「★★★★」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:つながる技術―幸運な偶然を必然にするには?

★★★★☆

「チャンスは人を介してやってくる」
その通りだろう。しかし
「だから人脈作りが大事だ」
となると、
「役に立つ人しか要らないよ」
という感じで引っかかる。

しかしこの本での「つながる技術」は
もっと柔らかいテイストで、
「人を喜ばせると、その結果としてつながる。」
という感じだった。

私も、そういう順序だと思う。

どんな分野でもいい。
「とりあえずあの人に聞いてみよう!」
それだけで、周りに自然に人が集まってくるはずです。(p27)
なんでもないいつもの日常の一コマに、
幸せを感じる瞬間がたくさんあります。
そう考えると、幸せになるのは簡単です。
ただ、気づけばいいだけのことなのですから。(P88)
「みんなに喜んでもらいたい」より、
「あの人を喜ばせたい」と思っています。

“みんな”を想定するより、大切な一人のことを思ったほうが、
結果的にいい仕事になりそうな気がするからです。(p128)
漠然とした夢じゃなく、
「十年後、自分はどうなっていたいか」
のビジョンを
描いておくのがいいと思います。
十年後のなりたい自分に向けて、
今から準備ができるからです。(p132)
けれども、何もしなければ、何も始まりません。
もっと偶然を好きになってください。
そしてその偶然が、やがて必然だったと思えるようになったら・・・
そのつながりは本物だと思います。(p135)

「偶然を好きになる」
いい言葉に出会えた。

人付き合いに限らず、
心に留めておきたい言葉だ。

私が今後意識しようと思ったことは、以下の3点でした。

  • やってみる。偶然を好きになる。偶然を楽しむ。
  • あの人(誰かじゃなくて)を喜ばせる。
  • 日常の幸せに気づく

サラッと軽く読め、気づきもある良い本でした。
ありがとうございました。


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感想メモ:夢を実現する発想法

川口 淳一郎,山中 伸弥
株式会社致知出版社 2013-01-11
¥ 1,260

★★★★☆

iPS細胞の研究でノーベル賞受賞の山中教授と、
「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーの川口氏の
講演内容や対談。

どちらも努力だけで成し遂げられる成果ではない。
どちらも、周囲の声に左右されない、
ある種の信念のようなものが必要だったはず。

特に興味深かったのは、山中教授の経歴。
ずっとiPS細胞一筋なのではなく、
二回ほど大きな転換をして、たどり着いている。

逆に言えば、最初の専門一筋でやっていたら、
これほどの成果には結びついていなかっただろう。

不器用だった僕は通常なら十五分で終わるはずの手術が、
一時間経ってもまだ終わらない。
ジャマで役立たずの「ジャマナカ」と呼ばれていました(笑)(p55)
大きな流れで言うと、
二回の予想外な結果が出て幹細胞に連れていかれた、
という感じですね。(p57)
だけど本当に好きなものを見つけるまでは、
三日坊主で大いに結構だと思うんです。
もちろん一日でやめちゃダメですが、
三日坊主は「二日頑張った」というところがだいじなんですね。
それで三日目に展望が開けなければ、別の道へ行けばいいと。(p60)
でも一人じゃ絶対にダメです。それを支える人がたくさんいて、
その人たちのモチベーションが続くかどうかが大切なところで、
それを繋げるものは「心」しかない。(p72)
だから独創的じゃなくてもいいからまず実験に取り組んでみて、
その結果を色のない目で見られるかどうか。
独創力を発揮できるか否かは、
そこにかかっているんじゃないかと思います。(p78)

