそうな感じだ。

お風呂で揉んでおくだけでも、
気付くと体が軽くなっているかも。


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感想メモ:ずっとやりたかったことをやりなさい

ジュリア キャメロン
サンマーク出版 2001-04
¥ 1,890

★★★★☆

人は皆、クリエイティブなアーティストとして生きる、
才能の可能性がある。しかし

「自分にはそんなのムリだ。できるはずがない。」

と、自分で自分の可能性の芽を摘んでしまっている。

「どうやって創造性を取り戻すか」というワークがあるそうだ。
この本は、それを紙上で12週間のワークとして再現している。

特に気になったのは以下の2つのワーク。

・モーニングページ
朝頭に思い浮かんだことをノートに書き記す。
自己理解と潜在意識のクリーニング。

・アーティストデート
週に一度でも、好きなことをすることを自分に許す。
センサーを蘇らせる。

日本の大人は特に、
「好きなことをする」ということに対して
蓋をして生きている人が多いと感じる。

一度しかない人生なのだから、
彩り豊かに過ごしたい。
と思うのは、決して贅沢ではないはず。

そう感じている人に、読んでもらいたい本です。

ジュリア キャメロン
サンマーク出版 2001-04
¥ 1,890


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感想メモ:未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II

ティナ・シーリグ
阪急コミュニケーションズ 2012-05-31
¥ 1,470

★★★☆☆

自分の中で無意識に設定している、
思考を制限している枠に気づき、
それを外して考えること。

成功を生み出すのは行動しかない。
トライのないところに成功はない。
失敗は成功の必要条件と捉えること。

こういったことが大事なことは、
頭で理解しているだけではダメで、
実感を伴い、腹に落ちて理解していないと、
行動には結びつかない。

この本で紹介されているのは、
まさにそういったことを身につけるために行われている、
スタンフォードでの集中講義(実習?)の内容。

クリエイティブな活動をしている時は、
通常なら新しいアイデアを退ける部位の機能が
低下すると考えられるのです。(p16)
クリエイティブな人たちは、
この機能を停止させるコツを身につけていて(p16)

元々クリエイティブなことができる人もいるが、
日本人は、教育的な背景からそういった人の割合が
少ない気がする。

この本は、クリエイティブな思考をするコツを得ることは可能だ、
という希望と考えられると思う。
ぜひこういった教育が、日本の学校でも
実施されるようになって欲しい。

ティナ・シーリグ
阪急コミュニケーションズ 2012-05-31
¥ 1,470


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感想メモ:腹だけ痩せる技術

植森美緒
メディアファクトリー 2012-04-27
¥ 777

★★★☆☆

ぽっこりお腹を凹ませたい。しかし、

  • 腹筋を鍛えてもお腹は痩せない
  • 走ってもお腹は痩せない

とのこと。
そのお腹痩せを実現する鍵が、ドローイン。

ドローインとは、お腹を凹ませること。
同じ人でも、お腹の力を抜いて膨らませたときと、
お腹を凹ませたときでは、ウエストのサイズは
5cmは違うだろう。

「お腹に力が入って凹ませた状態」
を体に覚えさせる、ということが、
この本のポイント。

同じ日常生活を過ごしていても、
お腹を凹ませているのといないのでは、
消費カロリーがかなり違うらしい。

例えば、同じ速さで同じ時間歩いても、
お腹を凹ませているだけで、消費カロリーが
30%以上アップする
そうだ。効果バツグンだ!

