- 会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ (マイコミ新書)
-
- 発売元: 毎日コミュニケーションズ
- 価格: ¥ 819
- 発売日: 2009/02/21
★★★★☆
「マグロの鮮度保持剤の開発を進めるには、マグロのすべてを知る必要がある」
そんな理由から、1ヶ月以上マグロ船に乗ることを命じられた著者。
船酔いに苦しめられるつらい生活の中で、なぜか人生訓を学んでいた。
マグロ船というと、マッチョな海の男達が集う肉体派な空間、という印象があるが、
長期間密室に近い空間で過ごすためのその経験知は、奥深いものばかりだった。
確かにタイトル通り、一般の企業での仕事や、それ以外の仕事にも応用の効く
考え方が多いことに驚いた。
以下、印象に残った言葉を挙げる。
- 人間はの、幸せのなかにいるときは、幸せに気づかんもんよ。
- いいことが起きたら喜んで、嫌なことが起きたら暗くなる。それじゃあ犬と同じじゃねーか。
人間はの、感情をコントロールできるんど。 - マグロが捕れんときこそ、感情をコントロールしぇんと人間ダメなんど。
- 結果にばかりこだわると、その途中にある、おもしれーもんや、役に立つことを見逃すんど。
- つまりの、おいどーらは、おいどーらにできることをすべてやったんど。
それから後のマグロが捕れるかどうかなんて、海が決めることど。 - 『努力』っちゅー言葉には、どっか『結果』という見返りを期待しちょるように聞こえるの。
でもの、努力はたいてい報われんのぞ。最初から報われる期待をして努力すると、
『努力したのに・・・』とすぐにあきらめよる。 - 『完璧』を目指せば目指すほど、自分にできないところが目立って落ち込む。
結果、完璧とはより遠くなるんど。 - それは他人にわかってもらおうとするからつれぇんよ。
自分が自分の仕事に楽しさと誇りを持てば、あとは世話ねぇ話じゃ。 - 『不況で商品が売れん』っちゅーとるやつは、不況を言い訳にして、
今までのやり方を変えようとしぇん。・・・言い訳に力を使うんなら、
先に自分のほうを変えたほうがよかろーが。 - 『便利になれば幸せになる』、そんなん全部幻ど。むしろ、不便な方が
みんなで助け合ったりして、心の中に幸せを感じるし、難しいこともできるようになるんど。 - 人のアドバイスに期待しすぎるから、的がはずれたアドバイスに腹が立つんど。
えーか、『他人からのアドバイスはたいてい的がはずれちょる』。これが普通ど。
与えられた仕事を全力でこなす。
失敗は必要。
変えられないものを変える努力より、自分を変える。
相手を評価していることも同時に伝える叱り方。
会話のコツ。
褒め方。
「努力」や「完璧」に関する考え方にも、ハッとさせられた。
ビジネス書や自己啓発書で見るような内容とほぼ重なる。
どのような道をたどっても、行き着くところは似通ってくる、
ということなのだろうか。
サラッと読めるが、奥深い言葉がちりばめられている。
どんなタイミングでも得る物があるだろう。良著。★4つ。
関連:
- ほんとうの心の力 ★★★★★
- 上京物語 僕の人生を変えた、父の五つの教え ★★★★★
- もう、不満は言わない ★★★★☆
その他の書評などはこちら。
→Socialtunes – haru