「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:考具—考えるための道具、持っていますか?

考具—考えるための道具、持っていますか?
考具—考えるための道具、持っていますか?
  • 発売元: 阪急コミュニケーションズ
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/03

★★★★☆

 考えてアイデアを生み出し、企画としてまとめる。博報堂の企画屋である著者が、培ったノウハウを教えてくれる本。考具とは「考えるためのツール」という意味。

 本書は企画屋さんの本らしく、インプット→展開(アイデア)→収束(企画) というように企画としてまとめる流れと、その各ステップに用いるツールを紹介している。ツールは、心構えや習慣から筆記用具、PCの使い方まで幅広い。

 しかし本書で教える最も大切なことは「アイデアを考える習慣をつける」ということだろう。どの道でも、継続は力なり。逆に言えば、読んで「ふーん」と思うだけでは、いくら良い本であっても意味がない。その習慣をつけるための方法が書いてある本として、「脳が教える! 1つの習慣」がオススメ。★4つ。

関連エントリー:

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:脳が教える! 1つの習慣

脳が教える! 1つの習慣
脳が教える! 1つの習慣
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/07/05

★★★★★

 目標を達成したい。何かを成し遂げたい。
そのときに効果を発揮する「1つの習慣」。それが、

「小さなことから始める」

ということだ。

 なぜだろう?
脳は、大きな変化を必要とする大きな目標を立ててると、
脳は難しく感じて抵抗する「ようにできている」のだ。
生物として、生存確率が低くなることは避けたいだろうから、
そうなってしまっているのだから、しょうがない。

しかし「ダイエットする」という大きな目標を、
「珈琲に入れる砂糖の最初の一杯を少なくする」
というような小さな目標から始めれば、
一歩目を楽に踏み出すことができる。

 この「一歩踏み出す」ことが大事なのだ。
一歩出てしまえば、二歩目を出すのは一歩目よりもずっと簡単。
そして三歩、四歩と続けていくのも、難しいことではないのは、
誰しも経験があることだろう。

つまり、0歩と1歩の間の谷をいかに超えるかが肝心で、
そのためには「1歩目を小さくすること」が非常に有効なのだ。

 他にも

  • 「自分に小さな質問をする」
  • 「脳はイメージと行動を区別できない」
  • 「小さな行動を起こす」
  • 「小さなごほうびを与える」

 など、おもしろい内容が続く。

 「目標の最初の一歩は小さく」と覚えておくだけで、
自分をコントロールする上でもとても実用的。

「小さなことからコツコツと」は、
脳科学的にも正しいことだったのだなぁ。
オススメ度は★5つです!

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

★★★★☆

 世界に50億と言われる貧困層(BOP:Bottom of Piramid)だが、彼らを対象としたビジネスは可能であり、そのためは何が必要かを説明し、実際に運用されている事例を紹介している本。本書の前半は理論的な部分、後半は事例の紹介。

 このような話では、グラミン銀行のマイクロファイナンシャルが有名だが、他にも途上国でのビジネスを成功させている例はあるのだ。例えばヨード欠乏症を防ぐ、ヨード添加塩の販売。下痢による感染の蔓延を防ぐために、手洗い習慣を推進する石鹸販売、他にも義足の販売、信用販売、住宅供給など成功例は多い。貧困層をターゲットとしたビジネスは不可能ではないのだ。

 ただし、それが簡単でないのも事実。例えば、嗜好品を売ろうと思ってもうまく行かないのは明白だ。従って、成功にはいくつもの条件が必要とされる。それを文中では「イノベーション12の原則」として紹介している。

 ★4つだが、堅い本なのできちんと全部読もうとすると、かなり時間がかかるので注意。付属のCD-ROM(英語)には、本に書かれている事例についての映像での説明がある。また、本に書かれていない追加の事例紹介もあり。

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/02/01

★★★★☆

 人間はランダム性を正しく認識できないということを、投資を舞台に語っている本。「行動経済学入門」と重なる部分が多いが、「投資家のほとんどの成功は運による要素が多いが、実力と勘違いしている場合が多い」と容赦ない。

