近くに動物病院があるのだが、朝病院の前を通りかかると、 白衣っぽい感じの制服を着た女性が、患犬を散歩に連れて行く所だった。
犬は、
(散歩に行ける・・・!そして思う存分マーキングできる・・・!)
という喜びに打ち震えながら大興奮だった。
そしてそのあまりに大きな喜びを持て余しこう叫んでいた。
「アオッ!」
マイケル・ジャクソンみたいな犬である。
整形なのかどうかは確認できなかったが。
そんなことはどうでもよく、その犬は興奮のあまり今にも駆け出さんばかりだった、
というか女性を引きずらんばかりであった。
そこで困ったのは女性である。なぜなら、彼女は犬に引きずられて喜ぶ趣味を持ち合わせていなかったからだ。
それに、彼女は仕事だから散歩に行くのであって、特にそれほど散歩がしたい訳でもなく、
犬のマーキングが見たい訳でもなく、また言うまでもなく彼女自身でマーキングがしたいという訳でもなかった。
つまり、犬と女性とには、散歩に対する温度差が生じていたのだ。
そんな内面の分析はどうでもよく、私が気になったのは
「アオッ!」
と雄叫びをあげる犬に対して、女性が
「落ち着いて!」
と言った事である。
犬が落ち着くはずもなく、犬に引きずられる感じでついて行く女性を横目に、始まる一日。
いつもと特に変わったところはありませんでした。アオッ!!