「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:私が「白熱教室」で学んだこと

★★★☆☆

知識と知恵は違う。

私の感覚では、知恵は知識の上位概念で、
知識を活かすのが知恵。

私が本書で提示したいのも、
まさにそうした「生き方を決める勉強」です。
迷ったときに自分がどうすべきか、
どう対処すべきかを決める
本質的な勉強の必要性なのです。(p43)

著者は、高校からアメリカのボーディングスクール(全寮制の学校)、
ハーバードビジネススクール、シリコンバレーのGoogle本社、
というものエリートコースをたどっている石角さん。

学校では、知識を教えることに偏ってしまいがち。
でも、アメリカのボーディングスクールやハーバードでは
知恵を教えていて、アメリカの教育の方がいいですよ、
と言っているように読めた。

それはその通りかもしれない。
ただ、日本人に生まれて、その環境を享受できる人は
残念ながら限られるように思う。

著者は自身のことを「普通の女の子」というように
語っているが、いわゆる普通の女の子は、
高校から単身でアメリカの学校に行くという選択は
難しいのではないか。

ご家庭の教育方針があるのだろうと思ったところ、
お父さんがアメリカのロースクールを出ていて、
国際弁護士をされている方だった。

「恵まれた家庭環境」と書いては元も子もないのはわかるが、
かといって「普通です」というのも、ちょっと首をかしげた。

ネットを使った学習は可能性を感じるが、
こういった知恵の学習までは難しそう。
どうすればよいのだろうか。

日本でも、藤原氏の活動など教育についての希望の動きがある。
感想メモ:つなげる力

教育は大事です。


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感想メモ:社長のテスト

山崎 将志
日本経済新聞出版社 2012-06-23
¥ 1,575

★★★☆☆

車がつっこんで会社が火事に。

商品は?オフィスは?データは?
顧客対応は?資金繰りは大丈夫?

という事件とその後の展開を、
関係する3人それぞれの立場から描いたビジネス小説。

フィクションではあるが、
つい、自分だったらどうするか、
といった投影をしながら読んでしまう。

見えているものが違うと、
そこから下す判断も全く異なる。
恐いのは情報不足だなぁ、などと感じた。

400P弱のボリュームがある本だが、
気がついたら読み終わっていたので、
読み手を引き込む力がある本だった。

山崎 将志
日本経済新聞出版社 2012-06-23
¥ 1,575


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感想メモ:背筋は伸ばすな ― 姿勢のメカニズムとその治し方 ―

★★★☆☆

「背筋を伸ばす」

この本で一番興味深かったのは、
「舌が正しい位置にあると、上あごを支えている」
ということ。貝柱みたいなイメージだろうか。

舌が本来あるべき場所を手っ取り早く言いますと、
上あごのくぼみの中です。
ここを常に舌で満たすことが
できるようになるのが目標です。(p181)

頭は5kg近くもあるから、前に出てしまうと、
その重さを首の後ろの筋肉で支えることになり、
首や肩の筋肉が疲れてこり固まってしまう。

そこで、舌を貝柱みたいにしてみる。
強く押さなくてもいいらしい。
確かに頭が前に出にくい気がする。

ちょっとしばらく実験してみようかと思う。
おもしろい気付きをありがとうございました。


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感想メモ:最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント

★★★☆☆

なぜプロジェクトは遅れるのだろうか?

どうやらそれは、人の性質に関わるものであるらしい。

つまり、納期を守らなければいけないという
責任感があるから、人はサバをよむのだ。(p24)
プロジェクトにまつわる6つの問題行動
1. サバよみ
2. 予算と時間をあるだけ使う
3. 一夜漬け
4. 過剰管理
5. 早く終わっても報告しない
6. マルチタスク

確かに…

それに対し、「ザ・ゴール」で有名な
TOC理論(Theory Of Constraint:制約理論)
CCPM(Critical Chain Project Management)について、
数多く実践し、成果を出してきた著者の
知識やノウハウが書かれている。

印象的だったのは、ゴールドラット博士の以下の言葉。

TOCの考え方はあまりに日本の文化に自然なのだ。
だから、それがQCと同じように日本がいち早く取り入れてしまい、
ほかの国が追いつけないほどの競争力を手につけるのを、
本当に恐れたのだ。
『ザ・ゴール』を翻訳するのを許さなかった国は
世界でたった一つ日本だけ。
そして、翻訳された今、世界でもっとも私の本が売れているのも日本。
そして、その理論を進化させ、
成功事例をもっとも活発に出しているのも日本だ。(p210)

