- 傷つかない技術
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- 著者: エリック・メイゼル
- 発売元: 創元社
- 価格: ¥ 1,575
- 発売日: 2009/03/10
★★★★★
人の恐怖の中でも「批判される恐怖」というのは
とりわけ大きなものではなかろうか。
特に人前で受ける批判であれば、なおさらだ。
「7つの習慣」には
「刺激と反応の間には選択の余地がある」
というようなことが書かれていた。
しかし、面と向かって批判されたときに、
「そうだ。私はこの批判に対する反応を選択することができる」
なんて冷静に対応できる人が、一体どれだけいるのだろうか?
実際には、脊髄反射的にカッとなり、売り言葉に買い言葉、
自己防衛的に反撃してしまい、後で後悔、というのが
よくあるパターンではなかろうか。
批判に過剰反応しない方がいい。
確かにそうだろう。わかる。
でも、どうすればそうなれるのだろう?
そう考えたことがある人にとって、この本は読む価値がある。
3種類の批判
- 現実としての批判 実際に発生した批判
- 想像上の批判 まだ起きていないことへの恐れ
- 自分自身への批判 低い自己評価、欠点をあげつらう
重要なのは、これら三つ、全てを取り除く必要があるということ。
そして特に重要なのが、3の自分自身への批判。
なぜなら、自分自身からは逃げようがないから。
繰り返し自分を責めることは、自分の元気をなくし、
怯えさせ、行動から尻込みさせるからだ。
自己批判には、ある種麻薬的な部分もある。
しかし本物の麻薬と同様、自分をダメにするものだと
考えた方が良いようだ。
事実と自己批判を切り離そう。
それには、自分の心の対話をコントロールする必要がある。
まずは、心の中でどんな言葉を使っているか、
確認することから始めてみよう。
この本では、批判の対処法としては、
「批判へ対処するための6つのカギ」
としてまとめられている。
1.「主体性のカギ」
自分に向けられた批判に対して
効果的に対処しなければならない理由を明確にする。
あなたが自分の人生の方針に確信を持っているか
いないかにかかわらず、人生の岐路に際して決定を下す人間は
自分自身しかいないことを肝に銘じる必要であり、
したがって他人の言うことは
いくらか差し引いて受け取ることが肝要なのです。
自分の人生を決めるのは自分。
他の人が自分の人生を支配しているわけではない。
全ての人の批判を真に受ける必要は、全くない。
2.「状況判断のカギ」
直面している事態の重大さを、瞬時に判断できるように。
そのコメントが「自分にとって」検討に値するものなのか
どうかを判断することです。
批判を受けると自動的に防御姿勢に入ってしまいがちだ。
しかし、そもそもその防御が必要なのか、疑ってみよう。
「批判を評価する」のだ。
3.「心の態度のカギ」
超然として批判に動じない態度を身につける。
有害な批判に対するもっとも有効な対抗手段、
それは自分自身に確信を持つこと、
自分の選択と方針に確信を持つこと、
また自分の選択と方針を軌道修正する
自分の能力に確信を持つことです。
「批判されても動じない態度」を身に付ける、ということ。
4.「感情コントロールのカギ」
批判に反応する際、心をコントロールする術を身につけ、
自分自身との対話を自分が意図した方向に沿って進むようにする。
それは、あなたが自分自身に向かって発している言葉を
冷静にはっきりと認識すること、自分の心の中の対話の
どの部分が有害でマイナスなものなのかを理性的に見極めること、
そのような有害でマイナスなものを消し去る強さを持つこと、を意味します。
感情をコントロールするとは、
自分自身との対話の内容を変えることで、
「批判されている!」
と感じる回数を減らすこと。
5.「パーソナリティのコントロールのカギ」
自分のパーソナリティーを把握し、コントロールできるようになる。
それは、彼女が自分の心の中の対話をコントロールし、
勝手に浮かんでくるマイナスの言葉を
より肯定的な言葉に置き換えられることであり、
これは批判対処法の中でも特に重要なものです。
自分が批判されたときにどう反応する事が多いか、
パーソナリティを把握し、どう改善するべきか考えよう。
6.「行動のカギ」
自分を傷つける批判に対処するため、
どんな行動をとることができるかを学ぶ。
あなたはその批判が正しいと反射的に考えて傷つくのではなく、
「自分はこの批判をどう考えるのか?」
という問いかけをした上でそれに答える余裕を持たなくてはなりません。
このような問いかけを自分にすることで、
批判そのものとあなたの本能的で反射的な反応の間に
バッファー(緩衝地帯)を作ることができます。
現実を直視して自分に必要な行動を決定するには
勇気が必要ですが、決定した「必要な行動」を実行に移すには
もっと大きな勇気が必要です。そのためのテクニックの一つは
「私は目の前にあるこの行動に今すぐ着手する」
とこころの中で言うことです。
心の中で、「今すぐやる」と唱えよう。
「フェアかアンフェアか」、「正確か正確でないか」
といった言葉は常に状況を全体として正しく場合することを妨げます。
あなたがすべきことは周囲の状況を含め、
適切なバランス感覚を持って批判の内容を把握することと
それによって自分が何をすべきかを判断することなのです。
これはちょっと意外だが、余計な視点なのだそうだ。
日本人は、意見に対する批判も、人格批判と受け止める傾向にある。
というのも、批判をされることに慣れていないからだろう。
「慣れ」というのは上達のための強力なツールなので、
この本に書かれている「6つのカギ」を実生活で試すことで、
批判されたときの対応を変えていきたい。
オススメ度は★5つ、オススメです。
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