「★★★★」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:あしたの経済学―改革は必ず日本を再生させる

★★★★☆

竹中氏が小泉内閣に入っていた2003年の本だが、
内容は10年経った今読んでも、違和感を感じない。
それどころか、現在の安部内閣での政策と
重なる部分が多いのだ。

一番の理想は、難しいことではありますが、
物価上昇率をゼロから数%程度の範囲で安定させることです。(p81)

これは、10年経って、やっと日銀の目標として設定されたところ。

国債発行についても、
「10年間でプライマリーバランスを回復させる」
は全く実行できず、むしろ悪化した10年だった。

我が国の財政事情 (平成24年度予算政府案)
こちらを見ると、社会保障費の増加ペースが早すぎる。
高齢化が進む今後、社会保障費が勝手に減る見込みはなし。
ここをどうにかしないと、財政バランスは無理っぽく見える。

私はかねてから、日本で特区をつくる意義は大きいと考えていて、
「これを日本の切り札にすべきだ」と主張していました。(p208)

こちらも、10年経って今まさに動き始めている。
国家戦略特区、8月後半にも地域指定 :日本経済新聞

中小企業経営者の個人保証からの脱却についても、
まさに提案されている方向になりそうだ。

ということで、安部首相の政策は、
かなり竹中氏の意見を反映したものになっている。
と思ったら、安部内閣で日本経済再生本部産業競争力会議のメンバーに入っていた。
さもありなん。

日本経済についてわかりやすく書かれていて、
かつ、出版後10年の状況をわかって読めておもしろかった。

感想メモ:自分で「疲れ」をとる!

★★★★☆

整体の考え方を元にした、
体のセルフメンテナンスのやり方や、
体についての知識を教えてくれる本。

身体のどの部分にしろ、
左右の緊張の差が大きくなってくると
違和感や疲れを感じます。(p22)

骨盤の真ん中にある仙骨は、
息を吸うときに後ろに傾き、
吐くときにはお辞儀するように前に傾きます。

ラジオ体操から誤解されがちだが、
「吐くときは背中を丸めるから骨盤後傾」ではない!
吐くときに背筋が伸びる。
スポーツでは、だいたい息を吐きながら動く。

この動きがスムーズにいかず、 十分前に傾く(十分息を吐く)前に
後ろに傾きはじめ(息を吸いはじめ)てしまうのです。

呼吸と呼吸の間の隙間、
とりわけ吐く息から吸う息に移る「間」が、
身体にとってもっとも完全に脱力する瞬間なのです。(p28)

<疲れすぎ>→<うまく脱力できない>
→<呼吸が深くできなくなる>→<眠りが深くなれない>
→<疲れがとれない>→<まずす疲れやすくなる>
という「負のスパイラル=疲れスパイラル」が起きてしまう(p35)

呼吸眠りを深くするためには、
凝り固まった疲れをある程度
眠りにつくまでにほぐしておく必要がある(p35)

これは整体に限らず、何の呼吸法や身体技法でも、
<みぞおちがゆるむこと、下腹(丹田)に力があること>が
身体の働きのよさを表す共通した指標です。
それが同時に、深い呼吸を生むのです。

引用が多くなってしまったのは、
私がこういうのが好きだからなのだが、
それでも歯ごたえがある本だった。
あまり好きでない人には、ちょっと厳しいかも。

感想メモ:からだのメソッド-立居振舞いの技術

★★★★☆

立つ、歩く、座るといった日常の動き。

意識しなくてもできるからいいじゃないか、
という考え方もあるだろうが、
意識することで初めて見えることもある。

PCが普及している現代社会では、
日常的に運動できている人の方が少ないはず。

となると、こういった日常の動きを、
自覚的に正しい動きとして行うこと、
これが健康への効率的な道であるように思う。

立ち方メソッド
1. 足裏の重心位置を確かめる
2. 足指の感覚をとり戻す
3. 足指のケア
4. 足指の感覚
5. 膝と爪先をまっすぐにする
6. 膝と大腿骨をまっすぐにする
7. 頭の位置を整える(工夫する)
8. 「耳肩・鼻臍」〜頭の位置をさらに整える
9. 猫背の治し方 両肩の距離を遠くに保つ

西洋式の歩き方
1. 踵重心で立つ
2. ターンアウト 股関節を支点に脚全体を外旋 深層外旋筋を使う
3. 正中線の上を歩く
4. ターンアウトと足運び 五本の足指がすべて地面につく
5. 爪先から着足する

ということで、数々の動きのヒントを得たので、
日々実験してみている。

体は、手をかけた分だけ変わっていく。
手間と時間を投資する価値がある。

感想メモ:バケる人に育てる

★★★★☆

北島康介のコーチとして有名な平井氏。
北島以外にも選手を育てていて、
様々なタイプの選手に対して成果を出しているのが、
コーチとして非凡であるように思う。

複数の人を育て、下げる成果を出させるというプロセスには、
再現性があるということです。(p12)

その指導の秘訣はなんなのだろう?

