感想メモ:これからの「正義」の話をしよう

★★★★☆

400ページ弱のボリュームと文字の密度に、
「ハーバード白熱教室」を全12回見た方がいいかな、と思った。
が、悔しいので、がんばって読んでみた。
そこで、この本との戦い方を提案してみる。

  • 335ページからが、本全体のまとめとなっているので、
    まずここから読んで全体像を把握する
  • まとめの中のキーワードが気になったら、
    目次で探して該当部分を読んでみる
  • 上の2つを繰り返す

これで、最初からがんばって読む場合に比べ、
大げさではなく、挫折率は1/10くらいになるだろう。

以下が、全体像を把握するヒントとなる。

これほど広く多様な民主的社会が
どうすれば公正な社会に必要な連帯と相互責任の意識を
育てられるかは、深刻な問題だ。(p339)

公正な社会には強いコミュニティ意識が求められるとすれば、
全体への配慮、共通善への貢献を市民のうちに育てる方法を
見つけなければならない。(p339)

市場は生産的活動を調整する有用な道具である。
だが、社会制度を律する基準が市場によって変えられるのを
望まないならば、われわれは市場の道徳的限界について
公に論じる必要がある。(p341)

まとめを読んでいると、サンデル教授が目指すものは、
日本では長年かけて培われてきたものであり、
ある程度において実現しているものだ、と感じる。

このことは、決して世界的に当たり前のことではなく、
むしろ非常に珍しく、ありがたいことなのだが、
そのことに多くの日本人は無自覚だ。

自分の良さは自分からは見えず、
他人の目を通して、初めて明らかになるからだ。
「海外に出て初めて、日本の良さがわかった」
というのはよく聞く話だが、それでは遅い。

日本はアメリカを目指し、
アメリカは日本を目指し、
また日本はアメリカを目指し、
そしてアメリカは日本を目指す。

皮肉なものだ。

ただ、こういった日本の美徳は、失われつつある。
維持するための努力は必須。
それには、やはり教育だろう。

日本にいながら、日本人としての国際感覚を身につけるには、
JOG 国際派日本人養成講座 のメルマガがオススメ。

教育についてのステップメールも、無料とは思えない質と分量。
国際派日本人養成講座ステップメールコース JOG Step 教育再生

感想メモ:足の裏を見るとその人がわかる

★★★☆☆

「女性の足」という視点からの足の本。

女性の足は、ハイヒールなどの、
機能よりも見た目が重視された靴を履く機会が多く、
足にとっては過酷な環境だ。

体にいい靴とか悪い靴はないのだ。
合わない靴は、すべて体に悪いのだ。(p38)

外反母趾が起きやすいのも、
靴が大きな原因のひとつだろう。

日本人の足は、欧米人の足とは形が違う。
欧米人用に作られた靴で、
日本人に合わないものがあるのは当然だ。

足の幅は、日本人は広く、欧米人は狭い。
親指は、日本人は人指し指と離れているが、欧米人は密着している。
外国製の靴を選ぶ時には、このことをふまえて選ばなければならない。(p56)

他にも、足や靴について、色々なことが書かれていて、
「へぇ〜」という感じだった。

人間は、一日にかく汗の3分の2を、足にかく。
コップ3分の2の汗を、靴の中にぶちまけている。(p11)

だから、一日履いたら干すのだそうです。
「同じ靴は続けて履かない」の理由が、よくわかりました。

足首にもいろいろなツボが集まっている。
足首をまわすことで、体の中の大切なツボが刺激される。
大きく回すことは、体のためにいい。(p64)

足は大事。
メンテしてあげましょう。

感想メモ:足元の革命

前田 和男
新潮社 2003-08
¥ 714

★★★★☆

今では珍しくない「ウォーキングシューズ」というカテゴリー。
その歴史は意外と浅く、1980年代にアシックスから発売された、
「ペダラ」という靴が最初だったそうだ。

この本は、その「ペダラ」開発のストーリーと共に、
靴や足について、お役立ちの情報が書かれている。

中村は新しい靴に
「歩くことで人間性を回復する」という
ライフスタイルの提案を託そうと
思いついたのである。(p31)

これは1980年代の話だが、
今でもそのまま通用するコンセプトだ。

足全体にかかる体重を100とすると、
おおよそ「かかと」へは50、
「親指の付け根」へは30、
「小指の付け根」へは20
の大きさに設計されている。(p110)

