藤村 靖之
洋泉社 2006-05
¥ 1,680
★★★☆☆
電化製品、家電製品は、もはや私たちの生活の一部。
なくなると相当の不便さを感じるだろう。
一方で、それが本当に適切な設計になっているのだろうか?
というところまで一般人が考えることはまずない。
壮大なブラックボックスに囲まれて暮らしている、ともいえる。
まぁ、便利だからいいか。みたいな。
今まではそれでも良かったかもしれない。
しかし原発事故以降、エネルギーの問題は
一気に身近なものになった。
使わない電源プラグを抜く、省エネ型の家電を買う。
というところから、一歩も二歩も進んだ知識が、
数多く載っている。
例えば携帯の充電器、洗濯機。
充電装置の充電効率は13%。
待機電力をも合わせた全消費電力で割り算してみると、1.6%。(p35)
電気洗濯機の「洗い」と「すすぎ」
標準モード電力の場合…
電力の6割、水の7割が「すすぎ」に
使われていることがわかりました。(p55)
えええそうだったの!?
そしてここからが本番だが、
電気を使わない「非電化製品」の数々を発明し、
実際に作られているのだ。
手押しでドラムが回ることで、ゴミを集める掃除機。
消費エネルギーは、桁が2つは違う。
考えたこともなかったけど、
確かに、ものを吸い込んで集めるのってすごく非効率。
他にも、
昼夜の温度差と対流で動作し、電気が要らない冷蔵庫
など、おもしろい発明の数々が。
もちろん最新の家電製品に性能は及ばない。
しかし、世の中にはこれらの非電化製品を
必要としているところがある。
そう。電気が来ていない地域だ。
モンゴルでは、著者が協力する
「非電化製品プロジェクト」が進んでいるそうだ。
電気を使わない冷蔵庫があれば、
夏に肉が腐らずに済むので大助かりなのだ。
→モンゴル非電化プロジェクト
ナイジェリアでも、電気を使わない、
非常に安価なオレンジジュースの殺菌装置の開発が、
州政府からの要請で進められているそうだ。
まさに世界のためになる発明の数々。
すばらしい。
私もまずは、携帯の充電器をアダプターを
コンセントから抜くところから…
オススメ度は★4つです。
藤村 靖之
洋泉社 2006-05
¥ 1,680
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