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感想メモ:フランフランを経営しながら考えたこと

フランフランを経営しながら考えたこと―Francfrancからデザインビジネスの可能性を拡げるバルスの戦略
フランフランを経営しながら考えたこと―Francfrancからデザインビジネスの可能性を拡げるバルスの戦略
    著者: 高島 郁夫

  • 発売元: 経済界
  • 価格: ¥ 1,500
  • 発売日: 2008/04

★★★★☆

Francfrancの社長高島氏が、
Francfrancのコンセプト、創業から成長、そして将来について語っている本。

Francfrancというと、一般的には「オシャレげな雑貨屋」という印象だろうか。
無印良品とかぶってる、という感じがする。
しかし「競合と考えたことはない」そうだ。

無印は「余分の排除」から環境意識につながる
ライフスタイルとしてのイメージを確立してきた。
一方Francfrancは、家具メーカーの子会社が母体で、
「家具を買ってもらうためのきっかけ」として
雑貨の取り扱いを始めたのだそうだ。

「まず1つ」購入していただくことが非常に大事というわけです。
この購入がやがてFrancfrancの家具やデザイン家電製品の購入へと
自然につながっていくからです。

目指すところも明確な軸がある。

現在のFrancfrancを支えているのは、
「ピンポイントのターゲット」、「品質にこだわりながらも、手の届くもの」、
さらに「つねに新鮮な驚き」、そして「マーケットプルの発想」だったのです。
Feancfrancにあるべきなのは、
「ステキな自分」「カワイイ自分」を
表現できるモノでなければならない。

こうしてFrancfrancが提案する価値観に共感し、
購入に至った顧客はリピート率が非常に高いそうだ。

これは、顧客調査の結果、お客様の約8割はリピーターで、
月1回の頻度で来店していることがわかったからです。

そうした価値観を生み出す商品開発についても、
書かれていて、なるほどと思った。

こうした、ちょっと”飛んだ”アイディアを楽しみながら商品化するには、
スタッフ自らが日常を楽しむ。人生をエンジョイする。
何でもおもしろがる。そんな気持ちを持っていなければなりません。

そうですよね~。

著者には
「デザインは、人に本当の豊かさを与えるものだ」
という信念があるそうだ。
デザインビジネスを教える「バルスカレッジ」、
街の一部として200年もつような「東京住宅」、
デザインやインテリアについて「あるべき姿」を
追求する姿勢が貫かれている。
(ちなみに「バルスカレッジ」は検索しても見つからなかった。
 東京住宅はこちら。)

消費者としてなじみがあることもあり、興味深く読めた。
オススメ度は★4つです。
小売は心理学ですな~。

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感想メモ:「ありがとう」と言われる商い

「ありがとう」と言われる商い
「ありがとう」と言われる商い
  • 発売元: 商業界
  • 価格: ¥ 1,500
  • 発売日: 2010/06/09

★★★★☆

このサイトでも何冊か紹介している、
ワクワク系マーケティング実践会主宰の小阪裕司氏の本。
「ワクワク系の決定版」とのこと。

お客さんから花束が届く靴屋、ファンレターが届く米屋など、
普通の店では考えられないことが起きている。
売るには価格を下げるしかない、という考え方を
乗り越えることができる可能性。とても興味深い。

それには、お客さんとの絆・関係性を作ること。
動機付けをする事。感性を軸に、心に訴えること。


動機付けメッセージ発信の際、もう一つ大事なことは、
「わざわざあなたの店から買う理由」が発信されているかどうかだ。
そう、お客さんが知りたいことは、「どうすれば私の望みが叶うのか。」
そして望みは今、「心の充足」。朝起きてから夜寝るまでを、
いつもワクワクした気持ちで過ごしたい。
この望みをかなえてあげることーーこれが商売の原点だ。

理論と実例が合わせて示されているので、
「ワクワク系ってなに?」という人に最適。
読むとワクワクさせられる。
自分の仕事に自信を持って、楽しんでいる姿はいいものですな。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:白いネコは何をくれた?