目の前のものを、これまでのものを捨ててでも、
掴むことができるか。その準備ができているか。
支えてくれる人はいるか。

そう言ったことが、大きな仕事をする上では
不可欠な要素なのではないかと感じた。

ページ数は少なくサラッと読め、
かつ気になるフレーズが多い本でした。

川口 淳一郎,山中 伸弥
株式会社致知出版社 2013-01-11
¥ 1,260


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感想メモ:2022―これから10年、活躍できる人の条件

★★★★☆

著者は、エモーショナルマーケティング、
マインドマップ、フォトリーディング、全脳思考など、
日本に数々の影響を与えてきた神田昌典氏。

本の内容は、歴史や商品のサイクル、教育や起業、
会社組織や経営など多岐に渡る。

また、神田氏が癌であったということ、
会社の経営がうまくいかなくなった話など、
ショッキングな話もあった。

しかし総じてとらえると、
「今後日本を支えていく20代、30代、40代への応援のエール」
としてつながっているのだと読めた。

デント氏の予測法を極めて単純化して言えば、
景気は四六歳〜五○歳の増減によって決まるというものだ。
この年代は、人生で最もお金を使う年代であり、
節約したくても、出費を抑えられない。(p86)
いままでビジネスにおいては、
社会性と収益性は矛盾すると思われてきた。つまり
「社会に良いことをやっても、なかなか儲からない」
がビジネスの常識だったのだ。しかし、このところ急速に、
「社会に良いことをしなければ、儲からない」
に変わってきた。(P148)

一度死を間近なものとして見つめた神田氏。
今後の日本にも影響を与えながら活躍していく、
キーパーソンなのだという印象を強くした。

新書サイズながら、印象に残る濃い本だった。
ありがとうございました。


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感想メモ:走る哲学

為末 大
扶桑社 2012-07-12
¥ 819

★★★★☆

為末氏がTVで話しているのを見るたびに、
ああ、頭のいい人だなぁ、と感じていた。
この本を読み、その感覚は一層濃いものになった。

本の構成は、twitterでの為末氏の発言のまとめ+α。
読んでいなかった、興味のあるトピックと出会える
チャンスが得られて、ありがたかった。

僕はずっとモチベーションが高いと思われているけど、
そうじゃなくて壊れないように大事にしているだけ。
自分の本当の感情を無視してやる気を自分に押し付け続ければ心が壊れる。
どこまでなら我慢できて、何を楽しんでいるか。
このコツを掴むのがやる気で居続けられるコツで、それは自己観察しかない。(p17)
再現性を持たせようとする段階がいわば積み重ねで、
いい感じを探るという段階が遊びという事もできる。
反復練習しかしない選手が伸び止まるのは、再現性が高くても、
次のレベルにはみ出る手法を持たないから。
遊ばないと予想外のいい感じが出なくて、
それが出ないと人はそこに留まる。(p23)
日本社会の苦しさは、やめる事がそもそも
前提に置かれていない社会の仕組みにあると思う。
みんな同じだから、ひとりやめるのは怖い。
逃げるな耐えろと教育されて、いざ社会に出てから
さあ自己責任でどうぞと言われても無理だと思う。
耐え方は習ってもやめ方を習わない。(p42)
子どもを勝負弱くさせるのは簡単。
失敗したらおしまいだよと言い続ける事。
そうすれば失敗を恐れ、挑戦を恐れ、
評価を気にするようになり、縮こまる。
怖いのは口にしなくても、親や周囲が心の奥で
そう思っていたら子どもには伝わっているという事。(p52)

おもしろいのは、どれも陸上の話に留まらないこと。
頷かされる言葉が多い。
まさに「一芸は万芸に通ず」。

最後は、人生についての言葉。
この本から感じた日本への課題と問題意識が、
こういった形となったのかなと合点が行った。
爲末大学 | Tamesue University | トップページ

期待もされる。評価もされる。
それが社会の仕組みならその中で生きて行くしかない。
でも大事なものを忘れないように。
自分は一体何になりたかったのか。
誰が何と言おうとあなたはなりたいものになっていい。(p220)

