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感想メモ:バケる人に育てる

★★★★☆

北島康介のコーチとして有名な平井氏。
北島以外にも選手を育てていて、
様々なタイプの選手に対して成果を出しているのが、
コーチとして非凡であるように思う。

複数の人を育て、下げる成果を出させるというプロセスには、
再現性があるということです。(p12)

その指導の秘訣はなんなのだろう?

予想に反して、「身体的な素質」よりも、
「精神的な素質」を重視しているのだった。

選手の素質を見抜く際には、身体や技術といった「体の素質」以上に、
我慢強さ、忍耐力、集中力といった「心の素質」が
大切ではないかと思うようになりました。(p27)

人を伸ばすには、その人自身に集中させてあげることが大切です。
脇目もふらずに自分のゴールだけを見つめ、
自分の可能性という絶対値を基準として、
愚直に努力できる人が伸びていきます。(p60)

指導という分野に限らず、
結果を出す人には共通点が多いな、
と感じたのが、以下の部分。

ものごとは「やるか、やらないか」。
ただそれだけかもしれません。(p69)

チームづくりに大切なことは、
「日頃がんばっている人」を評価する
しくみをつくることです。(p171)

この本は、ロンドンオリンピックの前に書かれている。
文中に名前が出てくる寺川綾、加藤ゆか、上田春佳は、
なんとロンドンの女子4×100mリレーの4人の中の3人で、
日本記録を2秒近く縮めて銅メダルを獲得している。

確かに、平井コーチの指導は再現性があるようだ。
しかし、その指導のスタイルには「型がない」そうだ。

おもしろい本でした!

感想メモ:最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント

★★★☆☆

なぜプロジェクトは遅れるのだろうか?

どうやらそれは、人の性質に関わるものであるらしい。

つまり、納期を守らなければいけないという
責任感があるから、人はサバをよむのだ。(p24)
プロジェクトにまつわる6つの問題行動
1. サバよみ
2. 予算と時間をあるだけ使う
3. 一夜漬け
4. 過剰管理
5. 早く終わっても報告しない
6. マルチタスク

確かに…

それに対し、「ザ・ゴール」で有名な
TOC理論(Theory Of Constraint:制約理論)
CCPM(Critical Chain Project Management)について、
数多く実践し、成果を出してきた著者の
知識やノウハウが書かれている。

印象的だったのは、ゴールドラット博士の以下の言葉。

TOCの考え方はあまりに日本の文化に自然なのだ。
だから、それがQCと同じように日本がいち早く取り入れてしまい、
ほかの国が追いつけないほどの競争力を手につけるのを、
本当に恐れたのだ。
『ザ・ゴール』を翻訳するのを許さなかった国は
世界でたった一つ日本だけ。
そして、翻訳された今、世界でもっとも私の本が売れているのも日本。
そして、その理論を進化させ、
成功事例をもっとも活発に出しているのも日本だ。(p210)

日本が持つポテンシャルへの評価、
と受け取って間違いないだろう。
ともすると日本の悪い面ばかりに目がいってしまうが、
良い面を自覚することも必要だろう。

プロジェクトに関わるすべての人にオススメです。


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感想メモ:仕事の哲学

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)
仕事の哲学 (ドラッカー名言集)
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/08/01

★★★★☆

もしドラで妙なブームになっているドラッガー先生。
以前から有名だったわけだが、裾野が広がった今日この頃。
この本は、1ページに3~5行ずつドラッガー先生の言葉が紹介されている。
字数的にはかなり少ないので、どんどん読んでいける。

しかしなめてはいけない。
やはりドラッガー先生の本は、読むタイミングによって
得られるものが違うのだ。
学生時代に読むのと、社会人に成りたてで読むのと、
何年か働いてから読むのと、何十年か働いてから読むのでは
響き方が違うはず。

