「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:君と会えたから・・・

君と会えたから・・・
君と会えたから・・・
  • 発売元: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 価格: ¥ 1,428
  • 発売日: 2006/07/10

★★★★★

「手紙屋」「上京物語」の喜多川泰氏の本。

今まで、かなり本を読んできた。
ここ数年は特に数多く読んでいると思う。
でも、ここまでストレートに心が動かされたのは初めてな気がする。
本文で何回か心の汗が出て、後書きでも目から液体がこぼれた。

人生、という言葉について意識し出したのは、いつ頃からだろう。

私の場合は、おそらく多くの人と同じだと思うが、大学受験の時だった。
それが、自分が進む道を自分で選ぶことができる、実質的には初めての機会だったからだ。

しかしそのときに何を考えていただろうか。
今考えてみれば、なんとなく「世の中そういうもんだ」という流れを
なぞっているだけであり、しっかり考え抜いた上で「自分で選んだ」と
言えるものではなかった。

次の機会は、これも多くの人と同じだと思うが、就職活動の時だった。
この時の方が、受験よりも「自分が選択する」という感覚は強い。
だからこそ、多くの人が人生で初めて、「自分は人生で何がしたいのだろう?」と
真剣に悩むのだろう。

最近喜多川氏の本を読んで思うのは、自分がこういった人生のターニングポイントにあるときに、
これらの本を読んでいたらどうなっていただろう?ということだ。
そして、今こういった時期に直面している人が、これらの本を読んだら
どう変わるのだろう?とも思う。

喜多川氏の本は、人生を変える力があると感じる。
それだけに、自分の大事な人がそういった場面にあるときには、
ぜひ読んで欲しいと思うし、自分がこれから生きていくにあたっても、
心に留めておきたいと感じた。

あまり内容に立ち入ったことは書かなかったが、こういったことを
考えさせられる本だということは伝わったかと思う。
今まで人生で読んできた中でも、特にすばらしい本だった。

文句なしの★5つ。
喜多川氏の他の本も併せて、ぜひ読んでみてほしい。

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感想メモ:エコノミック・ヒットマン

エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ
エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2007/12/14

★★★★★

金融危機で陰りを見せているとはいえ、いまだアメリカは
世界全体に対して大きな影響力を持っている。
その影響力は、一体どのようにして作られてきたのだろうか?

方法の一つは、世界一を誇る軍事力だろう。
しかしそれは、あくまで最後の強行手段である
この本では、もう一つの力である経済力により、
他国を支配下に置く方法について書かれている。

その方法とは?
簡単にいうと以下のような流れだ。

発展途上の資源国にアメリカが乗り込み、
融資を受ければ飛躍的な高成長を見込めると口説いて、
大規模な近代化の開発を行う。請け負うのは当然アメリカ企業。
その恩恵は一部の富裕層のみに流れ、貧富の差は拡大。
しかも、飛躍的な高成長は続かないので債務不履行に。
するとIMFや世界銀行が入り、国としての自由は奪われる・・・

ポイントは、全てが合法的に行われているということだ。
コンサルタント、建設業、製造業。それぞれは企業活動を行っているだけだが、
結果としてアメリカ帝国の支配を強めるための駒の1つとなっている。
このやり方を、著者はコーポレートクラシーと呼んでいる。

もう一つのポイントは、普通の国は債務不履行になるような投資はしないが、
アメリカは違うという点だ。これはひとえに、ドルが基軸通過だからである。
この点については北野氏の隷属国家 日本の岐路に詳しい。

著者は、このアメリカの世界帝国化を請け負う、
エコノミック・ヒットマン(EHM)として長年働いてきた。
しかし、自らの行ってきた仕事がいかに世界を歪めているかに気づき、
本書でこの仕組みを告白している。

  • 世界の全人口のうち、もっとも裕福な国々に住む上位五分の一の層と、もっとも貧しい国々に
    住む下位五分の一の層との所得を比較すると、一九六〇年には三〇対一だったが、
    一九九五年には七四対一にまで格差が広がった。
  • もしアメリカの債権国のどこか(たとえば日本や中国)が、
    債務返済を求める決定をしたら、状況は劇的に変化する。
    アメリカは一瞬にして、きわめて危うい状況にいることに気づくだろう。
  • 現代の帝国の本当の筋書きーつまり絶望的な状況の人々から搾取する、
    歴史上もっとも野蛮で、利己的で、最終的には事故破滅的な資源簒奪を実行する
    コーポレートクラシーの物語ーは(中略)あらゆる点で私たち自身の問題なのだ。
  • NBAゼネラル・エレクトリック社の、ABCはディズニー社の、
    CBSはヴァイアコム社の傘下にあり、CNNは巨大な複合企業
    AOLタイムワーナーの一部である。
    新聞や雑誌や出版社の大半は巨大な国際企業に所有され、操作されている。
    メディアはコーポレートクラシーの一部なのだ。

平和な日本に暮らしているからこそ、
資本主義の暗い一面はぜひとも知っておくべき。
最後の1/4程だけでも読む価値がある。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:強育論

