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ここで語られる技術とは、犯罪組織の中にスパイを育成し、
その犯罪組織を壊滅に導くような情報を引き出す技術、
というとても難しそうなもの。
スパイ映画によくあるように、相手組織に潜入し、
相手を拘束して脅したり、というのは
リスクが高い下策なのだそうだ。
ではどうするのか?
相手は、裏切りには極度に厳しい犯罪組織の一員。
相手が自分の判断に基づき、リスクを追ってでも
情報を提供するに値すると思わせる必要がある。
そのための秘訣は、
「短期間で相手と深い信頼関係を築く」
ことなのだそうだ。
この本の目標は、人と知り合い、信頼を築き、
人間関係のレベルでポイントを得るのは、
本当はとてもたやすいことだと知ってもらうことにある。(p39)
用心深い犯罪者を相手に、自ら情報を出させるようなレベルでの
信頼関係を築く?どうやって??
架空のケースを元に、その方法が書かれているが、読んでいて驚いた。
それは、その方法が、ものすごく奇抜だ、ということではなく、
逆に、あまりにも正攻法だったからだ。
例えば、以下のようなことなのだが、
本の題名を読まなければ、自己啓発の本だと言われて疑う人は、
ほとんどいないだろう。
- 周囲の人たちに対する自分の考え方をチェックする。
- 相手を値踏みするような態度や低く評価する態度を改める。
- 相手に対するネガティブな考えを持ち出さない。
- 調和した人格であるよう心がける。
- 接する人すべてについて、よい特性を見るようにする。
- 平静さを保つ。何を個人的に受け止め、何を個人的に受け止めないか(こちらの方が重要)、自分で決定する。
- 感情となるものの引き金となるものを知ること。
- 自分の人生でうまくいったことがらに焦点を当てる。
- 成功日誌をつける。
人は感じとったことの確証を得ようとする傾向を持つ。
先入観と符合することを目にすれば、
それを過大評価して、先入観が正しかったと錯覚する。(p66)
- 過ちを犯したらすぐ認め、二度と繰り返さない。
- 謝罪は一度だけ、真心を込めて真剣にする。
- 自分の行為を正当化しない。
- 相手の行動を理解するために、相手の立場を受け入れる。(p82)
安心感、愛情、称賛ーこれが、誰もが望む基本的な欲求だ。(p89)
情報員は、あるがままの相手を受け入れる。
また、人とその行動を切り離して考える。
相手が自分の望まない行動を取ったとしても、
相手への好意をなくす必要はない。(p217)
この本に書かれている内容は、人間関係の原理やノウハウを学ぶ、
ということところに留まらない。なぜなら、
「人生の成功の鍵は人の信頼を得ること」(p300)
だからだ。
予想を超えたすばらしい本でした。★5つです!