★★★★☆
著者は、リーダーシップや企業改革で有名な、
ハーバードビジネススクールのジョン・コッター教授。
彼が、ゼネラル・マネージャーという職務についている15人を
徹底的に調査研究した結果について書いた本。
CEOに注目した研究は多いが、このクラスに焦点を絞ったものは少ない。
この本は、コッター教授のリーダーシップ研究の基となったもの、とのこと。
調査対象から調査手法、試用した質問表に至るまで、とても詳細に紹介されている。
ちなみに、ここで言うゼネラル・マネージャーとは、
日本で言うと課長というよりも、むしろ経営幹部・役員というイメージ。
さて、ゼネラル・マネージャーの仕事とはなんだろう?
以下の3つであるそうだ。
- アジェンダ設定
- ネットワーク構築
- ネットワークを活用したアジェンダの実行
本調査のゼネラル・マネージャーは、ほぼ同様の方法で職務に取り組んでいた。
就任後すぐに、彼らは事業に対するアジェンダ(検討課題)を策定し、
その実現に必要な資源ネットワークを構築する。
アジェンダとネットワークが完成すると、ネットワークを通じて
現実にアジェンダが遂行されるよう、全神経を集中させていた。
調査対象の平均では、最初の2つに半年近くかけているとのこと。
また、調査対象のマネージャー達には、ある程度共通する資質が見られた。
- 調査対象のゼネラル・マネージャーは、一、二名を除いて達成思考が強かった。
- 気質に関しては、ほぼ全員が情緒的に非常に安定していた。
- 調査対象のほとんどは、高校・大学時代に学生のリーダーを経験している。
いくつかの項目は、特にすぐれた業績を上げる人々について顕著に見られたとのこと。
- 父親もマネージャーであった。
- 両親との関係は非常にうまくいっていた。
- 二人以上の兄弟姉妹がいる。
ゼネラル・マネージャーの行動にも、共通する一二のパターンがあるとのこと。
こちらもおもしろかったので引用。
- 一日の大半を誰かと過ごしている
- 時間を割く相手は直属の部下や上司に限らずたくさんいる。
- 彼らと話す話題は広範囲に及ぶ。
- こうした会話では、ゼネラル・マネージャーはたいてい多くの質問をする。
- こうした会話でゼネラル・マネージャーが「重要な」決定を下すことはめったにない。
- こうした会話には、いつも冗談や軽口が飛び交い、仕事と関係のないことが話題に上る。
- こうした出会いの中で語られる話題の大部分は、事業や組織にとってあまり重要でないことだ。
- こうした人と会っている間、「命令」などといった野暮なことはしない。
- とはいえ、相手に働きかけようとすることは多い。
- 人と接する時間は、相手の都合に合わせることが多い。
- 人と会っている間は、ほとんどがとりとめのない短い会話に終始する。
- 長時間働く。
コッター教授は、ゼネラル・マネージャーの外部からの招聘は、
ネットワークの構築に不利だという理由で反対の立場を取っている。
にも関わらず、マネージャー本人達は、自分たちの能力は別の職場、
別の業界ですら機能すると認識している。
というように、いろいろとおもしろい点があった。
更に、金井教授によるあとがきが、コッター教授の他の著作にも触れながらの
よいまとめとなっている。まずはここから入るのがよいと思う。
ビジネスマンとして、マネージャーを目指す人はぜひ読むと良いだろう。
オススメ度は★4つ。
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