感想メモ:七人のトップアスリートと骨盤力

手塚 一志
キネマ旬報社 2010-03-25
¥ 1,890

★★★★☆

田中将大、錦織圭、浅田真央など、
7人のトップアスリートの動きを、
骨盤の使い方という切り口で分析。

著者は、「シンクロ打法」「ダブルスピン」「ジャイロボール」など、
日本のスポーツ理論に数々のブームを巻き起こした手塚一志氏。

この本のメッセージは、

「動きは骨盤から始まる」
そのコントロールバーが弓状線

ということ。
しかし、股関節の位置もわからない人も多い中で、
骨盤の奥にある弓状線を意識できる人は、
ほとんどいないような気がする。

  • 足は内側に入れず、外エッジを使う
  • スイングの前脚太ももは外側に捻る
  • 膝を前に出さない
  • つま先に体重をかけず、むしろ踏み込む足のつま先は立てる

など、気付きがあった。

卓球の石川佳純選手がフォアハンドで
テイクバックしている写真があるのだが、
前足である右足の靴を見ると、内側が上がっている
ということに驚いた。

彼女はサウスポーなので、左右逆になる。
例えば右利きのテニス選手が、
フォアハンドで左足の内側が上がるということ。
そうなんだ…

他にも、

テニスのフォアハンドはファーストライナーのイメージ

など、色々なヒントが得られた本だった。
スポーツはおもしろいなぁ。

手塚 一志
キネマ旬報社 2010-03-25
¥ 1,890

感想メモ:股関節のチカラ 真向法でからだ革命

ベースボール・マガジン社 2008-06-20
¥ 1,575

★★★★☆

股関節の柔軟体操である真向法の本。
非常にやっている人の平均年齢が高そうな真向法だが、
もっと評価されるべきだと思う。

特に何かしらのスポーツをやっている人、
あるいは足腰に故障を抱えているは、ぜひやるべき。

また、日頃全く運動をしないけれども健康は損ないたくない、
という人にとっても、非常に時間投資対効果が高いものなのでオススメ。

つまるところ、万人にオススメ。

2008年6月に出版されているということは、近年の股関節ブーム(来てるのか?)で
体のメンテナンスが見直されているということなのかもしれない。

<追記>
と思ったら絶版になってました…

ベースボール・マガジン社 2008-06-20
¥ 1,575

感想メモ:団塊ジュニア1400万人がコア市場になる!!

★★★☆☆

今後、日本の人口は減って行く。
生活必需品はだいたい揃っているし、市場は飽和している。
そんな中で、誰をターゲットに商売をすればいいのか?

という疑問に答えている本。

「団塊ジュニア世代」というと、一般的には
第二次ベビーブーム世代とイコールだが、
著者によると、それは「ニセ団塊ジュニア世代」であり、
「真性団塊ジュニア世代」はその数年後の世代なのだそうだ。

そしてこの世代こそがキーである、
というのが著者の主張。

人々の関心は大量生産、大量消費から、
高い付加価値に満足を得ようとする
方向に向かっている。(p221)

 

その専門分野に詳しいアドバイザー的な役割が
求められている。(p223)

 

自分の心と体をきれいに元気に保とうとする意識は、
若い世代ほど敏感で、そういうことにお金をかけることにも
ためらいがないと言えそうだ。(p238)

デモグラフィックは、ほぼ変わらない。
その世代が持つ志向も、変わりにくい。
一度つかめば、応用が効く知識になるだろう。

消費者向けのビジネスで、
特にマーケティングに関わっている人には、
様々な気づきが得られる本でしょう。

感想メモ:舌は下ではなく上に

★★★★☆

何も食べたり飲んだりしていないとき、
舌はどこにありますか?
どこに触れていますか?

舌の位置を正すことで、
姿勢、睡眠、歯並びなど、
様々な良い効果が得られますよ

というのがこの本の主張です。

口呼吸ではなく鼻呼吸を習慣づけることがとても大事。
そのためには舌に変なクセがなく、
正しい位置にあることが必要となってきます。(P31)

口呼吸が良くないのは有名ですね。
では、舌の正しい位置とは?