白いネコは何をくれた?
白いネコは何をくれた?
  • 発売元: フォレスト出版
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/10/21

★★★★☆

マーケティングの手法として「戦略BASiCS」という考え方について説明している本。
ただし、一般的なビジネス本ではなく、ストーリー形式で書かれているのが特徴。
この点「ザ・ゴール」「リーダーになる人の たった1つの習慣
「福」に憑かれた男」などと似ている。

復習がてら「戦略BASiCS」についてメモしておく。

1 Battlefield:戦場

  • どこで、誰と戦っているのか?
  • 戦場と競合の定義
  • どこで、と誰と、はセットで考える
  • 以下の全てはその戦場の競合との比較において考える

2 Asset:独自資産

  • 自分らしさとは何?
  • 自分は何を持っているのか?
  • DNAは過去の中にある
  • →キャリア自分史を作る(仕事内容、感想)
  • →意味付け:何を学んだ、活用できる?適性?どんなとき力を発揮できた?
  • 個人の経験は独自資産
  • 独自資産は強み、差別化の原泉
  • ハード資産とソフト資産
  • 規模はハードな独自資産
  • 人、文化はソフト資産

3 Strength:強み・差別化

  • 独自資産が生み出す強みを活かして戦う
  • 強みは弱み、弱みは強み
  • 3つの軸
     1手軽軸 早い、安い、便利
     2商品 品質→高価格
     3密着軸 個々の顧客に密着
  • 簡単にマネされるのは独自資産に立脚していないから

4 Customer:顧客

  • 年齢、性別よりも求める価値=ニーズで分類する
  • 顧客を絞れば戦場、競合が決まる
  • 自分の強みを重視してくれる顧客を選ぶ

5 Selling message:メッセージ

  • 何をどう伝えるか
  • 広告、商品、価格、POP…
  • 顧客の目に触れるものは全てメッセージ
  • 自分は誰だと世の中に宣言するのか?

付録で、主人公が行った自分の棚卸ワークを体験することができる。
定期的に自分を見直すという作業は、普通に暮らしているとなかなかできない。
だからこそ、必要なことなのだろうと感じた。
オススメ度は★4つです。良い本でした。

ちなみにこの本は、「あなたは“今日と同じ明日”で満足ですか?」の川井さんのオススメでした。
ありがとうございます。

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感想メモ:口ベタなあなたを救う しゃべる名刺

口ベタなあなたを救う しゃべる名刺
口ベタなあなたを救う しゃべる名刺
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/12/20

★★★★☆

タイトルから、名刺の作り方が書いてあるんだろうなー
と思って読んでみたところ、それ以上の内容含まれていた。
名刺にしゃべらせるということは、読んだ相手の心を
つかむことができる中身を考えなくてはいけないからだ。

自分は何ができるのか?強みは何か?
どんな人を顧客にしたいのか?
こういったことを知るには、まず自分が何者なのかを
知らなくてはならない。

自分の過去や家族などを見つめ直すというプロセスを踏むのは、
白いネコは何をくれた?」の手法とよく似ている。
自分が勝負すべき戦場はどこなのか、
自分は何を持っているのか、強みは何なのかを
考えた上で、顧客を考えるという流れは、
マーケティングのあるべき姿なのかもしれない。

もう一点おもしろかったのは、著者の辿ってきた道筋。
勤めていた会社を30後半で辞め、何もないままに独立するに至り、
試行錯誤の末にたどり着いたのが、この「しゃべる名刺」なのだという。
なぜそういったリスキーな道を進んだのかは、読んでみて欲しい。

自分が使っている名刺が、いかに何も考えていない適当なものかが良くわかった。
遊びでプライベートの名刺も作ってみようかな、とか思った。
オススメ度は★4つです。おもしろい本でした。

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感想メモ:「買いたい!」のスイッチを押す方法

「買いたい!」のスイッチを押す方法  消費者の心と行動を読み解く (角川oneテーマ21)
「買いたい!」のスイッチを押す方法 消費者の心と行動を読み解く (角川oneテーマ21)
  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 価格: ¥ 740
  • 発売日: 2009/11/10

★★★☆☆

ワクワク系マーケティングを主宰する小阪裕司氏。
このサイトでも度々取り上げているが、その流れを汲む本。
感性価値などの話に加えて、脳科学と購買行動の関連についても
併せて紹介されている。

