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感想メモ:「雲」の楽しみ方

ギャヴィン・プレイター=ピニー
河出書房新社 2007-07-18
¥ 2,520

★★★★☆

子供の頃、空を見上げるのは好きだった。
しばらく忘れていたが、最近思い出して
空を見上げるようになった。
そんなときにこんな本を見つけて、読んでみた。

  • 雲はどうやってできる?
  • 雨が降る雲と降らない雲の違いは?
  • 雨が降る雲はどう育っていく?
  • 雲を見て、雨が降るのを予想できる?
  • 前線ってなに?

こんな疑問に答えてくれる本。

著者はThe Cloud Appreciation Society
「雲を愛でる会」を主催している。
言葉通り、「雲を愛でる」人が参加する組織だ。

一年が経つ頃には、
二五カ国の一八○○人が会員になっていた。
それがみな、空に漂うもやもやとしたものを
愛でるためだけに結びついているのだ。(p8)

 

空気は塊として動き、
ちょうど海に暖流と寒流があるように、
冷たい気塊と暖かい気塊は想像するほど
混ざりあわないことがわかった。(p196)

これが温暖前線とか寒冷前線とか。

論文は地球全体ではなく
一国の温度上昇に関するものではあるが、
飛行機雲から生じる高い空の雲が
地球温暖化の大きな一因であることを示している…(p298)

私にとってはものすごく楽しい本だった。
これからは、雲を見ると一味違った
楽しみ方ができそう。楽しみだ。

空が好きな人は、ぜひ。

ギャヴィン・プレイター=ピニー
河出書房新社 2007-07-18
¥ 2,520

感想メモ:犯罪者はどこに目をつけているか

★★★★☆

防犯についての話、というだけならさほど珍しくはない。
しかしこの本の特徴は、窃盗のプロが語る、
対象とする町、家、人の選び方や、
手口などが書かれていること。

防犯対策になる、と思っているものでも、
プロに狙われればほとんど役に立たないことがある、
ということは知っておいた方がよいかもしれない。

その結果、「被害者、あるいは被害家屋の塀の手前
およそ5メートル」で、明らかな変化が
生じることがわかった。(p35)
獲物の手前20メートルで、
犯罪者は三つの点に注意しながら意思決定を行う。
①接近成=うまくいい獲物に近づける=実行できる(近づけた)、
②逃走性=うまく逃げることができる(逃げることができた)、
③直感=目的を達成するのにいいイメージがある(あった)、(p41)
では、どんな人が狙われやすいのか…
①襲うだけの価値があるもの
②無防備であるもの
③体力がないもの
④心理的強度が弱いもの
⑤孤立しているもの
⑥襲いやすい環境下にいる者…(p58)
また、すれ違う瞬間には、相手との間が
「相手の身長×0.8」は空くように
心がけて歩かねばならない。(p75)
「この町でやる」という品定めの決め手となるのも、
駅前と町中の落書き、ゴミ(汚れて剥げかけた
ポスターは落書きやゴミに等しい)、
放置自転車の三大汚れだという。(p94)

結局の所、近所付き合いの濃密さ、
町並みや家の周囲の乱れ具合、
狙われやすい場所は通らない、
といった地道な対策こそが、
防犯の近道であるようだ。

つい先が気になって、
一気に読んでしまいました。
興味深かったです。


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感想メモ:2022―これから10年、活躍できる人の条件

★★★★☆

著者は、エモーショナルマーケティング、
マインドマップ、フォトリーディング、全脳思考など、
日本に数々の影響を与えてきた神田昌典氏。

本の内容は、歴史や商品のサイクル、教育や起業、
会社組織や経営など多岐に渡る。

また、神田氏が癌であったということ、
会社の経営がうまくいかなくなった話など、
ショッキングな話もあった。

しかし総じてとらえると、
「今後日本を支えていく20代、30代、40代への応援のエール」
としてつながっているのだと読めた。

デント氏の予測法を極めて単純化して言えば、
景気は四六歳〜五○歳の増減によって決まるというものだ。
この年代は、人生で最もお金を使う年代であり、
節約したくても、出費を抑えられない。(p86)
いままでビジネスにおいては、
社会性と収益性は矛盾すると思われてきた。つまり
「社会に良いことをやっても、なかなか儲からない」
がビジネスの常識だったのだ。しかし、このところ急速に、
「社会に良いことをしなければ、儲からない」
に変わってきた。(P148)