3歳頃から13〜14歳、つまり
幼稚園から中学1〜2年にかけての時期に、
足をじゅうぶん鍛え、その”品質”を高めておくことが
何よりも大切であろう(p137)

つまり、歩くことで大切なのは、
直接消費したカロリー分に加えて、
このように体温をつくって
からだがより多くの脂肪を燃やして
エネルギーを使うようにすることなのである。(p144)

足については、運動をしている人であっても、
デザインとサイズと幅ぐらいで
選んでしまっている人が多いのではないか。

足は体の土台であり、とても大事なもの。
一度勉強しておくと、一生の知識になるはず。

さすがに、asicsのサイトは勉強になるので、オススメ。
ウォーキング コンシェルジュ-『靴のフィッティング』-アシックス・WALKING SQUARE

前田 和男
新潮社 2003-08
¥ 714

感想メモ:20歳の自分に受けさせたい文章講義

★★★★★

文章を書くことは、
他者を動かさんとする”力の行使”なのである。(p135)

メールやらブログやら書評やら、
色々なことを書いているが、
その全てに、確かに文章を書く目的がある。

そしてその力をうまく行使するのに必要なのは、
才能ではなく技術だ、と著者は言う。

頭の中の「ぐるぐる」を、
伝わる言葉に”翻訳”したものが文章なのである。(p31)

書こうとするな、”翻訳”せよ

文章を書くことに熟練した人でないと、
ついつい、書きたいことを書きたいように
書いてしまいがちだ。
しかしそれでは、読み手には伝わらない。

伝えるには、伝わるように書く必要がある
そこにも、技術が存在する。

書き手の側も聴覚的なリズムを気にする前に、
「視覚的リズム」を考えなければならない。(p82)

文体の妙、文章の個性、あるいは文章の面白さ。
これらを決めているのは、ひとえに構成である。
論理展開である。(p108)

読者はいつも「読まない」という最強のカードを手に、
文章と対峙しているのである。(p121)

ここ数年読んだ本の中で、
もっとも一番書き込んで読んだ本。
控えめに言っても、非常に参考になる本だった。

「文章を書く」ということをしている全ての人に、
オススメしたい本でした。★5つです!

感想メモ:体と心がラクになる「和」のウォーキング

★★★★☆

「ゆっくり歩く」ことで、全身のバランスを
整えることができる。そのために、

  1. ゆっくり歩くためのエクササイズ
  2. ウォーキングするための体を作るエクササイズ
  3. 手軽に自分で体をゆるめる方法

などが紹介されている。

特に、3. の「ゆるめて自由にするエクササイズ」は、
簡単に肩や腕、腰などをゆるめる方法が紹介されている。
この部分だけでも、読む価値がある。

この大腰筋、残念ながら鍛えることはできないと、
私は思っています。(中略)からだの深層にある大腰筋は、
意識することが難しいからです。
(中略)鍛えることはできないけれども、
活性化させることはできます。(p33)

日本人は小胸筋や腰方形筋が緊張しているようなのです。(p104)

スポーツをしている、体の凝りをなんとかしたい、
など、体に興味がある人にオススメです。

感想メモ:そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

★★★★☆

シェアーズ創業者の山口さんの本。

「会社を辞めようかな」という言葉はあるものの、
どちらかというと、
自分の才能、あるいは価値を、どうお金に替えるのか
つまり、
ビジネスモデルの型を知ることができる本
として読んだ。

普通に、売り手が買い手に商品・サービスを提供して、
見返りとしてお金をもらう、という普通のビジネス以外に、
色々なパターンがあるのだと知っておくことは、
いいことだと思われる。

「仕事」とは、才能を貢献に変える”作業”(p56)

意思決定の際のポイントをまとめると、
「頭で考えて、整理し、ハートで判断する」と言えます。(p170)

優秀さとは、有能さと謙虚さの掛け算である、ということ。(p196)

独立してやっぱり食えなかった、
という人には僕はあったことはありません。(p198)

新しいビジネスを考えている人は、
様々なヒントが得られるのではないかと思う。

おもしろい本でした。

感想メモ:野心のすすめ

★★★★☆

適当に歩いていて、気づいたら富士山の頂上にいた。
ということは、ないと思う。

「登ろう」という意図を持たなければ、
長い坂を登り切ることはできない。

その「登ろう」という意図のことを、
「野心」というのだろう。

私が納得したのは、以下の部分だった。

野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」です。
前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んでいけません。
野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいるときこそ、
健全な野心といえるのです。(p31)

