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感想メモ:地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ

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宝島社
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★★★☆☆

多くの人は地球温暖化の原因はCO2だと、
疑いなく信じているような雰囲気だが、
個人的には、地球温暖化の主要因はCO2では無いと思っている。

なぜなら、地球の気候というのは、非常に多くの因子から成り、
それらが相互に関わり合って成る巨大で複雑なステムであり、
1つのパラメータのみが気温を左右するような、
単純なものではないと考えるからだ。

しかし、このような主張はpolitically incorrectであり、
科学者がそう主張することは、研究費が削られたり、
役人から圧力をかけられたりするので、
おおっぴらには態度を表明できないという事情があった。

しかしこんな本が出るくらい、
温暖化CO2由来説の疑わしさは世間に広まってきた、
ということだろう。

で、CO2が犯人じゃないと主張するなら、
じゃあ何が原因なの?というのが言えなくてはいけない。
その答えを確認するというのが、この本を手に取った理由。

CO2が犯人じゃない、ということは意外と簡単に説明できる。

もしCO2濃度が気温を支配する
“最強の変数”だとするなら、
CO2濃度と気温は1:1の相関関係を
持つはずである。しかし、観測事実は違う…
実際には、温度変化とCO2排出量の間には
なんの関係も無い。

人類の化石消費量が急激に上昇した1945年から
1985年ころまでの40年間、
CO2の大量放出にもかかわらず、
気温は急上昇どころか停滞、もしくはやや低下した。

それだけではない。
1900年より前のCO2濃度が低かった時代にも、
中世の温暖期など、気温の変動は起こっていた。
それは当然、CO2が原因ではない。

地球平均気温は、地球表層の3分の2を覆う
海洋地域の低層雲のうち、赤道地域の
雲量変化によって決まり、雲量1%の変化が
約1気温℃に対応するという結論を導いた。

雲が多ければ、太陽光の反射が多くなり気温は下がる。
雲が少なければ、太陽光の反射が少なくなり気温が上がる。
ということだ。

そして雲の量は、宇宙線量の影響を受け、
宇宙線量は太陽の活動の影響を受ける。
つまり、太陽の活動と雲の量に相関があるそうだ。

現在は太陽の活動が小さいので気温が高くなっている、
というのがこの本の説明だった。

なぜ地球温暖化の話があるのかというと、
裏にはお金の話がありそうだ。
「次世代のために美しい地球を守ろう」
というのは確かにその通りだが、
もしその他にそう主張する動機があるのであれば、
そのことは明るみに出るべきだろう。

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感想メモ:二宮翁夜話

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

★★★★★

「修身講義録」「人生二度なし」の森信三氏が
思想上大きな影響を受けた本、という流れで読んだ。
これまた、大きな驚きだった。

そもそも、二宮金次郎というと、
銅像のイメージしかない。
しかしそれは、彼の一面を切り取ったものでしかない。

この巻を背負いつつ読書に励む金次郎の姿は、
全部が全部虚像というわけではないけれど、
これはあくまでその後、七十歳まで逞しく生き抜いた
六尺豊かな大男尊徳の出発点でしかないのだ(p26)

ということは、さっぱり知らなかった。

更に、二宮金次郎のすごさは、
実行を重んじた思想家である、ところにあったそうだ。

天に善悪はない。だから稲と雑草を区別せず、
種あるものをみな生育させ、生気あるものをすべて発生させる。
ところが、人道はその天理にしたがいながらも、
善悪の区別をつける… 人道はあくまで人が立てた道だからだ(p45)

人道は天意とは異なる。
人工的に作り上げる道だというの だ。

人道は勤めることを尊しとし、
自然に任せることを尊ばない。
人道で勤めるべきというのは、
己にうち克つという教えなのである(p52)

己にうち克つということは、
我が心の田畑に生ずる草を取り捨て、
我が心の米麦を繁茂させるよう勤めることをいうのである。
これが人道である(p52)

人道は天意ではない不自然なものだから、
放っておくと廃れてしまう。
だから、保つためには、勤めなければならない。

他にも、人生訓と言うべき言葉が並ぶ。

奪うことに益はなく譲ることに益がある、
譲ることに益があり奪うことに益はない、
これが天理だ(p113)

長く富貴を維持し保つ方法は、
ただ私が説く道、推譲の教えがあるだけだ(p119)

大事をなそうと欲すれば、
小さなことを怠らずに努力するべきだ(p173)

ちなみに、これは昭和53年の本!

