- 報酬主義をこえて (叢書・ウニベルシタス)
- 発売元: 法政大学出版局
- 価格: ¥ 6,090
- 発売日: 2001/02
★★★★★
子供が良い成績を取ったらごほうびをあげる。
企業業績と給料を連動させる。
こういった報酬による動機付けは、世の中に広く浸透している。
報酬は、確かに短期的に人の行動をコントロールすることができる(行動主義)。
しかし、
「報酬が行うのは報酬そのものに対する欲求(外的動機付け)」
であり、
「行動そのものを行う喜び(内的動機付け)を生み出すことはない」
というのが著者の主張である。
そればかりでなく、報酬の弊害は大きい。
- 報酬を与えられない場合、罰として作用する
- 人間関係を破壊する:他人の足を引っ張ることが自分の利益に繋がる
- 冒険に水をさす:求められること以上のことをするのは無駄になる
そして報酬の最も大きい弊害は、 対象への興味を損なうことである。
私は、全ての報酬が悪だとは思わない。
子供の勉強などを思い返してみれば、
きっかけは報酬だが、やがて内的動機付けが生まれてくる、
というケースもあると思うからだ。
そして、報酬をなくすことはできそうもない。
ならば、報酬の害を最小限にするにはどうしたらいいだろうか?
- 報酬は小さくこっそりと
- 相対評価にしない
- 課題と似たものに
- もらう方に選択の余地を
つまるところ、子供や従業員が、
勉強や仕事自体を楽しむようにするには、
どうしたらよいのだろうか?
その鍵として3つのCが紹介されている。
- 協力(COLLABORATION):チームワーク
- 内容(CONTENT):意味があると感じられること
- 選択(CHOICE):やり方を自分で決められること
である。
つまるところ、人間は、
意味がないと思われることをやらされるのは嫌い
で、
意味があると思えることを、
仲間たちと、自由に(と思えるように)やれると一生懸命になる
ようだ。
なんとなくわかってはいたことだが、
理解が深まってとてもおもしろく読めた。
オススメ度は★5つです!
ちょっとお高いので、図書館などで。
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