一度死を間近なものとして見つめた神田氏。
今後の日本にも影響を与えながら活躍していく、
キーパーソンなのだという印象を強くした。

新書サイズながら、印象に残る濃い本だった。
ありがとうございました。


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感想メモ:走る哲学

為末 大
扶桑社 2012-07-12
¥ 819

★★★★☆

為末氏がTVで話しているのを見るたびに、
ああ、頭のいい人だなぁ、と感じていた。
この本を読み、その感覚は一層濃いものになった。

本の構成は、twitterでの為末氏の発言のまとめ+α。
読んでいなかった、興味のあるトピックと出会える
チャンスが得られて、ありがたかった。

僕はずっとモチベーションが高いと思われているけど、
そうじゃなくて壊れないように大事にしているだけ。
自分の本当の感情を無視してやる気を自分に押し付け続ければ心が壊れる。
どこまでなら我慢できて、何を楽しんでいるか。
このコツを掴むのがやる気で居続けられるコツで、それは自己観察しかない。(p17)
再現性を持たせようとする段階がいわば積み重ねで、
いい感じを探るという段階が遊びという事もできる。
反復練習しかしない選手が伸び止まるのは、再現性が高くても、
次のレベルにはみ出る手法を持たないから。
遊ばないと予想外のいい感じが出なくて、
それが出ないと人はそこに留まる。(p23)
日本社会の苦しさは、やめる事がそもそも
前提に置かれていない社会の仕組みにあると思う。
みんな同じだから、ひとりやめるのは怖い。
逃げるな耐えろと教育されて、いざ社会に出てから
さあ自己責任でどうぞと言われても無理だと思う。
耐え方は習ってもやめ方を習わない。(p42)
子どもを勝負弱くさせるのは簡単。
失敗したらおしまいだよと言い続ける事。
そうすれば失敗を恐れ、挑戦を恐れ、
評価を気にするようになり、縮こまる。
怖いのは口にしなくても、親や周囲が心の奥で
そう思っていたら子どもには伝わっているという事。(p52)

おもしろいのは、どれも陸上の話に留まらないこと。
頷かされる言葉が多い。
まさに「一芸は万芸に通ず」。

最後は、人生についての言葉。
この本から感じた日本への課題と問題意識が、
こういった形となったのかなと合点が行った。
爲末大学 | Tamesue University | トップページ

期待もされる。評価もされる。
それが社会の仕組みならその中で生きて行くしかない。
でも大事なものを忘れないように。
自分は一体何になりたかったのか。
誰が何と言おうとあなたはなりたいものになっていい。(p220)

多くのトップアスリートとは異なり、
彼の場合は引退後の活躍の方が
より大きなものとなりそうな気配がする。

為末 大
扶桑社 2012-07-12
¥ 819


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感想メモ:私が「白熱教室」で学んだこと

★★★☆☆

知識と知恵は違う。

私の感覚では、知恵は知識の上位概念で、
知識を活かすのが知恵。

私が本書で提示したいのも、
まさにそうした「生き方を決める勉強」です。
迷ったときに自分がどうすべきか、
どう対処すべきかを決める
本質的な勉強の必要性なのです。(p43)

著者は、高校からアメリカのボーディングスクール(全寮制の学校)、
ハーバードビジネススクール、シリコンバレーのGoogle本社、
というものエリートコースをたどっている石角さん。

学校では、知識を教えることに偏ってしまいがち。
でも、アメリカのボーディングスクールやハーバードでは
知恵を教えていて、アメリカの教育の方がいいですよ、
と言っているように読めた。

それはその通りかもしれない。
ただ、日本人に生まれて、その環境を享受できる人は
残念ながら限られるように思う。

著者は自身のことを「普通の女の子」というように
語っているが、いわゆる普通の女の子は、
高校から単身でアメリカの学校に行くという選択は
難しいのではないか。

ご家庭の教育方針があるのだろうと思ったところ、
お父さんがアメリカのロースクールを出ていて、
国際弁護士をされている方だった。

「恵まれた家庭環境」と書いては元も子もないのはわかるが、
かといって「普通です」というのも、ちょっと首をかしげた。

ネットを使った学習は可能性を感じるが、
こういった知恵の学習までは難しそう。
どうすればよいのだろうか。

日本でも、藤原氏の活動など教育についての希望の動きがある。
感想メモ:つなげる力

教育は大事です。


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感想メモ:この世でいちばん大事な「カネ」の話

★★★★☆

「カネ」

それ自体は、交換可能な通過単位でしかない。
にも関わらず、「カネ」は多くの人にとって
特別な意味合いを持つ。

それは、家庭環境、仕事など、
様々な面で他人と比較してしまうことにより、
色々な思い出が残っているからだろう。

西原理恵子にとっての「カネ」もまた、
かなり強い意味を持っている。

家庭についての話はかなり壮絶。
しかし、家庭環境の再生産や、
仕事とお金との関わりなど、
考えさせられる部分が多かった。

過去の彼女自身、あるいは、
同じような境遇にある人に対して
語りかけているように感じた。

マイナスを味方につけなさい。
今いるところがどうしても嫌だったら、
ここからいつか絶対に抜け出すんだって、心に決めるの。
そうして運良く抜け出すことができたんなら、
あの嫌な、つらい場所にだけは絶対に戻らないって、そう決めなさい。
そうしたら、どんなたいへんなときだって、
きっと乗り越えることができるよ。
だって、わたしも、そうだったから。(p112)
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、
自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」
に対するイメージがぼんやりするようならば、
「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。
自分がした仕事で人に喜んでもらえると、
疲れなんてふっとんじゃうからね。(p198)
自分が稼いだこの「カネ」は、
誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、
それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。(p199)
いざというとき、大切な誰かを安心な場所にいさせてあげたい。
そう思うのなら、働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。
そうして強くなりなさい。
それが、大人になるっていうことなんだと思う。(p228)

誰にも関係する「カネ」の話。
多くの人に気付きを与えてくれる、
重みのある本だと感じた。


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感想メモ:リーマンショック後の資産を守る不動産活用術!