ということで目を通し直してみたら、頷けることが増えていた。
以前は、書いてあることに自分のレベルが達していなかったのだな。

仕事の関係に人間関係がからむと、時間はさらに必要になる。
急げば摩擦を生じる。あらゆる組織が、仕事の関係と
人間関係の複合の上に成り立つ。
ともに働く人が多いほど、その相互作用だけで多くの時間が費やされる。
仕事や成果や業績に割ける時間がそれだけ減る。

他にも、時間管理、イノベーション、リーダーシップなど、分野は様々。
仕事を始める前の学生さんも、始めたての新入社員も、
しばらく経っている人も、全員にオススメできる本。
読むタイミングによって、そのときに応じたヒントが得られるでしょう。
「ドラッガー」って言いたいだけの人も、そうでない人もぜひ一冊。
オススメ度は★4つです。良い本です。

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感想メモ:急に売れ始めるにはワケがある

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
  • 発売元: ソフトバンククリエイティブ
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 2007/06/23

★★★★★

それまで特に大きな変化ではなかったのが、
ある点を超えた瞬間、雪崩のように広まっていく。
この転換点のことをティッピング・ポイントと呼んでいる。

それは商品の売上の急上昇かもれないし、病気の蔓延かもしれない。
分野が違っても現象として同じなのであれば、
同じメカニズムとして説明できるのではないか?
そして更には、このティッピング・ポイントを
狙って引き起こすことはできるのだろうか?

そうした研究の結果をまとめたのがこの本。
著者は「天才! 」のマルコム・グラッドウェル氏。

ティッピング・ポイントの発生には、
コネクター、メイヴン、セールスマンという3種類の人が
大きな役割を果たすという。

コネクターとは、人と結びつくのが趣味のような、
異常に交友関係が広いハブのような人。

発想なり製品なりがコネクターに近づけば近づくほど、
力と機会が増えるということも意味する。

口コミとは、いかにコネクターと呼ばれるような
広い交友関係を持つ人にたどり着くかという勝負になる。

メイヴンとは、通な人のこと。
データバンクであり、それを他人に教えたがっている。
この人の言うことなら確かだろう、という人。一種のオタク?

セールスマンとは、他人の行動を促す人。
これも一種の才能に基づく技術であるようだ。

感情や気分を上手に表現できる人は、他の人よりもはるかに
感情の感染力が強いということなのだ。

一方、アイデア自身にも「粘りの要素」が必要。
つまり、人の記憶に残り、行動を促すような
ものであることが必要。

そして環境も、人の行動に影響を与える力を持っている。
これが「背景の力」と呼んでいるもの。
割れ窓理論と言い換えてもいい。

背景の小さな変化が爆発的な伝染においても重要な要素だということ。
人の持つ個性よりも環境の方がはるかに影響が大きい、
という実はかなりラジカルな主張。

ティッピング・ポイントは人を介して起こるもの。
正しい場所に集中してちょっと押してやること。
それで世界は傾く、とのこと。

反発と受け入れ、一気に伝染していくものとそうでないもの、
これらを画する一線は、ときに見かけよりもはるかに幅が狭いのである。

以上。かなりおもしろかった。読んでおいて損はなし。

オススメ度は★5つです!

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感想メモ:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/12/04

★★★★☆

ストーリーを持つ物語というのは、記憶に定着しやすい。
身近な例を用いて語られると、内容についても身近に感じる。
「マンガでわかる」シリーズや「萌え」シリーズ、
「あさきゆめみし」も同じ系列だと捉えている。

さて、ダイヤモンド社発のミリオンセラーとなった「もしドラ」は、
この両者を兼ね備えている。
ドラッガーさんは、これだけ有名なのだから、
きっといいことを言っているに違いない。
いつかは読んではみたい。けど、敷板が高い・・・
と思っている人が、それだけ多かったということだろう。

内容については、ドラッガーさんが言っている通りなので特に触れない。
高校野球を場面に語られているので、高校野球に詳しい人(体験者)は
そちらのリアリティが気になってしまうだろう。というか、なってしまった。
それは本としては些末な部分なのだけど。

