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感想メモ:虚妄の成果主義

虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2004/01

★★★★☆

かなり旬は過ぎた感があるが、一応。

著者は高橋伸夫、東大経済学部教授。
バブル前後を含め、数十年経済学界に身を置いてきた著者の主張は簡潔だ。

「人は金で動くのではなく、金銭を仕事の動機付けにするのは間違いである。
『お金は年功主義で保証し、仕事で報いる』という日本型年功主義を見直そう」

というもの。

このことを示す上で非常に興味深かったのは、ある実験例で、
被験者にパズルを4セット解かせるというもの。

2セット終わった所で自由時間を入れるのだが、
休憩時までに解いた数に対して報償を支払う場合(A)

報酬を支払わない場合(B)
で、自由時間の過ごし方に差が見られるというのである。
(ちなみに休憩時間は実験者は部屋から出て行き、周りに人はいない)

差というのは、
「片方が自由時間にパズルを解かず、休憩を取る割合が多い」
というのだが、
それは、休憩が多いのは報酬が支払われた(A)か?
と思うとそうではなく、なんと(B)の方なのである。

(A)の場合は「報酬のためにパズルを解く」事になるのに対し、
(B)の場合は「パズルを解くこと自体が楽しい」状態になるからなのだろう。
これは誰しも経験がある、
「同じことでもやらされるとたのしくなくなる」
というやつだろう。

人が最高のパフォーマンスを発揮するのは、
お金のためにがんばっているという状態ではなく、
「そのこと自体が好きであるため、いくらやっても苦にならない」
という状態なのだろう。

成果主義ではこういう状態になることの助けにならず、
むしろ年功制で生活に対する保障をした上で、
仕事の内容で報いる日本型年功主義の利点を
再確認することが必要なのだという。

金銭が全くモチベーションになることはない、
と言っているわけではないが、
弊害の方が多いですからやめた方がいいですね、という話だ。

人のパフォーマンスを上げる「動機付け」についての理解が深まる上、
日本型経営についても興味深い、良著でした。

日本で導入された成果主義は、成果主義の皮をかぶった
人件費削減であることが多いので、そこを切り分けてから
議論する必要があるような気もするが。

ちなみに2008年6月の著者のインタビューでは

2004年に出版した『虚妄の成果主義』(日経BP)が思いもよらずベストセラーになったことで成果主義に関する取材をいまだに受けますが、少々辟易しています。経営学者である私の専門は経営組織論や意思決定論で、人事労務問題が専門ではありませんから。もう成果主義ではなくて、専門の企業経営について聞いてくださいと言いたくなります。

From: 「成果主義は失敗だった」と企業は明言せよ:NBonline(日経ビジネス オンライン)

と言ってる。こういう本を出したのだから
しょうがないと思うのだが…
オススメ度は★4つです。
知っておいて損はないです。

関連:


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感想メモ:頭のいい段取りの技術

頭のいい段取りの技術
頭のいい段取りの技術
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2007/12/20

★★★★☆

「段取りはサービス精神である」
「その根底にあるのは、絶対に成功させるという決意である」
なるほど。付け加えるなら「失敗を極度に嫌うプライド」か。

 ということで、常人にはマネできないほどの熱意で効率化を追求してきた著者が、効率化の精神やノウハウを紹介している。効率化のためのlifehack集として読むこともできるし、仕事やプライベートで的確に求められるアウトプットを出すヒント集としても読める。内容をざっと書くと以下のようになる。

  • ゴールを明確に設定する
  • 時間には余裕を持たせる
  • 文章やプレゼンではまずポイントを示す
  • トラブル回避のため事前の確認を徹底する
  • 複雑な工程は最も足が長いものを中心に据える(クリティカルパス)

 書かれている全てのことを実行するのは不可能だ(著者は家族旅行の下見に現地まで車で行ったとのこと)。従って、自分に合いそうなものをピックアップし、試してみることになる。ちなみに、私は「なるほど、試してみよう」と思うものが多かったので★4つ。

 ちなみに本書はdankogai氏が「1分で読了した」と言いつつ激賞している。買ってもらうためには褒めるのが最良の策なのはわかるが・・・


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感想メモ:スティーブ・ジョブズ-偶像復活

スティーブ・ジョブズ-偶像復活
スティーブ・ジョブズ-偶像復活
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2005/11/05

★★★★☆

 Appleの創始者にしてAppleを一度クビになり、NeXT、Pixerの経営者を経てAppleに帰ってきたカリスマ。技術とデザインに長けた天才的な経営者、というイメージが彼にはある。しかし彼の内面はもっと複雑であるということが、この本を読んでわかった。

 彼の周囲の人を巻き込むカリスマ性を持つ一方で、自分と意見が合わない者なら、長年会社を支えてきた部下に対してすら、かなり厳しい、むしろ人の血が通っていないかのような仕打ちをしたりする。人を惹きつける魅力はあるのだろうが、彼の下で働くのは相当つらそうだ。

 彼のプレゼンテーションの才能は、掛け値なしに天性のものだ。一方、技術については、彼はさほど精通している訳ではないようだ。デザインに対するこだわりは尋常ではなく、それはしばしば技術的な限界を超えた要求となって現れ、結果として設計ミスの製品となって現れる。最近はかなりヒットが多いが、以前は売れないものを作っていたのだ。