 著者によれば、ある状況で高いパフォーマンスを出す投資家は、状況に過剰適応している可能性が高く、大暴落などの状況では、全てを吹き飛ばすような大損をすることになる。日頃は高いリターンを得られないが、堅実な運用をしている人の方が長い目で見れば大きなリターンを得る(ロバストネスのトレードオフ)。果たして、投資の世界には前者のような人たちがほとんどだったということが、今回の金融危機で証明されたことになる。

 著者はというと、ロングのオプションしか取らないという変わったスタンスである。彼のアドバイスに従った投資家は、今回の金融危機でも非常に高いパフォーマンスを上げたということで注目を浴びた。
「ブラックスワン」の助言、プラス50%超の運用成績生む−大暴落でも – Bloomberg.com

 難点は、読みにくいこと。「目次で内容がわかるような本は嫌いだ」と語る通り、目次を見ても内容がわからない。意図的なのだろう。

 投資に興味がある人には★5つ。ない人には★3つ。「The Black Swan」という続編あり。

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:セクシープロジェクトで差をつけろ!

★★★★☆

「ブランド人になれ!」に続く、トム・ピーターズの「サラリーマン大逆襲作戦」の2冊目。メッセージは「仕事をするなら、イヤイヤつまらないことをするよりも、興奮して打ち込めるようなプロジェクトをしよう!」ということ。これが「セクシープロジェクト」である。

 メッセージには、とても共感できる。人が大きなことを達成するためには、情熱が必要不可欠である。そして同じ仕事をするのでも、つまらないと思ってやっているのと、興味を持ってワクワクとするのでは全く結果が異なるだろう。問題は、「どうすれば情熱を持てるの?」ということだ。答えとしては、「どんなつまらない仕事でも、チャンスと思って楽しくしてやるというスタンスで臨もう」ということである。

 どうせ長い時間仕事をするのなら、確かにワクワクできることをしたいものだ。「でも」とできない理由をならべるよりも、ポジティブなメッセージとして受け取るのが、「セクシープロジェクト」への第一歩だろう。★4つ。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

 

感想メモ:KJ法—渾沌をして語らしめる

KJ法—渾沌をして語らしめる
  • 発売元: 中央公論社
  • 発売日: 1986/11

★★★★☆

KJ法の決定版

 KJ法について書かれた「発想法」「続・発想法」が1970年ぐらいに発刊されたが、この「KJ法は」1986年に発刊された、約580ページ+図表5枚の堂々たるボリュームの決定版(お値段6800円)。

 kJ法のやり方や精神については、前著の2冊の内容とほぼ同じだが、より発展させた形。KJ法の会議への適用やグループKJ法について、他にも取材方法としてKJ法と逆に発散志向のメモ+まとめ方法である、マインドマップに似た「探索ネット(通称花火)」など色々な内容がたっぷり書かれている。

 説明は尽くされている感があり、図表もふんだんに示されているため、KJ法の全容をつかむことができる。難点は手に取るのをためらわれるボリュームと、立派な価格か。KJ法を学ぶ必要がある人にとっては非常に価値があり、★5つ。普通の人には値が張りすぎるので★3つ。図書館で借りられるなら★4つ。

関連エントリー:

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

 

感想メモ:発想法、続・発想法

 

発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1967/06
続・発想法 中公新書 (210)
続・発想法 中公新書 (210)
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1970/02

★★★★☆

KJ法の入門書

著者川喜田氏考案のKJ法について、その目的や意義、手法などを説明した本。KJ法は、データの収集と仮説を立てる間にあるプロセスで用いる、創造的発想法という位置づけである。簡単に言えば「多くのデータをまとめ意味を抽出する」作業である。

 KJ法というと、思い付くことをたくさんの紙片に書きつけて、関連のあるものをグルーピングする、という印象がある。しかし本家はもっと奥深く、厳密だった。例えば、このグルーピングは理屈で考えたものではなく、心を空っぽにして「なんとなく親しみを感じる」というような感性で行うとのこと。また、グルーピングは小→大というボトムアップで行い、決してトップダウンで行ってはいけないとのこと。 