まだまだ、読んでいない素晴らしい本が
たくさんあるのだろうなぁ。
出会えるのが楽しみだ。

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

感想メモ:「人生二度なし」森信三の世界

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

★★★★★

修身教授録がすばらしかったので、続いて手に取った。

こちらもすばらしかった。
人生に影響を与える一冊となる気がする。
こういう本と出会えるのは幸せだ。

前半は、森信三氏の人生を時系列で追った伝記。
後半は、氏に影響を受けた人々を紹介し、
間接的に森信三氏の影響の大きさを浮き彫りにしている。

森は、「いかに学問を積んだとしても、
それが現実を変革していく力になり得なければ、何の意味もない」
として、いっそう実学に傾斜していった(p52)

こう言える思想家が、どれだけいるだろうか。

日本を代表する教育界の偉人、
そして思想家にまでなった森信三が、
子どもの教育において何より重視したのが
「立腰」であるというのは、とても興味深い。

心は見えないから、まず見える体の方から
押さえてかからなければならぬ。
それゆえ、心を正そうとしたら、まず体を正し、
物を整えることから始めねばならぬ。
靴を揃えること一つが、いかに重大な意味を持つかわからぬような人間は、
論ずるに足りない(p303)

立腰は一切の事柄に先駆けて必要です。
それは人生において、その子に宝物を与えたことになります(p229)

そして教育においては、何より教師自身が、
いかに人生を真剣に生きているか、
その生き方が問われるとしている。

真実は感動を通してのみ授受せられる。
だがそれには、教師自身の生きた真理に対する
感動こそ、その根源といえよう(p291)

人間の偉さは才能の多少よりも、
自分に授かっている天分を、
生涯かけて出し尽くすかどうかにあるのです(p124)

これは、教師だけに限らず、
誰の心に切り込んでくる言葉ではないか。

「人生二度なし」

人生を良く生きたいという人には、
強くオススメします。

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

感想メモ:眠れないほど面白い『古事記』

★★★☆☆

「古事記」って言ってみたいお年ごろなので、読んでみた。

天照大神って女だったんだー。
月読って男だったんだー。
逆かと思ってたー。

スサノオってこの二人の弟だったんだー。
大国主ってスサノオの子孫だったんだー。

と、全然知らない人には発見がいっぱいだろう。
(当たり前)

「眠れないほどおもしろい」かと言われると、
健やかに眠れてしまうわけだが、
この本の特徴はそこにはない。
むしろ、初心者が理解しやすいように、
かみくだいてくれているところだろう。

ということで、眠れないほどのおもしろさよりも、
「初めてでも安心」というところを期待して
読まれると良いです。気軽に教養が付く感じ。

感想メモ:修身教授録

森 信三
致知出版社 1989-03-01
¥ 2,415

★★★★★

昔の日本人は、今の日本人が失いつつあるものを
持っていたように思う。
逆ももちろんあるのだろうが、失った部分ものの中に、
とても大事なものがあるような気がする。

それは、過去に日本を訪れた外人が、
驚きをもって本国へ伝えた言葉に含まれるようなもの。
それは、果たして現在にも言える言葉なのだろうか?