そして、どこに「登る」のかを見定めることも必要。
そのヒントとなるのが、一流の人たちと触れ合うことなのだろう。

こうして一流の面白い人たちに出会うと良いことは、
自分もその一流の仲間に入りたい、この面白い人たちと
一緒のところにずっといたい、と強く思うようになることです。(p53)

どこに「登ろう」と狙いを定めるか、
それがその人の一生を左右するのかもしれない。

感想メモ:セラピストのための解剖生理

★★★☆☆

体のことというのは、
知っているようで案外知らないことが多い。

マッサージに行くのもいいのだが、
毎日行けるわけでもないので、
自分で自分の体をメンテできると
良いのではないかと思う。

それには、知ったおくと良いことが
いろいろあるだろう。

肩をゆるめるためには、
腕や手をゆるめて緊張をほぐしてあげよう!(p30)

心とカラダは間違いなく繋がっている……、
私はそう確信しています。(p41)

緊張している筋肉を緩めるには、
無理やりというアプローチではなく、
そっと寄り添うこと。(p44)

ストレスや緊張状態が長く続くことで
無意識のうちに肩で息をすることが増え、
斜角筋が緊張して手が冷えたりしびれたりするという関係。(p56)

舌や前頚部のストレッチにより、
頚の動きもスムーズになるはずです。(p117)

「セラピストのための」とあるが、
一般の人が読んでも、色々な気づきが
得られる本であると感じた。
「ねこ背は治る!」と似ている。

でも、やっぱり専門家のための本なので、
一般の人には難しい部分も多いかも…

感想メモ:どうしてボクはいるの?―息子とパパの哲学対話

リヒャルト・ダーフィト プレヒト
柏書房 2013-02
¥ 2,310

★★★☆☆

  • なぜわたしがいるの?
  • 人間は動物の名前をどうやって知ったの?
  • どうして悩みごとはなくならないの?
  • 人生で一番大事なことってなんだろう?

こんな哲学的な問いについて、
ドイツの哲学者と息子さんの対話を元に考える。
そんな本。

「哲学」と言うと「難しい」というイメージがあるが、
元々は、生きていくことの難しさを減らすものだろう。

では、この本を読んで、生きる難しさが減るか、
と言われると、正直よくわからない。
が、何らかの気付きは得られるように思う。

私が気付いたのは、
「当たり前と思っていることにも、
思ったよりも根拠はない」

ということでした。

リヒャルト・ダーフィト プレヒト
柏書房 2013-02
¥ 2,310

感想メモ:「当事者」の時代

佐々木 俊尚
光文社 2012-03-16
¥ 998

★★★★☆

著者の佐々木俊尚氏のことは、
キュレーターという言葉を広めたとか、
twitterでフォロワーが多いというぐらいの
知識しかなかったのだが、
毎日新聞の記者だったのだそうだ。

メディアと当局(警察とか)との関係性など、
業界の人には常識かもしれないが、
部外者には知らされないさまざまな「ジョーシキ」が
語られていて、ふーん、と読んだ。

業界がよくわかっているという視点から、
メディアに必要以上に肩を持つ事もなく、
無能と断じることもなく論じていて、
いい感じのバランス。

この本のタイトルは、
「一般市民の代表」という顔をしながらも、
実はそうではなかったりするメディアに対して、
「当事者たれ」というメッセージ、ではなく
もう一段深かった。

しかしこのような人たちを、
「当事者であれ」と批判することはできない。
なぜならそのようにして他者に当事者であることを求めるという
行為自体が、すでに当事者性を帯びていないからだ。

だから私にできることは、私自身が本書で論考してきたことを実践し、
私自身が当事者であることを求めていくということしかない。

あえて注文をつけるとすれば、
さまざまなストーリーを張り巡らせすぎ、
最も読ませたいであろうメッセージにまで、
たどり着かずに脱落する読者も多かろうと感じた所。
私も危なかった。

でもたどり着けてよかった。
おもしろかったです。

佐々木 俊尚
光文社 2012-03-16
¥ 998

読んできた本の内容をまとめて紹介。