- 姿勢のふしぎ (ブルーバックス)
-
- 著者: 成瀬 悟策
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 861
- 発売日: 1998/07/17
★★★★☆
心と体はつながっている。
心が落ち込んでいると、
表情は暗くなり、顔はうつむき、
背筋も曲がってしまう。
逆に考えれば、体にアプローチすることで、
心に影響を与えることもできるはず。
先日読んだ「動きが心をつくる」でも
体と心がつながっていることが書かれていたが、
体へのアプローチには、
もっと驚くべき可能性があったようだ。
著者は「動作法」という手法で、
脳性マヒで体が動かせない子を、
世界で初めて自力で動かせるように
することに成功したそうだ。
動作法って?
そのからだの持ち主の心理的な活動によって
自らからだを弛めること
自分の意図どおりにからだを動かす
要領を身につけること
体軸をまっすぐに立てて
自然に無理のない姿勢がとれるようにすること。
詳細は以下を参考にされたい。
(→動作法 おおみや|動作法とは?)
この動作法、脳性マヒの子への治療だけでなく、
以下のような症状へも効果があると
確認されているそうだ。
不安神経症、強迫神経症、対人恐怖症、
抑鬱神経症、転換ヒステリー、
神経疾患を疑われた歩行不能、
自己臭、解離性精神障害チック、
失語症、不登校、過呼吸症候群、心身症、
自分のからだを叩いたりつねったり
噛んだりする自傷行為などから、
阪神大震災の後のような被災後に起こる
PTSD(外傷後ストレス障害)
一般的には心の問題とされるこれらの症状に対し、
体からのアプローチにより効果がある。
これはまさしく、
体と心がつながっていることの証だろう。
動作法は、他にも一般の人の
姿勢(猫背)の改善や、
腰痛にも効果があるそうだ。
この動作法において、
筋肉を弛める際には、コツがある。
他者に頼っていては駄目で、
結局自分で自分を弛める
自己弛緩でなくてはならないことが
わかってきたのです。
他者による弛緩は、
そのとき限りの筋弛緩には役立つとしても、
その刺激がなくなれば元に戻るだけでなく、
その刺激に対して生体としての耐性が高まるので、
刺激がなくなれば元に戻るだけでなく、
繰り返しによって弛緩効果は
だんだん低下してしまうのです。
「自分で弛める」ことが大事。
これは、グイグイと強くマッサージすると、
そのときは血流が促されて気持ちが良いのだが、
だんだん慣れて効かなくなる、という話。
そもそも筋肉が緊張するのには、
その人の姿勢や身体の使い方の癖などに原因がある。
その原因にアプローチしなければ、
再発するのは当たり前なのだ。
動作法には更に良いことがある。
ところがこれには副産物があって、
姿勢がよくなるにつれてからだが柔軟になって
動きが全般によくなるばかりか、
気持ちが落ち着いて、勉強や物事に
能動的、積極的になるという
報告が多くなりました。
体を弛めることが、精神面も健康になるというのは、
まさに「動きが心をつくる」でも語られていたこと。
体というのは、考えられているよりも
ずっと広大で、奥が深いものであるようだ。
オススメ度は★4つです。
健康に興味がある人にとっては、
おもしろいと思います。
- 姿勢のふしぎ (ブルーバックス)
-
- 著者: 成瀬 悟策
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 861
- 発売日: 1998/07/17
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