ふと考えてしまう。

その根底にあるのは日本文化の流れ。
それを伝えてきたものの一つが「修身(道徳)」という
科目であったように思う。

今の教育の現場で、どういった授業が
行われているのかは知らないが、
この「修身教授録」は、その中でも
特上のものであることは間違いない。

「人生二度なし」など、
襟元を正さざるを得ない言葉が並ぶ。

かく自分に対して必然的に与えられた事柄については、
ひとり好悪の感情をもって対しないのみか、
さらに一歩すすめて、これを「天命」として
謹んでお受けするといつことが大切だと思うのです。(p13)

平素自分が受けている恩恵については、
その程度が深いものほど、かえって容易に
気付きがたいのが常であります。(p25)

かくして人生の根本は、何よりもまず真の志を
打ち立てるところに始まるわけであります。(p54)

真に志が立ったら、自分に必要な一切の知識は、
自ら求めて止まないからであります。(p92)

われわれの人間生活は、その半ばはこれを読書に費やし、
他の半分は、かくして知り得たところを実践して、
それを現実の上に実現していくことだとも言えましょう。(p63)

人間の生涯を通じて実現せられる価値は、
その人が人生における自分の使命の意義を、
いかほど深く自覚して生きるか否かに
比例するとも言えましょう。(p91)

人間は自ら気付き、自ら克服した事柄のみが、
自己を形作る支柱となるのです。(p134)

われわれが気品のある人間になるためには、
何よりもまず根本のこころの曇りを
払うようにしなければならぬ…
しかしさらに大切なことは、慎独、
すなわち人間がただ一人いる場合にも、
深く己れを慎むということです(p332)

人間の性格上の問題としては、
自分の欠点を反省して、これを除くという努力が、
実はそのまま、長所を伸ばすということになるわけです(p351)

「一度しかない人生を、真剣に生きているか?」
と問われて、はい、と迷いなく言えるだろうか。

言葉というのは、発する人の全人格を通じてその重みを増す。
本も、もちろんすばらしいものだが、
講義の動画があれば、日本の教育にとって、
すばらしい財産になっただろうなぁ。

森 信三
致知出版社 1989-03-01
¥ 2,415

感想メモ:ハーバード白熱教室講義録 上下

★★★☆☆

これからの「正義」の話をしよう
がヘビーだったということはすでに書いたが、
こちらを先に読んでおいた方がよかったのかも。

テーマはほぼ同じなのだが、
こちらはディスカッションの内容も収録しているので、
多少とっつきやすいからだ。

ただ、一回の講義の内容を数十ページにまとめているので、
しっかり理解しようと思うと、繰り返し読む必要がある。
そして私は、繰り返し読んでいません。

ということで、読んでなんとなく覚えているのは、
以下のところ。

ベンサムの功利主義は
「最大多数の最大幸福」という標語に
集約される事も多い。(p30)

他は率直に言って忘れました!

星の数は私には早かった、と言う程度の意味で、
響く人には★4,5個になるのだと思う。

感想メモ:なぜシロクマは南極にいないのか

★★★☆☆

なんで?

ということで読み始めたのだが、予想したような
「ライトな話題が並ぶ雑学系の本」ではなかった。

むしろ、進化論、大陸移動説といった理論が、
生物地理学をヒントにしていかに見出されたか、
ということを語る、骨太の本だった。

「銃・病原菌・鉄」の理論も、
生物地理学を元にしているそうだ。
既読の人は、イメージがつかめるかと思う。

で、タイトルの答えを書きたくてウズウズするのだが、
ネタバレになってしまうので、ヒントだけ。

北極に住むシロクマ(ホッキョクグマ)と、
南極に住む皇帝ペンギンとは、

両者が自然な形で接触することは今のところありえない(p5)

なんで?という疑問は、

それぞれの種がその場所固有の生物というより、
ある条件の環境に結びついているという思い込み(p7)

の産物なのだ。
「銃・病原菌・鉄」を読んだ人はわかるはず。

ここまでの内容は、第1章だけ。
残りもかなり濃い内容です。
読み込むには、時間と集中力が必要かも。
(私は斜め読みしてしまいました)

科学、生物好きの人にオススメです。

感想メモ:「世界金融危機」のカラクリ

★★★★☆

アメリカ、イギリス、フランスは、
対外純資産残高がマイナス、つまり借金が多い。
特にアメリカは世界一のマイナス。
にも関わらず、国としての所得収支はプラスなのだそうだ。

世界一借金漬けのアメリカが、
世界一のカネ貸しの日本より、
金利などをたくさん稼いでいるのです。(p40)

なぜ?