日本が持つポテンシャルへの評価、
と受け取って間違いないだろう。
ともすると日本の悪い面ばかりに目がいってしまうが、
良い面を自覚することも必要だろう。

プロジェクトに関わるすべての人にオススメです。


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感想メモ:この世でいちばん大事な「カネ」の話

★★★★☆

「カネ」

それ自体は、交換可能な通過単位でしかない。
にも関わらず、「カネ」は多くの人にとって
特別な意味合いを持つ。

それは、家庭環境、仕事など、
様々な面で他人と比較してしまうことにより、
色々な思い出が残っているからだろう。

西原理恵子にとっての「カネ」もまた、
かなり強い意味を持っている。

家庭についての話はかなり壮絶。
しかし、家庭環境の再生産や、
仕事とお金との関わりなど、
考えさせられる部分が多かった。

過去の彼女自身、あるいは、
同じような境遇にある人に対して
語りかけているように感じた。

マイナスを味方につけなさい。
今いるところがどうしても嫌だったら、
ここからいつか絶対に抜け出すんだって、心に決めるの。
そうして運良く抜け出すことができたんなら、
あの嫌な、つらい場所にだけは絶対に戻らないって、そう決めなさい。
そうしたら、どんなたいへんなときだって、
きっと乗り越えることができるよ。
だって、わたしも、そうだったから。(p112)
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、
自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」
に対するイメージがぼんやりするようならば、
「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。
自分がした仕事で人に喜んでもらえると、
疲れなんてふっとんじゃうからね。(p198)
自分が稼いだこの「カネ」は、
誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、
それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。(p199)
いざというとき、大切な誰かを安心な場所にいさせてあげたい。
そう思うのなら、働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。
そうして強くなりなさい。
それが、大人になるっていうことなんだと思う。(p228)

誰にも関係する「カネ」の話。
多くの人に気付きを与えてくれる、
重みのある本だと感じた。


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感想メモ:リーマンショック後の資産を守る不動産活用術!

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575

★★★☆☆

「資産を守る」ときに一番考えなくてはいけないのは、相続税対策。
親が元気なときうちには、話し出しづらい話題。
しかし、判断力があるうちに話を決めておかないと、
それこそ血のつながった兄弟で争い合う、ということも珍しくないそうだ。

著者の白岩氏の体験談はすさまじい。
まさに何も決めていない状態で父親が亡くなり、
誰も知らなかった資産が残された。
兄夫婦の裏切り、数年に渡る戦い。
心労から心筋梗塞にもなったとのこと。

相続税なんて関係ない、と思う方も多いだろうが、
控除が縮小する方向であるようだ。
都内に土地があれば、かなりの割合の人が関係してくるのではないか。

後半は、物納による相続税対策について事例が紹介されている。
知っているかいないかだけで、何千万という差が出る世界。
特に親御さんが土地を持っている方は、
一読しておく価値がある本です。

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575


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感想メモ:臆病者のための裁判入門

★★★☆☆

裁判の中でも、特に件数が多く、
年間100万件もある少額民事訴訟について。

裁判というと、弁護士同士が法廷で議論を戦わせるイメージがあるが、
少額民事訴訟では、少なくともどちらかが本人訴訟のケースが7割に及ぶ。
というのも、額が小さいため、弁護士が相手にしないから。

本書の前半は、オーストラリア人の友人が交通事故にあった際に、
保険会社の対応が明らかに不誠実だったため、
代理人として著者(橘玲氏)が関わったという一件について。
実例だけに、読んでいておもしろい。

訴訟というと、巻き込まれたことがない人が多いだろう。
しかし、一生巻き込まれないという保証はない。
いざという時のために、知っておきたいこと。

本書は体験談がメインなので、おもしろく読め、
その上知識も身につくという点でオススメです。


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感想メモ:「心の時代」にモノを売る方法

★★★★☆

「所有権の移転」から、「心の充足」への消費の形の変化。
若者の車離れなども、その現れとして理解することができる。

こういったビジネスの潮流の変化を以前から提唱、
実践し、成果を出してきたのが、著者の小阪裕司氏。
以前から小阪氏の本はよく紹介している。

内容は、これまでと今後のビジネスの変化の流れ、その対処について。
活動20年となる小坂氏の主張は一貫していて、
「心の豊かさ」を提供するビジネスこそが、
消費者に求められていくものだ、というもの。

以下、興味深かった、メモした部分。

今、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」への希求に
押し出されるように、もうひとつの経済が
主流をなそうとしているのである。(p56)

