「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:日本の選択

日本の選択
日本の選択
  • 発売元: 講談社インターナショナル
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/03/01
  • おすすめ度 4.0

★★★★☆

 知日派のイギリス人2人が日本の将来について熱く語りあっている対談本。著者は「日はまた沈む」「日はまた昇る」の著者ビル・エモット氏と、ピーター・タスカ氏。

 やはり日本人とは異なる視点で語っているのが興味深い。例えば、二人ともが日本の財政に問題ないと考えている。財政赤字はほとんどが対内的なものなので気にするな。貯蓄はいずれ使われるので、財源は自然と豊かになるから、財政は現状維持で問題なし、むしろ問題は増税を示唆して消費に水を差すことの方、というのだ。自分がマスコミの情報を鵜呑みにして、あまり自分で考えていなかったと気付かされた。

 二人の意見は他にも共通点があり、例えば中国を好ましく思っておらず、日本にアジアでのリーダーシップを取って欲しいと考えていること。そして、日本が今後成長を伸ばすには、国内市場だけでなくグローバル市場を相手にしていくべきということなど。

 イギリスは、過去に栄えた国で最近は落ち込み気味、という印象があるが、実はここ10年程3%近い経済成長を続けている(金融が原動力なのでダメージもでかいが)。従って、現在の日本がイギリスから学ぶべき点があるとすれば、それは何なのか。そういう点からも読むことができる。


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感想メモ:「感性」のマーケティング

「感性」のマーケティング 心と行動を読み解き、顧客をつかむ (PHPビジネス新書)
「感性」のマーケティング 心と行動を読み解き、顧客をつかむ (PHPビジネス新書)
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2006/11/18
  • おすすめ度 4.0

★★★★★

 マーケティングは相手が人であるため、機能や価格だけで売れるかどうかが決まるものではない。人の「感性」を意識して訴えかけていくことで、価格競争だけでは説明できない結果を出すことができる、という本。

 いわゆるマーケティングでは、価格や機能などで競合に対して優位性を出し、セグメント化した顧客に対し広告を打っていく、というような手法をとる。しかしここでは顧客一人一人が人間であり、価格や機能以外のもの(例えば雰囲気や音など)に対しても影響を受ける存在であるという考え方は、あまりなされない。

 しかし顧客はあくまで人間である。人の感性に響くようなモノづくり、サービスを考えることで、価格競争を抜け出すことも可能となる。Appleのuser experience designは良い例だろう。

 ビジネスに関わる全ての人にオススメできる。良著。★5つ。


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感想メモ: ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
  • 発売元: 三笠書房
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2006/05/08
  • おすすめ度 4.0

★★★★☆

 略しまくると「21世紀を生き抜くためには右脳だ!」ということを大前研一訳で熱く語っている本。

 中国とかインドとかで安く代行可能だったり、機械化できるようなことをやっていると、将来的におマンマ食い上げリスクが高まってしまう。そこで、交換が利きにくいことをやりましょう、それにはデザイン、人間の感情、情報の統合、物語、感性などの右脳の分野がキーですよ、ということ。

 この主張自体は頷ける。そして右脳には左脳にはない能力があるというのも確かにその通りだと思う。しかし結局のところ、じゃあどうやって右脳の活用を仕事などの実生活に活かしていくの?というところが問題になる。皆が芸術家やデザイナーになれというのは、現実的ではない。仕事の中で、右脳の分野を活用したアウトプットを出すことを心がける、というところが現実的な線だろう。どうやって?という疑問は尽きないが。

 主旨としてはわかるので★3.5個を繰りあえげて4つ。感性の重要性についてであれば、「感性のマーケティング」の方がわかりやすい。


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感想メモ:ヤバい経済学

ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版]
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2007/04/27
  • おすすめ度 4.5