はじめてのドラッガー、という位置づけて読んでみると良いのでは。
あるいは、ドラッガーを題材にしたエンターテイメント小説として。
(→ドラッカー先生は聞く耳を持たない 高校野球の女子マネージャーが体得したマネジメントの神髄

ドラッガーさんはいいこと言ってる。オススメ度は★4つです。
ちなみに著者の岩崎夏海さんはハックルベリーに会いに行くの管理人さん。
ぼくの名前 – ハックルベリーに会いに行く

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感想メモ:3分間コーチ

ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ
ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ
  • 発売元: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/03/13

★★★☆☆

マネージャーとして成果を出すには、
部下に気持ちよく働いて、成果を出してもらうことが必要。
それには、部下との良好な関係が不可欠。
それには、一体どうしたらいいでしょう?
コーチングを活用したマネージメントで行きましょう。
ということ。

一日3分でもいいから、こまめにコミュニケーションを取る。
「相手のことを気にかけている」というメッセージを伝えることで、
相手との信頼関係を築く。
これは何も相手は部下だけに限った話ではない。
つい忘れがちだ。気をつけたい。

他にも、小さいメッセージに気付きが多かった。

  • アイデアやプランと実行の間には溝がある。
  • 上司の言うとおりに部下が動くなら、上司はいらない。
  • 「何かあったら声をかけてくれ」では、相手は声をかけられない。

部下とのコミュニケーションが充分でないと感じている人は、
読んでみるとよいだろう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:経営者の条件

ドラッカー名著集1 経営者の条件
ドラッカー名著集1 経営者の条件
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2006/11/10

★★★★☆

ドラッカー名著集の一つ。
経営者とは何をする人か?
そのためには、どうあるべきなのか?

主張は明確。他の著作と同様、

成果に集中する

ということになる。

成果をあげるために、

  • 貢献にフォーカスし
  • 時間管理し
  • 強みに集中し

意思決定する。
これらは、成果をあげるための
二次的なものとして考えられている。

成果を上げる経営者達は、八つのことを習慣化していたという。

  1. なされるべきことを考える
  2. 組織のことを考える
  3. アクションプランをつくる
  4. 意思決定を行う
  5. コミュニケーションをとる
  6. 機会に焦点を合わせる
  7. 会議の生産性をあげる
  8. 私はではなくわれわれはを考える

以下、頭に残った部分のピックアップ。

成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。
時間の四分の一以上が会議に費やされているならば、
組織構造に欠陥があると見てよい。

会議が多いのは日本企業の特徴。
本当に時間を有効に使っていると感じられる会議に出てみたい。

時間はとても大事。しかし、自分の時間の使い方を
きっちり把握している人は、案外少ないのではないか。
そして、まずそこから取り組めとドラッカーは言う。

仕事上の関係において成果がなけれは、
温かな会話も感情も無意味である。

コミュニケーションも、土台は成果だ、ということ。

弱みに配慮して人事を行えば、
うまくいったところで平凡な組織に終わる。

弱みの補強に重きをおくのが日本文化。
しかし、強みを活かす方が重要という主張だ。
(参考:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

最後に、意思決定は本当に必要かを自問する必要がある。
何も決定しないという代替案が常に存在する。

活動は成果に見えるので、やりたがるが、
やらなかった方がマシというケースも
残念ながら存在する。

まとめると、成果をあげるのが一番大事。そのためには

  1. 時間が何に使われているかを記録する
  2. 貢献に焦点を合わせる
  3. 強みを活かす→行動する
  4. 最も重要なことに集中する
  5. 意思決定し合理的に行動する

ということ。

学生の頃読んでもイマイチ良さがわからなかったが、
読む時期によって本の価値は変わる。おもしろかった。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:リーダーになる人の たった1つの習慣

リーダーになる人の たった1つの習慣
リーダーになる人の たった1つの習慣
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/10/29

★★★★☆

3人の起業家志望者が、赤字のカラオケ屋の店長として店の立て直しを行う。
3人はそれぞれタイプが異なり、誰が黒字化に成功したのだろうか?
そしてそのタイプは?