・そもそも伝えるべき相手に、伝えるべき価値を伝えていない
・自社の商品・サービスの価値を、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」の面から
 とらえ直し、お客さんに対して発信していない
・「モノ」を「コト」として見られていない(p106)

新書で読みやすいサイズでありながら、小阪氏の兼ねてからの主張と共に、
最近の活動の成果なども盛り込まれている。興味深く読めました。


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感想メモ:ハーバード白熱日本史教室

★★★★★

タイトルから「ハーバード白熱教室」の二番煎じ?と
想像される方がいるのも自然なことだろう。
しかしその予想は、いい意味で裏切られた。

著者は、1980年生まれの若さでありながら、
ハーバード大学で日本史を教えている、北川智子さん。
その講義は、学生からの絶大な支持を受けているそうだ。

しかし北川さんの大学での専攻は、数学と生命科学。
なんで?どうしてそうなった???

内容は、ハーバードで教鞭を取るに至ったストーリー、
ハーバードで教えている講義の内容、
ハーバードの講義のシステムなど。
北川さんが教える日本史も興味深いし、
本の構成もわかりやすい。

講義の内容については、本書を読んでもらうとして、
私の印象に残ったのは、北川さんの、講義に取り組む姿勢。
そして、人生に対するスタンスのようなもの。

必死すぎて、何をどう教えたかよく覚えていない。
とにかく知っていることをしゃべり、
学生の質問と興味の向く方向へ授業をもっていった。
楽しむことに徹した。(p41)
楽しむことを忘れたくなかった。
笑う余裕も忘れたくなかった。
このクラスのオリジナリティーは、
私という人間の面白さにあると信じて教室の演壇に立った。
その自信だけは絶対に失ってはいけないと、いつも誓った。(p50)

ハーバードで、世界一賢い学生たちに対して講義をするということは、
相当プレッシャーがかかることと予想される。
しかしそこに、悲壮感はない。
教えることの意義、使命感を、常に第一に置いているからなのだろう。

私は、日本という国が、世界に誇る文化や慣習を持つ、
素晴らしい国だと信じている。
しかし、経済の状況や中国の台頭などから、
世界の日本への注目度は下がってきている。

しかしそれは日本の価値が下がっているというよりも
プレゼンテーションの問題であり、
世界に貢献できる日本の価値はいっぱいある。

そんな中、ハーバードという世界の頭脳が集まる場所で
これだけの評価を受けつつ日本について教えるということは、
ものすごく価値がある。
これはもう、国としてバックアップすべきじゃないかしら?

予想以上にすばらしい本でした。オススメです。


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感想メモ:奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890

★★★★☆

衝撃的な本だった。

管理は人のモチベーションを下げる。
自主性、主体性こそが最大のパフォーマンスを発揮する鍵である、
という理屈はわかっていた。

しかしそれは理屈上の話であって、
小さい組織では実現できても、
数千人規模の組織では難しいだろうと思っていた。

しかし、グループ社員数千人、
年商数億ドルという単位で、
そういった経営が既に実現していたとは!

しかも、その会社はブラジルにある。
ラテン系で、日本人よりもはるかに
自分の欲求に忠実な民族というイメージ。

ならば、異常な真面目さと勤勉さを誇る日本でも、
できるはずじゃないか!

大切な週末を、仕事に侵食されるのとはまったく逆で、
貴重な遊びの時間やプライベートな時間、家族との時間を、
平日の仕事の時間に持ち込むのです。
それをわたしは「一週間毎日が週末発想」と呼んでいます。(p13)
仕事に対して抱いている従来のイメージ
「単純な繰り返し作業、退屈、激務」を、
「仕事=心から楽しく、幸せと自由なもの」に
代えるだけのこと。(p16)
  • 組織階層がなく、公式の組織図が存在しません
  • ビジネスプランもなければ企業戦略、短期計画、長期計画といったものもありません。
  • 会社のゴールやミッションステートメント(企業理念)、長期予算がありません
    (中略)
  • 人事部がありません
  • キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がありません
  • 誰もレポートや経費の承認をする人はいません
  • 作業員を監視・監督していません
自分が「やりたい」という意欲が持てない仕事は、
はじめからするものではない!(p92)
「コントロール」は、学習する人の興味を奪ってしまう。(p150)
「直観」、「幸運」、「失敗」、「セレンディピティー」
これらの四つは、ビジネス上最も大切なコンセプトです。
しかしながら、ほとんどの会社では、
「コントロール」という壁が障害となり、
これら四つとかけ離れた経営をしています。(p339)

コントロールしない。
責任をもった大人として扱う。

それが、自発的な組織作りの鍵であると読んだ。

とてもおもしろかった!

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890


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