★★★★★

 アメリカで170万部販売のベストセラーの増補改訂版。原題は「Freakonomics」。

 「経済学」となっているが、対象がいわゆる「経済学」の範疇に留まっていないことから、経済学に興味がない人にもおもしろく読める内容となっている。

 例えば、相撲の千秋楽での勝率の不自然な偏りや、不動産広告の意味、犯罪率の低下には何が効いているのか、勉強ができる子の親はどんな人で何をしているか、白人と黒人の名前の変化の傾向、子どもにとっての銃とプールの危険性、などなど。読後の生活にも影響を与える本かもしれない。

 原題の「Freakonomics」と「ヤバい」の雰囲気の違いが気になるところだが、良著であることに変わりはない。オススメの★5つ。
 ブログはこちら→Opinion – Freakonomics Blog – NYTimes.com


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感想メモ:最短で結果が出る超勉強法

最短で結果が出る超勉強法 (講談社BIZ)
最短で結果が出る超勉強法 (講談社BIZ)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/06/26
  • おすすめ度 4.5

★★★★☆

  「中学受験偏差値72を取る効率的勉強法」の庄司雅彦氏の本。自身が東大現役合格、脱サラ後2年で司法試験合格、娘さんの受験も御三家を含む全合格・・・などの実績を元に語られている勉強法。

 内容としては、一冊の基本書を何回も繰り返す、耳も効果的に使う、勉強仲間を作る、アウトプットを重視する、など実感を伴って頷ける内容が多かった。

 回転を速くし、読んだことを忘れないうちに再び読み返す。こうすることで脳への定着を高めるのが速読だと理解している(少なくともフォトリーディングに関しては)。

 こういう勉強本も、選んだ一冊の基本書を何回も読み直すのがいいだろう。そうすれば、他の本を読んでも内容が重なっている部分や異なっている部分がすぐにわかる。勉強に速読(斜め読み)はとても役立つので、勉強する必要がある人は、ぜひ試してみると良いと思う。

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感想メモ:アフォーダンス-新しい認知の理論

アフォーダンス-新しい認知の理論 (岩波科学ライブラリー (12))
アフォーダンス-新しい認知の理論 (岩波科学ライブラリー (12))
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 1994/05
  • おすすめ度 4.5

★★★★☆

 流し読みでしっかり理解できていないのだが、その範囲でざっくり内容を書く。

 大体の内容は、「アフォーダンス入門」と共通である。しかし本書の方が、アフォーダンスの開祖ギブソンが、アフォーダンス理論にたどり着くまでの流れを追って書かれているため、理解しやすかった。以下ポイント。

  • 「環境や物はそれ自体が情報を含んでいて、動物はそれを見つけ出す」という考え方≠「動物が脳で映像を処理して情報を作り出す」という考え方
  • 視覚に基づく認識は、網膜に形成された像だけでは説明がつかない
     :錯覚、脳による像の補完、対象の動きによる立体の把握、網膜で像を作る動物の方が少ないということ、など
  • 自分を取り囲む様々な光の中に様々な情報が含まれている
     :対象の距離、傾き、大きさ、早さ、自分との位置、自分に到達するまでに時間、自分の体勢、移動速度、など

 もっとゆっくり読めば理解が深まった気がする。
アフォーダンスについて知りたいなら、「アフォーダンス入門」よりもまずこちらがいいと思う。


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感想メモ:戦略的な人の超速★仕事術

戦略的な人の超速★仕事術 (中経の文庫 に 1-2)
戦略的な人の超速★仕事術 (中経の文庫 に 1-2)
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 520
  • 発売日: 2008/01
  • おすすめ度 4.0

★★★☆☆

  仕事術ということで、lifehack本。内容を簡単に挙げると

  • 集中できる時間を確保する
  • 計画を立てて、きちんと見直す
  • 無駄をなくす
  • 情報収集
  • 整理整頓
  • コミュニケーションの取り方

など、基本的に読んだことがある内容が多かった。

 そんな中、この本の特徴的な所はというと、6章の企画作成について。各種雛形やプレゼンの方法などが載っていて参考になる。しかしこの本は仕事術がメインで企画作成の本ではないため、残念なことにどれも軽く流されていて、一つ一つの説明が浅くなってしまっている。個人的にはここをもっと掘り下げてもらいたかった。