この本の話は実話に基づいているそうだ。
結果について、あとがきで触れられているのだが、予想を超えていた。

福島氏の本は、確かにその通りなのだろうなと思うのだが、
少し理想論なのではないだろうか?という不安があった。
その教えを現実のビジネスに活かすと、どうなるのだろうか?
ポジティブな思考だけでは回らないケースもあるのではないのか?
そんな風に考えていた。

この本を読んでの感想は、福島氏の教えを貫き通すのは簡単なことではなく、
そしてその結果は確かなものであるようだ、ということだった。

例えば、
「あきらめない限り人生には成功しかない」
きれい事に聞こえるが、これは並大抵のことではない。

くじけそうになるステップは至るところに転がっているし、
自分に対して言い訳をしてやめるのも、とても簡単だ。
実行が難しいからこそ、誰もができることではないのだ。

ということで、私の得た結論は以下の通り。

福島氏の主張は一見理想論に聞こえるが
その実行は決して易しいものではなく、
心の強さを必要とする。

以下、メモ。

部下が動くてくれなくても上司は部下を信じ、
そして自分を信じて行動し続ける

人を育てるというのは
人をやる気にさせること

それには・・・

  1. まず、自分が見本になる
  2. 相手を信頼する
  3. 相手を支援すること

そして一番人を動かすのは、相手を感動させること。

感動は人の意識を一瞬にして、大きく変えてしまうことがあります。

これまた、簡単ではないが・・・

ストーリー仕立てで軽く読めるが、学ぶところは多い。
よい本でした。オススメ度は★4つ。

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感想メモ:J. P. コッター ビジネス・リーダー論

J. P. コッター ビジネス・リーダー論
J. P. コッター ビジネス・リーダー論
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2009/03/13

★★★★☆

著者は、リーダーシップや企業改革で有名な、
ハーバードビジネススクールのジョン・コッター教授。

彼が、ゼネラル・マネージャーという職務についている15人を
徹底的に調査研究した結果について書いた本。
CEOに注目した研究は多いが、このクラスに焦点を絞ったものは少ない。
この本は、コッター教授のリーダーシップ研究の基となったもの、とのこと。

調査対象から調査手法、試用した質問表に至るまで、とても詳細に紹介されている。
ちなみに、ここで言うゼネラル・マネージャーとは、
日本で言うと課長というよりも、むしろ経営幹部・役員というイメージ。

さて、ゼネラル・マネージャーの仕事とはなんだろう?
以下の3つであるそうだ。

  • アジェンダ設定
  • ネットワーク構築
  • ネットワークを活用したアジェンダの実行

本調査のゼネラル・マネージャーは、ほぼ同様の方法で職務に取り組んでいた。
就任後すぐに、彼らは事業に対するアジェンダ(検討課題)を策定し、
その実現に必要な資源ネットワークを構築する。
アジェンダとネットワークが完成すると、ネットワークを通じて
現実にアジェンダが遂行されるよう、全神経を集中させていた。

調査対象の平均では、最初の2つに半年近くかけているとのこと。
また、調査対象のマネージャー達には、ある程度共通する資質が見られた。

  • 調査対象のゼネラル・マネージャーは、一、二名を除いて達成思考が強かった。
  • 気質に関しては、ほぼ全員が情緒的に非常に安定していた。
  • 調査対象のほとんどは、高校・大学時代に学生のリーダーを経験している。