強育論-The art of teaching  without  teaching-
強育論-The art of teaching without teaching-
  • 発売元: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2004/03/17

★★★☆☆

「合格パズル」など独特の指導方針の宮本氏が語る教育論

 勉強は、ほめられるとか、何か買ってもらうとかの外的な報酬ではなく、
考えること自体を楽しむという、内的な報酬づけが望ましい、
というのは同意できる。

 子供を他の子供と比べて「できが悪い」などと言うのは、
自分の遺伝子が入っている以上天に唾することだし、絶対に慎むべき、
という意見にも同意できる。

 しかし。何か違和感がある。

 原因を考えてみたのだが、おそらく以下の点だろう。ある部分では
「学習は成長するためにするもので、受験に目標を置くのはまちがい」
と書かれている。しかし、中学受験を終えた生徒のその後については
「現役で慶応に受かった」
「一浪で東工大に入った」
などと学校名を重視している部分が見られた。
大学受験こそ、目標に置くのはまちがえているはずなのに・・・
という思いが違和感の正体と感じた。
大学受験こそ、成功しなかったときのダメージは大きいのだから、
大人が結果にフォーカスするのは危険なのではないだろうか。

ただ、中学受験生でかなり実績を残している人なので、
その指導方針は確かに有効なのだろう。
しかし、しっくりいかない感じが残った。

理由は、喜多川氏の「聡明舎」の方針に共感しているからだと思い至った。
どういう塾を選ぶかは人それぞれなので、色々な形があっていいのだろう。
そんなわけで私の★3つ。

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感想メモ:鏡の法則

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
  • 発売元: 総合法令出版
  • 価格: ¥ 1,000
  • 発売日: 2006/05/10

★★★★★

実話に基づいたストーリーから、人生の問題を解決する法則を紹介している。

という説明だと、意味がわからないだろう。まぁ、読んでみて欲しい。
解説を入れても100ページないくらいなので、すぐ読める。
誰しも思い当たる節があるように書かれているので、共感できるはず。

鏡の法則とは以下のようなものである。
「私たちの人生の現実は、私たちの心の中を映し出す鏡である」
あるいは、
「自分の心の波長にピッタリな出来事が起きる」

これは、ジェームズ・アレンの「原因と結果の法則」とほぼ重なる。
あるいは、「引き寄せの法則」とも言う。

問題には、原因がある。
原因は自分の中にあり、自分を変えることで問題は解決できる。
そう考え、行動することで、人生を良い方向に向けることができる。
そのための一歩を踏み出す勇気が必要。
そういうことだと理解した。

上に書いたように、100ページもない薄い本。
だからといって、内容も薄いとは限らないという良い見本。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:図解 グズをなおせば人生はうまくいく

図解 グズをなおせば人生はうまくいく
図解 グズをなおせば人生はうまくいく
  • 発売元: 大和書房
  • 発売日: 2005/01

★★☆☆☆

 待ち合わせはいつもギリギリ。余裕をもって着くことはまずない。
 全てに腰が引けていて、行動を起こせない。
 掃除しようと思うのだけどめんどくさくてはや半年。
 回転は速いが早とちりで、結局時間がかかる。
 あれもこれもやろうと思い、結局必要なこともできない。  

 というように、グズを
「先のばしグズ」「及び腰グズ」「のんびりグズ」「せっかちグズ」「よくばりグズ」
の5つのタイプに分け、それぞれどのように克服すればよいかを説明している。
私はあまり当てはまらなかったのだが、強いて言えば「せっかちグズ」になるようだ。

 グズのタイプにより対策も異なるのだが、大体共通するのは以下のような点だった。

  • 時間の見積もりをする習慣づけのため、時間割をつける
  • 目的やメリットを認識することでやる気を出す
  • 人のせいにせず自分のために動く

 「図解」なので、おそらく本編のダイジェスト版なのだろう。
そのため、項目間のつながりがわかりにくかったり、一つ一つの項目の密度が薄く感じたりした。
先に本編を読んだ方がよいのかもしれない。★2つ。

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感想メモ:社会化した脳

社会化した脳
社会化した脳
  • 発売元: エクスナレッジ
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/10

★★★☆☆

 脳には、社会的な能力を司る、特定の部位があるのだという。
例えば、危険を察知する部位、人の表情を読み取る部位、
信頼できるかどうかを判断する部位、人の視線を読み取る部位、などなど・・・

 こういった部位が損傷を受けた人は、これらの行動/判断がうまくできなくなってしまう。
fMRIでの脳の活性の観察などから、こういったことが明らかになってきているとのこと。

 それでは、これらの部位の働きを効率良く調整、あるいはトレーニングする方法がわかれば、
社会的なスキルの改善への効果的な対策となる・・・のかな?★3つ。

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感想メモ:脳は眠らない

脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ
脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ
  • 発売元: ランダムハウス講談社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2006/03/16

★★★★★

 脳科学の歴史と現在に至る流れを、ジャーナリストである著者が研究者たちを取材し、まとめた本。

 研究者が書いた本ではないので、一つの立場からの見方だけではなく、
複数の考え方について紹介されており(前に紹介した「夢に迷う脳」の内容も含まれている)、
意見の対立についても書かれている。
例えば、古典的なフロイト心理学派の夢分析と、精神医学からの夢の見方との対立など。