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感想メモ:おもてなしの経営学

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)
おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)
  • 発売元: アスキー
  • 価格: ¥ 790
  • 発売日: 2008/03/10
  • おすすめ度 3.5

★★★★☆

 「Life is beautiful」の中島聡氏の本。

 Appleの強みは、ハード・ソフト面での徹底的なUesr Experienceの設計(=おもてなし)にある、という話が最初。次は月刊アスキーでの連載内容の再掲。ここまでで前半2/3。残りは西村博之、古川享氏(マイクロソフト日本法人元会長)、梅田望夫氏との対談。ここは読み物。

 中島氏がすごいhackerであるということは知っていたが、古川氏との対談でかつてのASCII、Microsoftの内情が語られている中で、WindowsやExplorerのインターフェースの開発に関わった凄腕であることを、この本を読んで初めて知った。

 「パラダイス鎖国」と同時期に読んだのだが、個人的には技術的な話が多い本書の方がおもしろく読めた。Microsoftにいた氏であるだけに、MicrosoftとAppleの対比の説明には、説得力がある。ビル・ゲイツはGeekと見られているが、彼の強みはむしろスーツ族としてのビジネスの進め方にある、という話もおもしろい。

 ITが好きな人には★4つ。好きでない人には3つかな。

ちなみに中島氏は最近iphone向けのソフトを開発しで、会社を立ち上げてリリースしている。
その経過がサイトに書かれていて、おもしろい。

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感想メモ:TIME HACKS!

TIME HACKS!
TIME HACKS!
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2006/12/01
  • おすすめ度 4.5

★★★★☆

 80個程度のlifehackネタが提供されている。他のlifehack本同様すべてを生活に取り入れるのは現実的ではないので、気に入ったものをピックアップして試してみると使い方をするべき。

 この本でも、lifehack本に共通して出てくることは押さえられている。例えば「午前中の頭が元気な時間を有効に使う」「メールチェックは最低限にする」「しっかり計画を立てる」「全部引き受けないで自分の時間を確保する」といった類いだ。STUDY HACKS!が既読なので、結構かぶった。

 重要なのは、目的と手段を区別し、目的の方を押さえることだ。例えば「ポストイットをこうこう使う」のが重要なのではなく、「タスクをモレなく優先順位を処理する」ことが大事なわけだ。こう考えれば、「lifehackで空いた時間をlifehackに費やす」のようなことはしなくて済むはず。

 結構思想が似ていたので★4つ。

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感想メモ: パラダイス鎖国

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
  • 発売元: アスキー
  • 価格: ¥ 760
  • 発売日: 2008/03/10
  • おすすめ度 4.5

★★★☆☆

 Tech Mom from Silicon Valleyの海部美知さんの著書。

 日本は国内市場が大きく、サービスも住み心地も良い。国内でかなり事足りてしまうため、若者の海外志向も低下している。などの内容については他の書評に譲る。
影薄くなってるよニッポン〜『パラダイス鎖国』

 個人的な感想としては、内容をもう少し絞っても良かったと思う。読後、「パラダイス鎖国」というキャッチーなフレーズの意味合いは、確かに頭に入った。しかし内容が、日本の貿易収支から経済の方向性についてなど多岐にわたるため、一つ一つの議論が詰め切れていない。
このことが、今一つ納得感が持てなかったという読後の感想につながっている。説明が足りないというか。

 梅田望夫氏の解説にもある通り、著者は表現が難しい状況に対してキャッチーなフレーズを作り出すのがうまい。だからこそ、一つ一つの言葉にしっかり説明をし、肉付けをして血を通わせてほしいと思った。★3つ。

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