舌の先を上の前歯の付け根辺りにある
スポットと呼ばれる丸い膨らみに当てて、
舌全体を口蓋にぴったりと密着させる状態
(p39)

この状態を「舌の吸盤化」というそうです。

舌を口蓋につけて唇を閉じている状態が、
姿勢の安定性に大きな影響を与えている(P45)

これもおもしろいです。

頚椎は頭のかなり後ろの方にあるので、
頭蓋骨には、常に前に落ちる力がかかっている。
それを、舌を口蓋に密着させることで、
貝柱のように支える、ということみたいです。

例えば、WiiFitの重心の揺れを、
舌の位置を変えて見てみると、
違いがよくわかるらしいです。

姿勢に対するアプローチとして「舌の位置」
なんと舌は、抗重力筋だった!えー?
かなり斬新です。

試してみるコストもかからないので、
効果が得られればとても良いですね。

舌の位置の話は「背筋は伸ばすな」にもあったのですが、
著者は違う方みたいですね。

130ページ程度で軽く読めて、
かつおもしろかったです!

感想メモ:モルフェウスの領域

海堂 尊
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-12-16
¥ 1,575

★★★★☆

海堂尊氏「チームバチスタ」シリーズの作品。

今回のテーマはコールド・スリープ。
つまり冷凍睡眠。

ストーリーには触れないが、
「読み進めたいけれど読み終わりたくない」
という思いは、おもしろい本だけが与えてくれる
すてきな感情だ。

海堂氏の作品は、絡まり合っているので、
他の作品で、登場人物たちのその後を
知ることができるのかもしれない。

辻褄合わせから始まった話だそうだが、
とてもおもしろかったです。

「ナイチンゲールの沈黙」「医学のたまご」
を読むと、もっと楽しめそう。

著者インタビューはこちら

海堂 尊
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-12-16
¥ 1,575

感想メモ:日本人の坐り方

矢田部 英正
集英社 2011-02-17
¥ 756

★★★☆☆

「正座」は、昔は「正座」ではなかったのだそうだ。
「正坐は近代以降の新しい坐り方」なのだ。

現代の茶道の常識からは考えられないことだが、
当時の茶の湯での正式な坐り方というのは、
右の足首を尻の下に畳み、左の膝を立てる
「立て膝」だった。(p29)

現在では、「正座」が「正しい坐り方」で、
他の座り方は正しくないかのように感じられる。

しかし、正座は膝への負担が大きく、
膝を壊す人も少なくない。

立て膝の方が、明らかに膝への負担は小さい。
昔は正座ではなかったのであれば、
何を守るための「正座」なのだろうか?

思いもよらなかった疑問だ。

また、以前はかなりのバリエーションがあった坐り方が、
現代の日常からは、大部分が消えてしまっている。
その理由の考察については、本書を読んでもらいたい。

身近なことなのに、「知らなかった!」が多い本でした。

矢田部 英正
集英社 2011-02-17
¥ 756

感想メモ:1日を48時間にして夢をかなえる

★★★★☆

ざっくりとまとめれば、
「潜在意識を活用したTodoリスト活用法」

しかし内容はかなり盛りだくさんで、
サラッと書かれている章でも、
深く掘ればそれがまた本一冊になりそうな感じ。

Todoリストの使い方が、
非常に詳細に研究されていて、
私はかなり参考になった。

中長期的な目標は完了形で書く
というのは初めて知ったが、
試してみたらかなり効果があって驚いた!

味をしめて、短期的なタスクも全て
完了形で書くようにしたら、
これまたかなりいい感じ!
取りかかるまでの心理的なハードルが
下がる感じ。おもしろい!