予想に反して、「身体的な素質」よりも、
「精神的な素質」を重視しているのだった。

選手の素質を見抜く際には、身体や技術といった「体の素質」以上に、
我慢強さ、忍耐力、集中力といった「心の素質」が
大切ではないかと思うようになりました。(p27)

人を伸ばすには、その人自身に集中させてあげることが大切です。
脇目もふらずに自分のゴールだけを見つめ、
自分の可能性という絶対値を基準として、
愚直に努力できる人が伸びていきます。(p60)

指導という分野に限らず、
結果を出す人には共通点が多いな、
と感じたのが、以下の部分。

ものごとは「やるか、やらないか」。
ただそれだけかもしれません。(p69)

チームづくりに大切なことは、
「日頃がんばっている人」を評価する
しくみをつくることです。(p171)

この本は、ロンドンオリンピックの前に書かれている。
文中に名前が出てくる寺川綾、加藤ゆか、上田春佳は、
なんとロンドンの女子4×100mリレーの4人の中の3人で、
日本記録を2秒近く縮めて銅メダルを獲得している。

確かに、平井コーチの指導は再現性があるようだ。
しかし、その指導のスタイルには「型がない」そうだ。

おもしろい本でした!

感想メモ:天地明察

冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-12-01
¥ 1,890

★★★★☆

「暦」の話だということは知っていたが、
一体その素材でどうおもしろい話になるのか、
想像がつかなかった。

しかし読んでみたところ、期待は良い方に裏切られた。
おもしろかった!

内容は、確かに暦の話。
しかし焦点は、暦を作る人物たちのストーリーであり、
登場人物たちを魅力的に描く作者の力量が優れている、
ということになるのだろう。

関孝和、水戸光圀など、(名前は)よく知られている人物が
描かれているが、どこまで本当なのか?という疑問は残る。
しかし、小説なのだから、味付けしてあるのは当然。
史実は別にあると注意しつつ、楽しむのがよいだろう。

(と思ったら、こんなところがありました。
ここが違うよ『天地明察』:参考文献の著者から(0/前口上) )

冲方丁は、かなり前に「マルドゥック・スクランブル」を読んのだが、
全くタイプが異なっていて、これまた良い意味でビックリ。

今後も期待!

冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-12-01
¥ 1,890

感想メモ:これからの「正義」の話をしよう

★★★★☆

400ページ弱のボリュームと文字の密度に、
「ハーバード白熱教室」を全12回見た方がいいかな、と思った。
が、悔しいので、がんばって読んでみた。
そこで、この本との戦い方を提案してみる。

  • 335ページからが、本全体のまとめとなっているので、
    まずここから読んで全体像を把握する
  • まとめの中のキーワードが気になったら、
    目次で探して該当部分を読んでみる
  • 上の2つを繰り返す

これで、最初からがんばって読む場合に比べ、
大げさではなく、挫折率は1/10くらいになるだろう。

以下が、全体像を把握するヒントとなる。

これほど広く多様な民主的社会が
どうすれば公正な社会に必要な連帯と相互責任の意識を
育てられるかは、深刻な問題だ。(p339)

公正な社会には強いコミュニティ意識が求められるとすれば、
全体への配慮、共通善への貢献を市民のうちに育てる方法を
見つけなければならない。(p339)

市場は生産的活動を調整する有用な道具である。
だが、社会制度を律する基準が市場によって変えられるのを
望まないならば、われわれは市場の道徳的限界について
公に論じる必要がある。(p341)

まとめを読んでいると、サンデル教授が目指すものは、
日本では長年かけて培われてきたものであり、
ある程度において実現しているものだ、と感じる。

このことは、決して世界的に当たり前のことではなく、
むしろ非常に珍しく、ありがたいことなのだが、
そのことに多くの日本人は無自覚だ。

自分の良さは自分からは見えず、
他人の目を通して、初めて明らかになるからだ。
「海外に出て初めて、日本の良さがわかった」
というのはよく聞く話だが、それでは遅い。