1000Wの電子レンジやドライヤーよりも、
ずっと働いているトイレの便座保温の方が電気代に効く、
というように理解すればよいだろう。

効果は間違いない。となると問題は、
「どうやってお腹を凹ませた状態で過ごせるようになるか」
ということになる。ここが最大の難関だろう。

なるべく努力せずに、習慣づけたいところで、
生活の中でできるドローインの方法が紹介されている。
最初は努力が必要ですな。

お腹が気になる人には、オススメです。

植森美緒
メディアファクトリー 2012-04-27
¥ 777


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感想メモ:100歳までボケずに歩ける「脳トレ」ボール体操

★★★☆☆

タイトルを見ると「高齢者向け?」と思うが、中身は、
ピラティスの小さいボールを使ったエクササイズ。
日頃運動する機会が少ない、デスクワークが多い人に
いいのではないかと感じた。

体を使うと、脳の血流も活発になる
むしろ、脳を活発にせずに体を動かす方が難しい。
というかたぶんできない。

ウォーキングでアイデアが出る、というような知見も、
このことと関係があるだろう。
「勉強に運動をすると成績も上がる」ということを、
学校単位の実験で示したデータもある。
感想メモ:脳を鍛えるには運動しかない!
感想メモ:ブレイン・ルール

本では様々なエクササイズが紹介されている。
個人的に良いと思ったのは、エクササイズではなく、
「椅子の座面にボールを置きその上に座る」
というボールの使い方。
ボールの上は不安定だから、悪い姿勢をしたくても、
つらくてできないのだ。

エクササイズは、自分でやろうと思ってやらなければならない。
でも上に座るだけなら、がんばらなくて良いところがすばらしい。
これが続けるポイントだと思う。

本にボールもついていて1050円なので、オトクな感じです。


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感想メモ:決めて断つ

黒田 博樹
ベストセラーズ 2012-04-21
¥ 1,470

★★★☆☆

日本では広島のエースとして活躍。
ドジャースで4年間安定した活躍を見せ、
12年からヤンキースへ移籍した黒田投手。

顔や投球フォーム以外はあまり知らなかったのだが、
どういう性格で、どのように育ってきた人なのか、
この本を読んで知ることができた。

非常に慎重で自制が強い。
派手ではなく着実に積み重ねていくタイプ。
力のピッチャーによく見られる、自信家ではない。
それは、高校の頃は補欠だったという意外な事実が、
彼の野球観を形作っている大きな要素だからなのかもしれない。

私が興味を持ったのは、
広島からドジャースへ、ドジャースからヤンキースへと
移籍するときの決断に関する部分。
特にヤンキースへの移籍については、相当悩んだようだ。

出版サイドも、ここがこの本の核だと思ったからこそ、
このタイトルにしたのだろう。

どの道でも、一流の人には一流である理由がある。
と再確認できた本でした。

黒田 博樹
ベストセラーズ 2012-04-21
¥ 1,470


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感想メモ:人生教習所

垣根 涼介
中央公論新社 2011-09-30
¥ 1,785

★★★☆☆

小笠原諸島で行われる、
「新しい認知を確立させ、新しい生き方の指針となるセミナー」。
全国から参加者が集まったそのセミナーにおける、
参加者の行動や内面が描かれている。

4人のタイプが異なる中心人物がいて、
誰もが、誰かしらに共感する部分があるように
書かれていると感じた。

何も問題を抱えずに生きている人なんていない。
それならば、そんな自分をどのように認識し、
どのような姿勢で生きていくか

それこそが、その人の人生の質を
規定するものなのだろう。

そして、そんなこと言われても、すぐに
はい、そうですか、と自分の考え方を
変えられる人なんていない。

この物語を読むことで、自分のなかにある
何かに気づくヒントを得る機会となれば、
読んだ価値は十分あると言えるだろう。

私の中に刺さったのは以下の部分。

無意味な心の規制さえはずせば、
足の竦みなどなくなる。

ただし、その自由と引き換えにするもの……つまりは覚悟だ。

私がこの本を読んで連想したのは、喜多川泰氏の著作。
この本がおもしろいと思った人は、
喜多川氏の作品がヒットする確率は高いでしょう。

垣根 涼介
中央公論新社 2011-09-30
¥ 1,785


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読んできた本の内容をまとめて紹介。