ただのTodoリストではなく、
人生をどう生きたいのか、
というところまで話は進む。

細かいノウハウが得たい人にも、
人生を深く考えたい人にも、
気付きがある本だと感じた。

良い本でした。

感想メモ:姿勢の医学

★★★★☆

50年のキャリアを持つ治療家の、
ノウハウが詰め込まれた本。

残念ながら、体のこと、特に手技のテクニックを
文字で表すのは非常に難しい。
豊富な経験から得られたノウハウなのだが、
一般の人には読んでも、なぜそれが効くのか
理解できないことが多いと思われる。

著者の持つ知識の1%が得られればいい方だろう。
読み手を選ぶ本かもしれない。

ただ、症状別に一人でもできる調整法が
いくつも紹介されているので、
それらを試してみるだけでも、
その膨大なノウハウの恩恵にあずかれるはず。
それだけでも一読の価値がある。

身体バランス法では、患部に遠い方のツボから操作します。
ヘソを中心にして、体を上下に分け、
上半身が悪ければ足首に近いツボを、
下半身が悪ければ手首に近いツボ、というわけです。

 

かぜの治療は、伸筋と交感神経の緊張をゆるめ、
肺の働きを正常にするための操作です。

プロかそれに近い知識がなければ、
読んで覚えるのは難しそう。

本棚に置いておいて、困ったときに試してみる、
常備薬のような使い方が良さそう。

体は奥が深い。

感想メモ:「雲」の楽しみ方

ギャヴィン・プレイター=ピニー
河出書房新社 2007-07-18
¥ 2,520

★★★★☆

子供の頃、空を見上げるのは好きだった。
しばらく忘れていたが、最近思い出して
空を見上げるようになった。
そんなときにこんな本を見つけて、読んでみた。

  • 雲はどうやってできる?
  • 雨が降る雲と降らない雲の違いは?
  • 雨が降る雲はどう育っていく?
  • 雲を見て、雨が降るのを予想できる?
  • 前線ってなに?

こんな疑問に答えてくれる本。

著者はThe Cloud Appreciation Society
「雲を愛でる会」を主催している。
言葉通り、「雲を愛でる」人が参加する組織だ。

一年が経つ頃には、
二五カ国の一八○○人が会員になっていた。
それがみな、空に漂うもやもやとしたものを
愛でるためだけに結びついているのだ。(p8)

 

空気は塊として動き、
ちょうど海に暖流と寒流があるように、
冷たい気塊と暖かい気塊は想像するほど
混ざりあわないことがわかった。(p196)

これが温暖前線とか寒冷前線とか。

論文は地球全体ではなく
一国の温度上昇に関するものではあるが、
飛行機雲から生じる高い空の雲が
地球温暖化の大きな一因であることを示している…(p298)

私にとってはものすごく楽しい本だった。
これからは、雲を見ると一味違った
楽しみ方ができそう。楽しみだ。

空が好きな人は、ぜひ。

ギャヴィン・プレイター=ピニー
河出書房新社 2007-07-18
¥ 2,520

感想メモ:体幹スイッチランニング

★★★★☆

トライアスロンやランニングのコーチ、
青山氏のランニングレッスン本。DVD付き。

「走る」ということ自体は誰でもできるが、
「長い距離を走る」となると、
体の歪みやフォームの歪みが、
容赦なく体に襲いかかる。

長い距離を、故障なしに走れるようになるのは
簡単なことではない。
特に、正しい知識を持つことが非常に大事。

この本は、そういった知識を持つ良いテキストとなりそう。

動きづくり、つまりは走るのに必要な
カラダの各箇所にスイッチが入っていなければ、
「美しい走り」が実現しないからです。(p8)
「正しく走る」ためには、「正しく立つ」ことが大切です。
正しい立ち方ができていないと、走り込んでも効果は上がらず、
むしろ故障を招いてしまいます。(p10)
1「腕を下で後ろに引く」
2「上体を、やや前傾させる」
3「足は真下に置く」

本の後半は、
正しい立ち方をつくるためのトレーニング、
動きづくりのためのトレーニングが紹介されている。
DVD付きなので、動きを観ながら確かめられる。

基礎から作り上げるという、正攻法な作り。
既に走っている、あるいはこれから走ってみよう、
という人に、特にオススメです。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

読んできた本の内容をまとめて紹介。