安さだけが意思決定要素ではない。安さより重いおもりは存在する。
たとえばそれは「このブランドが好き」「このお店が好き」という思いだ。

この考え方が、私が興味を持っている部分。
これを意図的に作り出せるのであれば、
すばらしことだと思うのだ。

近年明らかになったところによると、
脳は何歳になっても新しいニューロンを作る。
かつては、それは幼いころだけで、あとは年々老化して
機能が低下するだけだと言われていたが、そうではなかった。

 脳細胞は減るが、シナプスは増え続ける、
ということを読んだことがある気がする。
見つけた↓

 確かに歳をとると、神経細胞の総数は減っていく。
しかしシナプスの数は逆に増加していくというのだ。
このことは、歳をとると記憶容量は大きくなることを示している。

本:脳科学の本まとめ | うむらうす -annex

というような脳の話も絡めた、読みやすい本。
興味を持ったら、他の小阪氏の本を読んでみると良いでしょう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:ウェブPRハンドブック

ウェブPRハンドブック 基本知識から戦略策定・戦術実行・効果測定まで
ウェブPRハンドブック 基本知識から戦略策定・戦術実行・効果測定まで
  • 発売元: 日本能率協会マネジメントセンター
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2009/12/20

★★★☆☆

要約:以下の3つがポイント。

  1. Yahoo!ニューストピックスへの記事掲載
  2. 全国ネットのテレビ番組への露出
  3. 情報連鎖を目論み、意図的に崩した企画を実施

一次情報ソースを押さえることが大事だということ。
そのためには、サイトを作ったり、イベントを打ったり、
プレスリリースを行ったり、ブロガーへの記者会見行ったり、
いろいろな手段をとった戦略を立てて実行しましょう、と。

ネットが広がっているといっても、はてなを知ってる人の方が
少数派なわけだし、従来メディアをきちんとカバーすることを
怠ってはいけないのだということがわかった。
09年12月30日でもそうだということは、
こういう状態はしばらく続くんだろうな、というのが感想。

プロがどういう感じでウェブPRをやるのかの雰囲気がわかり、
参考になった。オススメ度は★3つです。

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感想メモ:招客招福の法則

招客招福の法則―儲けの王道がみえる88の法則 (日経ビジネス人文庫)
招客招福の法則―儲けの王道がみえる88の法則 (日経ビジネス人文庫)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 680
  • 発売日: 2009/04

★★★☆☆

カブトムシパーティーを開く歯医者。
駅で傘を貸すテニススクール。
「売らない日」がある宝石屋。
どれも普通では考えられないことばかり。

しかしこれらは、お客さんとの関係を築き上げるための
工夫の結果なのだ。
こういう商売の可能性があると知るだけでもおもしろい。

著者は、感性価値創造、ワクワク系マーケティングの小阪裕司氏。
日経MJで連載のコラムをまとめたのがこの本だ。

得てして商人、そして職人や製造者は「何に」こだわっているのかは
語るのだが、「なぜ」こだわっているのかは語らない。
しかしお客さんは「なぜ」の方に強く反応する。
「なぜ」は「何に」よりずっとお客さんの動機付けにつながる
情報なのである。
私は思う、ビジネスはお金儲けのためにのみあるのではなく、
お客さんと共に社会を良くしていくためにあるのだと。
そしてお客さんもそういう事業精神を持つ会社を好きになり、
尊敬し、応援するのである。

小阪氏の他の本にも、こういったエピソードが数多く紹介されている。
この本がおもしろかったら、合わせて読んでみると良いだろう。
ちなみに続編も出ている。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:そうそう、これが欲しかった!

そうそう、これが欲しかった!―感性価値を創るマーケティング
そうそう、これが欲しかった!―感性価値を創るマーケティング
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/07

★★★★☆

「感性のマーケティング」の小阪裕司氏。
「ワクワク系マーケティング」による感性価値創造を
提唱している小阪氏。
前半では、感性価値創造を行う方法について、
後半では、どのようにして感性価値創造を企業内で推進していくか、
という難しい問題に答えている。