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575

★★★☆☆

「資産を守る」ときに一番考えなくてはいけないのは、相続税対策。
親が元気なときうちには、話し出しづらい話題。
しかし、判断力があるうちに話を決めておかないと、
それこそ血のつながった兄弟で争い合う、ということも珍しくないそうだ。

著者の白岩氏の体験談はすさまじい。
まさに何も決めていない状態で父親が亡くなり、
誰も知らなかった資産が残された。
兄夫婦の裏切り、数年に渡る戦い。
心労から心筋梗塞にもなったとのこと。

相続税なんて関係ない、と思う方も多いだろうが、
控除が縮小する方向であるようだ。
都内に土地があれば、かなりの割合の人が関係してくるのではないか。

後半は、物納による相続税対策について事例が紹介されている。
知っているかいないかだけで、何千万という差が出る世界。
特に親御さんが土地を持っている方は、
一読しておく価値がある本です。

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575


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感想メモ:臆病者のための裁判入門

★★★☆☆

裁判の中でも、特に件数が多く、
年間100万件もある少額民事訴訟について。

裁判というと、弁護士同士が法廷で議論を戦わせるイメージがあるが、
少額民事訴訟では、少なくともどちらかが本人訴訟のケースが7割に及ぶ。
というのも、額が小さいため、弁護士が相手にしないから。

本書の前半は、オーストラリア人の友人が交通事故にあった際に、
保険会社の対応が明らかに不誠実だったため、
代理人として著者(橘玲氏)が関わったという一件について。
実例だけに、読んでいておもしろい。

訴訟というと、巻き込まれたことがない人が多いだろう。
しかし、一生巻き込まれないという保証はない。
いざという時のために、知っておきたいこと。

本書は体験談がメインなので、おもしろく読め、
その上知識も身につくという点でオススメです。


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感想メモ:成功する男はみな、非情である。

★★★☆☆

私ね、あんまり非情じゃないんですよ。
アリさんとか踏んじゃうと夜も眠れないくらい。

とまぁそれは冗談ですが、
成功者たちと数多く接してきた著者が語る、
「成功者たちの非情さ」について読み進めたところ、

私にはムリだな

と思って本を置きました。

成功したいなら、
「成功は自分の手柄、失敗は人のせい」
を通せ(p45)
ターゲットを決めたら、
邪魔になるものは即刻捨てよ。(p85)

オススメ度は★3つです。
成功者になるのは大変ですね。


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感想メモ:体制維新

橋下 徹,堺屋 太一
文藝春秋 2011-11-01
¥ 893

★★★★☆

大阪府知事の橋下氏が、現在の政治家の中で
最重要人物の一人であるのは間違いないところ。
その彼の主張をじっくり聞いたり読んだりしたことが
なかったので、良い機会ということで読んでみた。

まず感じたのが、以下の点。
・非常に強力なリーダーシップ
・結果を出しているからこそ、説得力が増している
・ビジョンを示すことができる数少ない政治家

既得権益を切り崩すことを厭わない橋下氏は、
必ず抵抗勢力を作り出さざるを得ないだろう。

行政改革を徹底し、財政再建を進めた結果、
十年連続して赤字だった府の財政を
二年目に黒字に転換させたのです。(p66)

横浜市の田中元市長の例にもあったように、
ネタの捏造をも厭わない、マスコミによる
イメージ操作などが、今後行われていくだろう。

しかし、ぜひ改革を進めて行ってほしい。
応援したいと感じた。

以下、メモした点。

本当の改革とは、人事の交代や政策の変更ではなく、
体制(システム)を変えることなのです。(p22)
今の財務省も同じことをしているんです。
国家事業を効率化して財政赤字を減らそうというのではなく、
シーリング(予算要求の上限)を付けて要らんものも全部温存して
赤字を増やす、という仕掛けをしている。
その挙げ句に、この不況のさなかに増税する。(p57)
僕は、仕組みを変えるときは、
一点突破の全面展開を考えます。
ここがポイントだと思うところに
ドーンとエネルギーを集中して、
現行制度の欠点をあぶり出していく。(p76)

オススメ度は★4つ。
ここ数年が、大阪の政治の転換点となるはず。
注目しましょう。

橋下 徹,堺屋 太一
文藝春秋 2011-11-01
¥ 893


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参考:
体制維新-大阪都: 本読みな暮らし
今年は総選挙がおもしろい!!・書評『体制維新-大阪都』 : バクヨミ!!part2