多くのトップアスリートとは異なり、
彼の場合は引退後の活躍の方が
より大きなものとなりそうな気配がする。

為末 大
扶桑社 2012-07-12
¥ 819


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感想メモ:一流の人に学ぶ自分の磨き方

スティーブ・シーボルド
かんき出版 2012-03-23
¥ 1,575

★★★★☆

「一流の人」というのは、何かが普通の人とは違う。

そしてその違いこそが、
一流の人を一流の人たらしめているのだろう。

その違いについて、成功者研究の専門家である著者が
「一流の人」「二流の人」という対比で
わかりやすくまとめてくれたのが本書。

なるほどなぁ、と思わさせるものが多い。

一流の人も二流の人と同様の信念を植え付けられて育つが、
成長過程で初期の刷り込みを意識的に変更する。

そのプロセスは「ポジティブな自己洗脳」と呼ばれている。(p24)
二流の人は人生という舞台の観客だが、
その原因は、信念を持てる仕事を
見つけようとしないことにある。(p36)
人はみな、この世で残された時間の中で生きていて、
いつかその時間がなくなってしまう。
だからリスクをとるべきときは今である。(p52)
一流の人は「純粋な楽しさ」を
職業選択の基準にする傾向がある。(p88)
求めるべきものは成功ではなく充実感である。
なぜなら、充実感を得ることができれば、
成功はたいていそのあとについてくるからだ。(p102)
一流の人は失敗を成功の条件とみなし、
失敗を教師として教訓を学ぼうとする。
彼らは言うなれば「失敗のプロ」だ。(p148)
では、どうすれば一流のレベルに達することができるのか。
まず、一流の人になると強く決意することだ。(p7)

いっぱいメモしてしまった。

我が身を振り返り、自分のあり方について
考えさせられる、良い本でした。

スティーブ・シーボルド
かんき出版 2012-03-23
¥ 1,575


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感想メモ:最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント

★★★☆☆

なぜプロジェクトは遅れるのだろうか?

どうやらそれは、人の性質に関わるものであるらしい。

つまり、納期を守らなければいけないという
責任感があるから、人はサバをよむのだ。(p24)
プロジェクトにまつわる6つの問題行動
1. サバよみ
2. 予算と時間をあるだけ使う
3. 一夜漬け
4. 過剰管理
5. 早く終わっても報告しない
6. マルチタスク

確かに…

それに対し、「ザ・ゴール」で有名な
TOC理論(Theory Of Constraint:制約理論)
CCPM(Critical Chain Project Management)について、
数多く実践し、成果を出してきた著者の
知識やノウハウが書かれている。

印象的だったのは、ゴールドラット博士の以下の言葉。

TOCの考え方はあまりに日本の文化に自然なのだ。
だから、それがQCと同じように日本がいち早く取り入れてしまい、
ほかの国が追いつけないほどの競争力を手につけるのを、
本当に恐れたのだ。
『ザ・ゴール』を翻訳するのを許さなかった国は
世界でたった一つ日本だけ。
そして、翻訳された今、世界でもっとも私の本が売れているのも日本。
そして、その理論を進化させ、
成功事例をもっとも活発に出しているのも日本だ。(p210)

日本が持つポテンシャルへの評価、
と受け取って間違いないだろう。
ともすると日本の悪い面ばかりに目がいってしまうが、
良い面を自覚することも必要だろう。

プロジェクトに関わるすべての人にオススメです。


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感想メモ:この世でいちばん大事な「カネ」の話

★★★★☆

「カネ」

それ自体は、交換可能な通過単位でしかない。
にも関わらず、「カネ」は多くの人にとって
特別な意味合いを持つ。

それは、家庭環境、仕事など、
様々な面で他人と比較してしまうことにより、
色々な思い出が残っているからだろう。

西原理恵子にとっての「カネ」もまた、
かなり強い意味を持っている。

家庭についての話はかなり壮絶。
しかし、家庭環境の再生産や、
仕事とお金との関わりなど、
考えさせられる部分が多かった。

過去の彼女自身、あるいは、
同じような境遇にある人に対して
語りかけているように感じた。

マイナスを味方につけなさい。
今いるところがどうしても嫌だったら、
ここからいつか絶対に抜け出すんだって、心に決めるの。
そうして運良く抜け出すことができたんなら、
あの嫌な、つらい場所にだけは絶対に戻らないって、そう決めなさい。
そうしたら、どんなたいへんなときだって、
きっと乗り越えることができるよ。
だって、わたしも、そうだったから。(p112)
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、
自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」
に対するイメージがぼんやりするようならば、
「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。
自分がした仕事で人に喜んでもらえると、
疲れなんてふっとんじゃうからね。(p198)
自分が稼いだこの「カネ」は、
誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、
それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。(p199)
いざというとき、大切な誰かを安心な場所にいさせてあげたい。
そう思うのなら、働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。
そうして強くなりなさい。
それが、大人になるっていうことなんだと思う。(p228)