 トピックとしては

  • 夢が脳のどこから発生しているか
  • 夢の持つ機能
  • 明晰夢(「これは夢だ」とわかっている夢)

など。特に夢の機能については一読の価値あり。

 睡眠が、記憶の形成や学習に重要な役割を果たすのは広く知られている。
これは人間だけでなく動物にも当てはまるらしい。
例えば、鳥は眠っているときにも歌を歌い(脳の活性で測定)、
それによって上達しているそうだ。

 人間も、音楽家やスポーツ選手は、練習の1,2日後にパフォーマンスが向上するが、
これは睡眠にが関わっているらしい。
夢は現実の復習やリハーサルでもあるのだ。

 睡眠が大事だというのは誰もがわかってはいるだろう。
この本を読むと、なぜ大事なのか理解が深まり、また興味もわく。
夢や睡眠についての本の中でも、内容も網羅的でかつ読みやすい。
とてもおもしろかったので★5つ!

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感想メモ:夢に迷う脳——夜ごと心はどこへ行く?

夢に迷う脳——夜ごと心はどこへ行く?
夢に迷う脳——夜ごと心はどこへ行く?
  • 発売元: 朝日出版社
  • 価格: ¥ 2,415
  • 発売日: 2007/07/18

★★★★★

 「脳は起きているときは働いていて、寝ているときは休んでいる」
という一般的な考えは、実は全く違っている。
寝ているとき、特に夢を見ているときの脳は、覚醒時とはモードが違うだけで、
実は活発に活動しているのだ。

 驚いたことに、夢を見ている時の脳の状態は、
薬物などで幻覚を見ている精神錯乱状態の患者と「全く同じ」特徴を示すという。
違いは、起きているときにもイレギュラーに発生するか(精神錯乱)、
あるいは寝ているときに規則的に現れるか(正常な夢)だけだ。
これらは「似ている」のではなく、脳は「同じ」状態である・・・。

 というような、脳と心と睡眠についての説明が、
睡眠に関する研究で長年第一人者であり続ける著者により、
脳科学の研究成果を踏まえつつも、わかりやすく述べられている。

 睡眠時に脳はどう活動しているのか?
なぜ夢は覚えていられないのか?
なぜ夢は非現実的な設定なのに、その不自然さに気づかないのか?
読後はこのような疑問に答えが得られ、睡眠について理解が深まるはず。

 とてもおもしろかったので★5つ!オススメ。

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感想メモ:海馬/脳は疲れない

海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス (ほぼ日ブックス)
海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス (ほぼ日ブックス)
  • 発売元: 朝日出版社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2002/07/10

★★★★☆

 池谷裕二と糸井重里の対談本。サラッと読める。

 脳は誰もが持っている、それでいて何をするにも最も重要な器官である。
その性質や仕組みについて、もっと知りたいと思って読んでみた。

 脳については
「一般に信じられているけれども、脳科学の研究結果とは異なっている」
というケースがままあるようだ。
例えば睡眠について。

 普通の人は、「睡眠中は脳は休んでいる」と信じて疑わない。
しかし実際は、寝ているときも、脳は活発に活動しているそうな。

 例えば、記憶の固定。
これは主に睡眠中に起こっているため、
暗記物はきちんと睡眠を取った方が成績が良くなるそうなのだ
(一夜漬けは記憶に残らないというのは本当らしいですよ)。

 特にレム睡眠中は、その日にインプットした情報を高速に追体験して、
海馬が情報の要不要を取捨選択しているそうな。おもしろい。

 こんな「へー」的なマメ知識や、日常生活に取り入れられそうな
ノウハウもてんこ盛りでおもしろかった。★4つ。

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感想メモ:記憶力を強くする

記憶力を強くする—最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
記憶力を強くする—最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,029
  • 発売日: 2001/01

★★★★☆

 「歳をとると記憶力が悪くなる」「歳をとると物忘れが激しくなる」
というのは良く聞かれるフレーズだ。
しかし「それは誤解」と著者は言う。

 確かに歳をとると、神経細胞の総数は減っていく。
しかしシナプスの数は逆に増加していくというのだ。
このことは、歳をとると記憶容量は大きくなることを示している。

 ただ、年齢によって得意とする記憶の種類が変化するのだ。
若いうちは、脳は丸暗記のような記憶に適している。
それが歳をとるにつれ、丸暗記の能力は下がるが、
その代わりに論理だった記憶能力(エピソード記憶)が発達していく。

 つまり年齢によって得意とする記憶の種類が変わるだけなのだ。
従って、歳に応じた記憶の仕方をすることが重要だということになる。

 これだけでもかなり興味をそそられるのが、他に眠りや夢に関する記述もあり、興味深い。全体を通じては、まとめるのがうまく文章もわかりやすい。

 記憶は誰の生活にも密接に関わり、避けることはできない。
脳についての知識は、知らないと損だと思う。★4つ。

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