前半の感性価値創造についてキーワードだけ書いておく。

感性価値の創造の3つのパターン

  • 伝達:良さを正しく伝える
  • 増幅:+αにより良さを強める
  • 転換:想定外の良さを引き出す

感性価値創造プロセスの3つのフレームワーク

  • 感性消費行動のデザイン
  • 関係性のマネジメント
  • 感性ナレッジのマネジメント

それぞれについて、内容の説明、実行ステップ、
実例がついているので、読めば理解できるはず。

後半の企業内での推進については、やや説明は少ない。
しかし、辛抱強く、わかりやすく、成果を見せる、など
組織を動かす上でキーとなるポイントが説明されている。

一人が本を読んでおもしろいと思っても、
組織を動かせなければ効果は限られたものになる。
辛抱強く活動していくことが必要なのだろう。

本書では感性価値創造について、どちらかというと理論的に書かれている。
他の本でわかりにくかった部分を、この本で補足することができるだろう。
また、実際に感性価値創造により売上や利益率が上がっている例が
複数示されているので、結果を出しているという説得力がある。
ビジネスをしている人は読んで損はない本。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:ビジネス脳を磨く

ビジネス脳を磨く (日経プレミアシリーズ 6)
ビジネス脳を磨く (日経プレミアシリーズ 6)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 893
  • 発売日: 2008/05/09

★★★★☆

モノを売るときに、安くする以外の可能性の一つとして、
「感性価値の創造」というものがある。
著者の小阪氏が提唱するものだ。

例えば、落として一部欠けてしまった人形。
通常のマーケティング理論では、損としかならないだろう。
しかしこれに「怪我をしてしまった人形」としてストーリー付けすることで
正価で売れてしまった事例が紹介されている。
何もなければ、ただの破損品である人形だが、
ストーリーによって、お客さんにとって「価値があるもの」になったのだ。

こういった方向性を、著者の小阪氏は
「感性価値の創造」「感性情報デザイン」と呼んでいる。
個人的に注目していて、関連の本を読んでみている。

感性情報とは、なんだろうか?

自分にとって「意味あるもの」として受け取れたもの、それが情報である。
そして、その情報が自分にとってぐっとくるかこないか、
それが情報の価値を左右する。
すると、ほとんどのビジネスにとっての課題は、
お客さんの感性に訴えて「意味あるもの」と
思ってもらえるかどうかにかかっている。

感性社会の特徴は三つあるそうだ。

  • 決まりきった解答がなく単一の解もない
  • 今日の解は明日の解ではない
  • A社の解はB社の解ではない

他の例の猿マネをしてもダメということだ。
自分たちの軸を変えてはいけないのだという。

それでは、どうすれは既存の延長線上にない発想が
できるようになるのだろうか。

それは、発想するためのリソース(資源)を増やすことである。
感性情報デザインの匠になる第一歩は、
まずフレームを知ることだ。
「知る」ということは尊いことで、そこからすべてが始まるのである。

あとは実践なのだろう。

情報化が進み、少しでも安く買えるところがあれば、
お客さんは離れて行ってしまう、というような関係ではなく、
この店から買いたい、この人のオススメなら買ってみよう、
と思ってもらえるような関係になること。
それが、皆が幸せになるビジネスにつながるのだろう。

おもしろかった。オススメ度は★4つです。

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感想メモ:カップヌードルをぶっつぶせ!

カップヌードルをぶっつぶせ! - 創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀
カップヌードルをぶっつぶせ! – 創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2009/10/11

★★★★☆

日清食品創業者、安藤百福(あんどうももふく)氏の息子であり、
2代目社長安藤宏基氏。
副題は「創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀」。

日清といえば、カップヌードル。年間15億食というからすさまじい。
チキンラーメンも年間2億食弱というからこれまたすごい。
この世界の胃袋を支えるブランドを2つもこしらえた創業者というのは、
やはり普通の人ではないようだ。

私に言わせれば、創業者とは普通の人間ではない。
異能の人である。
一方、創業者の事業を引き継いだ後継者は、
私も含めて、だいたいが普通の人である。

本田宗一郎にしてもSteeve Jobsにしても、普通ではない。
それだけの偉大な創業者がいると、
後を託された経営者の苦労というのもひとしおだろう。
様々な苦労が伝わってくる本だった。

偉大なブランドを乗り越えるにはどうすればよいのか、
やはりその悩みが一番大きいようだった。

いま、日清食品内の”奇人変人比率”は一割くらいだろう。
私の理想は全社内で二割、研究スタッフに限れば三割は欲しい。
全社内で三割を超えると、逆に経営が成り立たなくなるかもしれない。

身近な商品だけに、裏側の話も面白く読めた。
オススメ度は★4つです。

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