誰にも関係する「カネ」の話。
多くの人に気付きを与えてくれる、
重みのある本だと感じた。


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感想メモ:「心の時代」にモノを売る方法

★★★★☆

「所有権の移転」から、「心の充足」への消費の形の変化。
若者の車離れなども、その現れとして理解することができる。

こういったビジネスの潮流の変化を以前から提唱、
実践し、成果を出してきたのが、著者の小阪裕司氏。
以前から小阪氏の本はよく紹介している。

内容は、これまでと今後のビジネスの変化の流れ、その対処について。
活動20年となる小坂氏の主張は一貫していて、
「心の豊かさ」を提供するビジネスこそが、
消費者に求められていくものだ、というもの。

以下、興味深かった、メモした部分。

今、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」への希求に
押し出されるように、もうひとつの経済が
主流をなそうとしているのである。(p56)

・そもそも伝えるべき相手に、伝えるべき価値を伝えていない
・自社の商品・サービスの価値を、「心の豊かさと毎日の精神的充足感」の面から
 とらえ直し、お客さんに対して発信していない
・「モノ」を「コト」として見られていない(p106)

新書で読みやすいサイズでありながら、小阪氏の兼ねてからの主張と共に、
最近の活動の成果なども盛り込まれている。興味深く読めました。


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感想メモ:奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890

★★★★☆

衝撃的な本だった。

管理は人のモチベーションを下げる。
自主性、主体性こそが最大のパフォーマンスを発揮する鍵である、
という理屈はわかっていた。

しかしそれは理屈上の話であって、
小さい組織では実現できても、
数千人規模の組織では難しいだろうと思っていた。

しかし、グループ社員数千人、
年商数億ドルという単位で、
そういった経営が既に実現していたとは!

しかも、その会社はブラジルにある。
ラテン系で、日本人よりもはるかに
自分の欲求に忠実な民族というイメージ。

ならば、異常な真面目さと勤勉さを誇る日本でも、
できるはずじゃないか!

大切な週末を、仕事に侵食されるのとはまったく逆で、
貴重な遊びの時間やプライベートな時間、家族との時間を、
平日の仕事の時間に持ち込むのです。
それをわたしは「一週間毎日が週末発想」と呼んでいます。(p13)
仕事に対して抱いている従来のイメージ
「単純な繰り返し作業、退屈、激務」を、
「仕事=心から楽しく、幸せと自由なもの」に
代えるだけのこと。(p16)
  • 組織階層がなく、公式の組織図が存在しません
  • ビジネスプランもなければ企業戦略、短期計画、長期計画といったものもありません。
  • 会社のゴールやミッションステートメント(企業理念)、長期予算がありません
    (中略)
  • 人事部がありません
  • キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がありません
  • 誰もレポートや経費の承認をする人はいません
  • 作業員を監視・監督していません
自分が「やりたい」という意欲が持てない仕事は、
はじめからするものではない!(p92)
「コントロール」は、学習する人の興味を奪ってしまう。(p150)
「直観」、「幸運」、「失敗」、「セレンディピティー」
これらの四つは、ビジネス上最も大切なコンセプトです。
しかしながら、ほとんどの会社では、
「コントロール」という壁が障害となり、
これら四つとかけ離れた経営をしています。(p339)

コントロールしない。
責任をもった大人として扱う。

それが、自発的な組織作りの鍵であると読んだ。

とてもおもしろかった!

リカルド・セムラー
総合法令出版 2006-01-24
¥ 1,890


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感想メモ:ずっとやりたかったことをやりなさい

ジュリア キャメロン
サンマーク出版 2001-04
¥ 1,890

★★★★☆

人は皆、クリエイティブなアーティストとして生きる、
才能の可能性がある。しかし

「自分にはそんなのムリだ。できるはずがない。」

と、自分で自分の可能性の芽を摘んでしまっている。

「どうやって創造性を取り戻すか」というワークがあるそうだ。
この本は、それを紙上で12週間のワークとして再現している。

特に気になったのは以下の2つのワーク。

・モーニングページ
朝頭に思い浮かんだことをノートに書き記す。
自己理解と潜在意識のクリーニング。

・アーティストデート
週に一度でも、好きなことをすることを自分に許す。
センサーを蘇らせる。

日本の大人は特に、
「好きなことをする」ということに対して
蓋をして生きている人が多いと感じる。

一度しかない人生なのだから、
彩り豊かに過ごしたい。
と思うのは、決して贅沢ではないはず。

そう感じている人に、読んでもらいたい本です。

ジュリア キャメロン
サンマーク出版 2001-04
¥ 1,890


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