「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:探究する力

探究する力
探究する力
  • 発売元: 知の探究社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/02/15

★★★★☆

TCS(Tokyo Community School:http://tokyocs.org/)のお話。
学校の勉強は、やらされている感があった。
まぁ、実際にやらされている訳なのだが。
しかしやらされていない、自分の興味でする勉強は、実は楽しい。
この感覚に近いほど楽しくなるのだろう。

TCSは、「探求型」の学習を行う全日制の小学校。
では「探求型」とは何ぞやということだが、
知識詰め込み型の受け身の学習ではなく、
フィールドワークを多用し、生徒達がテーマに沿って自発的に
行動を起こしていく、というもの。

みずみずしい体験を伴った学習であるため、座学の知識とは深さが違う。
その分時間もかかるのだろうが、体験した記憶は容易に消えないので、
長い目で見るとずっと良いコストパフォーマンスなのだと思う。

本の前半は探求型学習の実例紹介、後半は現在の探求型学習に至るまでの
道のりと考え方の紹介となっている。
前半で紹介されている、子供たちのイキイキとした姿がとても印象的だ。

TCSでの学習は、「知りたい」「わかりたい」という内的な欲求を
伴う学習であり、学習の理想の形にかなり近いように思う。
おもしろかった。★4つ。

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感想メモ:心の動きが手にとるようにわかるNLP理論

心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
  • 発売元: 明日香出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2003/10/31

★★★☆☆

他人がどう世界を理解しているかわかったら、
余計な摩擦や衝突も減るし、うれしいだろう。
自分がどう世界を理解しているかわかったら、悩みややる気をコントロールできて、
これまたうれしいだろう。

NLP理論とは、簡単にいうと上のようなものだと理解した。
同じ出来事であっても、認識の仕方が違えば全く別の経験となる。
この認識の仕方をパターン化し、自分や他人がどのパターンかに応じて
効果的なやり方を選択しよう、ということのようだ。

なんだか漠然とした感じだが、説明されている対象範囲もかなり広い。

例えば、

  • 目標設定
  • モチベーションアップ
  • 信頼関係をつくる
  • 説得・交渉
  • 苦手の克服
  • 時間管理
  • チームワークを強める

などなど。キーワードは以下の通り。

  • ラポール
  • バックトラッキング
  • リフレーム
  • チャンキング
  • エコロジーチェック
  • フィードバック
  • GEOモデル

いいこと言った!と思ったのは以下の部分。

  • 経験は五感を通してつくれれ、記憶されるのです。
  • これらをNLPでは「代表システム」と呼び、視覚・聴覚・体感覚(味覚・嗅覚・触覚)として扱います。
  • しかし認識が変わると、失敗した当時は消してしまいたいような経験であっても、楽しい経験として蘇らせることができるのです。
  • 「そして」「それでね」「それから」とつなげることで、未来へと話を向けることができます。
  • 尻込みしている自分に、目標を達成したところにいる自分から、サポートするように力づける呼びかけをします。

つまるところ、心理学的なノウハウ集の本と読んだ。
様々な利用法が紹介されているツールなので、汎用性は高い。
人間関係の向上に役立てるもよし、自分の性格を理解して
モチベーション管理に役立てるもよし。

上のキーワードは、下に挙げる他の本でも出てくるので、
どれか興味が湧く本を読めばよいかも。★3つ。

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感想メモ:人生の教科書「人間関係」

人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 609
  • 発売日: 2007/04

★★★★☆

「カネ、モノが豊か」な状態というのは、わかる。
それでは、「人が豊か」というのはどういう状況なのだろうか。

「必要なとこいつでも他人のチカラを調達できること」。
そのための人間関係、すなわち「自分ネットワーク」が
豊かであること、と著者は言う。

こう聞くと、目的のために利用するための人間関係、
というように聞こえるが、そうではないようだ。
お互いにチカラを引き出しあう豊かな人間関係、
とのことである。

その秘訣は、出会いに「!」、つまり小さな感動を盛り込むこと・・・

著者は「つなげる力」の藤原氏。
リクルートから公立中学の校長へ赴任し、
次々と新しい試みを行っている注目の人だ。

内容は、その著者が語る人間関係のノウハウ集。
相手の興味を引くには?聞き上手になるには?
初対面の人と打ち解けるには?などなど。

そのコツは、5つにまとめられている。

  1. 人間に関心を持つ
  2. 強みだけでなく、弱みでもつながること
  3. 組み合わせる力が縁を倍加する
  4. 知恵を借りる姿勢をくずさない
  5. 相手の言葉で語る技術