 にしても、コンピューター、アニメ、音楽と3つの分野で大ヒットを飛ばした彼の業績というのは掛け値なしにすばらしいものだ。Appleに興味がある人は面白く読めると思う。ただし、長いので読むのに時間がかかるのが難点。


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感想メモ:サブプライム問題とは何か

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
  • 発売元: 宝島社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2007/11/09

★★★★☆

 ーサブプライム問題ー

 わかったようなわからないような、アレな感じですませている人が、結構多いのではないか。本書は「一般の人にもわかりやすいように」というコンセプトで書かれているため、問題の基本的な骨格が掴めるように大きな流れを説明することを重視している。実際、読んでみてわかりやすかった。

 ということで、サブプライムローン問題の流れをザックリ書くと、以下のような感じだ。

  • NINJA(No Income No Job and Asset:仕事・収入・資産がない人)な人たち向けの住宅ローン=サブプライムローン
  • サブプライムローンの支払いを証券化したCDO(Collateralized Debt Obligation:資産担保化証券)という非常に危なっかしい商品が、なぜかトリプルAの格付けをゲットしまくり
  • 銀行がこの危ない商品を、企業への融資に華麗に紛れこませる
  • これを見抜いたえらい人が「あれマジヤバい」と発言
  • みんな爆売り。抱え込んでいた銀行が天文学的に強烈なダメージを食らう
    →ドカーン\(^o^)/

適当なので、情報の三次ご利用の際にはきちんと本を読んで確認しましょう。

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感想メモ:ウケる技術

ウケる技術
ウケる技術
  • 発売元: オーエス出版社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/07/19

★★★★☆

 読むだけでもおもしろいのだが、実践すると使えることに気付く、二度おいしい本。紹介されている6の戦略と38の技術を身に付けねば!などと身構える必要は全くなく、おもしろいと思ったところだけ記憶に留めれば良し。

 おもしろいことで評価が高い友人にこの本を貸したところ、「ガイジン化」(ギャグを放つときはガイジン風にテンションを高く保つ)に深く共感していたのが印象的だった。

 同じことを言ってもウケる人とウケない人がいるように、やはり「ギャグを言うぞ!」という気合いと勢いが重要だと深く信じ込むことこそが勢いを産むのだと、周りを見ていて思う。

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感想メモ:上達の法則

上達の法則—効率のよい努力を科学する (PHP新書)
上達の法則—効率のよい努力を科学する (PHP新書)
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 714
  • 発売日: 2002/05

★★★★☆

 何でも覚えがよく、すぐに上達する人がいる。
特に、既にある分野での上級者である人が、他の分野にも専門分野の知識・経験を活かしてすぐに上達することが多い。
「一芸万事に通ず」というやつだ。

これはどうしてなのだろうか?また、自分がなるべく効率よく上達するためには、どうすればいいのだろうか?
このような内容が、いわゆる「上級者」に共通してみられる要素を抽出するとともに、知識や記憶を行う脳の仕組みにも触れながら書かれている。

 つまるところ、上達というのは肉体:ハードウェアではなく脳:ソフトウェアの問題である。
いかにコツを見抜き、不要な情報をそぎ落としエッセンスをシンプルに把握するか、ということだと考える。
「上達」は、年齢を問わず生きている上で常に必要であるため、読んでおいて損はないと思えた。

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感想メモ:STUDY HACKS!

STUDY HACKS!
STUDY HACKS!
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/02/28

★★★★☆

 思想としては、おおむね他のいわゆる勉強本と共通の部分が多い。ので、他のものを読んだことがある人は、個別のツールやテクニックの紹介として読むと良いだろう。私がメモしたのは以下の項目。

  • WIKIで自分辞書作り
  • はてブのタグ検索、TECHNORATIの検索結果のRSS購読
  • 手帳へのメモの仕組み
  • 環境整備の重要性
  • シータ波:知らない場所で危機感から発する→喫茶店
  • スポットライト効果、黄色い照明で集中力UP
  • スティックタイプのアロマ NEAL’S YARD REMEDIES
  • コクヨ色彩の達人
  • アフォーダンスの概念

 こういった本を読むことで、日頃から効率や集中力を高めることを意識し始めると、日常の行動も変わってくる。そういう小さな行動の積み重ねこそが、このような本を読む一番大きな意味なのだろう。

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感想メモ:天皇の戦争責任

天皇の戦争責任
天皇の戦争責任
  • 発売元: 径書房
  • 発売日: 2000/11

★★★★☆

 かなり分厚い本なのだが、著者がいずれも賢い人たちなのでそれほど苦労せずに読めた。対談形式だけに、議論がかみ合っていなかったりして多少読みにくい部分もあったが。

 要点は以下のようなもの。

・今までのような「日本は悪かった=天皇に戦争責任がある=革新派」対「日本は正しかった=戦争責任はない=保守派」という二者択一では、そこから先に進むことはできない
・どちらの意見も極端すぎて、一般の人の感覚とは結びつかない
・戦争には仕方がない部分もあった。しかし悪い点もあった
・そういったところから一般的な共通認識を作り上げることで、日本がこれから国際社会を生き抜いていく土台が作られることになるのだろう

 今までなんとなく「考えておいたほうがいいんだろうな〜」と思いつつもそのまま過ごしてきた問題なので、こういう信頼を置ける人たちが書いているものがあるのは非常にありがたい。

 読み返す価値がある本。★4つ。