いくつかの項目は、特にすぐれた業績を上げる人々について顕著に見られたとのこと。

  • 父親もマネージャーであった。
  • 両親との関係は非常にうまくいっていた。
  • 二人以上の兄弟姉妹がいる。

ゼネラル・マネージャーの行動にも、共通する一二のパターンがあるとのこと。
こちらもおもしろかったので引用。

  1. 一日の大半を誰かと過ごしている
  2. 時間を割く相手は直属の部下や上司に限らずたくさんいる。
  3. 彼らと話す話題は広範囲に及ぶ。
  4. こうした会話では、ゼネラル・マネージャーはたいてい多くの質問をする。
  5. こうした会話でゼネラル・マネージャーが「重要な」決定を下すことはめったにない。
  6. こうした会話には、いつも冗談や軽口が飛び交い、仕事と関係のないことが話題に上る。
  7. こうした出会いの中で語られる話題の大部分は、事業や組織にとってあまり重要でないことだ。
  8. こうした人と会っている間、「命令」などといった野暮なことはしない。
  9. とはいえ、相手に働きかけようとすることは多い。
  10. 人と接する時間は、相手の都合に合わせることが多い。
  11. 人と会っている間は、ほとんどがとりとめのない短い会話に終始する。
  12. 長時間働く。

コッター教授は、ゼネラル・マネージャーの外部からの招聘は、
ネットワークの構築に不利だという理由で反対の立場を取っている。

にも関わらず、マネージャー本人達は、自分たちの能力は別の職場、
別の業界ですら機能すると認識している。

というように、いろいろとおもしろい点があった。
更に、金井教授によるあとがきが、コッター教授の他の著作にも触れながらの
よいまとめとなっている。まずはここから入るのがよいと思う。

ビジネスマンとして、マネージャーを目指す人はぜひ読むと良いだろう。
オススメ度は★4つ。

J. P. コッター ビジネス・リーダー論
J. P. コッター ビジネス・リーダー論
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2009/03/13

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感想メモ:なぜ会社は変われないのか

なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革 (ビジネス戦略ストーリー)
なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革 (ビジネス戦略ストーリー)
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 発売日: 1998/01

★★★★☆

言ってもムダ。言い出しっぺが損をする。
これは、変化する力が失われた組織を包む雰囲気である。

基本的に、人は変化を恐れるものだ。
これは、人の集合体である組織も同じだ。
しかし、変化できない組織は、外部環境の変化に対応できない。
対応できなければ、生き残れない。生物と同じである。

変化を起こすには、安定、不活性な雰囲気を、
あえて不安定、活性な雰囲気にすることである。
これが、企業風土を変える、ということになる。

しかし、言うは易し、行うは難し、である。
企業風土というのは、人の思考パターンの集合体と言える。
従って、企業風土の変革というのは、多くの人の思考パターンを変えることを意味する。
一人の人の考え方を変えるのも難しい。
多くの人を変えるともなれば、なおさらである。

よくあるやり方としては、こんな感じだろうか。
コンサルタントが入って、経営陣を含んだプロジェクトグループを結成。
企業の歴史や風土、強みなどの意見を集約、分析し、
ミッションステートメント的な文言をがんばって作成。
組織や制度をいじって、それが各部署へトップダウンとして降ってくる。
現場は降ってきたから「またか」的な雰囲気でとりあえず対応・・・
こんな方法で、人の考え方が変わるだろうか?

本書のストーリーから浮かび上がってくる方法は、
上のようなものとはかなり異なる。
簡単に言うと、トップダウンの重要性は認識しつつ、
「やらされている」感をなくすボトムアップを重視するという感じだ。

以下、メモした部分。

  • マジメなことを言いあえる関係、場(オフサイトミーティング)を作る
  • ミーティングと会議の役割を分ける
     議論⇔情報の伝達、少人数⇔多くても可、長くかかる⇔できるだけ短く
  • 変革には、マネージメント層が重要
  • 二割の社員が変わればいい

風土の話は、企業だけではなく、人が集まる組織であれば
多かれ少なかれ共通している話だ。
多くの人が何かしらの組織に所属しているだろうから、
組織をよくしたいと思う人にはどこかしら参考になる部分があるだろう。

ちょっと読みにくい部分もあったが、おもしろかった。★4つ。

関連:


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