なんとなくは感じていることだが、
文字としてまとめられていると認識が深まった。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 感動の”!”は、質問の”?”から始まる。
  • 衝突があるから人間関係はおもしろい。
  • まずは、大きくうなずいてください。身を乗り出して聞いてください。
  • 相手と自分共通点を探してリンクを張りましょう。
  • 努力しても距離が縮まらない人と無理につきあう必要はありません。
  • 「たとえ話」がうまくなると、会話が一段と弾みます。
  • 身近な体験を盛り込んでください。テレビや雑誌で見聞きしたことではないあなた自身の体験談を。
  • 子どものころの話を聞いてみてください。
  • 面白い話は圧倒的に体験談。つまらない話をする人は「べき論」「評論」「一般論」ですね。
  • 他者から与えられた信用と共感が大きい人がリスペクトされます。

人間関係は誰しもに関係する大事なこと。
文庫本でサラッと読めるので、持ち歩いて時間が空いたときに
読んでおくとよいでしょう。★4つ。

藤原氏の本では、「つなげる力」がおもしろい。
ちょっと触れた、公立高校での試みの話などが書かれている。
こちらもぜひ読むべき。

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感想メモ:大きなケーキは人にゆずろう

大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
  • 発売元: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2003/10

★★★★☆

 タイトルと目次からは、チーズがなくなったりバターが溶けたり
するような話かと思ったが、良い意味で裏切られた。

 著者はニューヨークNO.1の不動産仲介会社コーコラングループの創設者、
バーバラ・コーコラン。
特別なコネや有力なバックがあるわけでもない著者が、
ここまで事業を大きく成功させた秘訣は何なのだろうか。

 本としては、それは子供十人の家庭を切り盛りする
母からの教えの数々、ということになる。
しかし素直ではない私は、逆にビジネスのノウハウを
家庭のエピソードにつなげて紹介したものと読んだ。
まあどっちでもよいのだが。

 仕事を始めて、家事との共通点に気付く人は少なくないだろう。
つまるところ、複数の人が協力して、
物事を回していくという根本は同じだからだ。

 家庭環境がその人に与える影響は大きいよね。
という安っぽいまとめでいいでしょうか。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 人はたいてい、心で決めて頭で正当化するものだ。だからこそ、わたしたちが提案して”まずはサインして、あとで考えて”という作戦を容易に受け入れられたのだ。
  • マーケティングにかんするかぎり、いちばんのチャンスはいつも人けのない場所に転がっていた。
  • なぜならいいアイデアがないからではなく、失敗を恐れているからだ。

一人の女性がゼロから頂点を極めるまでを綴る
サクセスストーリーとしても読めるし、
彼女の経営やマネージメント、人事や採用、営業などの
考え方について学ぶ本としても読める。

タイトルから受ける印象とはちょいと異なり、
実用的なノウハウ本という印象だった。
仕事をする女性に特にオススメかもしれない。★4つ。

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感想メモ:調理場という戦場

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 630
  • 発売日: 2006/04

★★★★☆

「フランスのレストランで修行をし、帰国後自分の店を構えた」
言葉にすればそれほど珍しい話ではない。
しかしその中身は、激しく濃厚な経験の日々である。

 著者はコート・ドールのシェフ斉須政雄氏。
23歳のときに、言葉もろくにわからない状態で
フランスに渡りお店に入る。
言葉も文化も作法も異なる異国での奮闘の日々。
読んでいるだけでも短期間で非常に多くの
血肉となる経験をしているのがわかる。

  • 大切なのは、簡潔であり、清潔であり、人間性があるということです。
  • 「整理整頓がなされていることは、仕事がきちんとなかれるための基本なのだ」ということが、このお店に来てよくわかった。乱雑な厨房からは、乱雑な料理しか生まれない。大声でわめきたてる厨房からは、端正な料理は生まれない。
  • そしてその「好きだから」という考え方で行動すれば、当たり前の日常で、みんなが楽しくやれるんだなぁということも、ほんとうによくわかりました。
  • だからこそ、毎日試していないといけないなぁと思っています。
  • 生き方は才能が発芽するためのバリアのようなものでしょう。

 後半は、斉須氏の料理人としての仕事観のようなものにも触れられる。
読むと、他の仕事との共通点、違いがわかる。
一生料理人としては働かない気がするので、
その職業の人の考え方を学ぶことができるのはおもしろい。

 料理人という職業も、クリエイティブさが求められる仕事だという意味では
他の仕事と同じだし、掃除や整理整頓が基本であること、
一人ですべてができるわけはないので、チームワークが必要とされることも同じだ。
そんなひとつひとつの事柄に対し、斉須氏の考え方が述べられている。