日本はアメリカを目指し、
アメリカは日本を目指し、
また日本はアメリカを目指し、
そしてアメリカは日本を目指す。

皮肉なものだ。

ただ、こういった日本の美徳は、失われつつある。
維持するための努力は必須。
それには、やはり教育だろう。

日本にいながら、日本人としての国際感覚を身につけるには、
JOG 国際派日本人養成講座 のメルマガがオススメ。

教育についてのステップメールも、無料とは思えない質と分量。
国際派日本人養成講座ステップメールコース JOG Step 教育再生

感想メモ:足元の革命

前田 和男
新潮社 2003-08
¥ 714

★★★★☆

今では珍しくない「ウォーキングシューズ」というカテゴリー。
その歴史は意外と浅く、1980年代にアシックスから発売された、
「ペダラ」という靴が最初だったそうだ。

この本は、その「ペダラ」開発のストーリーと共に、
靴や足について、お役立ちの情報が書かれている。

中村は新しい靴に
「歩くことで人間性を回復する」という
ライフスタイルの提案を託そうと
思いついたのである。(p31)

これは1980年代の話だが、
今でもそのまま通用するコンセプトだ。

足全体にかかる体重を100とすると、
おおよそ「かかと」へは50、
「親指の付け根」へは30、
「小指の付け根」へは20
の大きさに設計されている。(p110)

3歳頃から13〜14歳、つまり
幼稚園から中学1〜2年にかけての時期に、
足をじゅうぶん鍛え、その”品質”を高めておくことが
何よりも大切であろう(p137)

つまり、歩くことで大切なのは、
直接消費したカロリー分に加えて、
このように体温をつくって
からだがより多くの脂肪を燃やして
エネルギーを使うようにすることなのである。(p144)

足については、運動をしている人であっても、
デザインとサイズと幅ぐらいで
選んでしまっている人が多いのではないか。

足は体の土台であり、とても大事なもの。
一度勉強しておくと、一生の知識になるはず。

さすがに、asicsのサイトは勉強になるので、オススメ。
ウォーキング コンシェルジュ-『靴のフィッティング』-アシックス・WALKING SQUARE

前田 和男
新潮社 2003-08
¥ 714

感想メモ:体と心がラクになる「和」のウォーキング

★★★★☆

「ゆっくり歩く」ことで、全身のバランスを
整えることができる。そのために、

  1. ゆっくり歩くためのエクササイズ
  2. ウォーキングするための体を作るエクササイズ
  3. 手軽に自分で体をゆるめる方法

などが紹介されている。

特に、3. の「ゆるめて自由にするエクササイズ」は、
簡単に肩や腕、腰などをゆるめる方法が紹介されている。
この部分だけでも、読む価値がある。

この大腰筋、残念ながら鍛えることはできないと、
私は思っています。(中略)からだの深層にある大腰筋は、
意識することが難しいからです。
(中略)鍛えることはできないけれども、
活性化させることはできます。(p33)

日本人は小胸筋や腰方形筋が緊張しているようなのです。(p104)

スポーツをしている、体の凝りをなんとかしたい、
など、体に興味がある人にオススメです。

感想メモ:そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

★★★★☆

シェアーズ創業者の山口さんの本。

「会社を辞めようかな」という言葉はあるものの、
どちらかというと、
自分の才能、あるいは価値を、どうお金に替えるのか
つまり、
ビジネスモデルの型を知ることができる本
として読んだ。

普通に、売り手が買い手に商品・サービスを提供して、
見返りとしてお金をもらう、という普通のビジネス以外に、
色々なパターンがあるのだと知っておくことは、
いいことだと思われる。

「仕事」とは、才能を貢献に変える”作業”(p56)

意思決定の際のポイントをまとめると、
「頭で考えて、整理し、ハートで判断する」と言えます。(p170)

優秀さとは、有能さと謙虚さの掛け算である、ということ。(p196)

独立してやっぱり食えなかった、
という人には僕はあったことはありません。(p198)

新しいビジネスを考えている人は、
様々なヒントが得られるのではないかと思う。

おもしろい本でした。

感想メモ:野心のすすめ

★★★★☆

適当に歩いていて、気づいたら富士山の頂上にいた。
ということは、ないと思う。

「登ろう」という意図を持たなければ、
長い坂を登り切ることはできない。

その「登ろう」という意図のことを、
「野心」というのだろう。

私が納得したのは、以下の部分だった。

野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」です。
前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んでいけません。
野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいるときこそ、
健全な野心といえるのです。(p31)

そして、どこに「登る」のかを見定めることも必要。
そのヒントとなるのが、一流の人たちと触れ合うことなのだろう。

こうして一流の面白い人たちに出会うと良いことは、
自分もその一流の仲間に入りたい、この面白い人たちと
一緒のところにずっといたい、と強く思うようになることです。(p53)

どこに「登ろう」と狙いを定めるか、
それがその人の一生を左右するのかもしれない。