★★★☆☆
緊張は自分が作っている
規律を重んじる日本社会は、
サービスの質も高く、恩恵も大きいけれど、
受けるプレッシャーも強い。
ストレスフルな社会と言い換えてもいいかもしれない。
そんな中で働いたり、暮らしていくには、
ストレスの対処法を知っておくのはとても大事なこと。
こうしたストレスに耐え、やり過ごすために
私たちは自分のからだへ働きかけ、
あちこちの筋群を緊張させます。
…
こころは自分が緊張させた自分のからだの緊張を
感じているだけなのです。
つまり体の緊張は、ストレスに耐えるために
自分でつくっているものなのだ。
そしてその緊張状態が続くと、心も不安定になり、
心身共に問題になってしまう。
本書のリラクセーションは、
巷間行われている筋の生理的な弛みを目的とするものではありません。
自分のからだの「緊張を自分で弛める」という
本人自身の心理的な努力活動を目指しているのです。
この本は、
「からだに働きかけて、ストレスに対処する」
方法を教えてくれるのだ。
著者は「姿勢のふしぎ」の成瀬氏。
それは「自分で自分を弛める」ということに他ならない。
しかし、これが難しい。
自覚している緊張と、体に起きている緊張は
必ずしも一致しないからだ。
こうした緊張の感じはすべて当人の主観的な感じ、内的な体験ですから、
たとえ生理的な緊張がそこにあるのは間違いないにしても、
感じているとおりに筋緊張がそのにあるとは限りません。
本人が努力してすっかり脱力し、
自分の筋群を意識的には十分に弛めたと感じていても、
なかなか抜ききれていないということです。
それで、自分で筋肉の緊張を弛める方法は?というと。
リラクセーションのもっとも基本的な方法といえば、
入れた力を抜いて筋の緊張をを弛める
ということに尽きるのでしょう。
「ジェイコブソンの漸進弛緩法」というものもある。
- 弛めたい筋肉を決める
- その筋肉の感じに注意しながら、じっくりと収縮させ、その緊張感を味わう
- 力を徐々に脱いていく。緊張の低下を弛緩感としてじっくり味わう
完全な弛緩感は得られにくいが、
局部的なリラックスが得られやすいそうだ。
- 余計な緊張に気付く
- 無意識のうちに、力を入れ続けていることに気付く
- 動かしながら緊張を弛める
ストレッチを効果的に行うコツも触れられている。
自分が「この筋肉を伸ばそう」と意識することだ。
自分のその筋が引き伸ばされることを納得し、
引き伸ばそうとする外的な力に逆らうような力は入れず、
自ら脱力し、伸びるために必要な程度にその筋群を弛め、
外力に応じて筋が伸びやすくなるように
協力する気持ちになることです。
心をリラックスに向けるには、イメージを使うのが良い。
「からだが重たい」、「背中が温かい」、「日向ぼっこをしている」、
「お風呂につかっている」、「気持ちが落ち着いている」、
「暖炉の前で暖をとっている」、「リラックスしている気分」、
「身も心もリラックスしている」、「全身が脱力している」
などがあります。
次は、四十肩など、痛みが出る動作での緊張を弛める方法。
1. 必要最低限の微弱緊張で、動作を行っていく
2. 筋肉が引っ張られ、痛みが出始めたところで停止
3. しばらくじっとしていると、痛みが変質する
4. 無痛になったら動きを再開
5. 2~4を繰り返す
四十肩なら、 気を付けの姿勢から、
1. 必要最低限の微弱緊張で少しずつ腕を上げていき
2. 痛みが出たところで停止
3. 痛みが変質して無痛になったら
4. 腕上げを再開し
5. 手が上がりきるところまで繰り返す
ということになる。2~4がポイント。
肩、腰、肘の緊張などの詳細な弛め方は
本に掲載されているので、参照されたい。
まとめ
- 体の緊張は心の緊張
- ストレスに対し、体の緊張で防御している
- まず、緊張を自分が作り出していることに気付く
- 微弱緊張からの弛緩により、筋肉の緊張を弛められる
このリラクセーション法は、痛みを確認して弛める。
体に意識を向けるという練習としてよい。
自分的には★4つですが、他の人へのオススメ度は★3つです。
「操体法」は、痛みのない方向に動くことで、
体全体を整えるもの。
こちらも、いくつかの体操を知っておくだけで、
自分の体を自分で整えることができる。
健康に興味がある人には非常にオススメ。
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