「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:空気を読む力

空気を読む力—急場を凌ぐコミュニケーションの極意 (アスキー新書 056)
空気を読む力—急場を凌ぐコミュニケーションの極意 (アスキー新書 056)
  • 発売元: アスキー
  • 価格: ¥ 760
  • 発売日: 2008/03/10

★★☆☆☆

 ただ空気が読める人になるというだけではなく、会議や飲み会などでそれとなく自分の評価を上げることができる技術の紹介。

 という触れ込みなのだが、事例の羅列に終始していて、一つ一つの密度が薄いため、印象に残らない。同じジャンルの本としては「ウケる技術」の方がずっと読後の印象が強い。

 コミュニケーションは相手の反応を予想するのが大事だとか、無茶ブリをされたときの対処パターンとか、拾えるところはあるのだが、特に内容に興味がある人以外にはあまりオススメしない。


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感想メモ:「手帳ブログ」のススメ

「手帳ブログ」のススメ
「手帳ブログ」のススメ
  • 発売元: 翔泳社
  • 価格: ¥ 1,449
  • 発売日: 2006/04/20

★★★☆☆

「シゴタノ!」の大橋悦男夫さんの本。

 「ブログを書く」目的をまずは「自分のため」と設定し、自分の考えや試行の記録、あるいは考えを発展させるツールとしての、ブログの活用を勧めている。

 内容は、ブログを作成する手順から、飽きず挫折せずに続けていくための心構えや方法について。体験に基づくノウハウやアドバイスが書かれている。

 しかし、私の場合長年サイトを持っており、動機も既に「まずは自分のため」というところに落ち着いている。飽きずに挫折しないということも、なんとなく乗り越えて来ている。なので、新しい発見満載というよりはむしろ「やっぱそうだよねー」という確認が多かった。ということで、これからブログを始める人をメインの対象とした本である。

 ブログへの取り組み方に一つの正解があるわけではない。長くブログを続けているサイトほど、中の人に共通するスタンスが見えてくるが、基本的に自分のサイトで何をするかは自由である。参考にするものはしつつ、好きなようにやればいいのでは、と思う。★3つ。


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感想メモ:良い経済学 悪い経済学

良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)
良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2000/11/07

★★★☆☆

ノーベル賞受賞のクルーグマン教授の論文集

 前後に経済学関連の本をいくつか挙げているが、この本は古典的な経済学の立場から、巷にはびこるインチキ経済学を斬る、というスタンス。

 例えば、「アメリカが貿易赤字により賃金が低下した」というストーリーに意味はない、と説く。
アメリカの輸出入の額はGDPの10%に満たないので、貿易赤字だけでは賃金低下の1/20しか説明できない。
従って、不景気の主原因はGDPの90%を占める国内景気なのであり、
貿易摩擦というシナリオは、国外に悪者を作り出し人々の目をそらさせる、
不正確だが理解しやすいストーリーだと説いている。

 短編の論文集なので、各章の連続性がなかったりと読みにくい部分もあるが、
経済学のシロウトには新鮮な視点が提供されていておもしろい。


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感想メモ:脳を活かす!必勝の時間攻略法

脳を活かす!必勝の時間攻略法 (講談社現代新書)
脳を活かす!必勝の時間攻略法 (講談社現代新書)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2003/06/21

★★★☆☆

 国Iに受かったりNHKのアナウンサーだったり議員の秘書だったり医者だったりする、スーパーマン的な肩書きを持つ著者の勉強法の紹介。

 「一日の時間=(24h – 睡眠 – 無駄な時間)×脳の活性度」

 上の式を前提として、効率化を図るという方針。睡眠は削る弊害が大きい。無駄な時間を削るのはほどほどに。一番重要なのは脳の活性度、従って脳の性質や特徴を理解することが重要ですよ、という主張。

 内容については、よくまとめられている書評があるので、こちらを参照されたい。
脳を活かす!必勝の時間攻略法

 こういった本は「ノウハウのピックアップではなく、理念を理解することが大事」という但し書きと共に書かれていることが多いが、結局はノウハウのピックアップにならざるを得ない。書かれていることすべてに、完全に同意できるというケースがあればいいが、そんなことはほとんどないからだ。

 人には好みがあるので、万人に合う方法というのは存在しないといってもいい。従って、自分の性に合いそうなものは試してみて、良ければ取り入れる、合わなければ捨てる、というのがこういった本の使い方なのだと思う。


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感想メモ:サブプライム問題とは何か

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
  • 発売元: 宝島社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2007/11/09

★★★★☆

 ーサブプライム問題ー

 わかったようなわからないような、アレな感じですませている人が、結構多いのではないか。本書は「一般の人にもわかりやすいように」というコンセプトで書かれているため、問題の基本的な骨格が掴めるように大きな流れを説明することを重視している。実際、読んでみてわかりやすかった。

 ということで、サブプライムローン問題の流れをザックリ書くと、以下のような感じだ。

  • NINJA(No Income No Job and Asset:仕事・収入・資産がない人)な人たち向けの住宅ローン=サブプライムローン
  • サブプライムローンの支払いを証券化したCDO(Collateralized Debt Obligation:資産担保化証券)という非常に危なっかしい商品が、なぜかトリプルAの格付けをゲットしまくり
  • 銀行がこの危ない商品を、企業への融資に華麗に紛れこませる
  • これを見抜いたえらい人が「あれマジヤバい」と発言
  • みんな爆売り。抱え込んでいた銀行が天文学的に強烈なダメージを食らう
    →ドカーン\(^o^)/

適当なので、情報の三次ご利用の際にはきちんと本を読んで確認しましょう。

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感想メモ:セイラー教授の行動経済学入門

セイラー教授の行動経済学入門
セイラー教授の行動経済学入門
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2007/10/27

★★★★★

 おもしろい。

 古典的な経済学では「人は全ての選択肢を考慮し、その中から最適なものを選択する」という無理な前提の元に組み立てられている。しかし現実の人間は、そんなに賢い存在ではない。とすると、その前提から導き出される古典的な経済学の理論というのは、本当に確かなものなのだろうか?