アメリカという国は、政府が国債で海外から資金を集め、
民間企業がそれを対外直接投資に回しているという感じです。
…日本は対外直接投資に消極的な国だといえます。(p55)

直接投資によって高い利益率で海外ビジネスができるからこそ、
アメリカは所得収支の黒字を維持・拡大できたのです。(p66)

アメリカの主要な稼ぎどころは、
一般的なイメージである証券投資ではなく、
海外ビジネスこそがメインエンジン、
ということであるようだ。

借金の問題で言えば、日本に関してはどうなのだろうか?

政府の借金と、対外的な借金では、
後者の方が深刻だということがベースだ。

日本は世界一の対外純資産残高を誇っています。
日本は、対外純資産残高のマイナスがひどいギリシャなどと
並べて論じられるような国ではありません。(p95)

他にも

  • ユーロ圏内でドイツが独り勝ちしている理由
  • PIIGSの問題となっているのは何か
  • ユーロ圏内でも為替レートが存在している
  • 日本が貿易収支の赤字を維持すべきである理由

など、興味深いトピックが詰まっていた。
会計の知識がないと、ちょっとつらいかもしれないが、
読めればかなりおもしろい本でした。

感想メモ:「知」の挑戦 本と新聞の大学 I ・II

姜尚中,一色清,依光隆明,杉田敦,加藤千洋,池内了
集英社 2013-02-15
¥ 777
姜尚中,一色清,中島岳志,落合恵子,浜矩子,福岡伸一
集英社 2013-02-15
¥ 798

★★★☆☆

各界の識者たちが、政治や社会、経済、科学など、
様々な分野について話す、連続講義の内容をまとめたもの。

I、IIがあるが、独立したトピックが集まっているので、
IIから読んでも大きな被害はない。

むしろ、IIの第10回のまとめから入って、
興味がありそうな話を読んでいく、
という形でも良いと思う。

個人的には、IIで語られていた、画家のフェルメールと、
顕微鏡を作ったレーウェンフックの関係についての仮説が
「へぇー」という感じだった。
読まないとわけわかりませんね。

この多様なトピック、全てに興味がある人は少ないと思うので、
興味がある部分を拾い読みする、という読み方でもよいのかな、
と思いました。

姜尚中,一色清,依光隆明,杉田敦,加藤千洋,池内了
集英社 2013-02-15
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感想メモ:20歳の自分に受けさせたい文章講義

★★★★★

文章を書くことは、
他者を動かさんとする”力の行使”なのである。(p135)

メールやらブログやら書評やら、
色々なことを書いているが、
その全てに、確かに文章を書く目的がある。

そしてその力をうまく行使するのに必要なのは、
才能ではなく技術だ、と著者は言う。

頭の中の「ぐるぐる」を、
伝わる言葉に”翻訳”したものが文章なのである。(p31)

書こうとするな、”翻訳”せよ

文章を書くことに熟練した人でないと、
ついつい、書きたいことを書きたいように
書いてしまいがちだ。
しかしそれでは、読み手には伝わらない。

伝えるには、伝わるように書く必要がある
そこにも、技術が存在する。

書き手の側も聴覚的なリズムを気にする前に、
「視覚的リズム」を考えなければならない。(p82)

文体の妙、文章の個性、あるいは文章の面白さ。
これらを決めているのは、ひとえに構成である。
論理展開である。(p108)

読者はいつも「読まない」という最強のカードを手に、
文章と対峙しているのである。(p121)

ここ数年読んだ本の中で、
もっとも一番書き込んで読んだ本。
控えめに言っても、非常に参考になる本だった。

「文章を書く」ということをしている全ての人に、
オススメしたい本でした。★5つです!