 人の人生を追体験できるのが、本の醍醐味だと思う。
おもしろかった。★4つ。

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感想メモ:プロ野球の一流たち

プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2008/05/20

★★★☆☆

 野村克也、中西太、大野豊、古田敦也、東尾修、渡辺俊介、山崎武司、工藤公康。
そうそうたる顔ぶれに対するインタビューが可能なのは、
著者の野球界での知名度の為せる技なのだろう。

 各人が語る内容は深く、また互いに異なる部分が多いことも興味深い。
しかし私が最も強く感じたことは、やはり野村の野球に対する洞察の深さなのだった。

 野球好きなら、おもしろく読める部分が多いのでは。★3つ。

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感想メモ:ほぼ日刊イトイ新聞の本

ほぼ日刊イトイ新聞の本
ほぼ日刊イトイ新聞の本
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2001/04/26

★★★★☆

 糸井重里が「ほぼ日刊イトイ新聞」について、2001年の時点で書いた本。

 好きなことを始めたい、続けたい、という人にはとても参考になるのではないか。
もちろん糸井重里の人脈なんかマネできないだろうが、
心の持ちようはマネできるし、するべき。
特に、過去の自分の考えを、ためらわずに捨てる勇気と柔軟性はぜひ見習いたい。

 順調に発展を遂げているように見えるが、お金が回るようにするという部分では、
相当苦労したようだ。こういった経験を追体験できるとは、
本とはとてもありがたいものだ。

 他に心に残った部分は以下の通り。

  • 「できるまでやめなければ、できる」
  • 誰が言っても同じことはできるだけ避ける
  • わからないことはわからないまま書く
  • あまりにもつまらんと思ったら、もうひとつ書く

 この本を読むと、サイトの「イトイ新聞」を見る目も多少変わりそうだ。
続編が出るなら読みたい。★4つ。

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感想メモ:パワーの原則

パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2003/11

★★★★☆

 人に影響を与えるパワーを持つには、どうすればよいだろうか?
そんな問いに答えてくれる本。

 人に影響を与えるには

  1. 「強制」
  2. 「実用」
  3. 「原則中心」

の3つの方法がある。

 「強制」は文字通り強制して言うことを聞かせる方法。
しかしこれは相手の態度を硬化させるだけで、心を動かすことはできない。

 「実用」はギブアンドテイク、地位による指示、取引などの方法。
相手は妥当なので従うが、妥当性を超えた協力は期待できない。

 最後の「原則中心」の方法がこの本の主題で、
相手の尊敬を勝ちえることができる。
相手は心を動かし、自主的、主体的に活動してくれる、としている。
つまり、「この人のためなら一肌脱ぐ」と思われるようになれ、ということ。

 「原則」という言い方なのは、著者がフランクリン・コヴィーの
人だからだが、内容的には「箱」と共通点を多く感じた。
つまり、自分の心の持ち方によって、相手への影響の仕方が変わるということだ。
個人的には「箱」の方がより心に響いた。★4つ。

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感想メモ:経済学的思考のセンス

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 2005/12

★★★☆☆

 「美男美女は得か」「賞金とプロゴルファーのやる気」
「年金制度」「成果主義」などを例に、
インセンティブなどの経済学的な考え方を説明している本。
しかし、このような手法で説明している本は、別段珍しくはない。

 思うに、この本のウリは、巻頭の小学生の質問への回答である。
タイトルの「お金がない人を助けるにはどうやって助けるの?」というのは、
小学生の質問なのである。
子供の素朴な疑問に、誠実に、かつ簡潔にわかりやすく回答している。

 他の経済学的な内容については、行動経済学の本や「ヤバい経済学」の方が
おもしろかったのでオススメ。★3つ。

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感想メモ:まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門

まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門
まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 2,625
  • 発売日: 2003/07/04

★★★☆☆

 電力業界の重鎮として、戦後の業界再編に活躍した
松永安左エ門の生涯を描いた歴史小説。
どれぐらい史実に忠実なのか判断がつかないが、
小説としておもしろく読めた。

 前半は、株や芸者遊びに熱中する破天荒な青年期、
後半は戦後の電力事業再編に関わる晩年期の記述となる。
松永のキャラクターが非常に濃く、読み物として面白く読める。

 ただ、ボリュームがかなりある。
また、他のレビューにもあるが、後半ややダレる。
長時間の移動など、時間が取れるときに読むと良いでしょう。
かさばるし重いけど。★3つ。


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