 例えば、人は必要以上に現状維持を好むし(現状維持バイアス)、理論的な最適な行動以上に損を避けようとする(損失回避)。あるいは、期待値の最大化とはほど遠い行動を取ってしまう(ギャンブル)。そしてその根本的な原因こそが、人間が理性的な計算よりも心理的な判断に拠って行動する生き物だから、ということなのである。

 古典的な経済学では心理的な要素を重要視しないのに対し、行動経済学では人間の心理的な要素を取り入れることで、既存の経済学の前提に修正を加えようとするのが、この行動経済学である。私には、その試みは非常にまっとうであるように思えるのだ。★5つ。 オススメ。


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感想メモ:ウケる技術

ウケる技術
ウケる技術
  • 発売元: オーエス出版社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/07/19

★★★★☆

 読むだけでもおもしろいのだが、実践すると使えることに気付く、二度おいしい本。紹介されている6の戦略と38の技術を身に付けねば!などと身構える必要は全くなく、おもしろいと思ったところだけ記憶に留めれば良し。

 おもしろいことで評価が高い友人にこの本を貸したところ、「ガイジン化」(ギャグを放つときはガイジン風にテンションを高く保つ)に深く共感していたのが印象的だった。

 同じことを言ってもウケる人とウケない人がいるように、やはり「ギャグを言うぞ!」という気合いと勢いが重要だと深く信じ込むことこそが勢いを産むのだと、周りを見ていて思う。

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感想メモ:ランチの行列に並んではいけない

ランチの行列に並んではいけない
ランチの行列に並んではいけない
  • 発売元: 青春出版社
  • 価格: ¥ 767
  • 発売日: 2006/11/02

★★★☆☆

時間を効率よく使う考え方+TIP集。
いわゆるLifehack本に類すると言えようか。
朝素早くでかけるコツとか、通勤電車での時間の使い方とか、そういった内容。好きな人は、ネタを拾って試してみるといいだろう。
 私がメモしたのは以下のようなところ。

  • PODCASTの活用
  • 手帳+4色ボールペン
  • 残業を前提とせず、締め切りから逆算して効率よく→トリンプの例
  • お風呂にホワイトボードを持ち込む

 時間の活用といったものは習慣なので、日頃から意識していると生活は変わってくる。しかし行きつくところは皆それほど変わりはないようで、本屋で軽く立ち読みしてみても、内容は大体似通って来るものだと感じる。 例えば「無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法」「TIME HACKS!」など。

 人それぞれなので、書いてあることすべてが自分に合うわけはない。読んでみて、試してみたいと思ったものを拾っていけば良いのではなかろうか。

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感想メモ:上達の法則

上達の法則—効率のよい努力を科学する (PHP新書)
上達の法則—効率のよい努力を科学する (PHP新書)
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 714
  • 発売日: 2002/05

★★★★☆

 何でも覚えがよく、すぐに上達する人がいる。
特に、既にある分野での上級者である人が、他の分野にも専門分野の知識・経験を活かしてすぐに上達することが多い。
「一芸万事に通ず」というやつだ。

これはどうしてなのだろうか?また、自分がなるべく効率よく上達するためには、どうすればいいのだろうか?
このような内容が、いわゆる「上級者」に共通してみられる要素を抽出するとともに、知識や記憶を行う脳の仕組みにも触れながら書かれている。

 つまるところ、上達というのは肉体:ハードウェアではなく脳:ソフトウェアの問題である。
いかにコツを見抜き、不要な情報をそぎ落としエッセンスをシンプルに把握するか、ということだと考える。
「上達」は、年齢を問わず生きている上で常に必要であるため、読んでおいて損はないと思えた。

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感想メモ:ランチタイムの経済学

ランチタイムの経済学—日常生活の謎をやさしく解き明かす (日経ビジネス人文庫)
ランチタイムの経済学—日常生活の謎をやさしく解き明かす (日経ビジネス人文庫)
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 価格: ¥ 900
  • 発売日: 2004/09

★★☆☆☆

 私は経済学の拠って立つ前提に疑問を持ってしまっている。

 それは例えば「人は全ての選択肢を考慮し、最適な行動を選択する」といったようなものだ。んなわけないと。人はもうちょっと愚かなので、その辺を考慮するモデル化が必要だと思う(経済学すべてがおかしいと言っている訳ではない)。

 従って、この本に書かれているような、その前提に基づき導き出された結論にも、自動的に疑問を持ってしまう。その結論が直感に反するものである場合、なおさらだ。その前提を、より現実的なものになるよう修正を加えた場合、結論はどの程度変わってくるのだろうか。その辺が知りたい。

 こんな考えを持っている私には、「セイラー教授の行動経済学入門」の方がはるかにしっくりきたのだった。


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