 「KJ法」と言ってみたい人は、「発想法」「続・発想法」のどちらか一冊を読んでおいた方がよいだろう。「続」の方がKJ法を実践する手法の説明に重きが置かれ、手順の説明や、実際に作られた図が多く示されているので、「続」の方がよいかな。ただ実際に身につけたいと思ったら、研修会に出るか別の本を読んだ方がいい気がする。

関連エントリー:

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09

★★★★☆

 「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の「この本がスゴい2008」経由で。

 ヨーロッパが世界を植民地にできた理由が「銃・病原菌・鉄」であるが、それがなぜヨーロッパで栄えたのか。それは必然なのか、偶然なのか。という壮大なテーマについて。内容については、上記サイトの書評を読んでもらえれば。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: Google Earth のような人類史「銃・病原菌・鉄」

 確かに興味深いテーマで、提示されている仮説も説得力があって、とてもおもしろい。しかし、ページをめくる私の手は、重かった。なぜかというと、読みにくいのだ。これが著者との相性なのか、翻訳のせいなのかはわからない。理系の子だからか?と思ったが、そうでもなさそう。これでもっと取っ掛かりやすければ、と思ってやまない。

 歴史好きには★5つ、普通の人には★3〜4か。読みやすければ文句なしの★5。

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」

問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,520
  • 発売日: 2001/12

★★★☆☆

 『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の続編。
解決以前に、適切に問題を発見するところに焦点を当てている。以下内容。

 ・問題は「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」。
うまく問題を発見できないのは、「あるべき姿」を描けなない、
「現状」の把握が正確でない、「ギャップ」の構造がわからない、
解決策を「現状できること」ベースで考えている、などのケース。

 ・現状ベースではなく、ゼロベースで「あるべき姿」を考える。
ツールとして4P。Purpose:何のために、Position:誰にとって、
Perspective:どの範囲で、Period:どの時点で、の問題かを考える。

 ・問題の「拡がり」分析→重要因子抽出。
MECE、トレンド、+/-差異、集中・分散、コスト、CS/CE(バリュー分析)

 ・問題の「深さ」分析→問題具体化。
ロジック、ユーザビリティ、相関、シェア。

 ・問題の「重さ」分析→優先順位付け。
感度、パレート、ABC、ピーク、リスク・期待値。

 「問題解決プロフェッショナル」と合わせて、
コンサルタントの問題発見→解決の手法が教科書的に概観できる。
ただし、現実の問題に大して、手を動かして使ってみないと身に付かないはず。
とはいえ、知識として知っているのはよいことだと思う。★3つ。

関連エントリー:

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,447
  • 発売日: 1997/01

★★★★☆

 コンサルタントが問題解決に使う考え方の基礎を学ぶことができる本。

 主に紹介されているのは以下のもの。

  • ゼロベース思考
  • 仮説思考
  • MECE
  • ロジックツリー
  • ソリューションシステム

 最後のソリューションシステムが聞き慣れないが、
前の4つを駆使した問題解決のプロセス、とのことだ。

 コンサルタントだけではなく、社会人、学生、主婦、職業に関わらず、
すべての人が少なからず問題を抱えて生きているわけで、
その解決に役立つ考え方を知るのは良いことに違いない。

にも関わらず、こういった考え方がビジネス以外の場で使われているかというと、
あまり、そういうことはないように思える。

 しかし、個人がこういった本で勉強をして、
自分が抱えた問題の解決に活用するのは自由だし、
本書もそういった意図で書かれていることだろう。
ただ、独学で身につけた知識がどこまで実用に堪えるかは別問題で、
ここが独学のつらいところでもある。

 この本は、問題解決の基礎となる知識を絞って紹介してあるので、
一つでも実際の生活に活かそうとしてみるのがよさそう。
逆に言えば、実生活に活かさなければ何の意味もないが、それは読み手の問題と。
オススメ度は★4つです。

関連エントリー:

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru